Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category
予備審査制について
本日は、迅速な輸入通関手続につながる制度として設けられている予備審査制をご紹介いたします。なかなか利用には難しい面もありますが、ご参照いただけますと幸いです。
1 予備審査制について
予備審査制とは、貨物が日本に到着する前や輸入関連手続の完了前の時期に、あらかじめ輸入申告書類を税関に提出することで、税関の審査や検査要否の事前通知を受けることができ、迅速な輸入通関手続きにつながる制度です。
例えば、生鮮貨物など引取を急ぐ貨物、取引先への納期限が厳格な貨物等において使用される場合が想定されております。
予備審査制の利用に当たっては、
①対象貨物:すべての輸入貨物が対象となります。
②提出書類:予備申告書(輸入(納税)申告書を使用)、インボイス、その他課税標準の決定のために必要な書類等
③提出官署:貨物の蔵置予定場所を管轄する税関官署
④提出時期:予備申告は、輸入申告予定日における外国為替相場が公示された日、又は、予備申告を行おうとする貨物の船荷証券(航空貨物では、Air Way Bill)が発行された日のいずれか遅い日
2 予備審査制を利用する場合のメリット
予備審査制の利用に関しては、次のメリットが挙げられます。
①書類審査が貨物の到着前に行われます。
②他法令手続が必要な貨物については、税関手続と他法令手続との同時並行処理が行われます。
③検査の要否が原則、輸入申告前に判明しますので、貨物の引取りのための事前準備が行えます。ただし、検査の要否の事前通知を行った後であっても、検査を実施する必要があると認められる場合には、事前通知の内容を変更する場合があります。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
保税展示場について
保税地域には、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域の5種類がありますが(関税法29条)、貨物の蔵置を目的とした保税蔵置場のみご存知の方も多いのではないでしょうか。
保税展示場も重要な施設ですので、以下では、保税展示場の概要をご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 保税展示場の概要
保税展示場とは、外国貨物について輸入許可を取得することなく、展示等することができる場所のことを指します。
例えば、ある展示会場が保税展示場の許可(関税法62条の2)によって、管轄の税関の税関長から保税展示場の許可を得た場合、所定の手続き(関税法62条の3)を経ることにより、輸入許可を得ることなく当該展示場に搬入することができます。
なお、貨物を保税展示場に搬入するためには、展示等申告書を税関長に提出して承認を受ける必要があります。
2 展示品の販売
保税展示品を展示会の期間中に保税展示場内で販売する場合、販売用貨物等の蔵置場所の制限等(関税法62条の4)によって、その販売は輸入とみなされます。
展示品の引渡し前に、その展示品が置かれている場所を管轄する税関に用途外使用等承認申請書を提出し、次いで輸入(納税)申告書を使用して輸入申告を行い、関税や消費税等を管轄税関に納付する必要があります。
これにより、当該展示品は内国貨物となり、自由に販売することができるようになります。
また、別の制度ではありますが、保税展示場の許可を受けていない展示場に貨物を搬入する際には、再輸出免税の制度を利用することによって、展示会場に免税で輸入することができる点は便利な制度であるものといえます。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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保税工場について
保税地域には、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域の5種類があること(関税法29条)は、先日のコラムでもご紹介いたしました。
このうち、貨物の蔵置を目的とした保税蔵置場は、一般の方にも馴染みのあるものと思われますが、保税工場には馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
本日は、保税工場の概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 保税工場の概要
保税工場とは、外国から日本に届いた貨物について、輸入許可を受けることなく、加工や製造などを行うことが出来る場所として税関長が許可した場所のことを指します。
保税工場における加工や製造の期間は原則として2年となります(一定の要件を満たせば延長可能です。)。
基本的には、この期間中に外国から日本に届いた貨物を加工や製造をした上で、外国に送り出すことになります(加工・製造した貨物をそのまま日本で販売することはできません。)。
2 「みなし蔵置場」について
保税工場の被許可者は、その保税工場において使用する輸入貨物について、その保税工場に入れた日から3か月までの期間に限り、その保税工場について保税蔵置場の許可を併せて受けているとみなす取扱いをすることが可能です(関税法56条2項、関税法基本通達56-16)。
これを、「みなし蔵置場」と呼称しており、その場所を利用できる貨物は次のとおりとなっております
①その保税工場において外国貨物のままで又は輸入の許可を受けて保税作業に使用されることが見込まれる原料品
②上記①の輸入原料品と同種の輸入原料品で、輸入の許可を受けてその保税工場における内貨作業に使用されることとなるもの
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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保税蔵置場について
本日は、保税地域の一つの類型である保税蔵置場についてご紹介いたします。
1 保税蔵置場の概要
保税蔵置場は、輸入許可前の貨物や輸出許可後の貨物を一時的に蔵置するための場所であり、税関長が許可をした場所が保税地域となります。
保税倉庫等と呼ばれることもあり、保税地域の中では馴染みがある方も多いのではないでしょうか。
蔵置期間は、長期蔵置としては、最初に承認を受けた日から2年間(別の保税蔵置場にも置かれていた場合には、その間の期間も併せて、最初の承認から2年間)です。
他方で、承認の必要のない一時蔵置の場合には3カ月間蔵置できます。
いずれも一定の要件を満たせば延長可能です。
2 保税蔵置場で行うことができる作業
保税蔵置場では、主に以下の3つの作業を行うことができます。
①輸入許可前の貨物や輸出許可後の貨物の積卸し、運搬、蔵置(関税法42条)
②貨物の点検、改装、手入れ等(関税法49条、40条)
③見本の展示や簡単な加工等(関税法49条、40条)
3 自社の倉庫を保税蔵置場として利用することを希望する場合
貨物の内容によっては、自社の倉庫で保管することが望ましい場合もあるものと思われます。
自社の倉庫を保税蔵置場として利用することを希望する場合には、事前に自社倉庫のある地域を管轄する税関長に対して、保税蔵置場の許可を得る必要があります。
なお、保税蔵置場の許可を受けた場合、許可後に保税蔵置場の拡張等を自由に行うことができるわけではなく、当該保税蔵置場の貨物の収容能力を増加、または減少、あるいはその改築、移転その他工事をしようとするときは、あらかじめ税関に届出なければなりません(関税法44条1項)。
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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指定保税地域について
本日は、保税地域の内の1つの類型である、指定保税地域についてご紹介いたします。
1 指定保税地域の概要
指定保税地域とは、国や都道府県等の地方公共団体等が所有、管理する土地や建物等の公共施設に設置されるもので、財務大臣が指定してはじめて指定保税地域としての機能を有します。
指定保税地域は、通関手続を簡易、迅速に処理するために設けられたものです。
指定保税地域で行われる作業としては、具体的には、輸入許可前の貨物や輸出許可後の貨物等の積卸しや、貨物等の一時(原則として1か月)蔵置です。
指定保税地域は、主として税関手続のために貨物を置く場所として設けられたものであるため、税関所在地の近くに設置されていることが多いといえます。
以下では、各税関における代表的な指定保税地域をご紹介いたします。
①函館税関が管轄税関である函館港指定保税地域(北海道函館市海岸町24番4号、26番1号、港町2丁目32番、36番32地先)
②東京税関が管轄税関である京浜港晴海埠頭地区指定保税地域(東京都中央区晴海5-6、5-7)
③横浜税関が管轄税関である京浜港山下埠頭地区指定保税地域(神奈川県横浜市中区山下町277~279)
④名古屋税関が管轄税関である名古屋港ガーデンふ頭地区指定保税地域(愛知県名古屋市港区港町108)
⑤大阪税関が管轄税関である大阪港港頭地区指定保税地域(大阪府大阪市港区海岸通地先、1丁目、2丁目1番2号、2丁目2番、2丁目地先、3丁目地先、4丁目地先等)
⑥神戸税関が管轄税関である神戸港新港地区指定保税地域(兵庫県神戸市中央区新港町等)
⑦門司税関が管轄税関である関門港門司地区指定保税地域(福岡県北九州市門司区西海岸1~3丁目等)
⑧長崎税関が管轄税関である長崎港小ヶ倉柳埠頭地区指定保税地域(長崎県長崎市小ケ倉町3丁目76番94等)
⑨沖縄税関が管轄税関である那覇ふ頭指定保税地域(沖縄県那覇市通堂町124)
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
キャッチオール規制について
貨物を輸出する場合、輸出貿易管理令に基づき様々な規制がある点は、以前のコラムでもご紹介いたしました。
本日は、この輸出貿易管理令におけるキャッチオール規制に関してご紹介いたします。
輸出貿易管理令別表第1の第16項では補完的輸出規制品目(キャッチオール規制)が規定されておりますが、個々では、輸出貨物の仕向地を以下の4つの地域に分類し、それぞれの地域の懸念の度合いに応じて輸出許可の要否を規定しております。
1 輸出管理徹底国
通常兵器や大量破壊兵器の輸出規制の国際的合意に参加し、輸出管理が適正に行われている国で、ホワイト国とも呼ばれております。
これらの国に16項該当品目を輸出する場合には、輸出の許可は必要ありません。
具体的には、輸出貿易管理令別表3に掲載されている以下の国です。
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ
2 国連武器禁輸国
国連の安全保障理事会の決議により武器の輸出を禁止されている国のことを指します。
これらの国に16項該当品目を輸出する場合には、輸出の許可が必要となります。
具体的には、輸出貿易管理令別表3に掲載されている以下の国です。
アフガニスタン、コンゴ、エリトリア、イラク、レバノン、北朝鮮、ソマリア、スーダン、中央アフリカ
3 懸念国
輸出貿易管理令別表4に掲載されている、イラン、イラク、北朝鮮のことを指します・
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
貨物の輸出・輸入にあたってどのような規制があるかについては、正確に理解しておかないと、スムーズな輸出・輸入の妨げとなり、ビジネスに大きな影響を与えます。
当事務所は、代表弁護士が輸出入・通関に関する唯一の国家資格である通関士の資格を有しており、輸出・輸入、通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入、通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
輸出PL保険について
PL保険の種類は、輸入品を含む日本国内で販売される製品を対象とした国内PL保険と、輸出される製品を対象とした輸出PL保険に分かれることは、以前のコラムでご紹介いたしました。
本日は、このうち、輸出PL保険に焦点をあてて、ご説明いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 輸出PL保険の約款
日本の損害保険は、輸出貨物に対する生産物について、アメリカの保険会社が一般的に採用し、世界各国で通用している英文の賠償責任保険証券の生産物責任保険特別約款により、保険を引き受けています。
2 輸出PL保険のてん補範囲
輸出PL保険では、通常、次の損害が保険金支払いの対象となります。
①法律上の賠償責任を負うことによって被害者に支払うべき損害賠償金
②解決のための諸費用、保険会社が被保険者を守るための裁判又は損害賠償請求の解決のために要した費用。例えば、裁判費用、弁護士報酬、示談解決のための費用等。
国内PL保険では、保険会社の同意を得た訴訟費用及び弁護士費用であれば、勝訴、敗訴に関わらず保険の対象となる一方で、輸出PL保険では、被保険者(輸出者等)に対する訴訟が根拠のないもの、誤ったもの、あるいは不正のものであっても、保険者(保険会社)は被保険者を防御する権利と義務を有しております。
この点は、輸出者にとってはおおきなメリットであり、輸出者が輸出PL保険を必要とする理由の一つとも言われております。
以上のとおり、輸出PL保険は、国内PL保険とは異なる特色を有しており、輸出者がビジネスを行う上で非常に有益なものとなる可能性がありますので、輸出をビジネスとして行っている場合には、保険をご利用いただくかどうかを一度はご検討いただくことをお勧めいたします。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
貨物海上保険の対象となる物的損害について
以前のコラムで、貨物の輸出入のおける保険をご紹介する観点から、貿易保険やPL保険の概要をご説明いたしました。
貨物を輸出入する場合には保険は非常に重要となりますので、本日は、貨物海上保険をご紹介いたします。
1 貨物海上保険の概要
貨物海上保険の対象となる損害には、貨物自体の物的損害と費用損害とがあります。
さらに、貨物自体の物的損害は共同海損と単独海損に分かれ、単独海損は全損と分損とに分かれます。
以下では、特に問題となる物的損害について、ご紹介します。
2 共同海損(General Average)
本船が暴風雨等のために座礁、沈没等の危険に直面した場合等、船舶と積載貨物が共同の危険にさらされたとき、積載している貨物全体の最大限の利益を確保するために、船長の権限で一部の貨物を海中に投棄したりすることがあります。
この場合、船会社及び全荷主が犠牲となった貨物の費用や応急処置費用を事前に定められた割合に応じて負担することになりますが、この場合に発生する費用的損害のことを指して共同海損といいます。
3 単独海損(Particular Average)
海上輸輸送中、個々の貨物に発生した損害で、被害を被った被保険者(荷主)の単独の負担とある損害です。
(1)全損(Total Loss)
運送契約をした貨物の全部が、船の沈没、座礁、衝突火災等の危険によって被る損害です。
全損は、大きく以下の3つに分けられます。
(i)現実全損
(ii)推定全損
(iii)積込、積替え若しくは荷卸し中に生じた荷造り1個ごとの全損
(2)分損(Partial Loss)
貨物の一部が滅失したり損傷を受ける損害のことを指します。
これには、船舶の特定事故に起因する特定分損とそれ以外のそのほかの分損とがあります。
(i)特定分損
貨物を積載している船舶等の特定事故による分損のことを指します。
(ii)その他の分損
分損の内、特定分損以外の分損のことを指します。具体的には、海上での荒天遭遇による浸水、荷崩れ、流失等による損害のことを指します。
以上のとおり、物的損害といってもぐたいてきな事情に応じて様々類型に分かれますので、それらを正確に理解しておくことが重要といえます。
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出・輸入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関上のトラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
PL保険について
PL保険と保険という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
特に、自社で製造した貨物を輸出する場合等には、PL保険の利用は非常に重要となります。
PL保険は、輸出入とも深く関わりますので、本日はその概要をご紹介いたします。
1 PL保険の概要
PL保険とは、「生産物賠償責任保険」のことで、生産物の欠陥による損害が生じた場合に、その生産物の製造者及び販売者に生じた賠償責任における損害を填補することを目的とするものです。
PL保険のPLとは、「Product Liability」(生産物責任)のことで、製品により、第三者に対して損害を与えた場合に、その製品の製造者及び流通業者等は、被害者に対し、損害賠償責任を負うということを指します。
2 PL保険の種類
(1)輸出PL保険
PL保険の種類としては、まず、輸出PL保険があります。
これは、輸出生産物による賠償義務が生じた場合による損害をて填補する保険です。
なお、輸出保険の填補範囲には、訴訟費用、弁護士費用、身体障害の応急手当は含まれるようですが、アメリカにおけるいわゆる懲罰的損害賠償金(これは、主に不法行為訴訟において、加害行為の悪性が高い場合に、加害者に対する懲罰及び一般的抑止効果を目的として、通常の損害賠償のほかに認められる損害賠償のことを指します。)は含まれていないようです。
アメリカにおいては懲罰的損害賠償への対応が非常に重要ですので、輸出PL保険を利用する場合には注意が必要です。
(2)国内PL保険
また、国内PL保険もあります。
これは、輸入製品を含む国内で販売されるすべての生産物を対象としています。
以上のとおり、PL保険は、輸出入に深く関わるものですので、貨物の輸出入をビジネスとしてしている場合で、まだPL保険に関して一度も検討したことがない場合には、利用の検討を行うことをお勧めいたします。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
貿易保険について
貨物の輸出入取引を行う場合に、貿易保険の利用を実際にされている方、または利用を検討されている方は多くいらっしゃるものと思います。
また、これまで貿易保険の利用を検討されたことがない方にとっても、貿易保険がどのようなものであるかを理解しておくことは非常に重要です。
そこで、本日は貿易保険の概要をご紹介いたします。
1 貿易保険の概要
貿易保険とは、損害保険会社等の保険会社が対象としていない貿易取引上の金銭的なリスクを公的機関等がカバーするという種類の保険のことを指します。
そのため、通常の保険とはイメージが少し異なります。
2 信用危険と非常危険
貿易保険の対象となるリスクは、大要、信用危険と非常危険とに分けて考えられております。
まず、信用危険とは、契約当事者の責任から発生する代金等の回収不能・輸出不能に伴う危険のことを指します。
代表的な例としては、取引先の倒産による代金回収不能の場合や相手方が一方的に契約を破棄する場合等が挙げられます。
次に、非常危険とは、信用危険とは全く別の性質のものであり、政府の政策変更や戦争などによる不可抗力的な事由によって発生する回収不能・輸出不能による危険のことを指します。
代表的な例としては、法令改正・戦争などにより輸出入規制がされた場合等がこれに該当します。
貿易保険とは、以上のような危険により発生する損害をカバーする保険で、経済産業省関連の独立行政法人日本貿易保険により保険引き受けがされております。
貿易保険を付保することができるのは、取引先が日本貿易保険の公表している「海外商社名簿」(信用状態を格付けした名簿)に登録されていて、かつ信用危険の場合は一定の基準を満たしていることが条件となります。
仮に、取引先が記載されていない場合には、「海外商社登録申請書」に信用調査書を添付し、日本貿易保険に登録申請を行うことが必要になります。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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