主な取扱い業務―輸入の関連法令に関するご相談

1.輸入の関連法令~「関税等の税金を支払えば問題なく輸入できる」と考えるのは非常に危険です~

輸入の関連法令に関するご相談貨物を輸入する場合、関税等の税金を支払ったとしても、法的に問題なく輸入できるとは限りません。輸入が禁止、制限されている貨物もありますし、輸入の際に行政庁の許可や承認、検査等を証明することが求められる貨物もあります(関税法70条等)。

当事務所では、輸入品に関してどのような法令が関係するか、また、必要な許可等があるかどうかを整理し、必要に応じて、税関への問合せ、主管省庁への相談・サポート等をご提供いたします。

思わぬ法令により何らかの規制が設けられている場合もありますので、ご相談いただくことをお勧めいたします。

以下では、代表的な輸入の関連法令をご紹介いたします。

 

2.関税法関連

関税法は、基本的な輸入手続きに関する規定がなされていますが、ここでは、輸入が禁止されている代表的なものをご紹介いたします(関税法69条の11)。

特に、以下の8.知的財産侵害物品については、気づかずに輸入してしまうケースも多く見られますので、ご注意ください。

  1. 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤、あへん吸煙具
  2. 指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)
  3. けん銃等
  4. 火薬類
  5. 貨幣、紙幣、銀行券、印紙、郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード等
  6. 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
  7. 児童ポルノ
  8. 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
  9. 不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号まで又は第10号から第12号までに掲げる行為を組成する物品

上記のほかに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、植物防疫法、家畜伝染病予防法等においても輸入が禁止されているものがありますので、ご注意ください。

 

3.関税定率法関連

貨物を輸入する際には、その貨物の価格を申告し、関税等の税金を適切に支払う必要があります。もっとも、申告すべき価格については、単に海外で購入した金額を記載すれば法律上正しい申告価格になるわけではありません。

申告すべき価格に関しては、関税定率法を中心に様々な規定があり、それらの規定に則った申告をする必要があります。

誤った申告をしてしまうと、通告処分のおそれの他、刑事罰のリスクもあります。

例えば、法令上、申告すべき価格に加算する必要があるにもかかわらず、加算していないために、問題となるケースは非常に多くあります。

加算する必要がある要素に関して注意すべき要素としては、例えば、以下のようなものがあります。

  1. 輸入港までの運賃、保険料等
  2. 現地で買付等に協力してくれた協力者への手数料
  3. 輸入貨物に利用する容器や、包装に要する費用
  4. タグや原材料を日本から提供し、輸入品に利用した場合
  5. 輸入品に関してライセンス料などを支払っている場合

これらを正確に整理して、適切に申告価格を検討する必要があります。

当事務所では、通関士資格を有する代表弁護士がおりますので、皆様のご事情を伺い、輸入申告する際の申告価格をどのように考えるべきか相談・サポートいたします。

 

4.その他の輸入関連法令

(1)製造物責任(PL法)

製造物責任法(PL法)は、簡単にいうと「製品の欠陥によって生命、身体または財産に損害を被ったことを証明した場合に、被害者が製造会社などに対して損害賠償を求めることができる」法律です。そして、製造物責任法(PL法)上、輸入品においては、輸入業者が製造業者と同様の責任を負うと定められており、引き渡した製品の欠陥により、他人の生命、身体または財産を侵害した場合、過失の有無にかかわらず、これにより生じた損害を賠償しなければなりません。

製造物責任法(PL法)に関して注意を要する代表的な内容を以下にご紹介いたします。

  1. 商品に記載、同封する消費者への警告や取扱説明書等の整備
  2. 消費者向窓口の設置及び明確化、並びに製造物責任法(PL法)に関する知識を持った担当者の教育
  3. PL保険(中小企業向けPL保険等)の付保の検討(日本商工会議所、全国商工会連合会や全国中小企業団体中央会への問合せ等)
  4. 輸入貨物に関して海外事業者と契約をする場合、輸出者または製造者が日本を含む海外PL保険に加入しているかどうかを確認する

 

(2)食品衛生法

販売又は営業上使用する食品等を輸入する場合は、その安全性確保の観点から食品衛生法第27条に基づき、輸入者に対して輸入届出の義務が課せられています。輸入届出を行わない食品等については、販売又は営業上使用することはできません。届出は検疫所で受け付けており、食品衛生監視員が適法な食品等であるかの審査や、検査の要否の判断を行います。対象となる食品等とは、食品、食品添加物、器具、容器包装及び乳幼児用のおもちゃ等です。

 

(3)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器等は、厚生労働大臣の製造販売業又は製造業の許可や登録を受けた者でなければ、業としてこれらを輸入してはならないと定められています。

 

(4)その他

その他、よく問題となる代表的な法律をご紹介します。

 

①アルコール事業法

アルコール事業法では事業者等に対する許可制を採用し、アルコールの製造、輸入、販売、使用等について、許可を受ける必要があります。

 

②絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)関連法

ワシントン条約が規制する動植物等を輸入しようとする者は、輸出国が発行する「CITES輸出許可書等」、さらに該当種によっては経済産業大臣から「輸入承認証」又は「事前確認書」等の発給を受けなければならない等の様々な規制がありますので、ご注意ください。

その他には、外国為替及び外国貿易法(外為法)、植物防疫法、家畜伝染病予防法等があります。

 

 

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