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輸入手続きにおける様々なトラブルにはご注意を

2025-04-21

輸入手続に関する業務は、複雑な通関手続や法規制の遵守が求められるため、トラブルが発生しやすい分野です。

貨物の輸入手続の遅延や差し止め、課税価格の計算のミス、輸入が禁止された品の混入など、どのようなケースであっても適切に対応することで被害を最小限に抑えることが可能です。

本記事では、輸入手続に関連する主なトラブルの具体例を交えつつ、対応方法についてご紹介していきます。

 

1 輸入手続における主なトラブルの例

輸入手続でよく見られるトラブルには、以下のようなものがあります。

(1)輸入通関手続が遅延する

輸入申告書の記載ミスや必要書類の不備、税関による検査対象となった場合、貨物の輸入通関が大幅に遅れることがあります。

この遅延は、取引先との信用問題や追加の保管費用の発生など、事業運営に大きな影響を与える可能性があります。

(2)関税の過大請求や不足納付が発覚する

輸入品のHSコードの誤りや特恵関税の適用漏れが原因で、関税を過大に支払ったり、不足納付が追徴されるケースがあります。

不足納付の場合、追徴課税やペナルティが課される可能性があり、迅速な対応が求められます。

(3)輸入禁制品の混入

知らない間に規制対象の商品や輸入禁止品が混入していた場合、税関で貨物が差し止められるだけでなく、場合によっては刑事責任を問われることもあります。

 

2 弁護士に相談することで得られるメリット

輸入手続でトラブルが発生した場合、弁護士に相談することで以下のようなメリットを得ることができます。

(1)法的なアドバイスを受けられる

税関手続や関税法、輸入規制など、専門的な知識が必要な問題について、適切な法的アドバイスを受けることができます。

これにより、手続きの修正や適切な対応が可能となります。

(2)交渉力の強化

取引先との交渉では、法律の専門家である弁護士が関与することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。

また、税関や通関業者とのやり取りの中で専門用語が多数使用されて困っている場合には弁護士が一緒に対応することで適切なやり取りを行うことができます。

(3) トラブルの迅速な解決

弁護士に依頼することで、トラブルの解決に向けた最善の方針を迅速に立案できます。

これにより、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。

(4) リスクの軽減

弁護士はトラブル対応だけでなく、将来のリスクを予防するための提案も行います。

契約書の作成や税関対応のチェック体制の構築など、長期的なリスク管理が可能です。

 

3 輸入手続においてトラブルが発生した場合には弁護士にご相談ください

輸入業務でトラブルが発生した場合、弁護士に相談することは迅速かつ適切な解決への第一歩です。税関対応や契約問題、さらには将来のリスク管理まで幅広くサポートを受けられるため、事業の安定運営に大きく貢献します。

トラブルが発生した際には、一人で抱え込まず、ぜひ輸入や輸出に関する手続等に詳しい弁護士にご相談ください。適切なサポートを得ることで、輸入業務における課題を乗り越え、ビジネスの成長を実現しましょう。

HSコードの間違いを発見した場合

2025-04-16

輸入事業者にとって、輸入貨物に正しいHSコードを付与することは、通関手続を適正に行う上で不可欠の要素となります。

しかしながら、ミスはつきものであり、時として誤ったHSコードを使用してしまうケースも少なくありません。

この記事では、万が一輸入申告時のHSコードが間違っていたことが判明した場合に取るべき対応について、ご説明いたします。

 

1 HSコードの重要性について

HSコード(Harmonized System Code)は、貨物の種類や特性を示す国際的な分類コードです。

各種の輸入規制や関税率等に大きな影響を与えます。

そして、誤ったHSコードを申告すると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

①関税の過大・過小納付

特に過小納付は追徴課税等のペナルティの対象となる可能性があります。

②貨物の差し止め

申告する貨物の内容と実際の貨物の内容が異なることになりますので、検査等で密輸の疑いがもたれるほか、貨物の輸入が差し止められることがあります。

 

2 HSコードが間違っていた場合の具体的な対応手順

HSコードの誤りが発覚した場合、速やかに以下の手順を実行することをお勧めします。

(1) 誤りの原因の特定

まず、どの時点で、どのような理由で誤ったHSコードが使用されたのかを明確にしましょう。誤りが発生した原因を特定することで、再発防止策も検討できます。

(2) 修正修正(又は更正の請求)

誤りが発覚した場合は、速やかに税関に対して申告内容の修正手続を行います。

例えば、修正申告の際には、以下の情報を準備する必要があります。

①修正が必要な貨物の詳細

②本来適用されるべきHSコード

③関連する書類(インボイス、船荷証券など)

④修正申告書

(3) 追加納税・還付申請

HSコードの訂正により関税額が増加する場合は、速やかに追加納税を行います。

他方で、過大納付が判明した場合は、還付申請を行うことが可能です。

還付申請には、税関が求める証拠書類の提出が必要となるため、日常的に関連書類の整理を怠らないようにしましょう。

(4) 専門家への相談

HSコードの解釈や適用に不明点がある場合は、通関業者や、輸入トラブルに詳しい弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

適切な指導を受けることで、複雑なケースにも正確に対応でき、安心して輸入事業を継続することができます。

 

3 予防策としての体制整備

誤ったHSコード使用を防ぐためには、輸入事業者としての社内体制の整備が重要です。

具体的には、以下の取り組みが有効です。

①最新のHSコードの確認

税関やWCO(世界税関機構)等の情報を随時チェックし、最新のHSコードに基づいた手続きが行えるようにする。

②社内研修の実施

社員がHSコードの重要性を理解し、適切に対応できるスキルを身につける。

③専門家との連携

定期的に専門家のアドバイスを受け、コンプライアンス体制を強化する。

 

4 輸入手続で不明点がある場合には、まずは専門家にご相談ください

輸入申告時に誤ったHSコードを使用してしまった場合でも、速やかに適切な対応を取ることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。

修正申告等の対応は慎重かつ迅速に行い、場合によっては専門家の助けを借りることを検討してください。また、再発防止策として社内体制を整えることで、長期的なリスク軽減を図ることができます。

輸入手続について不明点がある場合や法的なアドバイスが必要な際は、ぜひ輸入や輸出に詳しい弁護士等の専門家にご相談ください。

輸入申告価格の間違いに気づいた場合

2025-04-11

輸入事業者の皆様は日常的に多数の貨物を輸入しておりますので、HSコードが正確かどうか、また輸入申告価格が適切であったかどうかについては日常的に注意を払われているものと思います。

ただ、どれほど注意をしていてもミスはつきものであり、輸入申告価格に誤りがあった場合には、迅速かつ適切に対応することが必要です。不適切な申告価格が税関により指摘された場合、ペナルティや追徴課税が発生する可能性があるからです。

また、輸入業務全体の信頼性にも影響を及ぼすため、慎重な対応が求められます。

本記事では、主に「修正申告」と「更正の請求」という2つの方法を中心に、申告価格の間違いへの対応について解説いたします。

 

1 修正申告について

修正申告とは、申告価格が実際に申告すべき価格よりも低額であった場合において、輸入者が自ら申告価格の誤りを発見した上で、税関にその誤りを申告し、正しい価格を基に再計算した税額を納付する手続きです。

この方法は、税関による指摘を受ける前に自主的に行うことが可能です。

修正申告を行う際の主な流れは以下の通りです。

①誤りの確認

申告価格に誤りがあることを確認し、具体的な修正内容を把握します。この段階では、インボイスや契約書などの関連資料を改めて精査することが重要です。

②税関への申告

修正内容を税関に申告します。税関の専用フォーム等を利用し、正しい申告価格および修正後の税額を記載します。

③不足税額の納付

修正申告に基づき、納付すべき不足税額を支払います。速やかな納付により、ペナルティが課されることを回避することが期待できます。

 

2 更正の請求について

更正の請求は、申告価格を過大に申告した結果、過剰な税金を納付してしまった場合に、税関に対して過払い分の返還を求める手続きです。

この方法は、以下の手順で進めます。

①申告の見直し

当初申告した価格が実際よりも高額であったことを確認します。修正申告と同様に、インボイスや契約書などの証拠資料を基に誤りを明確にします。

②請求書類の提出

更正の請求を行うためには、税関の指定する書類を提出します。ここでは、過大申告の根拠および返還を求める税額を明記する必要があります。

③税関とのやり取り

税関が請求内容を確認し、適切であると判断した場合、過剰に納付した税額相当額が返還されます。このプロセスには一定の期間がかかることがあるため、余裕を持った手続きを心がけましょう。

 

3 各手続の注意点

いずれの手続きにおいても、正確な証拠資料の提出が重要です。

輸入に関わる書類の保管や記録は、適切な対応のための出発点となります。また、複雑なケースでは、通関業者や弁護士といった専門家のサポートを受けることを検討すると良いでしょう。

修正申告や更正の請求を迅速かつ適切に行うことは、輸入事業者の法的リスクを低減し、適正な税務処理を実現するポイントとなります。

輸入申告価格の内容を含めて輸入手続に不明点がある場合は、まずは専門家に相談することをおすすめします。

 

 

カスタマーハラスメント防止条例について

2025-04-06

東京都が推進する「カスタマーハラスメント防止条例」は、従業員を保護し、企業の健全な業務運営を支えるために策定された重要な取り組みです。

現代の職場環境において、顧客や取引先からの過剰な要求や暴言、脅迫的な言動は深刻な問題となっています。従業員がこうしたカスタマーハラスメント(以下、「カスハラ」といいます。)を受け続ければ、精神的・肉体的な負担が重くなり、結果として業務への支障や離職、メンタルヘルス問題の悪化を引き起こしますので、企業としては注意が必要です。

 

1 条例の意義:従業員保護と企業の責務

まず、この条例の最大の意義は「従業員の保護」です。

これまで多くの現場では、顧客の要求が正当か不当かを明確に区別せず、従業員が耐え忍ぶことで場を収めるケースが少なくありませんでした。「顧客第一主義」の価値観が浸透していることも、問題の根深さにつながっています。しかし、この条例は「従業員も守られるべき存在である」という当たり前の価値観を明確に打ち出しています。

 

2 企業の責務

さらに、条例では企業側に対して以下のような義務が求められています:

①相談窓口の設置

被害を受けた従業員が相談しやすい窓口を整えること。

②内部対応マニュアルの整備

カスハラの定義や対応フローを明確にし、従業員が毅然とした対応を取れるよう教育すること。

③企業全体の意識改革

管理職や従業員教育を通じて、カスハラを許さない企業文化を浸透させること。

 

企業がこれらの対策を講じることによって、従業員の安心・安全を確保するだけでなく、企業自体が社会的信頼を高める効果も期待できます。

 

3 条例の実効性を高めることが今後の日本社会で求められています

条例の実効性を高めるためには、企業、行政、そして社会全体が連携することが不可欠です。

東京都が推進する条例は、あくまで「第一歩」に過ぎません。

具体的な事例の蓄積や、企業間での情報共有、弁護士や警察との連携強化が今後の課題となるでしょう。

例えば、悪質なカスハラに対しては法的措置を厭わない姿勢を示すことで、従業員を守ると同時に企業ブランドを守ることができます。また、行政が企業向けに対策ガイドラインや成功事例を提供することで、取り組みの実効性がさらに高まるでしょう。

東京都のカスタマーハラスメント防止条例は、従業員の権利を守り、企業と顧客の健全な関係を築くための重要な取り組みです。今後、企業や行政、そして社会全体が一体となってこの問題に取り組むことが求められています。

 

カスハラへの具体的な対応

2025-04-01

カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」といいます)問題は、今や社会問題の一つとなっており、その対応は企業にとって急務となっております。

2025年4月1日には、東京都のカスハラ防止条例が施行されますので、企業としてはカスハラ問題に迅速に対応することが求められており、具体的には。以下のポイントを押さえることが重要です。

 

1 カスハラの定義を企業として明確化する

カスタマーハラスメントの判断基準が曖昧だと、現場での対応が混乱しがちです。

そのため、企業はカスハラ対策の出発点として「正当なクレーム」と「不当な言動」の線引きを明確にする必要があります。

例えば、暴言や威圧的な態度、誹謗中傷などを具体的に示し、社内に周知することで従業員も安心して、かつ自信をもって対応できるようになります。

ここを不透明にしてしまうと、現場によっては問題を表面化させることを防ぐため、直接顧客に対応する従業員に全てを押し付けてしまうといった事態にもなりかねませんので注意が必要です。

 

2 相談窓口の設置と報告体制

従業員がカスハラ被害に遭った際、すぐに相談できる窓口がなければ問題が放置されてしまいますし、問題が顕在化することもありません。

企業は専用の相談窓口を設置し、報告から対応までのフローを整備することが求められます。さらに、現場の管理職にも「カスハラ事案への適切な初期対応」を教育することが重要です。

 

3 法的対応の準備

SNSやインターネットでの個人に対する誹謗中傷は、従業員の名誉や企業ブランドを大きく傷つけます。

万一このような被害が発生した場合には、弁護士等の専門家と連携し、発信者情報の開示請求や損害賠償請求を検討することが重要です。

また、悪質な脅迫行為があった場合は、警察への通報も視野に入れた対応が必要です。

 

4 顧客への啓発活動

企業は顧客にも「過剰な要求や暴言はハラスメント行為にあたる」という理解を促す活動を行うべきです。

ポスターや自社のウェブサイトで啓発するほか、サービスの場面でも「従業員を守る姿勢」を示すことで、カスハラの抑止につながります。

正当なクレームはきちんと受けてビジネスの改善につなげる必要がありますが、不当なクレームには毅然とした対応をする必要があります。

企業がカスハラ問題に真摯に向き合うことは、従業員の安心・安全を守るだけでなく、企業の信頼とブランド価値を守ることにもつながります。

カスハラへの対応について

2025-03-27

近年、企業や行政の間で「カスタマーハラスメント」、通称「カスハラ」が大きな問題となっています。

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先からの不当・過剰な要求や暴言、脅迫的言動のことを指し、働く従業員に対して精神的・肉体的負担を与える行為です。

東京都では、2025年4月1日からカスタマーハラスメント防止条例が施行され、その他の自治体でも同様の条例が制定される風潮となっております。

事業者にとって顧客は非常に重要な存在ではありますが、だからといってカスハラを放置することは事業にとって大きな悪影響となりますので、対策は急務といえます。

 

1 代表的なカスハラ

例えば、以下のような行為が代表的なカスハラとされます。

①長時間のクレーム対応や不当な罵声

②従業員の人格を否定する発言や誹謗中傷

③SNSやネット掲示板への事実無根の書き込み

④脅迫的言動や威圧的態度

このような行為が横行する背景には、「顧客は絶対である」という価値観が根強く残っている点がよく指摘されています。

しかしながら、企業に働く従業員にも当然ながら守られるべき権利があります。

過度な要求や罵声を受け続ければ、従業員のメンタルヘルスは悪化し、職場環境も不安定になり、事業に大きな悪影響を及ぼしかねません。

そもそも、顧客もどこかでは従業員となっていることも多いわけですので、このような行為は、顧客が自分自身の職場環境を悪化させているのと等しい行為とすら考えられます。

 

2 東京都の対応

東京都は、このようなカスハラに関する問題に対して積極的な姿勢を示し、企業に対してカスタマーハラスメント対策の強化を求める条例やガイドラインを策定しています。

例えば、以下の具体的な取り組みがあげられます。

①相談窓口の設置

被害を受けた従業員が迅速に相談できる体制づくり。

②社内マニュアルの整備

正当な苦情とカスハラを区別し、適切な対応フローを確立する。

③従業員教育・研修

毅然とした対応ができるよう、具体的なケーススタディを通じた教育。

このように、東京都の取り組みは、従業員を守りつつ、企業全体として適切な対応を促すものです。さらに、カスハラを社会的な問題として取り上げることで、「顧客と企業の健全な関係性の再構築」を目指しています。

今後、企業は東京都の条例に基づいて従業員を保護する体制を強化することが求められます。同時に、顧客側にも「過剰な要求はハラスメントになる」という意識を広げることが、非常に重要であり、カスハラを減らす第一歩と言えるでしょう。

ワシントン条約に違反してしまった場合

2025-03-22

近年、ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の重要性が高まる中、事業者が意図せずその規制に違反するケースが増えています。

違反が摘発された場合、事業者としては迅速かつ適切な対応を取ることが極めて重要です。本日は、弁護士の視点から取るべき具体的な対策をご説明します。

 

1 違反内容の確認

まず、摘発された違反行為の内容を正確に把握することが必要です。

どの貨物が規制対象であったか、輸出先の国との間で必要な手続き(許可証の取得など)が行われていなかった理由を明確にしましょう。

これには、輸出に関与した取引先や関係者全体からヒアリングをすることも含まれます。

 

2 直ちに行政機関に協力

違反が指摘された場合、担当する行政機関(たとえば税関や経産省等)の調査に全面的に協力することが重要です。

隠蔽や虚偽の報告は絶対に行ってはいけません。このような行為をしてしまうと、違反が悪質であると見なされ、ペナルティが重くなる可能性があります。事実を正直に開示し、必要に応じて担当弁護士を通じて正確な説明を行うことをお勧めします。

 

3 徹底した社内調査の実施

違反が発生した原因を究明するため、速やかに社内調査を行いましょう。

この際、輸出管理やコンプライアンス体制に不備がなかったか、CITESに関する知識や教育が十分だったかを確認します。このような調査は社内で行うこともありますが、外部の弁護士に依頼して調査することも十分考えられます。

また、調査結果を踏まえて再発防止策を策定します。

 

4 必要な手続の確認

CITES違反の多くは、許可の取得漏れや対象種の誤認が原因です。

取引している物品がCITESで規制される可能性がある場合、今後は必ず専門家や行政機関に確認し、必要な許可を取得してください。

 

5 再発防止策の徹底

違反後の対応として最も重要なのは、再発防止策を構築し、従業員全体に徹底することです。例えば、以下のような施策を導入することが考えられます:

①ワシントン条約に関する社員教育の実施

②規制対象貨物をチェックするためのシステム導入

③取引先との契約書にCITES遵守条項を追加すること

 

6 弁護士への相談

ワシントン条約違反は刑事責任や場合によっては民事責任を問われる可能性があるため、専門の弁護士に相談することが不可欠です。

不十分な知識で不適切な対応を行ってしまうと、傷口がどんどん大きくなり将来の事業にとって取り返しのつかない事態となる場合もあります。

 

7 意図しない違反をしてしまうことこそご注意ください

意図しない違反であっても、法的責任を免れることは難しい場合があります。

しかし、迅速な対応と誠意ある姿勢を示すことで、ペナルティを最小限に抑えられる可能性があります。

違反の発覚時には慌てず、まずは専門家に相談することをお勧めします。

法的対応や再発防止策についてお困りの場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。一緒に最善の解決策を見つけていきましょう。

ワシントン条約の概要と注意点

2025-03-17

絶滅のおそれのある動植物やその製品の取扱いについては「ワシントン条約(CITES)」を踏まえた規制が設けられております。

本日は、ワシントン条約の概要と注意点についてご説明いたします。

 

1 そもそもワシントン条約(CITES)とは?

ワシントン条約(正式名称:「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)は、絶滅の危機に瀕した動植物およびその製品の国際取引を規制する国際条約です。

1973年に採択され、日本も1980年に加盟しています。

象牙、サイの角、ウミガメの甲羅、特定の希少な木材や植物、さらにはそれらを使用した製品(バッグ、家具など)が対象となります。

 

2 ワシントン条約における規制区分

ワシントン条約では、規制対象を3つの附属書(カテゴリー)に分類しています。

①附属書Ⅰ

絶滅の恐れが最も高い種。商業目的の輸出入は禁止されていますが、例外的に学術研究や保護目的の場合に限り許可されます。
例:アジアゾウ、オオサンショウウオ、アマゾンオウム

②附属書Ⅱ

絶滅のおそれはないものの、国際取引による影響が懸念される種。輸出入には許可が必要です。

例:マホガニー材、ナマコ、シャチ

③附属書Ⅲ

特定の国が保護を強化するために、国際的な協力を求めた種。輸出国政府の許可が必要です。
例:ある国が独自に保護対象とした植物や動物

 

3 ワシントン条約を踏まえた輸出時の注意点

貨物を輸出する際、次の点に注意しなければなりません。

①貨物が規制対象かどうかを確認する

貨物にワシントン条約の対象種や製品が含まれていないか確認しましょう。

対象かどうかは、環境省や税関が公開しているリストで確認できます。

ここでは、製品の一部に規制対象が使用されている場合も対象となりますので注意が必要です。
例えば、ワニ革を使ったバッグ、象牙の装飾品、希少木材を使用した家具などには注意が必要です。

②輸出許可の取得

規制対象の場合、輸出には事前の許可が必要です。

 

4 罰則について

違反した場合、取扱者には重い罰則が科されます。

例えば、無許可輸出については、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金等

 

5 よくある輸出時の落とし穴

知らずに対象となる原材料や部品が使用されている製品を輸出し、税関で没収される事例が増えています。

例えば、楽器に使われた希少木材や貝殻装飾品等

 

6 適切な輸出管理のために社内体制を強化しましょう

①社内の確認体制を強化する

ワシントン条約対象の製品・原材料リストを常に更新し、輸出前に複数名で確認する。

②専門機関や弁護士に相談する

対象品かどうか不明な場合や、許可証取得に不安がある場合は、専門家に相談することが重要です。

③通関業者との連携

税関申告時に通関業者と緊密に連携することも重要です。正確な情報のやり取りがここではポイントとなります。

 

7 ワシントン条約に関して不安な場合は弁護士にご相談を

ワシントン条約に基づく輸出規制は、絶滅危惧種や希少な動植物を保護するために非常に重要な制度です。

対象製品の輸出は事前の許可の取得が必須であり、違反した場合には重い罰則が科せられます。

事業者は輸出前の確認を徹底し、適正な手続きを行うことが必要ですが、なかなか上手く調整できない場合も多いと思います。

不安や疑問があれば、ワシントン条約に精通した弁護士等に相談し、法令違反のリスクを回避しましょう。

ロマンス詐欺の二次被害

2025-03-12

前回の記事では、ロマンス詐欺に遭い送金してしまった場合の対処法についてご説明しました。しかし、ここで注意しなければならないのがいわゆる「二次被害」です。

一度送金してしまうと、詐欺師はさらに金銭を騙し取るため、新たな口実をつけて繰り返し送金を要求してきます。

本日は、その「二次被害」の手口と対策についてご説明します。

 

1 二次被害の典型的な手口

ロマンス詐欺における二次被害とは、最初の送金後に別の理由で追加の金銭を要求されることを指します。詐欺師は、被害者に「あと少しで問題が解決する」と思わせ、さらに送金させるために巧妙なシナリオを用意します。

以下は代表的な例です。

①税関手続きの追加費用

「最初に送った手数料で解決するはずだったが、追加の書類や手続き費用が発生した」と言い、さらなる金銭を要求します。

②罰金やペナルティ

「荷物の中に高額な現金や貴重品が入っていたため、税関が罰金を課した」などと理由をつけて、金銭の支払いを迫ります。

③返金手続きを装った要求

「送金してくれたお金を返すために手続きが必要だ」、「返金のための保証金を先に支払ってほしい」といった言い方で、さらに送金を促します。

④トラブルの発生を装う

「送金した荷物が盗まれた」、「私が逮捕されそうだから助けてほしい」などと、緊急事態を装って被害者の焦りを誘います。

⑤弁護士や第三者を装った要求

詐欺師は別人を装い、「弁護士」や「税関職員」として登場し、「手続きを進めるには費用が必要だ」と言って信憑性を高めます。

 

2 二次被害を防ぐためにすべきこと

①「追加の送金」は絶対に応じない

どんな理由があっても、詐欺師の言葉を信じてはいけません。

「今度こそ解決する」「最後の支払いだ」という言葉には要注意です。

②一度送金した後は冷静に相談する

二次被害を防ぐためには、早い段階で専門家や警察、弁護士に相談することが大切です。一人で判断せず、第三者の冷静な意見を聞きましょう。

③新たな連絡には応じない

詐欺師は電話、メール、SNSなどで何度も連絡してきます。心を揺さぶられる前に、連絡手段をブロックし、関わりを断つことが重要です。

④被害の証拠を保管する

やり取りしたメール、送金履歴、SNSのメッセージなどは証拠として保管し、警察や弁護士に提出できるよう準備しておきましょう。

 

3 少しでも疑念があれば送金は控えてください

ロマンス詐欺の二次被害は、最初の送金後に詐欺師が被害者の心理につけ込み、何度も追加の送金を要求する極めて悪質な手口です。「今度こそ大丈夫」と思わせる巧妙な言葉に惑わされず、少しでも不審に感じたらすぐに関係を断ち、専門機関に相談することが重要です。

 

ロマンス詐欺の被害で送金してしまった場合

2025-03-07

前回の記事では「ロマンス詐欺」の代表的な手口である税関を騙る詐欺についてご紹介いたしました。
しかしながら、実際に送金してしまい、「どうすればいいかわからない」と悩まれている方も相当程度いらっしゃるのが現状です。
実際問題として一度送金してしまうと取り返すことは至難の業ですが、送金してしまった後の具体的な対応方法についてご説明いたします。

 

1 すぐに警察へ相談する

まず大前提として、詐欺被害に遭ったと気づいたら、速やかに最寄りの警察署へ相談してください。

①被害届の提出

被害の内容や経緯を詳しく伝え、被害届を提出します。
警察は事件として捜査を開始することがあり、詐欺グループの一端が明らかになることもあります。

②振り込め詐欺救済法の適用

特定の口座に送金した場合、「振り込め詐欺救済法」という法律の対象になることがあります。この制度は、詐欺グループが使用した口座の凍結後、被害者に返金する可能性を残すものです。警察が認定すれば、口座内の残額から被害額の一部が返金されることもあります。

 

2 銀行へ連絡し口座の停止を依頼する

送金先が国内の銀行口座であれば、できるだけ早く銀行に連絡を入れ、口座の停止措置や被害回復手続きを依頼しましょう。

ただし、送金後時間が経過していると、詐欺師がすでに引き出している可能性が高いため、一刻も早い対応が重要です。

 

3 海外送金の場合:送金業者等への連絡

もし国際送金をしてしまった場合は、送金先の情報とともに送金業者等へ至急連絡を入れましょう。

 

4 消費生活センターや専門機関への相談

詐欺の被害に遭われた方は、精神的にも大きなショックを受けている場合が多いです。

一人で抱え込まず、消費生活センターや法テラス、弁護士などの専門機関に相談してください。

なお、非常に残念なことではありますが、昨今、送金したお金を取り戻すことが非常に困難であるにもかかわらず、あたかもある程度のお金を取り戻すことができるかのように誤解させて着手金を得ようとする弁護士が存在しますので、弁護士にご相談いただく場合には、必ず複数の弁護士にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

5 冷静な行動を心がけましょう

ロマンス詐欺で送金してしまったとしても、迅速かつ適切な対応によって被害を抑えたり、回復の可能性を残すことができます。

具体的には、警察への通報、銀行への連絡、専門家への相談を通じて、冷静に行動することが大切です。

詐欺被害に遭ったことで自責の念を感じる方も多いですが、詐欺師が悪いのは明白です。一人で悩まず、まずは信頼できる専門家へご相談ください。

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