税関交渉のよくあるトラブルと対処方法

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Q1 税関から、輸入事後調査を実施するとの通知が会社に突然届きました。事後調査が何のことかよくわからなかったので、通知が届いた時には、税関の人に自由に調査をしてもらえばよいものと思っておりました。しかし、調査日が近づくにつれて心配になってきたため、これまでの輸入通関資料を確認したところ、会社に資料はほとんど整理・保管されておらず、また、どうも輸入・通関上の問題となりそうな部分があるようです。会社としては問題の整理等が追い付いていない状況なのですが、どうすればいいでしょうか。

A1 輸入事後調査を適切に対処するためには、次の4段階のステップを心掛ける必要があります。

  1. 常日頃から輸入・通関関係法令に則り適切な申告、書類保存を心掛ける。
  2. 輸入事後調査実施の通知が届いてから調査日までで、会社の状況、必要資料を可能な限り整理するよう心掛ける。
  3. 輸入調査日に、恙なく対応できるよう心掛ける。
  4. 調査後は、調査時の発覚した問題点などを踏まえて、輸入・通関関係法令に則るようにビジネスを修正し、次回の調査に備える(①に戻る)。

Q1の企業は、①をせずに、②の途中(③の直前)まできてしまった状況ですので、事後調査の対応という観点からは、非常に危険な状況にあるといわざるを得ません。③の段階でご相談いただく場合には、税関から指摘される可能性がある問題点を速やかに整理する必要があります。いったん調査が開始されれば、落ち着いて問題点を整理する時間はありませんので、可能な限り早期にご相談いただくことをお勧めしております。

 

Q2 貨物を輸入しようとしたところ、通関業者から連絡があり、知的財産侵害物品の可能性があるとして、貨物が通関で止められているようです。予定日に輸入ができなくなる見込みと伝えられましたが、国内取引先への納期があるので、早急に輸入したいというのが実情です。どうすればいいでしょうか。

A2 Q2のようなご相談をいただくことはよくありますが、多くの方は、通関業者や税関から話を聞こうとしても、輸入・通関の関係法令等を指摘されるのみであり、どのようにすればよいか全くわからない、とお困りの状態で当事務所までご相談をいただきます。

このような場合の対応の出発点は、貨物の問題点についての理解を通関業者や税関との間で共有化することです。仮に輸入許可が認められる可能性がない場合には、速やかに代替策を考える必要があります。何が問題となっており、法令に照らせばどのように考えることができ、今後どのような見通しがたつのか、といったことを整理して検討する必要があります。

貨物が輸入できるかどうかはビジネスの根幹に関わる重要な問題ですので、専門家にご相談いただき適切にご対応いただくことをお勧めいたします。

 

Q3 税関から輸入不許可を出されたのですが、当社としては輸入禁制品には該当せず輸入できるものと考えております。どのような対応が考えられるでしょうか。

A3 行政不服審査法の改正により、平成28年4月から税関に対する不服申立手続が変更になりました。新しい不服申立手続は、平成28年4月1日以後に行われた処分に対する不服申立から適用され、平成28年3月31日までに行われた処分に対する不服申立てについては、改正前の不服申立手続が適用されます。平成28年4月1日以降に行われた処分について相談をお受けする機会が多いので、以下では、平成28年4月1日以降に行われた処分を前提にご説明します。

  1. 関税法その他の関税に関する法律の規定による税関長の処分について不服がある場合、これらの処分を行った税関長に対して不服を申し立てることができます。これを「再調査の請求」といいます。
    再調査の請求は、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に再調査の請求書を提出することにより行う必要があります。再調査の請求書の提出を受けた税関長は、その処分が正しかったかどうかを調査し、その結果を決定書の謄本として申立人に通知します。
  2. 関税法その他の関税に関する法律の規定による税関長の処分について不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内に財務大臣に対して不服を申し立てることもできます。
  3. 再調査の請求(上記①をご参照ください。)についての決定があった場合において、当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、当該再調査の請求の申立人は、決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1か月以内に財務大臣に対して不服を申し立てることができます。このことを「審査請求」といいます。
    審査請求は、審査請求書を提出することにより行います。財務大臣は、審査請求書の提出を受けたときは、その処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を裁決書謄本で請求人に通知します。
  4. 一連の不服申立てにおける財務大臣の判断に依然として不服がある場合には、裁判所に訴えを提起することができます。この訴えの期限は、原則として裁決書謄本の送達を受けた日から起算して6か月以内です。
    なお、関税の確定若しくは徴収に関する処分又は滞納処分の場合等一定の場合には、原則として、審査請求の裁決が行われた後でなければ、裁判所に訴えを提起することはできません。

 

Q4 事前教示制度を利用して税番を確認したところ、予想していない税番となってしまいました。当初の事前教示の際に、きちんと資料を揃えて説明をしなかったためにこのような結果となってしまったものと反省しております。再審査を求めようと考えていますが、サポートをお願いすることはできますか。

A4 もちろんお受けしております。貴社のビジネス、輸入する商品の特性を詳細にヒアリングし、意見書などを作成することや、税関に面談を要望し、面談で同席すること等も可能です。

また、ご相談いただくだけで、法的観点からのアドバイスを差し上げるだけという形も可能です。ご要望に応じて、様々なサポート方法が考えられますので、お気軽にご相談ください。

 

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