こんな時は弁護士に~税関長の処分に対する再調査請求・審査請求~

行政不服審査法の改正により、平成28年4月から税関に対する不服申立手続が変更になりました。新しい不服申立手続は、平成28年4月1日以後に行われた処分に対する不服申立てから適用され、平成28年3月31日までに行われた処分に対する不服申立てには、行政不服審査法改正前の不服申立手続が適用されます。

 

1.不服申立てができる税関長の処分の代表例

不服申立ての対象となる代表的な税関長の処分は以下のとおりです。

  1. 税関長が税関の名においてする処分
  2. 収容及び留置
  3. 関税法(犯罪貨物等を没収しない場合において関税を徴収する場合、及び留置物件又は差押物件についての関税を徴収する場合)の規定により徴収する関税の賦課若しくは徴収又は延滞処分
  4. 輸出してはならない貨物及び輸入してはならない貨物の規定による児童ポルノ・公安又は風俗を害すべき書籍等に該当する旨の通知

※なお、税関長の処分に関しては、以下の点に注意する必要があります。

  1. 行政不服審査法の規定により、関税法(犯則事件の調査及び処分)の規定に係る処分は含まれず、不服申立てをすることができません。
  2. 税関職員の処分は、税関職員の属する税関の税関長による処分とみなされます。

 

2.平成28年4月1日以後に行われた処分についての不服申立手続

(1)再調査の請求

関税法その他の関税に関する法律の規定による税関長の処分について不服がある場合は、これらの処分を行った税関長に対して不服申立てをすることができます。これを再調査の請求といいます。

再調査の請求は、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に再調査の請求書を提出することによって行う必要があります。そして、再調査の請求書の提出を受けた税関長は、調査結果を決定書謄本で申立人に通知します。

税関長は、再調査の請求が期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には却下の決定をし、再調査の請求に理由がない場合には棄却の決定をし、再調査の請求について理由がある場合には容認の決定をすることになります。なお、税関長は申立人の不利益となるように処分を変更することはできません。

 

(2)審査請求

審査請求ができる場合は、以下のとおりです。

  1. 関税法その他の関税に関する法律の規定による税関長の処分について不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内に財務大臣に対して不服を申立てることができます。
  2. 再調査の請求についての決定があった場合において、当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、当該再調査の請求をした者は、決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1か月以内に財務大臣に対して不服を申立てることができます。

審査請求は、審査請求書を提出することにより行います。財務大臣は、審査請求書の提出を受けたときは、その処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を裁決書謄本で申立人に通知します。

 

(3)裁判所への訴えの提起

申立人は、財務大臣の判断に不服がある場合には、裁判所に訴えを提起することができます。この訴えの期限は、原則として裁決書謄本の送達を受けた日から起算して6か月以内です。

なお、関税の確定若しくは徴収に関する処分又は滞納処分の場合と、いわゆるわいせつ物品及び児童ポルノに該当する旨の通知の場合には、原則として、審査請求の裁決が行われた後でなければ、裁判所に訴えを提起することはできません。

 

3.平成28年3月31日までに行われた処分についての不服申立手続

上記2.と類似している部分も多いですが、法制度としては異なる制度設計となっておりますので、注意する必要があります。

 

(1)異議申立て

関税法その他の関税に関する法律の規定による税関長の処分について不服があるときは、これらの処分を行った税関長に対して不服を申立てることができます。異議申立ては、処分の通知を受けた日の翌日から2か月以内に異議申立書を提出することによって行う必要があります。

異議申立書を受理した税関長は、調査結果を決定書謄本で申立人に通知します。

 

(2)審査請求

異議申立てに対する税関長の判断に不服がある場合には、財務大臣に不服を申立てることができます。これが審査請求ですが、審査請求は、決定書謄本の送達を受けた日の翌日から1か月以内に審査請求書を提出することによって行う必要があります。

財務大臣は、調査結果を裁決書謄本で請求者に通知します。

 

(3)裁判所への訴えの提起

財務大臣の判断になお不服がある場合には、裁判所に訴えを提起することができます。この訴えの期限は、原則として裁決書謄本の送達を受けた日から起算して6か月以内です。

なお、関税の確定若しくは徴収に関する処分又は滞納処分の場合と、いわゆるわいせつ物品及び児童ポルノに該当する旨の通知の場合には、原則として、審査請求の裁決が行われた後でなければ、裁判所に訴えを提起することはできません。

当事務所は代表弁護士が通関士の資格を有しており、通関・貿易に関する知識・経験に強みをもっており、税関長の処分に対する不服申立てに関して幅広くサポートをご提供することが可能です。税関や税関長の処分に不服がある場合には、まずは当事務所までお気軽にご相談ください。

 

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