輸入のよくあるトラブルと対処方法

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Q1 税関から、突然輸入事後調査を実施するとの通知が会社に届きました。これまで輸入でトラブルが発生したことはなく、思い当たるところもないのですが、輸入事後調査とは、どういう場合に行われるものなのでしょうか。また、どのように対応すればいいのでしょうか。

A1 税関の事後調査とは、輸出入通関後に税関職員が輸出者または輸入者の事業所等を訪問して、税関に申告された内容を保管されている帳簿や書類等により確認を行う制度のことです。事後調査には輸出に関するものと輸入に関するものがありますが、以下では輸入の場合に焦点を当ててご説明します。

輸入事後調査の場合、通常、事後調査日から遡って5年間が調査対象となりますので、調査対応の出発点としては、通関関係書類(契約書、インボイス、パッキングリスト、運賃明細書、保険料明細書)等、税関から指示された資料をそろえる必要があります。

基本的な調査の流れとしては、通関関係資料をベースに、税関が調査を進め、その中で税関から様々な質問がありますので、応答する必要があります。

一見単純な流れではありますが、税関とのやりとりでは、輸入・通関関係の専門的な知識が前提となり、専門的な用語、論点に関する質問が税関からは多数行われることを念頭に置く必要があります。そのため、輸入をビジネスとして行っているものの、輸入・通関関係の知識に自信がない場合には、専門家にご依頼いただくこともご検討いただくことを強くお勧めいたします。

 

Q2 貨物を輸入しようとしたところ、通関業者から連絡があり、「今通関で貨物が止められており、予定日よりも輸入が遅くなる」、との連絡がきました。国内取引先への納期があるので、早急に輸入したいのですが、どうすればいいでしょうか。

A2 まずは、どのような理由で通関手続きが止まっているかを税関に確認することが必要です。通関手続きが止まっている代表的な可能性は以下のようなものです。

  1. 税関は輸入検査を行うことができますので(関税法基本通達67-3-10)、見本確認、一部指定検査、全部検査等が行われている可能性はあります。
  2. 知的財産侵害物品に該当するとの疑いをかけられている可能性があります。
  3. 申告したものと貨物の数量や品質が異なる可能性があります。
  4. 輸入の際に何らかの制限があるもの(輸入禁制品や他の行政庁の許認可等の添付が必要とされているもの)

税関への確認の際には、輸入通関関連の専門用語や法令をベースとしたやり取りを行う必要が生じる場合も多いかと思います。早期の輸入を実現するには、税関とのやり取りをスムーズに行う必要があります。当事務所では、ご依頼者様の代理人として税関とやり取りするサポートもご提供しておりますので、まずはご相談いただくこともご検討ください。

 

Q3 貨物を輸入しようとしたところ、通関業者から貨物の金額や品番について問い合わせがありました。よくわからなかったので、適当に答えましたが、何か問題でしょうか。

A3 輸入申告は正確に行う必要がありますので、適当に答えることには非常に高いリスクがあります。特に、適当に答える結果、納税すべき関税等の税額が低くなってしまった場合には、以下のような加算税が課される可能性がある他、刑事罰を科される可能性もありますので、十分ご注意ください。もし、過去にそのような適当な回答の経験がある場合には、今後の対応について、一度専門家を交えてご検討いただくことをお勧めします。

 

【加算税の概要】

①過少申告加算税

納税申告があった後、税関の調査により、納税申告が適正でないとして修正申告又は更正が行われた場合は、原則として、当該修正申告等により増加した税額の10%に相当する金額の過少申告加算税が課されます。

なお、過少申告であったことが正当な理由によるものであると認められる部分がある場合には、この部分に対して過少申告加算税は課されません。

 

②無申告加算税

納税申告が必要とされる輸入貨物について、当該申告が行われずに輸入された貨物で、期限後特例申告書を提出した場合、税関長の決定があった場合、又は当該決定後に修正申告又は更正があった場合には、当該決定等により納付すべき税額の15%に相当する金額の無申告加算税が課されます。

 

③重加算税

過少申告加算税が課される場合で、輸入者が課税価格等の基礎となる事実について隠蔽又は仮装行為を行い、それに基づいて申告をしていたときは、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額の35%に相当する金額の重加算税が課されます。

また、無申告加算税が課される場合で、輸入者が隠蔽又は仮装行為を行って申告をしていなかったときは、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額の40%に相当する金額の重加算税が課されます。

 

Q4 輸入しようとする貨物の品番が知りたいのですが、何かよい方法はありませんか。

A4 通関業者に確認する他、税関に確認する方法もあります。また、税関に確認する方法としては、事前教示制度を利用することも考えられます。これらのサポートも当事務所では行っておりますので、ご遠慮なくお問合せください。

 

Q5 家族が海外旅行から帰国する際に、金を無申告で輸入しようとしたとして、税関に別室に連れていかれ事情聴取を受けたそうです。数時間の取り調べの後、解放され、改めて連絡すると言われたそうですが、今後どのようになるか不安です。逮捕等の可能性はあるのでしょうか。

A5 今後が全く見えない状況で、さぞご不安かと思います。

今後の流れとしては、このまま何の連絡もなく終わるという可能性は低く、通告処分として罰金に相当する額を納付する必要が生じる場合や、刑事事件になる可能性もあります。刑事事件となった場合は、懲役刑や罰金刑の可能性があります。

金だけではなく、最近、税関は無申告での持ち込みを特に厳しく取り締まっております。事案によって、今後の見込み、対応は大きく異なりますので、まずはご相談ください。

 

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