Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category

他所蔵置について

2021-06-29

外国貨物は、難破貨物、他所蔵置貨物、特定郵便物、特例輸出貨物等を除き、原則として保税地域に置く必要があります(関税法30条1項)。
もっとも、一定の条件の下で、外国貨物を保税地域以外の場所で保管することも可能であり、このことを他所蔵置といいます。外国貨物を保税地域に保管できない場合には非常に便利な制度といえます。

外国貨物の保管に関しては、基本的に業者に依頼しているため、保税地域に保管されているか、それともそのほかの場所に保管されているか全く知らないという方も多いものと思われます。
もっとも、通関業者や税関とのやり取りをスムーズに行うという観点からは、保税地域以外の場所で外国貨物を保管できるケースについてもご認識いただいた方がよいと思われます。

そこで、以下では、他所蔵置の概要をご紹介いたしますのでご参照いただけますと幸いです。

 

1 他所蔵置の概要について

他所蔵置ができる場合としては、外国貨物の特殊性により、保税地域に置くことが困難又は著しく不適当であると税関長が認めた上で、(i)期間及び(ii)場所を指定して許可したものについては、例外的に他所蔵置を行うことが可能であると認められております(関税法30条1項2号)。

具体的には、
①巨大な重量物であって、保税地域にこれを置く設備がない場合
②大量の貨物であって、保税地域に置くことができない場合
③貴重品、危険物、生鮮食料品であって、蔵置保管に特殊な施設を要するもの
④その他貨物の性格、保税地域の設置状況等をから「、税関長が保税地域以外の場所に置くことが誠にやむを得ないと認められたもの

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

船用品の積込みについて

2021-06-27

本邦と外国との間を往来する船舶又は航空機に船用品として外国貨物又は内国貨物を積み込む場合は、税関長に申告し、その承認を受けることが必要です(関税法23条)。
輸出入をビジネスとして行っている方にとってもあまり馴染みのない内容である者と思われますが、実際の貨物の運搬に関しては重要な意義がありますので、本日は、船用品の積込み関する手続の概要をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 外国貨物である船用品の積込み

上記のとおり、外国から本邦に到着した外国貨物である船用品は、税関長に申告し、その承認を受けて、保税地域から本邦と外国との間を往来する船舶に積み込む場合に限り、外国貨物のまま積み込むことができます。
この場合において、税関長は、当該船用品が取締り上支障がないものである場合は、1年以内で税関長が指定する期間(最長6月)以内に積み込まれる船用品の積込について特定の複数の外交船舶に対し、複数の開港において包括的に承認することができます(関税法23条1項、関税法施行令21条の3第3項、関税法基本通達23-1-2)。

 

2 内国貨物である船用品の積込み

内国貨物を船用品として、本邦と外国との間を往来する船舶に積み込もうとする者は、あらかじめ税関長に申告し、その承認を受けなければなりません(関税法23条2項本文)。
もっとも、同条項但書において、遭難その他やむを得ない事故により不開港に入港し、その船用品又は機用品を積み込むことについて緊急な必要がある場合において、税関職員がいないときは、警察官にあらかじめその旨を届け出なければならないと規定されている点には注意が必要です。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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輸入貨物の積卸しについて

2021-06-24

本日は、輸入取引により日本に貨物を持ち込んだ場合の貨物の積卸しについて、ご説明いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

開港に入港した外国貿易船に貨物の積卸しをする場合には、税関に対して次のような手続をとる必要があります。

 

1 貨物の積卸し

外国貿易船に対する貨物の積卸しは、税関に対して積荷に関する事項について報告がない場合にはしてはなりません(関税法16条1項、3項)。
ただし、旅客及び乗組員の携帯品、郵便物及び船用品については、その性質上迅速な処理を要するとともに、一般の貨物とは同様に取り扱うことが不適当であるので、上記の報告前であっても、その積卸ができます(関税法16条1項ただし書き)。

 

2 開庁時間外における貨物の積卸しの届出

税関官署の開庁時間以外の時間において、外国貿易船等に外国貨物を積卸し等するときは、あらかじめその旨を税関長に届け出なければなりません(関税法19条)。

 

3 外国貨物の仮陸揚げの届出

外国貨物を船積み、荷繰り等やむを得ない事由によって、本来目的とした陸揚地以外の場所に仮陸揚げする場合には、船長は、あらかじめ税関に届け出なければなりません(関税法21条)。
なお、仮陸揚げした貨物は外国貨物であるが、船積み、荷繰り等の都合絵一時陸揚されたものであるので、その貨物が外国に向けて送り出されることがあるとしても、外国為替及び外交貿易法48条1項の規定による許可を受けなければならないものを除き、関税法では輸出又は積戻しとしては取扱わないこととされております(関税法2条1項2号、21条、75条)。

 

4 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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外国貿易船の出向前報告について

2021-06-22

本日は、外国貿易船の出向前報告について、ご紹介いたします。
輸出入をビジネスとして行っている方にとってもあまり馴染みのない内容である者と思われますが、実際の貨物の運搬に関しては重要な意義がありますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 出向前報告制度

外国貿易船が海上コンテナー貨物の船積港を出港する前に、電子情報処理組織(NACCS)により、当該外国貿易船が入港しようとする開港の所在地を所轄する税関に報告しなければなりません(関税法15条7項、8項、関税法施行令12条9項)。

 

2 報告義務者(関税法15条7項、8項、関税法施行令12条9項)

報告義務者は、次の①、②に該当する者です。
①外国貿易船の運航者等、②積荷の荷送人

 

3 報告期限(関税法施行令12条7項)

原則として、外国貿易船が積荷の船積港を出港する24時間前までに報告する義務があります。

 

4 主な報告事項(関税法施行令12条8項、10項)

主な報告事項は、以下の①から③に該当する事項です。
①外国貿易船の名称及び国籍
②積荷の仕出地及び仕向地、荷送人及び荷受人の住所、氏名
③積荷の記号、番号、品名及び数量、船荷証券又は複合運送証券の番号

 

5 報告を怠った場合

報告を怠った場合には、刑事罰に処せられる可能性もありますので、十分ご注意ください。
①積荷の船卸しが認められない。船卸をするためには、改めて積荷に関する報告をし税関長の許可を受けなければならない(関税法16条3項)。
②1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります(関税法114条の2項1号)。

 

6 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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外国貿易船の入港手続について

2021-06-20

本日は、外国貿易船の入港手続の概要についてご紹介いたします。
貨物の輸入者にとっては、輸入通関手続の前の段階の話にはなりますが、手続の概要についてはある程度認識していた方が輸入者として望ましいですので、以下ご説明いたします。

外国貿易船が開港へ入港する場合に葉、船長は税関に対して入港手続きを行う必要があります(関税法15条)。
税関では、船長に対して入港手続きを履行する義務を課すことによって、税関がこれらの船舶の入港の事実を確認し、また、積荷、旅客及び乗組員に関する事項の報告義務を課することによって、その船舶又は航空機の積載貨物、船用品等の状況を知り、これに基づいて具体的な取り締まりの方法を講ずることとしております。

 

1 事前報告について

開港に入港しようとする外国貿易船の船長は、あらかじめNACCSにより、当該外国貿易船の積荷、旅客及び乗組員に関する事項をその入港しようとする開港の所在地を所轄する税関に報告しなければなりません(関税法15条1項、2項、14項)。

 

2 積荷に関する事項(関税法施行令12条3項1号)

船舶の名称及び国籍、詰んでいる貨物の仕出地、仕向地、記号、番号、品名、数量、荷送り人、荷受人及び船荷証券又は複合運送証券の番号、当該貨物が詰められているコンテナーの番号、当該貨物の船積港を出港した日時

 

3 積荷に関する事項の報告の求め(関税法15条の2)

税関長は、事前報告があった場合において、関税法の実施を確保するためその内容を明確にする必要があると認めるときは、その入稿前に、当該積荷の荷受人その他所定の者に対し、報告を求めることができます。

 

4 入港後の手続(関税法15条3項、4項、6項)

外国貿易船が開港に入港したときは、船長は、入港の時から24時間以内に所定の事項を記載した入港届、船用品目録を税関に提出するとともに、船舶国籍証書又はこれに代わる書類を税関職員に提示しなければなりません。

 

5 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

災害などによる期限の延長について

2021-06-18

関税法又は関税定率法その他関税に関する法律に基づく申告、請求、納付等の期限についてですが、東日本大震災のような大規模な災害(特定災害)が発生した場合には、その規定された期限までに申告、請求、納付等を行うことができなくなることがあるので、特別に期限の延長が認められることとされております(関税法2条の3)。

以下、概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 特定災害による被災者等に対する期限の延長(関税法2条の3第1項、関税法施行令1条の4)

震災、風水害、火災、雪害、落雷、噴火、その他の自然現象の異変による災害及び火薬類の爆発その他の人為による異常な災害であって財務大臣が指定した特定災害があった場合において、特定災害によって相当な災害を受けた地域として財務大臣が指定した地域に当該災害が発生した時に住所又は居所を有していた被災者が、特定災害が発生した日から財務大臣が指定する日までの間に到来する関税法又は関税定率法その他関税に関する法律に基づいて行わなければならない申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収の期限については、財務大臣が指定する日の翌日まで延長されます。

 

特定災害により、期限が延長された者がその申請等をする場合には、延長された期限に該当する旨を記載した書面に、当該特定災害が発生した時に指定地域に住所又は居所を有しており、かつ、その被災者であることを証明する書類を添付して、税関長に提出します(関税法2条の3第2項、関税法施行令1条の5)。

 

2 特定災害被災者に対する期限の2月以内の再延長について(関税法2条の3第3項)

税関長は、上記1によって延長された期限について、その指定した特定災害地に起因するやむを得ない理由により、その延長された期限・指定日までに申請等をすることができないと認めるものがあるときは、その理由のやんだ日から2月以内に限り、その者に係る当該延長された期限を再び延長することができます。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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輸入とみなさない外国貨物の使用・消費について

2021-06-16

先日のコラムにおいてみなし輸入に関してご紹介いたしました。
そこでは、外国貨物が輸入される前に本邦において使用され、又は消費される場合には、その使用し、又は消費する者がその使用又は消費の時に当該外国貨物を輸入するものとみなさる(関税法2条3項)、とご紹介したものと思います。

しかしながら、このような外国貨物の使用又は消費について、輸入とみなさない場合がありますので、注意が必要です。
本日は、どのような場合に輸入とみなさないのかをご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 輸入とみなさない外国貨物の使用・消費について

外国貨物の輸入前における本邦での使用又は消費を全て輸入とみなすことは適当ではないので、以下の場合には、輸入とみなされておりません(関税法2条3項かっこ書き、関税法施行令1条の2)。

①保税地域において関税法により認められたところに従って外国貨物が使用され、又は消費(指定保税地域、保税蔵置場における見本の展示、簡単な加工等、保税工場における保税作業保税展示場における展示、使用等)される場合

②本邦と外国との間を往来する船舶や航空機に積まれている外国貨物である船用品や機用品をそれらの船舶や航空機においてその本来の用途に従って使用し、又は消費する場合

③旅客や乗組員がその携帯品である外国貨物をその個人的な用途に供するため使用し、又は消費する場合

④税関職員その他の公務員がその権限に基づいて収去した外国貨物である見本等をその権限に基づいて使用し、又は消費する場合

このように、一定の場合には、外国貨物の使用・消費を輸入とはみなさない点には注意が必要です。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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みなし輸入について

2021-06-14

貨物を輸入する場合には、適切に輸入申告を行い輸入許可を受ける必要があります。
しかしながら、一定の場合には、貨物が輸入されたものとみなすという対応が取られる場合があることをご存知でしょうか。
本日はこのような、みなし輸入について、ご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 みなし輸入について

保税展示場又は総合保税地域に入れられた外国貨物が保税展示場等内で販売された場合には、その販売が輸入とみなされます(関税法62条の4第2項、第62条の15)。

また、外国貨物が輸入される前に本邦において使用され、又は消費される場合には、その使用し、又は消費する者がその使用又は消費の時に当該外国貨物を輸入する物とみなされます(関税法2条3項)。
これは、関税法2条1項1号に掲げる輸入の定義においては、「輸入とは、外国貨物を本邦に(保税地域を経由する者については、保税地域を経由して本邦に)引き取ることをいう。」と規定しているため、貨物を保税地域内又は保税地域以外の場所で使用し、又は消費することを輸入とすることはできないので、これを特に輸入とみなすこととしたものです。

貨物の使用、消費の例としては、所定の輸入手続きをする前に、外国貨物である自動車を乗り回すことや、酒類を飲用すること等があります。
また、保税地域に蔵置されている外国貨物の一部を、その所有者が分析のための見本として当該保税地域内で消費する行為や保税展示場内において観覧者が外国貨物である食品を試食する行為も、使用、消費に該当するものと考えられております。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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内国貨物の意義

2021-06-12

輸出入をビジネスとして行っている場合には、税関や通関業者との間のやり取りをする機会も相当程度あるものと思われます。
このやり取りの中では、輸出入、通関に関する専門的な用語が利用される場合がありますが、税関や通関業者の言っている専門用語がよくわからなかったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

輸出入、通関に関す専門的な用語のうち、基本的なものだけでも正確に理解しておくと、税関や通関業者とのやり取りがスムーズに進む可能性があります。
そこで、本日は、関税法2条に定義されている基本的な用語である「内国貨物」の意義をご紹介いたします。
これは、輸入、輸出の通関手続きを利用する際の前提知識であり、税関や通関業者との間のやり取りの中でよく使用される表現となりますので、是非ご理解いただけますと幸いです。

 

1 内国貨物の意義

内国貨物とは、日本にある貨物で外国貨物でないもの及び日本の船舶により公海で採捕された水産物をいいます(関税法2条1項4号)。
輸入の許可前引取りの承認を受けた貨物はその引取りの承認をもって実質的に輸入が行われ自由流通の状態に置かれることになるので、内国貨物とみなすものとされています(関税法73条3項)。

以下の貨物は、輸入の許可を受けたものではありませんが、所定の手続を経て適法に国内に引き取られたものであり、関税法の規制の対象とする必要がありませんので、輸入を許可された貨物とみなすこととされています(関税法74条、関税法施行令64条の2)。

①日本郵便株式会社から名宛人に交付された郵便物又は信書便物の送達を行う者から名宛人に交付された信書
②収容貨物、領置物件等で、公売に付され又は随意契約により売却されて買受人が買い受けたもの
③国庫に帰属した一定のもの
④一定の外国貨物で関税が徴収されたもの

 

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「外国貨物」の意義

2021-06-09

輸出入をビジネスとして行っている場合には、税関や通関業者との間のやり取りをする必要があります。このやり取りの中では、輸出入、通関に関する基本的な用語が利用される場合がありますが、一般の方にとってはなかなか馴染みのない表現と言わざるを得ません。
そこで、本日は、関税法2条に定義されている基本的な用語である「外国貨物」の意義をご紹介いたします。
これは、輸入、輸出の通関手続きを利用する際の前提知識であり、税関や通関業者との間のやり取りの中でよく使用される表現となりますので、是非ご理解いただけますと幸いです。

 

1 外国貨物の意義について

外国貨物とは、輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)で輸入が許可される前のものをいいます(関税法2条1項3号)。
ここで、輸出の許可を受けた貨物には、本邦で生産された貨物で輸出の許可を受けたもののほか、外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)で、いったん輸入された後再び外国に向けて送り出すために輸出の許可を受けたものを含みます。

保税工場における保税作業で外国貨物と内国貨物を使用して製造された保税製品は、課税上区分することが困難であるため、外国貨物とみなされます(関税法59条1項)。
ただし、あらかじめ税関長の承認を受けて、外国貨物と同種の内国貨物を混じて使用した場合には、外国貨物の数量に対応する保税製品のみが外国貨物とみなされますので注意が必要です(同条2項)。

*「みなす」とは、本来異なるものを、法令上、一定の法律関係につき同一のものとして、同一の法律効果を生じさせることです。

 

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