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労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
使用者は、労働者毎の労働時間する等を賃金支払の都度、賃金台帳に記入する必要があり、違反した場合には、罰則もあります(労働基準法108条、120条1号等)。
使用者としては労働時間を適切に把握することが必要となりますが、実際にどのように把握すればよいか難しい面もあります。
そこで、厚生労働省は、平成29年1月20に、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を公表いたしました。
本日は、当該ガイドラインで規定されている労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関してご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
①労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
②①の確認方法としては、使用者が自ら現認又は、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を利用すること。
③②の方法を取らず自己申告制を採用する場合には、自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、適正に自己申告を行うこと等の説明を行うほか、必要に応じて実態調査等も行うこと。
④労働基準法第108条及び同法施行規則第54条により、労働者ごとに、労働日数、労働時間数等を適正に記入しなければならないこと。
⑤使用者は、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類についても、3年間保存しなければならないこと(労働基準法109条)。
⑥労務管理の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理すること。
⑦使用者は、事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間等設改善委員会等の労使協議組織を活用し、問題点及びその解消策等の検討を行うこと。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
労働者側が行う採用内定辞退
採用内定取消しに関しては、会社側から行われる場合がよく問題とされます。
もっとも、労働者も内定辞退を2週間の予告期間を置く場合には自由に行うことが出来るのが原則です(民法626条、627条)。
これまで、本コラムにおいて、会社側から行われる内定取消しに関する会社の損害賠償責任に関してご紹介いたしました。
そこで、本日は、労働者側が行う採用内定辞退に関して参考となる裁判例をご紹介いたします。
採用内定に関する問題は、企業、労働者を問わず重要ですので、ご参照いただけますと幸いです。
1 アイガー事件(東京地判平成24・12・28労働経済判例速報2175・3)
【判示の概要】
原告は、入社日の前日である同月31日までに、本件3・31書面をもって、被告会社に対し、黙示に本件内定辞退の申入れを行ったものと認めるのが相当である。
そして、具体的な事実経過に照らすと本件内定辞退の申入れは、上記信義則上の義務に違反することはもとより、その程度もかなり大きいものといえなくもない。
もっとも、本件内定辞退の申入れは、信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたものであるとまではいい難く、したがって、原告は、この点に関し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を負うものではない。
よって、本件内定辞退(債務不履行又は不法行為)に基づく被告会社の損害賠償請求は、その余の点を検討するまでもなく理由がない。
以上のとおり、労働者側からの内定辞退は、場合によっては損害賠償責任を発生させることになりますが、内定辞退の態様が信義則上の義務に著しく違反する態様であると認められることが必要とされており、そのハードルは非常に高いものと考えられます。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
特許品を輸入し、権利者の許可の下、日本で複製する場合のライセンス料と課税価格について
本日は、特許品を輸入し、権利者の許可の下、日本で複製する場合のライセンス料と課税価格の考え方についてご紹介いたします。
これまで本コラムにおいて貨物を輸入した場合の課税価格の考え方についてご紹介してまいりました。
特許品を複製する場合のライセンス料と課税価格の関係性については、頻繁に問題となる重要な論点といえるところ、課税価格の計算を間違えると、事後的に加算税が課されるリスク等がありますので、十分注意する必要があります。
貨物の輸入をビジネスとして行っている方は是非ご参照いただけますと幸いです。
1 特許品を輸入し、権利者の許可の下、日本で複製する場合のライセンス料と課税価格について
「輸入貨物に係る」特許権等の使用に伴う対価であって、かつ「取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするため」に買手により支払われるロイヤルティやライセンス料は加算要素の一つとされておりますが、当該輸入貨物を本邦において複製する権利の使用に伴う対価は除かれております。
ここで、「輸入貨物を本邦において複製する権利」とは、輸入貨物に化体され、又は表現されている考案、創作等を本邦において複製する権利のことを言います。
例えば、特許発明である機械その他の物品が輸入された場合において、これと同じ物品を本邦において製造する権利のことを言い、ビデオテープ、録音テープを輸入し、日本において複製する場合も含まれます。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
改正債権法の概要
2020年4月1日に、改正債権法が執行されました。
これまで本コラムにおいて何度か改正債権法の内容をご紹介してまいりました。
債権法の内容は、会社、個人を問わず非常に重要な内容となります。
本日は、改正債権法の概要をご参照いただけますと幸いです。
1 改正債権法の概要
従前の民法からの主要な改正点は以下のとおりです。
①消滅時効の改正
従前の民法において規定されていた職業別の短期消滅時効制度(旧民法170条から174条)を削除し、原則的な消滅時効の期間を、権利行使可能時から10年としました。
②法定利率の引き下げ
法定利率を年5%から年3%に引き下げました。
③定型約款に関する規定の新設
ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものを「定型取引」と定義した上で、定型取引において契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体を「定型約款」と定義しました。
④売買の契約不適合責任の創設
従前瑕疵担保責任として存在した規定を契約不適合責任に修正しました。
瑕疵担保責任では認められていなかった追完請求権や代替物提供請求権も新たに認められることになりました。
⑤保証契約におけるルールの追加
保証人の保護の充実化を図るという観点から、個人の保証人との間で保証契約を締結する場合、一定の場合における保証人に対する情報提供義務、一定の保証契約についての公正証書による保証医師の確認義務、根保証契約における極度額の規定を盛り込むことの義務化といった新たな規律が設けられました。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、契約書の作成・レビュー、商標や著作権を含む知的財産関連の問題、労働問題、輸出入トラブルへの対応をはじめ、企業法務を幅広く取り扱っております。
日々のビジネスの中でご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
私生活上の行為に対する懲戒処分に関して参考となる裁判例
企業外、すなわち私生活上の行為についても懲戒処分の対象となることについては先日のコラムにおいてご紹介いたしました。
本日は、私生活上の行為に対する懲戒処分に関して参考となる裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 笹谷タクシー事件(最判昭53・11・30労判913・113、仙台高判昭50・10・16労判238・47)
本事案は、タクシー運転手が職場外での飲酒運転により衝突事故を起こしたところ、飲酒運転の車両に同乗していた先輩運転手に対しても懲戒解雇を行ったという事案です。
【判示の概要】
従業員の職務外でなされた職務遂行に関係のない行為についても、使用者の懲戒権が及ぶことは最高裁判所の判例が認めるところであつて、そもそも使用者が従業員に対し課する懲戒は広く企業秩序を維持確保し、もつて企業の円滑な運営を可能ならしめるための制裁罰であり、利益追求を目的とする企業体である会社が名誉、信用その他相当な社会的評価を享けることは経営秩序、企業財産を維持し生産向上を図るうえにおいて欠くべからざるものであり、従業員の企業外の行為がそれ自体において不名誉な行為として社会的非難に値するものであり、その結果会社の社会的評価を損うおそれがあるとみられる場合は懲戒事由となりうるものである(最高裁判所昭和四九年二月二八日第一小法廷判決、同年三月一五日第二小法廷判決)。
控訴人(先輩運転手のこと。以下同様。)は刑事処分を受けておらず、右A(運転手のこと。以下同様。)も飲酒運転について刑事処分を受けていないが、これは控訴人らが事故報告をせず逃走していたため、右Aについて飲酒検査ができなかつた結果刑事処分ができず、控訴人についても同様飲酒運転の教唆等による刑事処分ができないでしまつたものであり、事故後ただちに飲酒検査を受けていれば右Aも控訴人も当然に刑事処分を受けた筈である。また、本件について新聞等に報道されなかつたのは、被控訴人が報道機関に懇請して報道を差止めてもらつたからであるが、本件は同業者間にはただちに知れわたつており、被害者である前記Cらから世間には相当伝わつており、被控訴人の信用は低下したものである。
本事案は、先輩運転手が後輩運転手に飲酒を勧めた上で自動車を運転させたという事情等を踏まえた事例判断ですが、私生活上の行為に対する懲戒処分に関して参考となる裁判例といえます。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
無償提供物と課税価格について
これまで、輸入貨物の課税価格の考え方について、何度かご紹介してまいりました。
課税価格をどのように考えるのか、加算要素とは何か、ということは貨物の輸入をビジネスとして行っている方には非常に重要な問題といえます。
本日は、加算要素に関する問題の内、特に重要であるにもかかわらずよく勘違いされている、無償提供物と課税価格の関係性についてご説明いたしますので、あわせてご参照いただけますと幸いです。
1 無償提供物と課税価格について
輸入貨物の課税価格は、「現実支払価格」にその含まれていない限度において「加算要素」の額を加えた価格によることを原則としており、買手が無償で又は値引きをして直接又は間接に提供した輸入貨物に組み込まれる材料、部分品等に要する費用は「加算要素」の一つです。
この買手が提供した物品の費用は、買手が自らこれを生産した場合、当該物品の生産費によることとされ、買手がこれを提供するために要した運送費用、保険料等も含まれます。
したがいまして、買手が、売手に対して提供する無償提供物は、課税価格の加算要素となります。
そして、買手が当該無償提供物を作成するために要した生産費(取引価格、関税、通関費用、工場までの運賃等、工場での加工賃等)及びこれを提供するために要した運賃等(無償提供物の本邦輸出港までの運賃、通関費用等を含む。)の総額を輸入貨物の課税価格に加算する必要があります。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
契約における期間の計算方法
本日は契約における期間の計算方法をご紹介いたします。
いずれも基本的な考え方となりますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 期間の計算方法について
(1)日単位の場合
起算日は、原則として初日を参入せずに翌日から起算します。これを初日不算入の原則といいます(民法140条本文)。もっとも、初日の起算点が午前零時から始まる場合は初日を算入します(同条ただし書)。
次に満了日についてですが、その末日の終了をもって期間は満了します(民法141条)。ただし、期間の満了の末日が休日に該当しその日に取引をしない慣習がある場合に限り、翌日で満了することになります(民法142条)。
(2)週・月・年単位によるとき
週・月・年の単位で表示される場合は暦に従って計算します(民法143条1項)。
そのため、月単位の場合にも31日まである月と30日で終わる月を区別しません。
また、年単位の場合、平年と閏年間でも区別はありません。
なお、週単位の場合には7日単位で計算します。
週・月・年の初めから期間を起算しない場合には、その期間が最後の週・月・年においてその起算日に応答する日の前日に満了することになります。
ただし、月または年によって期間を定めた場合において、最後の月に応答する日がないときは、その月の末日に満了することになります(民法143条2項)。
なお、期間の末尾が休日にあたりその日に取引をしない慣習がある場合に限り、翌日で満了します(民法142条)。
以上のとおり、契約における期間の計算方法は民法上規定されております。
正確な理解を欠き、期間の計算を間違えた場合、ビジネス上大きな問題に発展する可能性もありますので、十分ご注意ください。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、契約書の作成・レビュー、商標や著作権を含む知的財産関連の問題、労働問題、輸出入トラブルへの対応をはじめ、企業法務を幅広く取り扱っております。
日々のビジネスの中でご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
買手が輸出国で行った梱包の費用について
貨物の輸入をビジネスとして行っている方の中には、当該貨物を輸出国側で梱包してもらった上で輸入するという運用をとっている方もいらっしゃるものと思います。
もっとも、このような梱包作業に何らかの費用が発生している場合には、当該費用を課税価格に加算する必要が生じる可能性があることを知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、梱包費用と課税価格について、特に、買手が輸出国で行った梱包の費用についてご紹介いたします。
課税価格の考え方は、貨物の輸入をビジネスとして行っている方にとっては非常に重要な考え方となりますので、是非ご参照いただけますと幸いです。
1 買手が輸出国で行った梱包の費用について
輸入貨物の課税価格は、「現実支払価格」にはその含まれていない限度において「加算要素」の額を加えた価格によることを原則としており、関税定率法4条1項2号ハには加算要素の一つとして当該輸入貨物の包装に要する費用が規定されております。そして、この包装に要する費用には、材料費の他、人件費その他の費用も含まれることとなっております。
以上から、例えば、買手側が、自社の社員を輸出国側に派遣して、梱包作業を実施させた場合には、梱包用資材の費用、作業員の往復の旅費、これらの者のホテル代等の輸出国における滞在費及び日当又は賃金等を含む総額が、課税価格に加算すべき梱包費用となりますので、注意が必要です。
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当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
混同的商標について
商標法においては、商標登録を受けることが出来ない事由が列記されております(商標法4条)。
このうち、本日は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)」(15号。いわゆる混同的商標)の概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 混同的商標について
この点について参考となる裁判例としては、「レール・テュ・タン」審決取消請求事件(最判平成12・7・11判時1721・141)をご紹介いたします。
【判示の概要】
商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。けだし、同号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。
そして、「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。
以上のとおり、混同的商標に関して、具体的な事情を踏まえて総合的に判断する必要がありますので、ご注意ください。
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当事務所は、契約書の作成・レビュー、商標や著作権を含む知的財産関連の問題、労働問題、輸出入トラブルへの対応をはじめ、企業法務を幅広く取り扱っております。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
映画の著作物性について
著作権法10条1項7号において、「映画」が著作物として保護されるものと規定されております。
本日は、映画の著作物性に関する裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 映画の著作物性について
この点について参考となる裁判例としては、パックマン事件(東京地判昭59・9・28判時1129・120)をご紹介いたします。
【判示の概要】
映画の視覚的効果は、映写される影像が動きをもつて見えるという効果であると解することができる。右の影像は、本来的意味における映画の場合は、通常スクリーン上に顕出されるが、著作権法は「上映」について「映写幕その他の物」に映写することをいうとしている(第二条第一項第一九号)から、スクリーン以外の物、例えばブラウン管上に影像が顕出されるものも、許容される。したがつて、映画の著作物の表現方法の要件としては、「影像が動きをもつて見えるという効果を生じさせること」が必須であり、これに音声を伴つても伴わなくてもよいということになる。
また、映画の著作物は「物に固定されていること」が必要である。
「物」は限定されていないから、映画のように映画フィルムに固定されていても、ビデオソフトのように磁気テープ等に固定されていてもよく、更に、他の物に固定されていてもよいと解される。固定の仕方も限定されていないから、映画フィルム上に連続する可視的な写真として固定されていても、ビデオテープ等の上に影像を生ずる電気的な信号を発生できる形で磁気的に固定されていてもよく、更に、他の方法で固定されていてもよいと解される。
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有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。