ヘアドレッサーの著作物性について

本日はヘアドレッサーに著作物性が認められるかどうかが問題となった裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 ファッションショー事件(知財高判平26・8・28判時2238・91)

【判示の概要】
実用に供され、あるいは産業上利用されることが予定されている美的創作物(いわゆる応用美術)が美術の著作物に該当するかどうかについては、著作権法上、美術工芸品が美術の著作物に含まれることは明らかである(著作権法2条2項)ものの、美術工芸品等の鑑賞を目的とするもの以外の応用美術に関しては、著作権法上、明文の規定が存在せず、著作物として保護されるか否かが著作権法の文言上明らかではない。

著作権法2条2項は、単なる例示規定であると解すべきであり、そして、一品制作の美術工芸品と量産される美術工芸品との間に客観的に見た場合の差異は存しないのであるから、著作権法2条1項1号の定義規定からすれば、量産される美術工芸品であっても、全体が美的鑑賞目的のために制作されるものであれば、美術の著作物として保護されると解すべきである。

また、著作権法2条1項1号の上記定義規定からすれば、実用目的の応用美術であっても、実用目的に必要な構成と分離して、美的鑑賞の対象となる美的特性を備えている部分を把握できるものについては、上記2条1項1号に含まれることが明らかな「思想又は感情を創作的に表現した(純粋)美術の著作物」と客観的に同一なものとみることができるのであるから、当該部分を上記2条1項1号の美術の著作物として保護すべきであると解すべきである。他方、実用目的の応用美術であっても、実用目的に必要な構成と分離して、美的鑑賞の対象となる美的特性を備えている部分を把握することができないものについては、上記2条1項1号に含まれる「思想又は感情を創作的に表現した(純粋)美術の著作物」と客観的に同一なものとみることはできないのであるから、これは同号における著作物として保護されないと解すべきである。

 

以上のとおり、著作物性の判断に関して、あくまでもケースバイケースでの判断となりますので、注意が必要です。

 

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