Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category
輸入許可前引取が認められる具体的な事情について
輸入許可前引取制度の概要については、以前のコラムでご紹介いたしました。
そこで、本日は、輸入許可前引取が認められる具体的な事情についてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 輸入許可前引取が認められる具体的な事情について
外国貨物を輸入する者は、輸入申告をした貨物について次のような事情あある場合には、当該貨物の全部または一部について関税額に相当する担保を提供し、税関長の承認を受けて、輸入の許可前に引き取ることができます(関税法73条1項、関税法施行令63条後段)。
輸入の許可を得るのに相当の日時を要する場合等には、担保を提供して税関長の承認を受ければ、輸入の許可前に貨物を国内に引き取ることができるものとしています。
①税関側の事情により輸入の許可が遅延する例
・新規輸入品である等の理由により課税標準の審査にに維持を要する場合
・分析、検定を要する等の理由により関税率表の分類の審査に日時を要する場合
・免税に該当するかどうかの審査に日時を要する場合
②輸入申告者側において特に引取りを急ぐ理由があると認められる例
・輸入貨物である原材料の在庫がなく、工業の操業等に支障をきたす場合
・展示会等に出品のため時間的制約がある場合
・仕入書がプロフォーマであること又は制約条件が揚地ファイナルであること等の理由により、課税標準の決定に日時を要する場合
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
輸入してはならない貨物に係る認定手続について
輸出入をビジネスとして行っている方の中には、認定手続という用語を聞いたことがあるのではないでしょうか。
認定手続は、貨物の輸出入において非常に重要な手続となりますので、概要だけでもご理解いただいておくことをお勧めいたします。
本日は、輸入してはならない貨物に係る認定手続についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 輸入してはならない貨物に係る認定手続について
税関長が輸入申告貨物のうちに、知的財産権侵害物品および不正競争防止法違反物品に該当する貨物があると思料するときは、当該貨物が侵害物品に該当するか否かを認定するための手続を取らなければなりません(関税法69条の12第1項前段)。
この手続きのことを認定手続といいます。
この場合において、税関長は、当該貨物に係る特許権者等及び当該貨物を輸入しようとする者に対し、認定手続きを執る旨並びに当該貨物が知的財産権侵害物品又は不正競争防止法違反物品に該当するか否かについて証拠を提出し、及び意見を述べることができる旨その他の事項を通知すなければなりません(関税法69条の12第1項後段)。
なお、税関長は、認定手続を執る旨の通知をする場合には、当該貨物に係る特許権者等に対しては当該貨物を輸入しようとする者及び当該貨物の仕出人の氏名又は名称及び住所を、当該貨物を輸入しようとする者に対しては特許権者等の氏名又は名称及び住所を、併せて通知する(関税法69条の12第2項)。
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輸入貨物の検査場所について
先日のコラムにおいて輸出貨物の検査場所についてご紹介いたしました。
そこで、本日は、輸入貨物の検査場所についてご紹介いたします。
税関は、輸入申告があった貨物について、次の場所で検査を行うことがあります(関税法69条1項、2項、関税法基本通達69-3-2、69-1-1、69-1-2)。
1 指定地検査(原則)
輸入申告があった貨物の検査は、適正・確実に、能率的に行う必要があるので、税関長が検査場所として指定した場所で行うことになっています(関税法69条1項、関税法基本通達69-1-1)。
①税関庁舎内にある検査場(税関職員の執務場所を含む。)
②保税地域の全部または一部
③保税地域以外の場所であって貨物の検査上特に必要と認められる場所
④岸壁等であって本船検査又はふ中検査の実施上特に必要と認められる場所
2 指定地外検査(例外)
輸入申告をした貨物が、次のように、税関長が指定した検査場所に搬入することができないものである場合には、あらかじめ当該検査を受けようとする貨物の置かれている場所を所轄する税関長の許可を受けて、指定された検査場所以外の場所で検査を受けることができます(関税法69条2項)。
難破貨物、刑事訴訟日による欧州物権、遺失物法により警察署長が保管する物件などについては、指定地外検査の許可を要しません(関税法基本通達69-3-1)。
①巨大な貨物、大重量の貨物、危険物又は放射性物質等
②再包装が困難な貨物等
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協定税率を適用する場合の原産地の認定基準について
本日は、協定税率を適用する場合の原産地の認定基準についてご紹介いたします。
輸入貨物について、協定税率を適用する場合における原産地の認定は、次の1又は2のような認定基準によるものとされています(関税法施行令4条の2第4項、関税法施行規則1条の6)。
1 一の国又は地域において完全に生産された物品(完全生産品)
例えば、以下の①から⑪です。
①一の国又は地域において採掘された鉱物性生産品
②一の国又は地域において収穫された植物性生産品
③一の国又は地域において生まれて生育した生きている動物
④一の国又は地域において生きている動物から得られた物品
⑤一の国又は地域において狩猟又は漁ろうにより得られた物品
⑥一の国又は地域の船舶により公海で採捕された水産物
⑦一の国又は地域の船舶において公海で採捕された水産物のみを原材料として生産された物品
⑧一の国又は地域の船舶等により公海で採掘された鉱物性生産品
⑨一の国又は地域において収集された使用済みの物品で、原材料の回収の身に適するもの
⑩一の国又は地域において行われた製造の際に生じたくず
⑪一の国又は地域において①~⑩までの物品のみを原材料として生産された物品
2 一の国または地域において、完全生産品以外の物品(非原産国産品)をその原材料の全部または一部として、これに実質的な変更を加える加工又は製造により生産された物品(実質加工品)
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仮陸揚げ貨物について
仮陸揚げ貨物という用語を聞いたことがある方は少ないように思います。
実際のところ、通常の貨物の輸出入の過程では問題となることはないといえますが、例外的に貨物を積載した船舶が遭難した場合等で問題となる可能性があります。
そのため頭の片隅にでも理解していただけますともしもの時の役に立つものと思いますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 仮陸揚げ貨物について
外国貨物の仮陸揚げとは、船荷証券等の陸揚港が本邦となっていない外国貨物に付いて、船積み若しくは荷繰りの都合又は遭難その他やむを得ない事故のような偶発的な事情によって本来目的とした陸揚地以外の場所に陸揚げすることをいいます。
なお、外国貨物の仮陸揚げは、税関により「仮陸揚届」を提出することにより行います。
(注)外為法上の仮陸揚げとの相違
外為法上の仮陸揚げの概念は、輸出貿易管理令4条1項1号に「本邦以外の地域を仕向地とする船荷証券等により運送されたもの」とあるように、関税法の概念よりも広く、意図的に仮陸揚げされたものを含みます。
2 積戻し申告を要しない仮陸揚貨物(原則)
「仮陸揚届」により仮陸揚げをした外国貨物を、船荷証券等に記載された仕向地へ向けて出港する外国貿易船等に積み込む場合には、税関手続きの簡易化の見地から、「仮陸揚届」を税関に提出することにより、仮陸揚貨物の積込として取り扱われます。
3 積戻し申告を要する仮陸揚貨物(例外)
「仮陸揚届」により仮陸揚げした外国貨物であっても、外国為替及び外国貿易法48条1項の規定により経済産業大臣の輸出の許可を受けなければならないものについては、経済産業大臣の輸出の許可を受けて、次に税関長に対して積戻し申告をして、積戻しの許可を受けなければなりません。
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外国貨物の積戻しについて
本日は、外国貨物の積戻しについて、ご紹介いたします。
なお、外国から本邦に到達した外国貿易船等から取り卸して保税地域に輸入手続き未済のまま蔵置されている外国貨物又は保税工場等における保税作業によってできた製品を、外国へ向けて送り出すことを、関税法上、積戻しといい、内国貨物の輸出と区別しています(関税法75条)。
1 外国貨物の積戻しについて
かかる外国貨物の積戻しは、貨物を外国へ向けて送り出すことでは実質的に輸出と同じであり、輸出に関する規定が一般的に準用されるので、税関長に対し積戻し申告をし、貨物に付き必要な検査を経て、その許可を受けなければなりません(関税法75条において準用する67条、67条の2第1項及び第2項、67条の3第1項、68条から69条の10、70条等)。
ただし、仮陸揚げした外国貨物を外国へ向けて積み戻す場合には、原則として、積戻しの許可を受ける必要はないが、例外として、仮陸揚げした外国貨物であっても、外国為替及び外国貿易法48条1項の規定により経済産業大臣の輸出の許可を受けなければならないものについては、税関長に対し積戻し申告をし、貨物につき必要な検査を経てその許可を受けなければなりません(関税法75条かっこ書き)。
なお、外国貨物の積戻し申告は、輸出申告書の標題を「積戻し申告書」と訂正して使用することにより行います(関税法基本通達75-1-1)。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
輸出許可後における輸出取止め
輸出の許可を受けた後に、貨物を取り戻したくなる場合もあるものと思います。
このような場合にどのように対応すればよいかご存知でしょうか。
この点について、輸出の許可を受けた後に輸出を取止める場合には、輸出の許可を受けた貨物は外国貨物となっておりますので(関税法2条1項3号)、当該貨物が船積みされたかどうかに関わらず、税関長に対し、「輸入(納税)申告書」に所要の書類を添付して提出して輸入の許可を受けなければなりません(関税法基本通達67-1-15)。
この輸出取止め再輸入の場合には、輸出取止めによって再輸入する貨物の関税については、関税定率法14条10号の規定により免除され、内国消費税については、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する13条1項1号の規定により免除されます。
貨物の船積みの前後で、以下のとおり若干手続きが異なりますので、ご注意ください。
1 輸出許可を受けて船積みする前の輸出取止め
船積み前の輸出取止めの場合には、輸入申告書に輸出許可書を添付して提出する必要があります。
2 輸出許可を受けて船積みした後の輸出取止め
船積み後の輸出取止めの場合に葉、輸入申告書に仕入書その他所要の書類を添付して提出する必要があります。なお、輸出貿易管理令においては、船積みをもって輸出があったものとして取り扱われるので、船積み後の輸出取止めについては、輸入貿易管理令の適用を受けることになります。
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認定手続における疑義貨物の画像送信について
本日は、認定手続における疑義貨物の画像送信について、ご紹介いたします。
認定手続における税関長から輸出者等(積戻者及び国際郵便物の差出人を含む。)又は権利者に対する疑義貨物の画像送信の取扱いは、次のとおりです(関税法基本通達69の3-1-6)。
1 画像情報の送信
税関長は、輸出者等又は権利者から、認定手続についての証拠を提出し、意見を述べるため必要であるとして、当該認定手続に係る疑義貨物の画像情報の電子メールによる送信を希望する旨の申出があった場合には、原則として1回に限り、当該疑義貨物の画像情報を電子メールで送信することとしています。
ただし、次の場合には、電子メールによる送信を行わないことができます。この場合においては、その理由を当該申出をした輸出者等又は権利者に対して説明するものとされています。
①輸出者等又は権利者が送信を希望する画像情報が大量である場合
②業務遂行上真にやむを得ない理由により、画像情報の電子メールによる送信ができない場合
③輸出差止申立書が受理されていない場合であって、疑義貨物の形状又は侵害の疑いのある部分の状況等により、画像情報によって輸出者等又は権利者が証拠を提出し、意見を述べることができないと判断される場合
2 個別情報の取り扱い
税関長は、送信する画像情報により、疑義貨物に係る個別具体的な情報が権利者に了知されることがないように十分留意し、必要に応じて輸出者等に権利者に了知された場合に支障がある箇所がないかを確認の上対応することになっています。
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輸出貨物の検査場所について
本日は、輸出貨物の検査場所について、ご紹介いたします。
税関は、輸出申告があった貨物について、次の場所で検査を行います(関税法69条1項、2項)。
1 指定地検査
輸出申告があった貨物の検査は、適正・確実、かつ、能率的に行う必要があるので、税関長が指定した次の場所にて行うことになっております(関税法69条1項、関税法基本通達69-1-1)。
①税関庁舎内にある検査場(税関職員の執務場所を含む。)
②保税地域の全部又は一部
③保税地域以外の場所であって貨物の検査場特に必要と認められる場所
④岸壁又は桟橋であって本船検査又はふ中検査の実施上特に必要と認められる場所
2 指定地外検査
輸出申告をした貨物が、次のように、税関長が指定した検査場所に搬入することができない貨物である場合には、あらかじめ当該検査を受けようとする貨物の置かれている場所を所轄する税関長の許可を受けて、指定された検査場所以外の場所で検査を受けることができます(関税法69条2項)。
①巨大な貨物、大重量の貨物、危険物又は放射性物質等
②再包装が困難な貨物
また、輸出申告をした貨物について、検査場所に指定された岸壁又は桟橋以外の場所において、本船検査又はふ中検査を受けようとする場合には、あらかじめ当該検査を受けようとする貨物の置かれている場所を所轄する税関長の許可を受けて、指定された検査場所以外の場所で検査を受けることができます(関税法69条2項)。
なお、指定地外検査の許可を受ける場合には、指定地外検査許可手数料を納付しなければなりません(関税法100条3号、税関関係手数料5条)。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。
原産地虚偽表示貨物の取扱いについて
貨物を輸入する場合、貨物の原産地を適切に表示することは非常に重要であり、異なる原産地を貨物に掲載した場合には、一定のペナルティがある他、貨物をスムーズに輸入できないことになりますので、注意が必要です。
そこで、本日は、原産地に関して虚偽表示があった場合の取扱いについてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 原産地虚偽表示貨物の留置について
原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物について輸入申告をした者が、税関長が指定した期間内に、原産地について偽った表示又は誤認を生じさせる表示を消し、若しくは訂正し、又は当該貨物を積み戻さないときは、税関長は、これを留置することになります(関税法87条1項)。
これは、マドリッド協定の実施を確保し、原産地虚偽表示貨物の国内流入を防止するためにとられる措置であると考えられております。
(注)マドリッド協定とは、原産地の虚偽表示に関する協定である。直接又は間接に虚偽の原産地を表示している貨物又は原産地について誤認を生じさせる表示をしている貨物は、各締約国によって、差押え又は輸入禁止の措置が取られなければならない旨を規定しています。
2 留置貨物の返還
留置された原産地虚偽表示貨物は、原産地について偽った表示又は誤認を生じさせる表示が消され、若しくは訂正され、又は当該貨物が積み戻されると認められる場合に限り、返還されることになります(関税法87条2項)。
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