Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category

外国貨物の積戻しについて

2021-08-06

本日は、外国貨物の積戻しについて、ご紹介いたします。
なお、外国から本邦に到達した外国貿易船等から取り卸して保税地域に輸入手続き未済のまま蔵置されている外国貨物又は保税工場等における保税作業によってできた製品を、外国へ向けて送り出すことを、関税法上、積戻しといい、内国貨物の輸出と区別しています(関税法75条)。

 

1 外国貨物の積戻しについて

かかる外国貨物の積戻しは、貨物を外国へ向けて送り出すことでは実質的に輸出と同じであり、輸出に関する規定が一般的に準用されるので、税関長に対し積戻し申告をし、貨物に付き必要な検査を経て、その許可を受けなければなりません(関税法75条において準用する67条、67条の2第1項及び第2項、67条の3第1項、68条から69条の10、70条等)。

ただし、仮陸揚げした外国貨物を外国へ向けて積み戻す場合には、原則として、積戻しの許可を受ける必要はないが、例外として、仮陸揚げした外国貨物であっても、外国為替及び外国貿易法48条1項の規定により経済産業大臣の輸出の許可を受けなければならないものについては、税関長に対し積戻し申告をし、貨物につき必要な検査を経てその許可を受けなければなりません(関税法75条かっこ書き)。
なお、外国貨物の積戻し申告は、輸出申告書の標題を「積戻し申告書」と訂正して使用することにより行います(関税法基本通達75-1-1)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

輸出許可後における輸出取止め

2021-08-04

輸出の許可を受けた後に、貨物を取り戻したくなる場合もあるものと思います。
このような場合にどのように対応すればよいかご存知でしょうか。
この点について、輸出の許可を受けた後に輸出を取止める場合には、輸出の許可を受けた貨物は外国貨物となっておりますので(関税法2条1項3号)、当該貨物が船積みされたかどうかに関わらず、税関長に対し、「輸入(納税)申告書」に所要の書類を添付して提出して輸入の許可を受けなければなりません(関税法基本通達67-1-15)。

この輸出取止め再輸入の場合には、輸出取止めによって再輸入する貨物の関税については、関税定率法14条10号の規定により免除され、内国消費税については、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する13条1項1号の規定により免除されます。
貨物の船積みの前後で、以下のとおり若干手続きが異なりますので、ご注意ください。

 

1 輸出許可を受けて船積みする前の輸出取止め

船積み前の輸出取止めの場合には、輸入申告書に輸出許可書を添付して提出する必要があります。

 

2 輸出許可を受けて船積みした後の輸出取止め

船積み後の輸出取止めの場合に葉、輸入申告書に仕入書その他所要の書類を添付して提出する必要があります。なお、輸出貿易管理令においては、船積みをもって輸出があったものとして取り扱われるので、船積み後の輸出取止めについては、輸入貿易管理令の適用を受けることになります。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
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認定手続における疑義貨物の画像送信について

2021-08-02

本日は、認定手続における疑義貨物の画像送信について、ご紹介いたします。
認定手続における税関長から輸出者等(積戻者及び国際郵便物の差出人を含む。)又は権利者に対する疑義貨物の画像送信の取扱いは、次のとおりです(関税法基本通達69の3-1-6)。

 

1 画像情報の送信

税関長は、輸出者等又は権利者から、認定手続についての証拠を提出し、意見を述べるため必要であるとして、当該認定手続に係る疑義貨物の画像情報の電子メールによる送信を希望する旨の申出があった場合には、原則として1回に限り、当該疑義貨物の画像情報を電子メールで送信することとしています。
ただし、次の場合には、電子メールによる送信を行わないことができます。この場合においては、その理由を当該申出をした輸出者等又は権利者に対して説明するものとされています。

①輸出者等又は権利者が送信を希望する画像情報が大量である場合
②業務遂行上真にやむを得ない理由により、画像情報の電子メールによる送信ができない場合
③輸出差止申立書が受理されていない場合であって、疑義貨物の形状又は侵害の疑いのある部分の状況等により、画像情報によって輸出者等又は権利者が証拠を提出し、意見を述べることができないと判断される場合

 

2 個別情報の取り扱い

税関長は、送信する画像情報により、疑義貨物に係る個別具体的な情報が権利者に了知されることがないように十分留意し、必要に応じて輸出者等に権利者に了知された場合に支障がある箇所がないかを確認の上対応することになっています。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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輸出貨物の検査場所について

2021-07-30

本日は、輸出貨物の検査場所について、ご紹介いたします。
税関は、輸出申告があった貨物について、次の場所で検査を行います(関税法69条1項、2項)。

 

1 指定地検査

輸出申告があった貨物の検査は、適正・確実、かつ、能率的に行う必要があるので、税関長が指定した次の場所にて行うことになっております(関税法69条1項、関税法基本通達69-1-1)。

①税関庁舎内にある検査場(税関職員の執務場所を含む。)
②保税地域の全部又は一部
③保税地域以外の場所であって貨物の検査場特に必要と認められる場所
④岸壁又は桟橋であって本船検査又はふ中検査の実施上特に必要と認められる場所

 

2 指定地外検査

輸出申告をした貨物が、次のように、税関長が指定した検査場所に搬入することができない貨物である場合には、あらかじめ当該検査を受けようとする貨物の置かれている場所を所轄する税関長の許可を受けて、指定された検査場所以外の場所で検査を受けることができます(関税法69条2項)。

①巨大な貨物、大重量の貨物、危険物又は放射性物質等
②再包装が困難な貨物

また、輸出申告をした貨物について、検査場所に指定された岸壁又は桟橋以外の場所において、本船検査又はふ中検査を受けようとする場合には、あらかじめ当該検査を受けようとする貨物の置かれている場所を所轄する税関長の許可を受けて、指定された検査場所以外の場所で検査を受けることができます(関税法69条2項)。
なお、指定地外検査の許可を受ける場合には、指定地外検査許可手数料を納付しなければなりません(関税法100条3号、税関関係手数料5条)。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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原産地虚偽表示貨物の取扱いについて

2021-07-26

貨物を輸入する場合、貨物の原産地を適切に表示することは非常に重要であり、異なる原産地を貨物に掲載した場合には、一定のペナルティがある他、貨物をスムーズに輸入できないことになりますので、注意が必要です。
そこで、本日は、原産地に関して虚偽表示があった場合の取扱いについてご紹介いたします。

ご参照いただけますと幸いです。

 

1 原産地虚偽表示貨物の留置について

原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物について輸入申告をした者が、税関長が指定した期間内に、原産地について偽った表示又は誤認を生じさせる表示を消し、若しくは訂正し、又は当該貨物を積み戻さないときは、税関長は、これを留置することになります(関税法87条1項)。
これは、マドリッド協定の実施を確保し、原産地虚偽表示貨物の国内流入を防止するためにとられる措置であると考えられております。

(注)マドリッド協定とは、原産地の虚偽表示に関する協定である。直接又は間接に虚偽の原産地を表示している貨物又は原産地について誤認を生じさせる表示をしている貨物は、各締約国によって、差押え又は輸入禁止の措置が取られなければならない旨を規定しています。

 

2 留置貨物の返還

留置された原産地虚偽表示貨物は、原産地について偽った表示又は誤認を生じさせる表示が消され、若しくは訂正され、又は当該貨物が積み戻されると認められる場合に限り、返還されることになります(関税法87条2項)。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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難破貨物等の運送について

2021-07-22

昨今は航海技術の発展などに伴い、船舶等が難破することは減少しております。
もっとも、船舶等の難破が完全になくなることはありませんので、例えばコンテナ船が難破した場合において、積載していた貨物の取扱いに関して把握しておくことは重要です。

そこで、本日は難破貨物等について、ご紹介いたします。

 

1 難破貨物等の運送について

次に掲げる貨物については、遭難等の特殊な事情を考慮し、そのある場所から開港、税関空港、保税地域又は税関官署に外交貨物のまま運送することができます(関税法64条)。

①難破貨物(遭難その他の事故により船舶又は航空機から離脱した貨物)
②運航の自由を失った船舶又は航空機に積まれていた貨物(災害等により自力航行を継続することができない船舶等に積まれていた貨物)
③仮に陸揚げされた貨物(遭難その他やむを得ない事由により目的地以外の場所に一時陸揚げ等された貨物)

 

2 運送の手続

難破貨物等をそのある場所から運送しようとするときは、税関長の承認を受けなければなりません。
また、税関長は、運送の承認をする場合には、相当と認められる運送の期間を指定する必要があります。ただし、税関が設置されていない場所から運送することについて緊急な必要がある場合において、税関職員がいないときは、警察官に予めその旨を届け出なければならない点には注意が必要です(関税法64条1項、2項)。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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外国貨物の保税展示場外使用について

2021-07-15

保税展示場とは、外国貨物について輸入許可を取得することなく、展示等することができる場所のことを指します。
このような保税展示場は、非常に便利な仕組といえますが、場合によっては保税展示場外で外国貨物を使用することが必要となることもあります。
そこで、関税法上は、外国貨物を保税展示場外で使用する場合に関する規定が設けられております。

以下では、外国貨物の保税展示場外使用をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 外国貨物の保税展示場外使用について

保税展示場に入れられた外国貨物については、保税展示場内での使用は保税展示場の機能として認められているが、当該外国貨物を一時保税展示場外で使用することが必要になる場合があります。
このような場合、その使用が博覧会等の運営等のため必要があり、かつ、取締り上支障がないと認められるときは、税関長の許可を受け、税関長が指定した期間及び場所において、保税展示場外での外国貨物の使用が認められます(関税法62条の5)。

指定場所に出されている外国貨物は、指定期間の満了まで、元の保税展示場にあるものとみなされ、外国貨物の亡失責任、記帳義務等の義務を負います。
なお、指定された期間が経過した場合において、その指定された場所に許可を受けた外国貨物があるときは、保税展示場の許可を受けた者から、直ちにその関税を徴収されることになります(関税法61条5項)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。

保税地域の利用に関するご相談はもちろんのこと、輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

 

保税工場における保税作業について

2021-07-11

保税作業とは、保税工場において、主に、外国貨物を原材料として、加工等することを指します。
このような保税作業は様々な用途で利用されておりますが、輸出入をビジネスとして行っている方にとってもあまり馴染みのない仕組であるものと思います。

そこで、本日は、このような保税作業の概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保税作業における内国貨物と外国貨物の使用について

保税作業に当たっては、外国貨物を使用することは当然のことながら内国貨物を使用することもできます。
そして、保税工場における保税作業に外国貨物と内国貨物とを使用したときは、これによってできた製品は、外国から本邦に到着した外国貨物とみなされます(関税法59条1項)。

 

2 外国貨物と内国貨物との混合使用について

保税工場における保税作業に外国貨物にこれと同種の内国貨物を混じて使用し、その外交貨物のみを使用して製造した場合の製品と等質の製品を製造する場合であって、作業の性質、工程等を勘案しその内国貨物を混じて使用することについてやむを得ない事由があり、かつ、原料の数量に対する製品の数量の割合が安倉かであると認められるときは、税関長の承認を受けることにより、これによってできた製品の内当該外国貨物の数量に対応するものは外国から本邦に到着した外国貨物とみなされます(関税法59条2項、関税法施行令47条1項)。

なお、関税法59条は、保税展示場及び総合保税地域についても準用されますので、併せてご参照ください(関税法62条の7、62条の15)。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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外国貨物の廃棄、滅却について

2021-07-07

輸入許可後に内国貨物となった後当該貨物を廃棄、滅却する場合には、基本的には自由に行うことが出来ます。
他方で、保税地域にある外国貨物を廃棄、滅却する場合には、一定の手続等が必要となりますので注意が必要です。
以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 貨物の廃棄について

保税地域にある外国貨物を廃棄しようとする者は、あらかじめその旨を税関に届け出なければならない。外国貨物を廃棄しようとする者に対し届け出義務を課すことによって、関税の徴収を確保しようとするものです(関税法34条)。
ここでいう廃棄とは、腐敗、変質等し、本来の用途に供されなくなった外国貨物をくずとして処分することであるが廃棄しようとする貨物がくずと認められないものであるときは、その現況により輸入手続を要することになります。
廃棄しようとする外国貨物について正規の輸入手続きをとることを希望しない場合には、くずとして処分しようとする貨物について、焼却、異物混入その他の人為的処理をすることになります(関税法45条1項、2項)。
なお、滅却の承認申請手続きを執る場合には、「廃棄届」の提出は要しないものとされています(関税法34条ただし書き)。

 

2 貨物の滅却について

保税地域にある外国貨物を滅却しようとする者は、あらかじめ税関長の承認を受けなければなりません。所定の手続をとることにより「滅却の承認」を受けた者の関税納付義務を免除するものです(関税法45条1項ただし書き)。
税関長は、保税地域にある外国貨物が腐敗し、若しくは変質し、又は他の貨物を害するおそれがある等の事情によりこれを滅却することがやむを得ないと認めるときは、滅却の承認をしなければならない点には注意が必要です(関税法45条2項)。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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外国貨物の一時持出しについて

2021-07-04

輸入許可前に保税地域にある状態で外国貨物を一時国内に持ち込みたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、売買の対象物の見本を早急に見たいと取引先から言われた場合や、貨物の品質の分析を早急に行いたい場合等が考えられます。
関税法は、このような要望にこたえる形で、一定の場合には外国貨物を保税地域から見本として持ち出すことを認めております。

そこで、本日は、保税地域にある外国貨物を、見本として一時持ち出す場合についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保税地域にある外国貨物の一時持出しについて

保税地域にある外国貨物については、一般の閲覧に供するために見本の展示をすることが出来ますが、商取引の利便性を図る観点から、税関長の許可を受けて、見本の一時持出しが認められています(関税法32条)。
一時持出しが認められる見本は、取締り上、及び課税上問題がなく、かつ少量のものに限られております。

具体的な手続きとしては、見本の一時持出しの許可を受けようとする者は、「見本持出許可申請書」を税関長に提出して、その許可を受けなければなりません(関税法32条、関税法施行令27条)。
一時持出された外国貨物がその成分の分析等のために使用、消費されて、元の保税地域に持ち帰ることができない場合でも、持ち帰ったものとみなして、残りの貨物と一括して輸入の許可を受けることになります。

なお、見本の持出しとは異なりますが、外国貨物を保税地域において廃棄する場合には、税関に届け出る必要があります(関税法34条)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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