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動産の引渡の4類型について

2022-07-18

動産の売買契約においては、どのように売買対象物である動産を買主に引き渡すかが重要です。
動産の引渡が適切に受けられない場合には、買主にとって売買契約の意味がなくなってしまうからです。
そのため、動産の売買契約においては、動産の引渡の態様を規定する必要があります。
そこで、本日は動産の引渡の4類型についてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 動産の引渡の4類型について

動産の引渡態様としては、①現実の引渡、②簡易の引渡、③占有改定による引渡、及び④指図による占有移転による引渡(民法182条から184条)の4類型があります。

①現実の引渡とは、譲渡人が譲受人に対して売買の目的物の現実の支配を移転することを指します。もっとも、一般的な引渡の態様であるものといえます。

②簡易の引渡とは、譲受人が現に対象物を所持する場合に譲渡人の意思表示のみによってする引渡しのことを指します。例えば、人から借りた物を気に入って購入する場合に、いったん物を返却した上で改めて引渡しをうけることは非常に迂遠ですので、そのような場合に利用されます。

③占有改定による引渡とは、物の占有者が、その物を手元に置いたまま、以後譲受人のために占有すべき意思を表示することによってする引渡のことを指します。例えば、自分の物を売却するものの、売却後も引き続き自分で使用する場合に利用されます。

④指図による占有移転による引渡とは、代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾することによって行う引渡のことを指します。

 

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試用期間の延長について

2022-07-11

従業員の試用期間を延長することは、就業規則等で具体的な内容を明記しない限りは法的には無効であり認められないと考えられております。
本日は、この点に関して参考となる裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 試用期間の延長について

この点について、参考となる裁判例として、ブラザー工業事件(名古屋地判昭59・3・23労判439・63)があります。

【判示の概要】
現行の社員登用制度の内容及び中途採用者の雇用の実態に基づいて右規定を法律的に解釈すると、見習社員が試用社員に登用された時点において、当該試用社員と会社との間に見習社員契約とは別個の期間の定めのない雇用契約が新たに成立し、右契約において原則として六か月の試用期間中に会社において当該試用社員が会社の正規従業員として不適格であると認めたときは、それだけの理由で右雇用契約を解約し得るという解約権を留保したものと解するのが相当である。

一般に、試用期間中の留保解約権に基づく解雇については本採用後の通常の解雇の場合よりも広い範囲の自由が認められるものと解されているから、試用期間中の労働者の地位は本採用後の労働者の地位に比べて不安定であるというべきである。会社においても、〈疎明〉によれば、社員の場合は、無届欠勤でない限り長期間病気欠勤をしても他企業のように休職制度はない代わり解雇されることはないことが認められるのに対し、前認定の中途採用者登用制度の内容によると、見習社員及び試用社員であると病気欠勤も勤怠基準である欠勤換算日数の中に一定の割合で算入されるためそれが長期に及べば雇止め又は解雇されることになるから、この一事からしても、見習社員及び試用社員の地位は社員に比べて不安定であることが明らかである。また、前認定のとおり、選考基準が改訂される場合は、改定後の基準が選考対象者に事前に周知されないため、選考対象者としてはどの程度の勤務・勤怠状態であれば不合格になるかの予測を立てることが不可能であることも見習社員及び試用社員の地位を不安定にさせているというべきである。
右のとおり、試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれるものであるから、労働者の労働能力や勤務態度等についての価値判断を行なうのに必要な合理的範囲を越えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し、その限りにおいて無効であると解するのが相当である。

以上のとおり、試用期間の延長に関しては、会社に規定がある場合でも公序良俗に反するとして無効と判断される可能性がありますので、十分注意する必要があります。

 

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当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
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保険料と課税価格について

2022-07-04

本日は保険料と関税価格についてご紹介いたします。
課税価格をどのように算定するか、課税価格にはどのような費用を加算する必要があるか、といったことは、輸入をビジネスとして行っている方にとっては、非常に重要な問題といえます。
特に保険料をどのように加算するかといった点は、運賃等と同様によく問題となる点といえます。
以下ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保険料と課税価格について

輸入貨物の課税価格を計算する場合の「輸入港までの運賃等」に含まれる「保険料」とは、原則として、輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に関して実際に要した保険料のことを指します。
そのため、輸入貨物が輸入港に到着した後の保険料(例えば、国内運送に係る保険料など)は、輸入貨物の課税価格には算入されません。
ただし、これらの費用が現実支払価格又は輸入港までの保険料等に含まれており、その額が明らかではない場合には、貨物を輸入するにあたって支払った保険料の総額を輸入貨物の課税価格に加算する必要があります。

なお、「輸入港に到着するまでに要する保険料」とは、原則として、輸入貨物の輸入港までの運送に関して実際に要した保険料のことをいいます。
そのため、輸入貨物に保険が付されていない場合には、実際に支払われていない保険料を見積もって課税価格に含める必要まではありませんのでご注意ください。

 

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著作権法46条1号から4号の規定内容について

2022-06-27

美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、自由利用が原則として認められております(著作権法45条)。
もっとも、著作権者の権利を不当に害する恐れが大きいと認められる場合には、例外的に自由利用が制限されております(著作権法46条1号から4号)。
以下、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 著作権法46条1号から4号の規定内容について

①彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合(1号)
なお、以下の4号に抵触しない場合には、写真、映画、絵画等として複製等し、またはそれを譲渡により公衆に提供することは自由と考えられております。

②建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合(2号)
なお、建築著作物を写真、映画、絵画等として複製等し、またはそれを譲渡により公衆に提供することは自由と考えられております。

③前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合(3号)

④専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合(4号)
なお、販売目的でない場合には、自由に利用することが出来ます。また、「専ら」とは、当該書籍等の内容や目的、利用態様、材質等を総合的に勘案し、鑑賞目的であるのか、それとも権利者の利益を不当に侵害するおそれがないのかどうか、という観点から判断されることになります。

以上のとおり、一定の場合には、自由利用が制限されておりますので、十分注意する必要があります。

 

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採用内定取消しと損害賠償

2022-06-20

本日は、採用内定取消し場合に、会社側が負う損害賠償義務に関する裁判例をご紹介いたします。
様々な事情からやむなく採用内定取消しを行う必要が生じる場合もあるものと思いますが、会社にどのような損害賠償義務が発生するかを認識しておくことは非常に重要ですので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 採用内定取消しと損害賠償

事案としては、会社側による内定契約の違法取消を理由として、内定予定者が会社に対して再就職までの逸失利益や慰謝料(400万円)等合計約735万円の支払いを求めた事案です。

【判示の概要】
原告(内定予定者)と被告代表者とは本件訪問の際、原告が将来訴外会社を退職して被告に入社すること、その際の労働条件として被告が原告に対して基本給として月額25万円を支給し別途法律に従った残業代も支給すること、を内容とする労働契約(本件内定契約)が成立したものというべきである。
原告は本件内定契約の成立を受けて訴外会社を退職したこと、原告は現在本件再就職先に就職して収入を得ているが、原告の現在の収入は訴外会社に勤務していた場合に比べて減少していることの各事実が認められる。他方、原告の収入に係る上記減少の額を認めるに足りる的確な客観的証拠は見当たらないことを始め、その他本件に現れた一切の事情を斟酌すれば,被告が原告に対して支払うべき慰謝料の額は50万円が相当であるというべきである。

 

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「小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」について

2022-06-13

情報の自由な流通という側面からは、自由な流通こそが重要といえますが、その一方で一定の情報に関して法的に保護をしないと、情報の作成者の創作意欲がなくなる可能性があり、社会全体としては好ましくない方向にいくことが懸念されます。
そのため、著作権法においては、著作物を、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義し(著作権法2条1項1号)、保護を図っております。
そして、著作権法において保護される著作物については、著作権法10条1項において例示されており、この例示の内容を正確に把握することが重要です。

本日は、そのうち、同法10条1項1号において保護される「小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」についてご紹介いたします。

 

1 「小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」について

言語の著作物とは、小説、脚本、論文、講演等のように、言語もしくはそれに類する表現手段により思想、感情が表現された著作物を指します。
ここで、言語の著作物であるためには、文書の形をとる必要はなく、口述でもよいとされております。
キャッチフレーズ、標語等のように簡略で短いフレーズの多くは著作権法上保護されないものと考えられておりますが、簡略なものであっても、思想・感情の創作的表現に該当する、例えば、俳句のようなものには著作物性が認められます。
これと同様に、書籍のタイトルについても、通常は著作物ではないと考えられておりますが、これもあくまでも書籍のタイトルは思想・感情の創作的表現とまではいえないと考えられるからです。

 

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商標法において保護される「標章の使用」について

2022-06-06

本日は、商標法において保護される「標章の使用」についてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 標章の使用について

商標法は、以下に掲げる行為を標章の使用として保護しております(商標法2条3項1号から10号)。

①商品又は商品の包装に標章を付する行為
②商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
③役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
④役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
⑤役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
⑥役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
⑦電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
⑧商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
⑨音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為
⑩前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

 

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輸入者が自力で貨物を運送した場合の運賃と課税価格の考え方について

2022-05-30

先日のコラムにおいて、貨物の運賃と課税価格の関係性についてご紹介いたしました。
本日は、輸入者が外部の業者等を利用することなく、自力で貨物を運送した場合における運賃と課税価格の考え方をご紹介いたしますので、併せてご確認いただけますと幸いです。

 

1 輸入者が自力で貨物を運送した場合の運賃と課税価格の考え方について

例えば、輸出国において、貨物を輸出者から引き渡された後、輸入者が自ら用意したチャーター機で日本まで貨物を運搬した場合、輸入者は自ら運搬を手配した以上は、運賃として課税価格に加算する費用はない、と考え、実際に輸入申告価格に運賃相当額を加算していない方もいらっしゃいます。
しかし、このような考え方は誤りですので、れまで上記の考え方を取っていた場合には至急今後の取扱いを変更していただく必要がある点には十分ご注意ください。

すなわち、課税価格に運賃として加算すべき費用は、輸入貨物を輸入港までに運送するために実際に要した費用になります。
そのため上記の例では、利用したチャーター機が輸入港までの運行に実際に要した燃料費や乗組員がいる場合には、その乗組員にかかった費用等の総額を加算することが必要です。
なお、運賃等の額を算定する場合には、客観的なかつ数値化された資料に基づいて行い、当該資料がないときは定率法4条の2以下の規定により課税価格の決定することになります。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

同じ会社との間で複数の雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方

2022-05-23

先日のコラムにおいて、複数の事業者との間で雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方をご紹介いたしました。
本日は、同じ会社との間で複数の雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方をご紹介いたします。
経営者の方にとっては非常に重要な考え方となりますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 同じ会社との間で複数の雇用契約を締結した場合における労働時間の考え方

この点について、参考となる裁判例として、千代田ビル管財事件(東京地判平18・7・26労判923・25)をご紹介いたします。
この事件は、Aという会社のパートタイマーとして「清掃夜勤契約」を締結した従業員が、その後、A社の正社員として「清掃日勤(深夜)契約を締結して働いた場合において、労働時間の考え方が問題となった事案です。

【判示の概要】
両契約は、当事者が同一、就労場所が同一であること、両契約は勤務時間が違うだけであるという側面があること、清掃夜勤に続いて清掃日勤(深夜)契約が正社員契約であり、本件清掃夜勤契約がパートタイマー契約であること等が認められ、これらの諸事実に照らすと、原告は、被告の正社員として22時から6時までの間就労義務を負っており、これに加えて、清掃夜勤として18時から20時30分までの間働くのは、本件清掃日勤(深夜)契約の時間外労働、換言すれば早出残業をしていると位置づけるのが相当である。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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運賃と課税価格について

2022-05-16

本日は、運賃と課税価格についてご紹介いたします。
些末な話だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、貨物の輸入をビジネスとして行っている方にとっては、貨物の運賃は必ず発生する費用であり、運賃と課税価格は密接な関係性をもつものです。
そのため、一回ごとの運賃はたいしたことなくても、回数を重ねると相当程度の金額となりますので、注意が必要です。
以下、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 運賃と課税価格について

まず、輸入貨物の課税価格は、現実支払価格にその含まれてない限度において運賃等の加算要素の額を加えた価格(取引価格)によることを原則としております。
そして、「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」は加算要素の一つとされております。

ここで、「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、原則として、輸入貨物を輸入港まで運送するために実際に要した運送費用のことを指します。
仮に、複数の輸入貨物に係る運賃が一括して支払われる場合には、原則として、個々の輸入貨物に関連する額を案分して当該輸入貨物の課税価格に算入することになるので、注意が必要です。
具体的には、運賃の案分は、運賃の算定基準(従量、容積等)によって行われることになります。

運賃と課税価格の考え方として、たまに問題となるのは、運送途上の日本の港で外国貿易船から他の外国貿易船に船移しがされた場合の課税価格への加算の考え方です。
この点については、課税価格に加算すべき運賃は、外国貿易船から船卸されるまでの運賃であり、外国貿易船から他の外国貿易船への船移しは、日本の港に船卸したわけではありませんので、特段考慮しないことになります(すなわち、最終的に日本の港で船卸されるまでの運賃が課税価格に加算されます。)。

 

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