事前教示制度~業務委託料の考え方~

輸入・輸出を業として行われている方は、事前教示制度という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

事前教示制度とは税番や関税評価について実際の輸出入を行う前に税関に対して照会を行い、税関側の判断を確認するための制度です。

税関のHPにおいては、事前教示制度における実際の回答内容が公表されておりますので、本日は、参考となる一例ご紹介いたします。

 

1 事案

日本所在のA社はE国所在の製造者であるB社との間で委託加工貿易を締結し日本から無償で提供した材料を加工させ、当該加工によって出来上がった製品である機器をCIF条件にて輸入しています。

そして、A社は輸出、輸入の手続を日本国内のX社に業務委託をしています。

このような取引状況について、照会者の見解は以下のとおりです。

『輸入者と輸出者は、輸入貨物の品質、数量、価格等について取り決め、瑕疵、数量不足等の危険を負担する者であることから、輸入者と輸出者による取引となります。そして、当該取引においてX社は、輸入者と締結した業務委託契約に基づき、輸入者の指示により輸入者の代理として当該取引に関する通関業務を行う手助けをしている者であることから、当該契約のうち輸入業務に関して支払われる対価の額は、関税定率法第4条第1項第2号イの「仲介料その他の手数料」に該当せず、課税価格に算入する必要はないものと考えます。他方で、輸出に関してX社に支払う手数料は、関税定率法第4条第1項第3号イの無償提供材料に係る費用の一部として、課税価格に算入する必要があると考えます。』

 

2 回答内容

輸入者がX社に支払う業務委託手数料のうち、E国への無償支給材料の輸出に係る業務に対する手数料については、輸入者が関税定率法第4条第1項第3号イに規定されている「輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの」を輸出者に提供するために要した運賃等の費用であって買手により負担されるものに該当することから輸入貨物の課税価格に算入されます。

他方で、E国からの輸入貨物の輸入に係る業務に対する手数料については、関税定率法第4条第1項第2号に規定されている「輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される手数料又は費用」には該当しないことから輸入貨物の課税価格に算入されません。

 

3 事前教示制度を利用する際には弁護士への事前相談もご検討ください

事前教示制度においては、正確な情報を税関に対して伝えることが非常に重要であり、間違った情報を踏まえた税関からの回答では何らの意味もありません。

税関に対してどのような情報をどのように伝え理解してもらうかということはなかなか難しいところでもあり、慎重に執り行う必要があります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、事前教示制度の利用をご検討いただいている場合には、まずはご相談ください。

 

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