Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category
関税等脱税事件に係る脱税額の推移
日本に貨物を輸入(ハンドキャリーを含む)する場合には、様々な法規制が存在します。
自分としては悪いことをしている認識がなかったとしても、法規制に違反してしまうとペナルティが発生することもありますので、十分注意する必要があり、軽い気持ちで行ったことが思わぬ重大な犯罪につながることもあります。
本日は、令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)における関税等脱税事件に係る脱税額の推移に関する統計情報(税関公表)をご説明いたします。
1 脱税額の現状
告発に進んだケースの関税額は106万円、内国消費税額は2億5079万円(前事務年度比15.2倍)でした。
次に、通告処分で終了したケースの関税額は778万円、内国消費税額は1億3598万円(前事務年度比72%)でした。
2 脱税額を踏まえた現在の状況
脱税額を踏まえた現在の状況を考えると、やはり金地金の密輸が圧倒的なウェイトを占めるということが分かります。
いわゆるコロナの流行期間においては海外との往来が行われておりませんでしたが、それ以前の期間から金地金の密輸は大問題として存在しておりました。
要するに、海外で金を購入し、日本に密輸して日本で販売すれば消費税分を丸々利益にすることができるということで、若い学生などを運び屋にして金地金の密輸をすることが多かったわけですが、現状でも金地金の密輸が非常に多く行われていることが分かります。
金地金の密輸は徹底的に防ぐことが必要であることは今更言うまでもありませんが、徹底的に防ぐことが重要であることは改めて強調したいところです。
3 貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルにはご注意ください
貨物の輸入、持ち込みに伴うトラブルには様々な種類がありますが、要するに、持ち込みが禁止されているもの(いわゆる禁制品)の持ち込みを試みるケースと、脱税目的で密輸するケースが大半です。金地金の密輸は後者です。
これらはいずれも重大な犯罪ですので、絶対に行ってはいけないことは言うまでもありませんが、軽い気持ち(バイト感覚)で知り合いから頼まれたから等の理由で行ってしまう人も一定程度存在します。
行ってしまったことは取り消せませんので、もしこれらの輸入におけるトラブルに巻き込まれてしまった場合には、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
貨物の原産地の表示にはご注意ください
貨物を輸入する際に、原産地を貨物上に記載、掲載している場合も多いと思います。
原産地表示は、原産地規則に基づいて行う必要があり、また、日本国内で商品を販売する場合も、正確な原産地を記載しないと景品表示法等で問題となるリスクがありますので、正確に記載する必要があります。
貨物の原産地を決定するための基準の概要は、以下の通りですので、ご参考となれば幸いです。
1 完全生産品基準
貨物が完全に特定の国で生産された場合、この基準が適用されます。
例えば、農産物や鉱物など、その国で完全に採取・生産されたものが該当します。
2 実質的変更基準
貨物がある国で加工・製造され、その結果、製品の性質や用途が大きく変わった場合に適用されます。この基準には具体的には以下の方法があります。
①HSコード変更基準
貨物の関税分類(HSコード)が製造過程で変更された場合です。
例えば、生地(HSコード:5208)が特定の国で縫製されてシャツ(HSコード:6105)になった場合、加工により商品分類(HSコード)が変わるため、実質的変更が行われたと判断されます。この基準は、単純な梱包や組み立てなどでは適用されず、製品の性質や用途が明確に異なることが求められます。
②付加価値基準
加工後の貨物における特定国での付加価値の割合が一定以上の場合です。
たとえば、自動車部品の輸入材料がある国で組み立てられ、完成車として輸出される場合です。この際、完成品に占める原材料費や輸入部品の割合を差し引いた「現地での加工付加価値」が40%以上であれば、実質的変更と見なされます。
③ 製造工程基準
特定の製造工程が行われた場合に適用
例えば、未加工のカカオ豆がある国でローストされ、チョコレートに加工される場合、特定の製造工程(焙煎や成形など)が行われたことにより、商品が別のものとみなされます。
この基準では、工程の重要性や不可逆性が重視されます。
3 原産地の表示にはご注意ください
国際貿易において『原産地規則』は非常に重要な役割を果たします。
また、日本国内で商品を販売する場合も、景品表示法等の関係で原産地表示は正確に行う必要があります。
『原産地規則』は、ある製品がどの国で「生産された」とみなされるかを決定する基準を指し、輸入ビジネスを行う上で、このルールを正しく理解することは、関税や通関の手続き、また日本国内での商品の販売のいずれにおいても不可欠です。
少しでも不安な点がある場合には、まずは専門家にお問合せいただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
該非判定の基本的な流れに改めてご注意ください
外為法上、貨物を輸出する場合には、リスト規制、キャッチオール規制といった規制の該当性を判断しなければならないことは、貨物の輸出を業として行っている法人や個人事業主の方に広く知られていることと思います。
また、大学や各種研究機関においては、共同研究や留学生の受け入れ等、外為法の規制該当性に関して非常に微妙な判断をする必要がある場面も多くあります。
1 貨物の該非判定の基本的な流れ
貨物を輸出する場合には、外為法上の規制該当性を判断するための該非判定を行う必要があります。
ここでは、形式的に貨物の表面上の内容を検討するだけでは不十分であり、例えば機械の場合には、装置内部に弁やポンプ、制御装置などがある場合にはそれぞれを個別に検討する必要が生じる場合もありますし、機械に使用されている技術として、内部プログラムやマニュアルなどについて個別に検討する必要が生じる場合もあります。
貨物等省令を前提に、運用通達や役務通達を踏まえて判断していくことになりますが、単に形式的な用語を判断するだけでは不十分であり、実質的な機能などに着目する必要がある点は改めて留意が必要です。
マトリクス表の利用等、該非判定に慣れている方も改めて検討の順序や方法をご確認いただくことをお勧めいたします。
2 外為法の規制には十分ご注意ください
貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。
日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。
日用品として用いる小さな機械製品であっても大量破壊兵器や一般兵器に転用することが可能な場合は多数存在します。
また、外為法上の許可を取得することが煩雑であることから、安易に特例の適用があると判断することは非常にリスクの高い行為であるといわざるを得ません。
知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
知的財産権を侵害する輸入差止物品の品目
知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。
昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。
このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。
1 令和5年における知的財産権を侵害する輸入差止物品の品目
税関の公表資料によれば、
①輸入差止件数は、衣類が1万401件、次いで財布やハンドバッグなどのバッグ類が9028件、靴類が4448件、携帯電話及び付属品が3373件でした。
②輸入差止点数は、煙草及び喫煙用具が31万7764点、次いで医薬品が11万8190点、衣類が8万4403点、イヤホンなどの電気製品が6万8976点でした。
件数としては、近年通りの傾向であり、衣類やバッグ類、靴類が多くの割合を占めております。他方で、点数としては、煙草及び喫煙用具が圧倒的に多く、これはこれまでの年度にはなかったことでした。点数については、1度の輸入で大量に輸入しようとする事業者がいると大きく割合が変わってきますので、件数とは異なり毎年点数ベースでの品目の割合は異なってくる印象です(なお、令和4年度は、医薬品や電気製品の方が煙草及び喫煙用具よりも点数ベースで多かったです。)。
2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください
知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。
物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。
また、意図的ではなかったとしても、意図的ではなかったということを証明することは難しい場合が多く、意図的だったか、それとも単なる不注意だったのか、ということは言葉で言うほど判別は簡単ではありません。
一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。
当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
知的財産権を侵害する輸入差止物品の種類
知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。
昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。
このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。
1 令和5年における知的財産権を侵害する輸入差止物品の種類
税関の公表資料によれば、
①輸入差止件数は、偽ブランド品を含む商標権侵害物品が3万448件、偽キャラクターグッズを含む著作権侵害物品が863件でした。
②また、輸入差止点数としては、商標権侵害物品が50万824点、次いで加熱式たばこ用カートリッジを含む意匠権侵害物品が44万2073点、著作権侵害物品が7万9221点でした。
件数ベースでは、商標権侵害が9割を超えており大半を占めておりますが、点数ベースでは、商標権侵害は5割弱であり、意匠権侵害も4割強を占めております。
商標権侵害が件数ベースでも点数ベースでも1番多い割合を占めることは最近の傾向ですが、著作権侵害と意匠権侵害については、どちらの方が件数や点数が多いかは年度によってまちまちであり、一概には判断できないところです。
貨物を輸入する事業者にとっては、商標権や著作権は馴染みのある概念ですが、意匠権についてはあまりなじみがない方も多い印象ですので、改めて意匠権についても留意する必要があります。
2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください
知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。
物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。
一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。
当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
知的財産権を侵害する物品の仕出国等の状況
知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。
昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。
このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。
1 令和5年における知的財産権を侵害する物品の仕出国等の状況
税関の公表資料によれば、
①輸入差止件数は、3万1666件にのぼり、その内件数が多い順に、中国を仕出しとするものが2万5271件、ベトナムを仕出しとするものが2690件、韓国を仕出しとするものが751件となっております。
②また、輸入差止点数としては、105万6245点であり、その内件数が多い順に、中国を仕出しとするものが92万1579点、ベトナムを仕出しとするものが6万6487点、香港を仕出しとするものが2万7720点となっております。
仕出国の9割以上を中国が占めていた時期もありましたが、最近は8割前後となっており、ベトナムの割合が1割前後と増加している印象です。また、かつては韓国を仕出国とする貨物が非常に多かったようですが、最近では韓国が占める割合は少なくなっております。
自分としては正規品を輸入しているつもりであっても、知的財産権を侵害する物品を輸入してしまっているケースも相当程度あるようですので、これらの国からブランド品等を輸入する場合には、知的財産権を侵害していないかどうかについて改めてご確認いただいた方が良いでしょう。
2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください
知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。
物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。
一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。
当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
知的財産侵害物品の差止状況について
知的財産権保護は世界中で広く求められている権利保護ですが、実際問題として、知的財産権を侵害する事例は後を絶ちません。
昨今では、PCやプリンター、生成AI等の発展によって、知的財産権を侵害する物品を作成することは従来よりも大幅に容易になりました。
このような状況の中で、税関の水際で知的財産権を侵害する物品として差止を受ける商品も年々増加しております。
1 令和5年における知的財産権を侵害する物品の差止状況
税関の公表によれば、
①輸入差止件数は、3万1666件にのぼり、前年比17.5%増です。
②また、輸入差止点数としては、105万6245点であり、前年比19.7%増でした。
③そして、輸入差止価額は、推計で約171億円となります。
私の実感としては、やはり偽ブランド品や偽キャラクターグッズ(いわゆる海賊版等)が非常に多い印象です。
海外で製作したものだから日本の知的財産権の侵害には該当しないのではないか、というような言い訳を行う方もいらっしゃいますが、知的財産権を侵害する物品を日本に持ち込むことは違法となりますので、どこで製作した物品であるかということは関係ありません。また、キャラクターグッズとして正確に作成している以上、問題ないのではないかという質問もたまにありますが、著作権上は、無断で複製をすること自体が違法となりますので、権利者の許可なくグッズを製作している段階で違法となってしまっていることには十分に注意が必要です。
2 知的財産権を侵害する物品の輸出入には十分ご注意ください
知的財産権を侵害する物品を輸出入してしまった場合、単に行政罰が課されるだけではなく、悪質なケースでは告発が行われて刑事事件となるリスクもございます。
物品を輸出する以上、日本での知的財産権の侵害には該当しない等、都合のよい解釈を行って問題と誤解していた場合でも、法律に違反していれば違法となってしまいます。
一度このような形で違法な輸出入を行ってしまうと、その後、輸出入を事業として継続することが難しくなる可能性もありますので、知的財産権を侵害する物品の輸出入にはくれぐれもご注意ください。
当事務所では、輸出入をめぐるトラブルのご相談を幅広くお受けしておりますので、既にトラブルが発生している場合や、事業を開始する前のリーガルチェック等、お気軽にご連絡ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
電子取引情報の保存方法について
輸入や輸出を業とする個人、法人は、該当の貨物に関する品名、数量及び価格等を記載した帳簿を備え付け、帳簿、書類及び電子データを保存する義務を負います。
ただ、実際のところ、このような各書類の保存を適切に行うことができていない事業者も多く存在するように思います。
また、一概に電子データといっても、どのようなデータとすべきか、よくわからない、保存方法が分からない等、実務としての対応に不安がある方も多いのではないでしょうか。
本日は、電子取引情報の保存方法に関して、税関の実務上の考え方をご紹介いたします。
1 電子取引情報の保存方法について
①電子メールに請求書等の書類が添付された場合の保存方法について
請求書等の書類が添付された電子メールそのものを自社システム上に保存する必要があります。または、添付された請求書等をサーバ等に保存する必要があります。
②発行者のウェブサイト上で領収書等をダウンロードする場合の保存方法について
まず、PDF データ等をダウンロードできる場合には、ウェブサイトに領収書等を保存する、又はウェブサイトから領収書等をダウンロードしてサーバ等に保存する必要があります。
次に、HTML データで表示される場合には、ウェブサイト上に領収書を保存する、又はウェブサイト上に表示される領収書をスクリーンショットし、サーバ等に保存する必要があります。また、ウェブサイト上に表示された HTML データを領収書の形式に変換し、サーバ等に保存することも可能です。
2 輸入や輸出の手続には様々なルールが存在します
関係書類や電子データの保存義務は、あくまでも様々な手続の中の一つであり、これ以外にも様々なルールが存在します。
これらのルールを適切に遵守しない場合には、輸入や輸出の手続が停止してしまうことや、脱税、密輸等の行政事件、刑事事件に発展するリスクも十分あります。
いずれにしても、ビジネス上は大きな支障となりますし、また、そもそも人生そのものに対しても大きな悪影響となり得ます。
これまで問題なく輸入や輸出をすることができたから問題ないと過信することは非常に危険です。一度問題が発生した場合には上記のとおり、取り返しのつかない状況となってしまうからです。
まずは、自社のビジネス上の各手続が問題ないかどうかをしっかりとチェックすることが重要ではありますが、様々なルールを正確に理解することが前提となりますので、ご不安な点がある場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
電子データの保存方法のよくある疑問点
輸入や輸出を業とする個人、法人は、該当の貨物に関する品名、数量及び価格等を記載した帳簿を備え付け、帳簿、書類及び電子データを保存する義務を負います。
ただ、実際のところ、このような各書類の保存を適切に行うことができていない事業者も多く存在するように思います。
また、一概に電子データといっても、どのようなデータとすべきか、よくわからない、保存方法が分からない等、実務としての対応に不安がある方も多いのではないでしょうか。
本日は、よくある疑問点について、税関の実務上の考え方をご紹介いたします。
1 よくある疑問点
①書類をスキャンする際のプリンタ等の性能について
規則上は、電磁的記録は、ディスプレイ等に出力して視認できるような状態である必要があります。プリンタやディスプレイの性能や設置すべき台数について必要要件はありません。
ただし、規則第 10 条第1項第2号及び同条第4項第4号において、電磁的記録は「速やかに出力することができる」ことが要件とされている点には注意が必要です。
②該当のデータを複数の媒体で保存することができるかどうか
原則として、データに関する検索機能については、関係帳簿書類を保存すべきこととなる期間内の関税関係帳簿書類に係るデータを通じて任意の範囲を指定して条件設定を行い検索ができる必要があります(令第 83 条第6項(同第8項)、通達 12 の 2-12/通達 94 の 2-28)。
しかしながら、法定の保存期間を通じて検索をすることが困難であることについて合理的な理由があるときには、該当のデータを複数の媒体で保存することができるとされています。例えば、データ量が膨大である等、複数の保存媒体で保存せざるを得ない場合等が、『合理的な理由』に該当すると考えられております。
③データは、事務所内のサーバで保存する必要があるかどうか
電磁的記録については、ディスプレイや書面に、法定の要件に従った状態で速やかに出力することができることが義務付けられているのみであり、データが保存されたサーバの設置場所についての決まりはありません。
そのため、クラウドサービスを利用することも可能ですし、海外にサーバーが置かれていても問題ありません(通達 94 の 2-7 注書き)。
2 輸入や輸出手続には様々なルールがありますのでご注意ください
輸入や輸出を事業として(あるいは副業として)行っている法人、個人の方は非常に多くおり、増加傾向にあります。
その一方で、輸入や輸出の手続に関しては様々なルールが存在しますので十分注意が必要です。ルールを正確に把握しない場合には、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあり、事業の存亡にかかわりかねません。
正確にルールを把握し、適切な輸入、輸出手続を行うことがビジネス上非常に重要ですので、万一、手続やルールに不安がある場合には、ご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
輸入事業者の書類保存義務
輸入や輸出を業とする個人、法人は、該当の貨物に関する品名、数量及び価格等を記載した帳簿を備え付け、帳簿、書類及び電子データを保存する義務を負います。
ただ、実際のところ、このような各書類の保存を適切に行うことができていない事業者も多く存在するように思います。
そこで、本日は、輸入者が保存すべき各書類をご紹介いたします。輸出者が保存すべき書類と大枠では同様ですが、保存期間が異なりますので、十分注意が必要です。
1 保存義務がある書類
(1)帳簿
まず、輸入者は、輸入許可が下りた日の翌日から7年間、帳簿を保存する必要があります。
帳簿における具体的な記載事項としては、該当の貨物の品名、数量、価格、仕出人の氏名(名称)、輸入許可年月日、許可書の番号を記載する必要があります。ただし、必要な事項が網羅されている場合には、既存の帳簿や仕入書等に追記したものでも代替可能であるとされております。
(2)輸入関係書類
輸入者は、輸入許可が下りた日の翌日から5年間、輸入関係書類を保存する必要があります。
輸入関係書類とは、
①輸入許可貨物の契約書、②仕入書、③運賃明細書、④保険料明細書、⑤包装明細書、⑥価格表、⑦製造者又は売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類、⑧その他税関長に対して輸入の許可に関する申告の内容を明らかにすることができる書類、
のことを指します。
(3)電磁的記録
輸入者は、輸入許可が下りた日の翌日から5年間、電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存する必要があります。
電磁的記録の具体的な内容としては、電子取引(インターネット等による取引、電子メール等により取引情報を授受する取引等を指します。)を行った場合における当該電子取引の取引情報、のことを指します。
2 輸出や輸入に関する不明点はお気軽にご相談ください
輸出や輸入に関しては、通常の売買とは異なる習慣や法規制が存在しますので、通常の売買と同じイメージをもち安易な対応を行うと思わぬ部分で足元をすくわれてしまうリスクがあります。
その一方で、輸出や輸入に関する知識を詳しく教えてもらうことができるケースは限られており、また、なんとなく輸出や輸入の手続を進めたとしても、手続自体は一見すると問題なく進む場合も多くあります。これは、輸入においては申告納税制度という制度が取られていることも多きない要因ではありますが、法律上は、輸入事業者は、輸入制度を適切に理解し、手続を行うことを前提として考えられております。
以上から、輸出や輸入という特別な取り扱いを行っていることを踏まえ、どのようにすればトラブルを回避することができるかを事前に把握した上で対応を行うことが非常に重要です。自社の輸出や輸入に関するフローが適切かどうかを再度確認いただくとともに、必要に応じて専門家にセカンドオピニオンを求める等、万全の態勢をトラブル発生前に構築しておくことが重要です。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
