Archive for the ‘コラム~人事労務・労使トラブル~’ Category
懲戒処分決定までの自宅待機の二重処分該当性について
懲戒処分(特に懲戒解雇)に相当するような問題行為をなした従業員に対して、懲戒処分決定までの間、自宅に待機させ、出勤を停止する処分を行うことがあります。
そして、このような自宅待機をさせること自体が懲戒処分に当たり、これに加えて、懲戒処分をする場合、1つの事案について二重処分をすることになるので、認められないのではないか、という問題点があります。
結論としては、一定の限定の下では二重処分には該当せず有効であるものと判断されますが、無条件に有効と判断されるわけではありません。
そこで、本日は、懲戒処分決定までの自宅待機が、当該社員に対する二重処分に該当するかどうかについて、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 懲戒処分決定までの自宅待機の二重処分該当性について
この点については、当該自宅待機が、懲戒処分としての出勤停止処分ではなく、処分決定までの間の証拠隠滅や同種行為の再発防止のため、就業制限を命じるものであり、その期間中の当該従業員に対する賃金を支払う前提のもとになされたものであり、かつ、自宅待機の処置及び本件解雇処分が極めて密接した期間内になされたものである場合には、懲戒処分には該当せず、その準備的な行為として有効であるものと判断した裁判例があります(昭和45・4・17大阪地判、淀川製鋼所事件)。
なお、この自宅待機期間の賃金は100%ではなく平均賃金の60%(労働基準法26条)でよく、休職発令がなされる場合であっても右の合理的妥当性が客観的に認められる場合ならば、60%の賃金で差し支えない点には注意が必要です。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
人事異動命令の拒否が認められるその他の場合について
本コラムでは、これまで、2回にわたり、人事異動の拒否が認められる場合をご紹介してまいりました。
本日は、これまでご紹介した以外で人事異動の拒否が認められる場合について、ご紹介いたしますので、これまでご紹介した内容とあわせてご参照いただけますと幸いです。
人事異動は企業が業務を円滑に進める上では非常に重要な仕組ですので、当該人事異動に制限がある場合については、企業としては十分に注意する必要があります。
1 技術・技能等の著しい低下となるもの
特に技術系統の社員については、技術や技能等は人格財産を形成することにつながるので、その能力の維持又は発展を著しく阻害するような職種の変更等は配転権の濫用となる可能性があります(昭和47・10・23名古屋地判、三井東圧化学事件)。
もっとも、昨今では、セールスエンジニア等については、本人の技術や技能の発展にむしろプラスであるという理由から、正当な配転と認められることもあります(昭和46・7・27前橋地判、新潟鉄工所事件等)。
2 私生活に著しい不利益を生ずるもの
一般の社員が通常予想されるような損害や苦痛を超えて、きわめて著しい場合には、認められることがあります。このような場合には、企業の人事異動を自由に認めると従業員にとって極めて酷な事態となってしまうため、裁判所は、人事異動命令の合理性を慎重に判断する傾向にあります。
例えば、重病の家族がいるにもかかわらず、家族の看護に影響を与える形での人事異動の場合には、人事異動命令に合理性がないと判断される場合があります(昭和43・8・31東京地判、日本電気事件)。
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人事異動の拒否が認められる場合にはご注意ください!
先日のコラムにおいて、従業員が、会社側からの人事異動命令を拒否することができる代表的な場合について、ご紹介いたしました。
本日は、先日ご紹介した事項以外で、人事異動の拒否が認められる場合についてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです
なお、前提として、会社には、人事異動を命じる権限が包括的に認められておりが、無制限に認められるわけではなく、命令権の行使が合理性がなく、配転・転勤命令権限の濫用に該当する場合には、無効となります。
1 不当労働行為に該当するもの
労働組合の組合員や組合活動家、役員であることを理由とする不利益取扱い、組合活動に打撃を与え、弱体化を意図するものなど組合の運営への支配・介入に該当するものは無効(労働組合法7条1号、3号)と判断されます。
裁判例でも、同様の理由から人事異動命令を無効としたものがあります(平成3・9・26大阪高判 朝日火災海上保険事件)。
2 思想・信条その他の差別的待遇に該当するもの
会社が、社員の国籍、信条又は社会的身分を理由とする差別的取り扱いをすることは禁止されているので、これに該当する人事異動命令は無効となります(労働基準法3条)。
裁判例(昭和40・4・22大阪地判 近江絹糸事件)でも以下のように判示されています。
【判示内容】
相当重大な勤務条件の不利益な変更であるにかかわらず、適正な配慮のもとになされなかったものであり、右転勤命令はいずれも、申請人らの主張するとおり申請人らが共産党の指示する思想を信奉することを理由としてなされた差別的取扱であることが一応推測できる。そうすると本件転勤命令は、いずれも労働基準法3条に違反して無効であるから、申請人両名がこれに従わなかったのは正当な理由がある。
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人事異動の拒否が認められる場合について
企業は人材の効率的な利用の観点から、人事異動を自由に行うことができるとお考えの方が多くいらっしゃいます。
しかしながら、一定の場合には従業員による人事異動の拒否が認められる場合もありますので注意が必要です。
そこで、本日は、人事異動の拒否が認められる場合をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです
1 人事異動の拒否が認められる場合について
まず、前提として、企業には、人事異動を命じる権限が包括的に認められております。
もっとも、無制限に認められるわけではなく、命令権の行使に合理性がなく、配転・転勤命令権限の濫用に該当する場合には、無効となります。
代表的な例をご紹介いたします。
①業務上の必要性がない命令である場合
業務上の必要性がない人事異動の命令は、労働契約上の法的根拠を欠くこととなるので、無効なる可能性が高いといえます。
裁判例においても、配転命令の業務上の必要性が不明確で、経営に批判的な立場にある労働者を遠ざけ、配転拒否により退職を期待する等不当な動機や目的を有する場合については権利濫用であり無効との判断がなされています(東京地決平成7・3・31 マリンクロメットメディカル事件)。
②労働条件が著しく低下する場合
従業員の日常生活に影響を及ぼす賃金の相当な減収となるものなどは、配転命令権の濫用(昭和34・3・1和歌山地決、和歌山バイル織物事件)と判断される可能性があります。
③職務・勤務の場所について社員の合理的な予想範囲を著しくこえるもの
労働契約締結の際の事情、従来の慣行、当該は移転における新旧職務間の差等を総合的に判断して、合理的であると考えられる範囲を超える著しい職務内容の変更等は無効となる可能性があります(昭和48.12.18大阪地判 名村造船所事件)。
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休暇について
休暇は、従業員にとって重要な仕組であり、また、昨今では適切に休暇を取得させない場合には、インターネット上等で労働環境が劣悪な企業等と書き込みがなされ、その結果、企業の評判に深刻な悪影響をもたらすリスクがあります。
そのため、経営者の方は、休暇に関する法的な仕組を正確に理解することが必須といえます。
そこで、本日は、労働基準法上規定されている代表的な法定休暇である年次有給休暇および産前産後休暇について、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
なお、一般に休暇と呼ばれているものには、労働基準法等の法律の規定に基づいて発生する法定休暇と、就業規則や労働協約等会社独自の規定によって発生する会社休暇の2種類があります。
1 年次有給休暇(労働基準法39条)
初年度に10日、翌年度より継続勤務年数1年ごとに1日ずつ、3年後からは2日ずつ増加する。最高20日で、2年間有効です。
初年度の要件としては、6ヶ月間の継続勤務及び全労働日の8割以上出勤する必要があります。
また、翌年度以降の要件としては、原則雇い入れの日から1年6ヶ月以上継続勤務していることと、全労働日の8割以上出勤が必要です。
2 産前産後休暇(労働基準法65条)
産前6週間(多胎妊娠14週間)、産後8週間の期間が設けられております。
なお、ここでいう「出産」とは、妊娠4か月以上の分娩をいい、生産のみではなく死産の場合も含み、人工妊娠中絶であっても、妊娠4か月以上の場合にはこの出産に該当します(昭和23・12・23基発1885号)
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減給処分の上限について
懲戒処分の一類型に減給処分があることは皆さまご存知だと思います。
では、減給処分を課す場合、会社側が任意の割合の減給処分を課すことができるのでしょうか。
結論としては、減給処分を課す場合も上限があり、会社側が任意の割合で減給処分を課すことはできません。
そこで、本日は、従業員に対して懲戒処分の1類型である減給処分を課す場合の上限についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 減給処分を課す場合の上限について
この点については、労働基準法91条において、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と規定しております。
要するに、懲戒対象である1つの事由に対する減給は、平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また、複数の事由に対して減給をする場合には、その総額が賃金支払い時期の賃金の10分の1を超えてはならないということが規定されております(昭和23.9.20基収1789号)。
なお、同条は、労働者が具体的賃金請求権を取得していることを前提に、制裁としてこれを減給する場合に適用される規定ですので(広島高判平成13.5.23)、遅刻・早退等の場合にその時間分に対応する賃金をカットする場合や、出勤停止処分に伴う賃金の不支給の場合は同条の適用はありません。
会社が従業員に対して減給処分を課す場合の上限に関する規律は上記のとおりですので、会社としては十分注意をして対応をする必要があります。
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うつ病の社員による無断欠勤への対応について
昨今、社員がうつ病になり欠勤するケースが多くなってきております。
実際、社員がうつ病になった経験のある経営者の方も相当程度いらっしゃるものと思われます。
うつ病が業務に起因するものである場合はもちろんのこと、私傷病である場合にも会社としては適切に対応することが必要です。
仮に適切に対応しない場合には、会社の人事労務に問題がある等の評判がインターネット上で投稿されるリスクもあり、会社の評判に大きな影響を及ぼす可能性がある問題といえます。
以下では、会社の対応に関して参考となる裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 参考となる裁判例について
最判平成24.4.27は、以下のとおり判示しました。
事案としては、うつ病の社員が無断欠勤をしたことを理由として、会社が当該社員に対して懲戒処分をしたというものです。
【判示内容】
精神的な不調のために欠勤を続けていると認められる労働者に対しては、精神的な不調が解消されない限り引き続き出勤しないことが予想されるところであるから、使用者である上告人としては、その欠勤の原因や経緯が上記のとおりである以上、精神科医による健康診断を実施するなどした上で(記録によれば、上告人の就業規則には、必要と認めるときに従業員に対し臨時に健康診断を行うことが出来る旨の定めがあることがうかがわれる。)、その診断結果等に応じて、必要な場合は、治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、その後の経過を見るなどの対応を採るべき
として、そのような対応を会社が取っていない以上、欠勤は懲戒事由である正当な理由のない無断欠勤に当たらず、懲戒処分は無効であるものと判断しました。
以上を踏まえますと、うつ病の社員が無断欠勤をしていたとしても、直ちに懲戒処分とするべきではなく、まずは、当該社員に対し、精神科医の受信を求めるなどの対応を求めることを検討する等慎重に対応した方がよいものと考えられます。
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会社の貸与PCを社員が私的利用していた場合について
「昨年からテレワークを導入しており、その関係で、社員に対して業務用にPCを貸与しております。ところが、ある社員が、当該PCを業務とは関係なく私的に利用していることが判明しました。当社としてはこのような行為は、会社に対する背信行為であると考えており、厳しく対応することを検討しております。例えば、懲戒解雇まですることはさすがにやりすぎでしょうか。」、というご相談があった場合、どのように回答するかは難しい側面があります。
というのも、懲戒を行うことは可能と考えられますが、重い懲戒処分をすることは事後的に違法と判断される可能性が高いからです。
以下では、参考となる裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 会社の貸与PCを社員が私的利用していた場合について
裁判例を前提としますと、会社の貸与PCの私的利用は、社員の職務専念義務違反に該当するものと考えられます。
しかしながら、当該事実だけをもって、重い懲戒処分を行うことができるということにはならず、会社においてPCの取扱い規定を設けているかどうかや、PCの私的利用の頻度やその内容を踏まえて、処分の相当性を判断することになります。
例えば、裁判例(札幌地判平成17.5.26)においては、会社にPCの取扱規程がないことや使用の頻度も多くはないこと、注意や警告が十分にされていなかったこと等を理由に、会社が社員に対して行った減給処分が重すぎるとして無効であるとの判断をしたものがあります。
また、他の裁判例(福岡高判平成17.9.14)は、社員が出会い系サイト関連と思われるメールのやり取りをしていた事案において、頻度、やり取りの内容を踏まえて、パソコンの取扱規程がない場合でも、到底認められない場合に当たるとして、懲戒解雇を有効と判示したものがあります。
以上の裁判例はあくまでも個別具体的な判断に基づくものといえますが、社員への対応に関して参考となる裁判例といえます。
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経歴詐称の従業員に対する懲戒解雇について
「先日入社した従業員について、入社面接時に提出してもらった履歴書に記載された経歴が事実とは異なること、要するに、経歴詐称が発覚しました。会社としては、このような従業員に対しては厳格に処分することを考えているのですが、懲戒解雇まですることは可能でしょうか。そもそも、入社の前提とされた事実が異なる以上、当然に懲戒解雇が可能であると考えられるのですが。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、経歴詐称の従業員に対する懲戒解雇の可否についてご説明いたします。
1 経歴詐称の従業員に対する懲戒解雇について
従業員が経歴詐称をしていた場合について、裁判所は、経歴は企業秩序の維持に関係する事項であることから、労働者は経歴につき真実を申告すべき義務があり、これを詐称することは懲戒事由となり得るとの立場を取っております(最判平成3.9.19)。
そして、経歴詐称につき、正しい経歴を使用者が認識していた場合には当該社員を採用しなかったといえる場合には、懲戒解雇が認められると判示した裁判例もあります(東京高判昭和56.11.25、東京地判平成22.11.10)。
上記の裁判例を前提とすると、経歴詐称があった場合でも、採用時に経歴が重視されていなかった場合には、懲戒解雇までは認められない可能性がありますので、経歴詐称を理由に社員を懲戒解雇するかどうかを検討する際には、「正しい経歴を知っていれば、採用したかどうか」、について、慎重に検討した上で判断をする必要があります。
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懲戒解雇の普通解雇への転換について
「問題行動を起こした従業員に対して懲戒解雇をしたものの、その後再検討したところ懲戒事由に該当する事由までは認められず、普通解雇とすべき事案であったことが判明しました。そこで、既に行った懲戒解雇を普通解雇に転換したいのですが、このような取扱いは可能でしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、懲戒解雇の普通解雇への転換、すなわち、社員を懲戒解雇とした後、事情を再検討したところ、普通解雇が相当との判断となった場合に、事後的に無効な懲戒解雇を有効な普通解雇に転換することができるかどうか、についてご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 懲戒解雇の普通解雇への転換について
この点について、裁判例において、「懲戒解雇としては無効であるが、普通解雇としては有効である」と判断することは、懲戒権の行使として行われる懲戒解雇の意思表示と民法の解雇事由の原則の中で行われる中途解約の意思表示である普通解雇の意思表示とでは法的性質が異なる、という点を無視するものであり、このような無効行為の転換を安易に認めれば、労働者の地位を著しく不安定にするとして、原則的に許されないという趣旨の判示をしております(福岡高判昭和47.3.30、東京地判24.11.30)。
したがいまして、会社としては、原則的には、事後的に無効な懲戒解雇を有効な普通解雇に転換することはできないとの前提に立って、懲戒解雇を行う場合には、慎重に対応する必要がある点にはご注意ください。
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