経歴詐称の従業員に対する懲戒解雇について

「先日入社した従業員について、入社面接時に提出してもらった履歴書に記載された経歴が事実とは異なること、要するに、経歴詐称が発覚しました。会社としては、このような従業員に対しては厳格に処分することを考えているのですが、懲戒解雇まですることは可能でしょうか。そもそも、入社の前提とされた事実が異なる以上、当然に懲戒解雇が可能であると考えられるのですが。」、というご相談をお受けすることがあります。

そこで、本日は、経歴詐称の従業員に対する懲戒解雇の可否についてご説明いたします。

 

1 経歴詐称の従業員に対する懲戒解雇について

従業員が経歴詐称をしていた場合について、裁判所は、経歴は企業秩序の維持に関係する事項であることから、労働者は経歴につき真実を申告すべき義務があり、これを詐称することは懲戒事由となり得るとの立場を取っております(最判平成3.9.19)。
そして、経歴詐称につき、正しい経歴を使用者が認識していた場合には当該社員を採用しなかったといえる場合には、懲戒解雇が認められると判示した裁判例もあります(東京高判昭和56.11.25、東京地判平成22.11.10)。

上記の裁判例を前提とすると、経歴詐称があった場合でも、採用時に経歴が重視されていなかった場合には、懲戒解雇までは認められない可能性がありますので、経歴詐称を理由に社員を懲戒解雇するかどうかを検討する際には、「正しい経歴を知っていれば、採用したかどうか」、について、慎重に検討した上で判断をする必要があります。

 

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