懲戒解雇の普通解雇への転換について

「問題行動を起こした従業員に対して懲戒解雇をしたものの、その後再検討したところ懲戒事由に該当する事由までは認められず、普通解雇とすべき事案であったことが判明しました。そこで、既に行った懲戒解雇を普通解雇に転換したいのですが、このような取扱いは可能でしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、懲戒解雇の普通解雇への転換、すなわち、社員を懲戒解雇とした後、事情を再検討したところ、普通解雇が相当との判断となった場合に、事後的に無効な懲戒解雇を有効な普通解雇に転換することができるかどうか、についてご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 懲戒解雇の普通解雇への転換について

この点について、裁判例において、「懲戒解雇としては無効であるが、普通解雇としては有効である」と判断することは、懲戒権の行使として行われる懲戒解雇の意思表示と民法の解雇事由の原則の中で行われる中途解約の意思表示である普通解雇の意思表示とでは法的性質が異なる、という点を無視するものであり、このような無効行為の転換を安易に認めれば、労働者の地位を著しく不安定にするとして、原則的に許されないという趣旨の判示をしております(福岡高判昭和47.3.30、東京地判24.11.30)。
したがいまして、会社としては、原則的には、事後的に無効な懲戒解雇を有効な普通解雇に転換することはできないとの前提に立って、懲戒解雇を行う場合には、慎重に対応する必要がある点にはご注意ください。

 

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