うつ病の社員による無断欠勤への対応について

昨今、社員がうつ病になり欠勤するケースが多くなってきております。
実際、社員がうつ病になった経験のある経営者の方も相当程度いらっしゃるものと思われます。
うつ病が業務に起因するものである場合はもちろんのこと、私傷病である場合にも会社としては適切に対応することが必要です。

仮に適切に対応しない場合には、会社の人事労務に問題がある等の評判がインターネット上で投稿されるリスクもあり、会社の評判に大きな影響を及ぼす可能性がある問題といえます。
以下では、会社の対応に関して参考となる裁判例をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 参考となる裁判例について

最判平成24.4.27は、以下のとおり判示しました。
事案としては、うつ病の社員が無断欠勤をしたことを理由として、会社が当該社員に対して懲戒処分をしたというものです。

【判示内容】

精神的な不調のために欠勤を続けていると認められる労働者に対しては、精神的な不調が解消されない限り引き続き出勤しないことが予想されるところであるから、使用者である上告人としては、その欠勤の原因や経緯が上記のとおりである以上、精神科医による健康診断を実施するなどした上で(記録によれば、上告人の就業規則には、必要と認めるときに従業員に対し臨時に健康診断を行うことが出来る旨の定めがあることがうかがわれる。)、その診断結果等に応じて、必要な場合は、治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、その後の経過を見るなどの対応を採るべき
として、そのような対応を会社が取っていない以上、欠勤は懲戒事由である正当な理由のない無断欠勤に当たらず、懲戒処分は無効であるものと判断しました。

以上を踏まえますと、うつ病の社員が無断欠勤をしていたとしても、直ちに懲戒処分とするべきではなく、まずは、当該社員に対し、精神科医の受信を求めるなどの対応を求めることを検討する等慎重に対応した方がよいものと考えられます。

 

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