能力不足の従業員の解雇について

「業務遂行能力、営業成績等が著しく劣る従業員を解雇したい。仕事も満足にできない以上解雇しても問題ないと考えているが、このような考えで問題ないでしょうか」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、必ず解雇できるというわけではなく、諸般の事情を総合的に考慮した上で解雇の可否を検討する必要があります。

以下では、参考となる裁判例をご紹介いたします。

 

1 前提としての考え方

就業規則上、解雇事由として「勤務成績又は業務能率が著しく不良で、社内での指導を経ても向上の見込みがないとき」等の規定があったとしても、会社が当該従業員を直ちに解雇することができるわけではありません。
従業員の能力不足を理由とした解雇の場合、解雇権濫用に当たるか否かは、その従業員の能力不足の内容や程度、改善の見込みの有無等の様々な状況を踏まえて総合的に判断する必要があります。

 

2 ブルームバーグ・エル・ピー事件(東京地判平24・10・5判時2172・132)

本裁判例では、「勤務能力ないし適格性の低下を理由とする解雇に「客観的に合理的な理由」(労働契約法16条)があるか否かについては、まず、当該労働契約上、当該労働者に求められている職務能力の内容を検討した上で、当該職務能力の低下が、当該労働契約の継続を期待することができない程に重大なものであるか否か、使用者側が当該労働者に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかったか否か、今後の指導による改善可能性の見込みの有無等の事情を総合考慮して決すべきである」、と判示しています。

この判決に従えば、①能力不足が重大であるか否か、②会社からの指導による能力改善の機会があったのか、③今後の改善の見込みがあるのかなど諸般の事情を踏まえて総合的に判断する必要があると考えられます。

以上の裁判例を踏まえますと、能力が他の従業員と比較して著しく低いというだけの事情で解雇することは困難であると考えられます。
そのため、会社としては、当該従業員に対して繰り返し粘り強く指導を行いつつ、必要に応じて会社内での配置換えや他部署への異動を行う等を通して可能な限り雇用継続の努力をする必要があるように思います。

その上で、将来的に解雇するという判断をする場合に備えて、能力不足や業務に支障が生じている点について、現段階からその状況を客観的に記録化しておくことが必須の対応となります。

 

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