Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category

EXW条件について

2021-05-14

インコタームズは国際取引で利用されることが多い貿易取引条件のことであり、所有権の移転や危険負担等に関して規定するものです。
法律や条約というものではなく、あくまでも長年の商慣習を整理して定型化したものですので、当事者がインコタームズを採用する場合には、契約でその旨を合意する必要があります。なお、現在はインコタームズ2020が公表されておりますが、まだまだインコタームズ2010の利用も多いといえます(インコタームズはおおよそ10年ごとに改訂されます。)。

そこで、本日は、インコタームズ2010の内の一つであるEXW条件をご紹介します。

 

1 EXW条件について

EXW条件とは、工場渡条件とも呼ばれております。
売主にとって最小の義務を規定する条件といえます。
すなわち、EXWとは、売主が、売主の施設またはその他の指定場所(工場や倉庫等)において物品を買主の処分に委ねたとき、引渡しの義務を果たすことを意味します。そして、売主は、物品が引き渡されるまでは、物品の滅失・損傷の危険を負担します。

売主は、物品を、受取り用の車両に積み込む必要はなく、また、適用できる場合には、物品を輸出するために通関する必要はありません。そのため、買主の立場からは、輸出通関許可の取得を手配することが難しい場合には、EXWを使用することは避けた方がよいものと思われます。

また、売主は、買主に対して、運送契約および保険契約を締結する義務を負いません。
買主は、指定引渡地における合意した地点があれば、その地点からの物品の引取りに伴う一切の費用と危険を負担することになります。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

反則調査の結果について

2021-05-12

令和2年11月4日付けの財務省発表の令和元事務年度(令和元年7月から令和2年6月までの1年間)における関税等脱税事件に係る犯則調査の結果をご紹介いたします。
調査の結果は、大要以下のとおりです。
反則調査は、通常の方には関係ないものと考えられますが、貨物の輸入をビジネスとして行っている方は、ご参考までにご一読いただけますと、どのような行為が問題となっているかが改めてわかるものと思われます。

 

1 反則調査の結果について

①関税等の脱税事件に対して全国の税関が行った犯則調査の結果、令和元事務年度に処分(検察官への告発又は税関長による通告処分)した件数は271件(前事務年度比51%)、脱税額は、総額で約4億5千万円となりました。

②処分した事件のうち、金地金の密輸事件が199件と約7割を占め、その脱税額は総額で約3億6千万円となりました。
令和元事務年度に処分した関税等脱税事件のうち、金地金の密輸事件が処分件数では約7割、脱税額では約8割と依然として大部分を占めました。

金地金の脱税事件の告発事件としては、以下の2例が紹介されております。
(i)犯則者Aが韓国から入国する際に、金地金約 9.5kgを手荷物カート内に隠匿し、税関長の許可を受けることなく輸入しようとし、消費税等約483万円を不正に免れようとした事案を告発しました。
(ii)犯則者Bが台湾から入国する際に、金地金4kgを身辺に隠匿し、税関長の許可を受けることなく輸入しようとし、消費税等約140万円を不正に免れようとした事案について、共犯者も含め告発しました。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

輸入許可前貨物の引取承認制度について

2021-05-10

貨物の輸入をビジネスとして行っている方はもちろんのこと、貨物を輸入した経験がある方は、貨物を輸入する場合には、輸入許可を取得する必要があることはご存知だと思います。
原則として、輸入許可取得後でなければ輸入貨物を引き取ることができませんが、特別な事情があり、輸入申告の後、関税額に相当する担保を提供し、税関長の承認を受けた場合は、輸入許可前に貨物を引き取ることが可能です。
この制度を「輸入許可前引取り」(関税法第73条)(「BP通関」等と呼ばれる場合もあります。)といいます。

以下、輸入許可前引取りについてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 輸入許可前引取りについて

輸入許可前引取りは、輸入申告において他法令による許可、承認等が必要な場合はそれらを得ていることを税関に証明することが必要です。
このほか、申告貨物について原産地の虚偽表示・誤認表示がある場合、当該貨物が輸入を許可するにふさわしくない、または申請がもっぱら関税の延納を目的とするなど、明らかに本制度の本旨に反すると認められる場合には輸入許可前引取りの承認は受けられませんので注意が必要です。

輸入許可前引取りが承認されるのは以下の場合です。

①税関側の事情により輸入許可が遅延する場合
新規輸入品など課税標準の審査に日時を要する場合、分析、検定を要するなどの理由により関税率表の分類に時間を要する場合など

②申告者側において、特に引き取りを急ぐ理由があると認められる場合
輸入貨物が消散、漏洩、変質または損傷のおそれがあるものである場合や、輸入貨物である原材料の在庫がなく、工場の操業などに支障をきたす場合など

③申告者側の事情により輸入許可が遅延する場合
インボイスがプロフォーマであること、または契約が揚地ファイナルであることなどの理由により、課税標準の決定に日時を要する場合など

④その他の場合
税関長が輸入許可前引取りを承認すべきやむを得ない理由があると認める場合など

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

予備審査制について

2021-05-09

本日は、迅速な輸入通関手続につながる制度として設けられている予備審査制をご紹介いたします。なかなか利用には難しい面もありますが、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 予備審査制について

予備審査制とは、貨物が日本に到着する前や輸入関連手続の完了前の時期に、あらかじめ輸入申告書類を税関に提出することで、税関の審査や検査要否の事前通知を受けることができ、迅速な輸入通関手続きにつながる制度です。
例えば、生鮮貨物など引取を急ぐ貨物、取引先への納期限が厳格な貨物等において使用される場合が想定されております。

予備審査制の利用に当たっては、

①対象貨物:すべての輸入貨物が対象となります。
②提出書類:予備申告書(輸入(納税)申告書を使用)、インボイス、その他課税標準の決定のために必要な書類等
③提出官署:貨物の蔵置予定場所を管轄する税関官署
④提出時期:予備申告は、輸入申告予定日における外国為替相場が公示された日、又は、予備申告を行おうとする貨物の船荷証券(航空貨物では、Air Way Bill)が発行された日のいずれか遅い日

 

2 予備審査制を利用する場合のメリット

予備審査制の利用に関しては、次のメリットが挙げられます。

①書類審査が貨物の到着前に行われます。
②他法令手続が必要な貨物については、税関手続と他法令手続との同時並行処理が行われます。
③検査の要否が原則、輸入申告前に判明しますので、貨物の引取りのための事前準備が行えます。ただし、検査の要否の事前通知を行った後であっても、検査を実施する必要があると認められる場合には、事前通知の内容を変更する場合があります。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

保税展示場について

2021-05-07

保税地域には、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域の5種類がありますが(関税法29条)、貨物の蔵置を目的とした保税蔵置場のみご存知の方も多いのではないでしょうか。
保税展示場も重要な施設ですので、以下では、保税展示場の概要をご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保税展示場の概要

保税展示場とは、外国貨物について輸入許可を取得することなく、展示等することができる場所のことを指します。
例えば、ある展示会場が保税展示場の許可(関税法62条の2)によって、管轄の税関の税関長から保税展示場の許可を得た場合、所定の手続き(関税法62条の3)を経ることにより、輸入許可を得ることなく当該展示場に搬入することができます。
なお、貨物を保税展示場に搬入するためには、展示等申告書を税関長に提出して承認を受ける必要があります。

 

2 展示品の販売

保税展示品を展示会の期間中に保税展示場内で販売する場合、販売用貨物等の蔵置場所の制限等(関税法62条の4)によって、その販売は輸入とみなされます。
展示品の引渡し前に、その展示品が置かれている場所を管轄する税関に用途外使用等承認申請書を提出し、次いで輸入(納税)申告書を使用して輸入申告を行い、関税や消費税等を管轄税関に納付する必要があります。
これにより、当該展示品は内国貨物となり、自由に販売することができるようになります。

また、別の制度ではありますが、保税展示場の許可を受けていない展示場に貨物を搬入する際には、再輸出免税の制度を利用することによって、展示会場に免税で輸入することができる点は便利な制度であるものといえます。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

保税工場について

2021-05-06

保税地域には、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域の5種類があること(関税法29条)は、先日のコラムでもご紹介いたしました。
このうち、貨物の蔵置を目的とした保税蔵置場は、一般の方にも馴染みのあるものと思われますが、保税工場には馴染みのない方も多いのではないでしょうか。

本日は、保税工場の概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保税工場の概要

保税工場とは、外国から日本に届いた貨物について、輸入許可を受けることなく、加工や製造などを行うことが出来る場所として税関長が許可した場所のことを指します。
保税工場における加工や製造の期間は原則として2年となります(一定の要件を満たせば延長可能です。)。
基本的には、この期間中に外国から日本に届いた貨物を加工や製造をした上で、外国に送り出すことになります(加工・製造した貨物をそのまま日本で販売することはできません。)。

 

2 「みなし蔵置場」について

保税工場の被許可者は、その保税工場において使用する輸入貨物について、その保税工場に入れた日から3か月までの期間に限り、その保税工場について保税蔵置場の許可を併せて受けているとみなす取扱いをすることが可能です(関税法56条2項、関税法基本通達56-16)。
これを、「みなし蔵置場」と呼称しており、その場所を利用できる貨物は次のとおりとなっております

①その保税工場において外国貨物のままで又は輸入の許可を受けて保税作業に使用されることが見込まれる原料品
②上記①の輸入原料品と同種の輸入原料品で、輸入の許可を受けてその保税工場における内貨作業に使用されることとなるもの

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

保税蔵置場について

2021-05-04

本日は、保税地域の一つの類型である保税蔵置場についてご紹介いたします。

 

1 保税蔵置場の概要

保税蔵置場は、輸入許可前の貨物や輸出許可後の貨物を一時的に蔵置するための場所であり、税関長が許可をした場所が保税地域となります。
保税倉庫等と呼ばれることもあり、保税地域の中では馴染みがある方も多いのではないでしょうか。

蔵置期間は、長期蔵置としては、最初に承認を受けた日から2年間(別の保税蔵置場にも置かれていた場合には、その間の期間も併せて、最初の承認から2年間)です。
他方で、承認の必要のない一時蔵置の場合には3カ月間蔵置できます。
いずれも一定の要件を満たせば延長可能です。

 

2 保税蔵置場で行うことができる作業

保税蔵置場では、主に以下の3つの作業を行うことができます。

①輸入許可前の貨物や輸出許可後の貨物の積卸し、運搬、蔵置(関税法42条)
②貨物の点検、改装、手入れ等(関税法49条、40条)
③見本の展示や簡単な加工等(関税法49条、40条)

 

3 自社の倉庫を保税蔵置場として利用することを希望する場合

貨物の内容によっては、自社の倉庫で保管することが望ましい場合もあるものと思われます。
自社の倉庫を保税蔵置場として利用することを希望する場合には、事前に自社倉庫のある地域を管轄する税関長に対して、保税蔵置場の許可を得る必要があります。

なお、保税蔵置場の許可を受けた場合、許可後に保税蔵置場の拡張等を自由に行うことができるわけではなく、当該保税蔵置場の貨物の収容能力を増加、または減少、あるいはその改築、移転その他工事をしようとするときは、あらかじめ税関に届出なければなりません(関税法44条1項)。

 

4 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

指定保税地域について

2021-05-03

本日は、保税地域の内の1つの類型である、指定保税地域についてご紹介いたします。

 

1 指定保税地域の概要

指定保税地域とは、国や都道府県等の地方公共団体等が所有、管理する土地や建物等の公共施設に設置されるもので、財務大臣が指定してはじめて指定保税地域としての機能を有します。
指定保税地域は、通関手続を簡易、迅速に処理するために設けられたものです。

指定保税地域で行われる作業としては、具体的には、輸入許可前の貨物や輸出許可後の貨物等の積卸しや、貨物等の一時(原則として1か月)蔵置です。
指定保税地域は、主として税関手続のために貨物を置く場所として設けられたものであるため、税関所在地の近くに設置されていることが多いといえます。

以下では、各税関における代表的な指定保税地域をご紹介いたします。

①函館税関が管轄税関である函館港指定保税地域(北海道函館市海岸町24番4号、26番1号、港町2丁目32番、36番32地先)

②東京税関が管轄税関である京浜港晴海埠頭地区指定保税地域(東京都中央区晴海5-6、5-7)

③横浜税関が管轄税関である京浜港山下埠頭地区指定保税地域(神奈川県横浜市中区山下町277~279)

④名古屋税関が管轄税関である名古屋港ガーデンふ頭地区指定保税地域(愛知県名古屋市港区港町108)

⑤大阪税関が管轄税関である大阪港港頭地区指定保税地域(大阪府大阪市港区海岸通地先、1丁目、2丁目1番2号、2丁目2番、2丁目地先、3丁目地先、4丁目地先等)

⑥神戸税関が管轄税関である神戸港新港地区指定保税地域(兵庫県神戸市中央区新港町等)

⑦門司税関が管轄税関である関門港門司地区指定保税地域(福岡県北九州市門司区西海岸1~3丁目等)

⑧長崎税関が管轄税関である長崎港小ヶ倉柳埠頭地区指定保税地域(長崎県長崎市小ケ倉町3丁目76番94等)

⑨沖縄税関が管轄税関である那覇ふ頭指定保税地域(沖縄県那覇市通堂町124)

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

キャッチオール規制について

2021-04-29

貨物を輸出する場合、輸出貿易管理令に基づき様々な規制がある点は、以前のコラムでもご紹介いたしました。
本日は、この輸出貿易管理令におけるキャッチオール規制に関してご紹介いたします。

輸出貿易管理令別表第1の第16項では補完的輸出規制品目(キャッチオール規制)が規定されておりますが、個々では、輸出貨物の仕向地を以下の4つの地域に分類し、それぞれの地域の懸念の度合いに応じて輸出許可の要否を規定しております。

 

1 輸出管理徹底国

通常兵器や大量破壊兵器の輸出規制の国際的合意に参加し、輸出管理が適正に行われている国で、ホワイト国とも呼ばれております。
これらの国に16項該当品目を輸出する場合には、輸出の許可は必要ありません。

具体的には、輸出貿易管理令別表3に掲載されている以下の国です。

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ

 

2 国連武器禁輸国

国連の安全保障理事会の決議により武器の輸出を禁止されている国のことを指します。
これらの国に16項該当品目を輸出する場合には、輸出の許可が必要となります。

具体的には、輸出貿易管理令別表3に掲載されている以下の国です。
アフガニスタン、コンゴ、エリトリア、イラク、レバノン、北朝鮮、ソマリア、スーダン、中央アフリカ

 

3 懸念国

輸出貿易管理令別表4に掲載されている、イラン、イラク、北朝鮮のことを指します・

 

4 弁護士へのご相談をご希望の方へ

貨物の輸出・輸入にあたってどのような規制があるかについては、正確に理解しておかないと、スムーズな輸出・輸入の妨げとなり、ビジネスに大きな影響を与えます。
当事務所は、代表弁護士が輸出入・通関に関する唯一の国家資格である通関士の資格を有しており、輸出・輸入、通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入、通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

輸出PL保険について

2021-04-28

PL保険の種類は、輸入品を含む日本国内で販売される製品を対象とした国内PL保険と、輸出される製品を対象とした輸出PL保険に分かれることは、以前のコラムでご紹介いたしました。
本日は、このうち、輸出PL保険に焦点をあてて、ご説明いたします。ご参照いただけますと幸いです。

 

1 輸出PL保険の約款

日本の損害保険は、輸出貨物に対する生産物について、アメリカの保険会社が一般的に採用し、世界各国で通用している英文の賠償責任保険証券の生産物責任保険特別約款により、保険を引き受けています。

 

2 輸出PL保険のてん補範囲

輸出PL保険では、通常、次の損害が保険金支払いの対象となります。

①法律上の賠償責任を負うことによって被害者に支払うべき損害賠償金
②解決のための諸費用、保険会社が被保険者を守るための裁判又は損害賠償請求の解決のために要した費用。例えば、裁判費用、弁護士報酬、示談解決のための費用等。

国内PL保険では、保険会社の同意を得た訴訟費用及び弁護士費用であれば、勝訴、敗訴に関わらず保険の対象となる一方で、輸出PL保険では、被保険者(輸出者等)に対する訴訟が根拠のないもの、誤ったもの、あるいは不正のものであっても、保険者(保険会社)は被保険者を防御する権利と義務を有しております。

この点は、輸出者にとってはおおきなメリットであり、輸出者が輸出PL保険を必要とする理由の一つとも言われております。

以上のとおり、輸出PL保険は、国内PL保険とは異なる特色を有しており、輸出者がビジネスを行う上で非常に有益なものとなる可能性がありますので、輸出をビジネスとして行っている場合には、保険をご利用いただくかどうかを一度はご検討いただくことをお勧めいたします。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

03-5877-4099電話番号リンク 問い合わせバナー