インコタームズは国際取引で利用されることが多い貿易取引条件のことであり、所有権の移転や危険負担等に関して規定するものです。
法律や条約というものではなく、あくまでも長年の商慣習を整理して定型化したものですので、当事者がインコタームズを採用する場合には、契約でその旨を合意する必要があります。なお、現在はインコタームズ2020が公表されておりますが、まだまだインコタームズ2010の利用も多いといえます(インコタームズはおおよそ10年ごとに改訂されます。)。
そこで、本日は、インコタームズ2010の内の一つであるEXW条件をご紹介します。
1 EXW条件について
EXW条件とは、工場渡条件とも呼ばれております。
売主にとって最小の義務を規定する条件といえます。
すなわち、EXWとは、売主が、売主の施設またはその他の指定場所(工場や倉庫等)において物品を買主の処分に委ねたとき、引渡しの義務を果たすことを意味します。そして、売主は、物品が引き渡されるまでは、物品の滅失・損傷の危険を負担します。
売主は、物品を、受取り用の車両に積み込む必要はなく、また、適用できる場合には、物品を輸出するために通関する必要はありません。そのため、買主の立場からは、輸出通関許可の取得を手配することが難しい場合には、EXWを使用することは避けた方がよいものと思われます。
また、売主は、買主に対して、運送契約および保険契約を締結する義務を負いません。
買主は、指定引渡地における合意した地点があれば、その地点からの物品の引取りに伴う一切の費用と危険を負担することになります。
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