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外国貿易船の出向前報告について

2021-06-22

本日は、外国貿易船の出向前報告について、ご紹介いたします。
輸出入をビジネスとして行っている方にとってもあまり馴染みのない内容である者と思われますが、実際の貨物の運搬に関しては重要な意義がありますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 出向前報告制度

外国貿易船が海上コンテナー貨物の船積港を出港する前に、電子情報処理組織(NACCS)により、当該外国貿易船が入港しようとする開港の所在地を所轄する税関に報告しなければなりません(関税法15条7項、8項、関税法施行令12条9項)。

 

2 報告義務者(関税法15条7項、8項、関税法施行令12条9項)

報告義務者は、次の①、②に該当する者です。
①外国貿易船の運航者等、②積荷の荷送人

 

3 報告期限(関税法施行令12条7項)

原則として、外国貿易船が積荷の船積港を出港する24時間前までに報告する義務があります。

 

4 主な報告事項(関税法施行令12条8項、10項)

主な報告事項は、以下の①から③に該当する事項です。
①外国貿易船の名称及び国籍
②積荷の仕出地及び仕向地、荷送人及び荷受人の住所、氏名
③積荷の記号、番号、品名及び数量、船荷証券又は複合運送証券の番号

 

5 報告を怠った場合

報告を怠った場合には、刑事罰に処せられる可能性もありますので、十分ご注意ください。
①積荷の船卸しが認められない。船卸をするためには、改めて積荷に関する報告をし税関長の許可を受けなければならない(関税法16条3項)。
②1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります(関税法114条の2項1号)。

 

6 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

懲戒処分の告知方法

2021-06-21

「問題行動を起こした従業員に対して懲戒処分をする予定です。懲戒処分の告知方法については特に何のルールもなかったと思うので、口頭で告知すればよいでしょうか。それとも、正式な通知書のようなものを作成した方がよいでしょうか」、というご相談をお受けすることがあります。

そこで、本日は、会社が社員に対して懲戒処分をする場合、口頭でその旨を通知することの是非についてご紹介いたします。

 

1 懲戒処分の告知方法について

法律上、懲戒処分の告知方法に関する規定はありませんので、会社が従業員に対して口頭で懲戒処分の告知をした場合も、懲戒処分の法的効力が無効となるわけではありません。
もっとも、口頭で告知する場合、懲戒処分の内容がよくわからなかった、また、そもそも懲戒処分の告知を受けていない等といった、従業員側からの事後的な反論を踏まえる必要があり、口頭で通知をしたことを示す証拠を残す必要があります。
このような証拠を残す手間を考えると、最初から書面で通知を行ったほうがよいものと考えられます。

書面で通知をする場合の注意点としては、書面での通知の場合、書面が相手に到達する必要があります(民法97条1項)。判例によれば、当該到達とは、相手方が意思表示を了知できる状態に置かれたことを意味し、現実に了知することまでは必要ないと判断されております(最判昭和36.4.20)。

なお、裁判例では、従業員が懲戒解雇の通知である内容証明郵便の受領を拒否した事案につき、従前の経緯から懲戒解雇の通知が発信されたことを認識し、「郵便物お預かりのお知らせ」により郵便局に郵便があることを認識し、かつ、郵便局で受取拒否の手続きをしたという事実経過からすれば、当該従業員は容易に意思表示を受領できたとして、解雇の意思表示は有効に到達したと判断したものがあります(東京地判平成14.4.22)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

外国貿易船の入港手続について

2021-06-20

本日は、外国貿易船の入港手続の概要についてご紹介いたします。
貨物の輸入者にとっては、輸入通関手続の前の段階の話にはなりますが、手続の概要についてはある程度認識していた方が輸入者として望ましいですので、以下ご説明いたします。

外国貿易船が開港へ入港する場合に葉、船長は税関に対して入港手続きを行う必要があります(関税法15条)。
税関では、船長に対して入港手続きを履行する義務を課すことによって、税関がこれらの船舶の入港の事実を確認し、また、積荷、旅客及び乗組員に関する事項の報告義務を課することによって、その船舶又は航空機の積載貨物、船用品等の状況を知り、これに基づいて具体的な取り締まりの方法を講ずることとしております。

 

1 事前報告について

開港に入港しようとする外国貿易船の船長は、あらかじめNACCSにより、当該外国貿易船の積荷、旅客及び乗組員に関する事項をその入港しようとする開港の所在地を所轄する税関に報告しなければなりません(関税法15条1項、2項、14項)。

 

2 積荷に関する事項(関税法施行令12条3項1号)

船舶の名称及び国籍、詰んでいる貨物の仕出地、仕向地、記号、番号、品名、数量、荷送り人、荷受人及び船荷証券又は複合運送証券の番号、当該貨物が詰められているコンテナーの番号、当該貨物の船積港を出港した日時

 

3 積荷に関する事項の報告の求め(関税法15条の2)

税関長は、事前報告があった場合において、関税法の実施を確保するためその内容を明確にする必要があると認めるときは、その入稿前に、当該積荷の荷受人その他所定の者に対し、報告を求めることができます。

 

4 入港後の手続(関税法15条3項、4項、6項)

外国貿易船が開港に入港したときは、船長は、入港の時から24時間以内に所定の事項を記載した入港届、船用品目録を税関に提出するとともに、船舶国籍証書又はこれに代わる書類を税関職員に提示しなければなりません。

 

5 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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懲戒処分前の自宅待機期間の賃金について

2021-06-19

「問題行動を起こした従業員に対して懲戒をすることを検討しています。懲戒の要否及び内容を検討するにあたり少し時間が必要なので、当該従業員を自宅待機としました。自宅待機期間は、賃金を支払う必要はないものと考えておりますが、問題ないでしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、企業はこの場合原則として賃金を支給する義務がありますので、ご注意いただく必要があります。

以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 懲戒処分前の自宅待機期間の賃金について

この点について、裁判例においては、まず、このような自宅待機命令は、労働契約上の一般的な指揮命令権に基づく業務命令として行うものであると考えられております(千葉地判平5.9.24等)。
ここで、自宅待機命令を受けた従業員は、労働契約上の義務である労務を提供できないことになりますが、このように従業員が労務を提供できない理由は、企業側が調査をしているからですので、企業側の都合によるものと考えられます。
そのため、企業側は原則として従業員に対して賃金を支払う必要があります(民法536条2項)。

もっとも、裁判例上、従業員に自宅待機命令をする理由として、不正行為の再発や証拠隠滅の恐れなど緊急かつ合理的な理由が存在する場合には、企業側は賃金の支払義務を免れるとしたものがあります(名古屋地判平成3.7.22)。
ただし、例外的なケースであるように思われますので、賃金を支払わないとの判断をする場合には、きわめて慎重な判断が必要となります。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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災害などによる期限の延長について

2021-06-18

関税法又は関税定率法その他関税に関する法律に基づく申告、請求、納付等の期限についてですが、東日本大震災のような大規模な災害(特定災害)が発生した場合には、その規定された期限までに申告、請求、納付等を行うことができなくなることがあるので、特別に期限の延長が認められることとされております(関税法2条の3)。

以下、概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 特定災害による被災者等に対する期限の延長(関税法2条の3第1項、関税法施行令1条の4)

震災、風水害、火災、雪害、落雷、噴火、その他の自然現象の異変による災害及び火薬類の爆発その他の人為による異常な災害であって財務大臣が指定した特定災害があった場合において、特定災害によって相当な災害を受けた地域として財務大臣が指定した地域に当該災害が発生した時に住所又は居所を有していた被災者が、特定災害が発生した日から財務大臣が指定する日までの間に到来する関税法又は関税定率法その他関税に関する法律に基づいて行わなければならない申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収の期限については、財務大臣が指定する日の翌日まで延長されます。

 

特定災害により、期限が延長された者がその申請等をする場合には、延長された期限に該当する旨を記載した書面に、当該特定災害が発生した時に指定地域に住所又は居所を有しており、かつ、その被災者であることを証明する書類を添付して、税関長に提出します(関税法2条の3第2項、関税法施行令1条の5)。

 

2 特定災害被災者に対する期限の2月以内の再延長について(関税法2条の3第3項)

税関長は、上記1によって延長された期限について、その指定した特定災害地に起因するやむを得ない理由により、その延長された期限・指定日までに申請等をすることができないと認めるものがあるときは、その理由のやんだ日から2月以内に限り、その者に係る当該延長された期限を再び延長することができます。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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懲戒解雇と解雇後の事由発覚について

2021-06-17

「ある社員を先日懲戒解雇したのですが、解雇後別の懲戒事由が確認できました。当該社員の解雇事由を追加した方がよいものと考えているのですが、追加して問題ないでしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、ある社員を懲戒解雇した後に、別の懲戒事由が発覚した時に、この事由を当初の懲戒解雇の事由として追加することができるかどうかをご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 懲戒解雇と解雇後の事由発覚について

この点について、判例(最判平成8.9.26)は、「使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである」として、「懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情がない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠づけることはできないものというべき」と判示しております。

ここで、当該判例で判示された、懲戒事由の追加が認められる「特段の事情」とは、どのような場合が該当するかというと、懲戒事由とされた行為と実質的に同一性を有する行為を追加する場合が、これに該当する、と判示している裁判例がある点は参考になります(東京高判平成13.9.12、山口地岩国支判平成21.6.8)。

なお、上記の判例では、使用者が、懲戒処分時に認識していなかった事由を追加することに関して判示されていますが、懲戒処分時に使用者が認識しながら懲戒処分の理由として追加することはできないと判示した裁判例があります(東京地判平成24.3.13)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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輸入とみなさない外国貨物の使用・消費について

2021-06-16

先日のコラムにおいてみなし輸入に関してご紹介いたしました。
そこでは、外国貨物が輸入される前に本邦において使用され、又は消費される場合には、その使用し、又は消費する者がその使用又は消費の時に当該外国貨物を輸入するものとみなさる(関税法2条3項)、とご紹介したものと思います。

しかしながら、このような外国貨物の使用又は消費について、輸入とみなさない場合がありますので、注意が必要です。
本日は、どのような場合に輸入とみなさないのかをご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 輸入とみなさない外国貨物の使用・消費について

外国貨物の輸入前における本邦での使用又は消費を全て輸入とみなすことは適当ではないので、以下の場合には、輸入とみなされておりません(関税法2条3項かっこ書き、関税法施行令1条の2)。

①保税地域において関税法により認められたところに従って外国貨物が使用され、又は消費(指定保税地域、保税蔵置場における見本の展示、簡単な加工等、保税工場における保税作業保税展示場における展示、使用等)される場合

②本邦と外国との間を往来する船舶や航空機に積まれている外国貨物である船用品や機用品をそれらの船舶や航空機においてその本来の用途に従って使用し、又は消費する場合

③旅客や乗組員がその携帯品である外国貨物をその個人的な用途に供するため使用し、又は消費する場合

④税関職員その他の公務員がその権限に基づいて収去した外国貨物である見本等をその権限に基づいて使用し、又は消費する場合

このように、一定の場合には、外国貨物の使用・消費を輸入とはみなさない点には注意が必要です。

 

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懲戒解雇前に自主退職した従業員の退職金の取扱いについて

2021-06-15

「懲戒解雇をする予定の従業員に対して、懲戒解雇をする旨伝えたところ、当該従業員が自主退職をした。このような場合、懲戒解雇の場合には退職金の支給はないところ、懲戒解雇を予定していた以上、退職金を支給する必要はないものと考えているが、問題ないか。」というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、ケースバイケースであり、一律結論が定まっているものではありませんので、慎重な対応が必要です。
なお、退職後に、懲戒解雇事由が判明することもありますので、退職金の支給時期について、退職後直ちに支給することを予定している場合には、これを一定期間経過後と変更しておいた方が安心です。

本日は、懲戒解雇前に自主退職した従業員の退職金の取扱いについてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 懲戒解雇前に地涌退職した従業員の退職金について

懲戒解雇は、労働契約の存在を前提とするものです。
そのため、従業員が自主退職をし、労働契約が終了した後は、懲戒解雇することはできません。
そうすると、理論的には、懲戒解雇したことを理由とする退職金の不支給という取扱いをすることができないこととなります。

このような、考え方については、裁判例でも同様の考え方をしたものがあります。
広島地判平成2.7.27では、懲戒解雇した場合に退職金を支給しないという規定しかない場合において、懲戒解雇前に従業員が自主退職をした以上は、原則として、退職金を不支給とすることはできないと判示しました。

これに対して、裁判例の中には、退職金規程上、懲戒解雇による場合は退職金を不支給または減額にすることができる旨の条項があったものの、対象者が自主退職してしまい、懲戒解雇することができなかったという事案において、当該条項により退職金を不支給または減額とすることはできないが、退職金の性格(特に功労報酬的性格)に照らすと、それまでの勤労の功を抹消または減殺する程度にまで著しく信義に反する行為があったと認められるときは、元従業員による退職金請求は権利濫用になるとし、実際に権利濫用に該当すると判断したものがあります(大阪地判平成21.3.30)。

 

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みなし輸入について

2021-06-14

貨物を輸入する場合には、適切に輸入申告を行い輸入許可を受ける必要があります。
しかしながら、一定の場合には、貨物が輸入されたものとみなすという対応が取られる場合があることをご存知でしょうか。
本日はこのような、みなし輸入について、ご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 みなし輸入について

保税展示場又は総合保税地域に入れられた外国貨物が保税展示場等内で販売された場合には、その販売が輸入とみなされます(関税法62条の4第2項、第62条の15)。

また、外国貨物が輸入される前に本邦において使用され、又は消費される場合には、その使用し、又は消費する者がその使用又は消費の時に当該外国貨物を輸入する物とみなされます(関税法2条3項)。
これは、関税法2条1項1号に掲げる輸入の定義においては、「輸入とは、外国貨物を本邦に(保税地域を経由する者については、保税地域を経由して本邦に)引き取ることをいう。」と規定しているため、貨物を保税地域内又は保税地域以外の場所で使用し、又は消費することを輸入とすることはできないので、これを特に輸入とみなすこととしたものです。

貨物の使用、消費の例としては、所定の輸入手続きをする前に、外国貨物である自動車を乗り回すことや、酒類を飲用すること等があります。
また、保税地域に蔵置されている外国貨物の一部を、その所有者が分析のための見本として当該保税地域内で消費する行為や保税展示場内において観覧者が外国貨物である食品を試食する行為も、使用、消費に該当するものと考えられております。

 

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懲戒解雇と解雇予告手当について

2021-06-13

本日は、従業員を懲戒解雇する場合の解雇予告手当の支給に関してご説明いたします。
懲戒解雇をする以上は、解雇予告手当の支給は不要ではないかとお考えのかいらっしゃるものと思われますが、原則として、解雇予告手当の支給は必要ですのでご注意ください。

 

1 懲戒解雇と解雇予告手当について

解雇予告手当については、労働基準法20条に定めがあり、同条1項は、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においても、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない」と規定しております。

そして、同条3項は、同法19条2項を引用して、20条1項但書の場合は行政官庁(労働基準監督署長)の認定を受けることが必要です。
このように、法律上は、労働基準監督署長の除外認定がない場合、解雇予告手当の支払義務は免れませんので、注意が必要です。

裁判例の中には、この除外認定について、行政庁による事実確認の手続にすぎず、解雇予告手当支給の要否は、客観的な解雇予告除外事由の存否によって決せられるとの立場を取ったものも存在します(東京地判平成16・12・17、大阪地判平成20・8・28等)。

しかしながら、現実的な対応といたしましては、あくまでも、除外認定の取得を試み、除外認定が得られない場合は、解雇予告手当を支払うか、または予告期間を設けて解雇するという保守的な対応を取った方が無難であることの方が多いように考えられます。

 

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