懲戒解雇と解雇後の事由発覚について

「ある社員を先日懲戒解雇したのですが、解雇後別の懲戒事由が確認できました。当該社員の解雇事由を追加した方がよいものと考えているのですが、追加して問題ないでしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、ある社員を懲戒解雇した後に、別の懲戒事由が発覚した時に、この事由を当初の懲戒解雇の事由として追加することができるかどうかをご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 懲戒解雇と解雇後の事由発覚について

この点について、判例(最判平成8.9.26)は、「使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである」として、「懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情がない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠づけることはできないものというべき」と判示しております。

ここで、当該判例で判示された、懲戒事由の追加が認められる「特段の事情」とは、どのような場合が該当するかというと、懲戒事由とされた行為と実質的に同一性を有する行為を追加する場合が、これに該当する、と判示している裁判例がある点は参考になります(東京高判平成13.9.12、山口地岩国支判平成21.6.8)。

なお、上記の判例では、使用者が、懲戒処分時に認識していなかった事由を追加することに関して判示されていますが、懲戒処分時に使用者が認識しながら懲戒処分の理由として追加することはできないと判示した裁判例があります(東京地判平成24.3.13)。

 

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