懲戒処分の告知方法

「問題行動を起こした従業員に対して懲戒処分をする予定です。懲戒処分の告知方法については特に何のルールもなかったと思うので、口頭で告知すればよいでしょうか。それとも、正式な通知書のようなものを作成した方がよいでしょうか」、というご相談をお受けすることがあります。

そこで、本日は、会社が社員に対して懲戒処分をする場合、口頭でその旨を通知することの是非についてご紹介いたします。

 

1 懲戒処分の告知方法について

法律上、懲戒処分の告知方法に関する規定はありませんので、会社が従業員に対して口頭で懲戒処分の告知をした場合も、懲戒処分の法的効力が無効となるわけではありません。
もっとも、口頭で告知する場合、懲戒処分の内容がよくわからなかった、また、そもそも懲戒処分の告知を受けていない等といった、従業員側からの事後的な反論を踏まえる必要があり、口頭で通知をしたことを示す証拠を残す必要があります。
このような証拠を残す手間を考えると、最初から書面で通知を行ったほうがよいものと考えられます。

書面で通知をする場合の注意点としては、書面での通知の場合、書面が相手に到達する必要があります(民法97条1項)。判例によれば、当該到達とは、相手方が意思表示を了知できる状態に置かれたことを意味し、現実に了知することまでは必要ないと判断されております(最判昭和36.4.20)。

なお、裁判例では、従業員が懲戒解雇の通知である内容証明郵便の受領を拒否した事案につき、従前の経緯から懲戒解雇の通知が発信されたことを認識し、「郵便物お預かりのお知らせ」により郵便局に郵便があることを認識し、かつ、郵便局で受取拒否の手続きをしたという事実経過からすれば、当該従業員は容易に意思表示を受領できたとして、解雇の意思表示は有効に到達したと判断したものがあります(東京地判平成14.4.22)。

 

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