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検査費用と課税価格

2023-08-29

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された加算要素を適切に把握して正確に算定することが重要です。

本日は、買手が支出する検査費用が加算要素に該当するかどうか、その考え方をご紹介いたします。

 

1 検査費用の考え方について

輸入取引における検査費用の加算の可否を検討する上において、必須の規定が関税定率法の基本通達にあります。

具体的には、関税定率法基本通達4-2の3において、輸出国における輸入貨物の検査に要する費用の取扱いについて、「検査」とは、輸入貨物が売買契約に定める品質、規格、純度、数量等に合致しているか否かを確認するための検査又は分析をいうとされています。

また、同通達(1)において、売手(売手の依頼を受けた検査機関等の第三者を含む。)が自己のために行った検査に要した費用で買手が負担する場合は、課税価格に算入するとされ、同通達(2)において、買手(買手の依頼を受けた検査機関等の第三者を含む。)が自己のために行った検査に要した費用で買手が負担する場合は、課税価格に算入しないものとされています。

要するに、買手と売手間の売買契約を踏まえて、売手が行うべき義務に含まれるような検査であれば、当該検査費用を買手が負担した場合には、輸入申告価格に加算する必要があります。

他方で、売買契約とは関係なく、例えば買手側の都合で検査をする場合には、特段輸入取引には関係ありませんので、当該検査費用を買手が負担したとしても課税価格に加算する必要はありません。

もっとも、このいずれであるかは実際問題としては微妙な場合も多いと言えますので、慎重に検討する必要があります。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です。

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

特に加算要素については、関税定率法や基本通達において細かく規定されておりますので、漏れが発生することも多い内容です。

また、検査費用の考え方は上記のとおり間違えやすいところですので十分注意する必要があります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

第三国における貨物の引き渡し

2023-08-22

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された輸入取引に関するルールを踏まえて正確に検討することが重要です。

本日は、第三国において引き渡しがなされた場合の輸入取引該当性についてご紹介いたします。

 

1 第三国において引き渡しがなされた場合の輸入取引該当性について

第三国において引き渡しがなされた場合の輸入取引の該当性についてご説明致します。

例えば、輸入者が、輸入貨物を本邦へ引き取ることを目的として、F国所在のサプライヤーと売買を行ったとします。

そして、本件輸入貨物を E国で一時保管することとし、サプライヤーとの間では、CIF(E国港)条件で売買契約を締結したとします。

この場合、本邦に運び込まれる貨物は、輸入者が E国内の保税倉庫で保管している自己所有貨物であることから、当該貨物の本邦への到着をもたらしているのは、本邦内需要に応じた輸入者自身の出荷計画による本邦への引取り行為であると認められます。

以上のことから、本件輸入貨物は、関税定率法第4条第1項に規定する「輸入取引」により輸入されるものとは認められないことから、同項の規定により課税価格を計算することはできず、法第4条の2以下の規定により計算することとなります。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

特に輸入取引の該当性については、関税定率法や基本通達において細かく規定されておりますが、万一誤った解釈を行ってしまうと、輸入申告価格が適正な価格から大きく異なるものとなってしまうリスクがあります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

輸入港の入港スケジュールについて

2023-08-15

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法施行令第1条の4第3号に規定する「本邦において当該輸入貨物に課される関税その他の公課」に該当する場合には、輸入貨物の課税価格に含まれません。

そのため、各費用についてどの段階で発生するものかを慎重に把握することが非常に重要です。

 

1 本船が輸入港に入港する際のスケジュールについて

本船が輸入港に入港する際のスケジュールの一例をご紹介いたします。

①「FREE PRATIQUE GRANTED」(検疫済み)

検疫当局により検疫審査を通過し、検疫済みを認められた時点   

②「END OF SEA PASSAGE」(大洋航海終了)

大洋(外洋)航海を終了した時、又は港内航行に備えてエンジンをスタンバイとした時点     ③「NOR TENDERED」(荷役準備完了通知提出)

船側において船卸し等ができる状態になり、港に対し荷役準備完了通知を発した時点

④「COMMENCE DRIFTING」(漂泊開始)

漂泊のため、主要機関をアイドリングとした時、又はごく低速航行に移行した時点    

⑤「COMMENCE PROCEEDING TOWARD PILOT STATION」(水先案内人乗船場所へ向けて航行開始)

航行のため主要機関の回転数を上げた時、又は推進が認められた時点    

⑥「PILOT ON BOARD」(水先案内人乗船)

水先案内人が乗船した時点    

⑦「NOR ACCEPTED」(荷役準備完了通知受理)

用船者・荷受人・荷送人・ターミナルなどによって荷役準備完了通知が受理された時点

⑧「FIRST LINE ASHORE」(着桟(着岸・着漂)開始)

最初の係船索(船舶を係留するために使う綱)が陸上に渡った時点    

⑨「ALL FAST」(着桟(着岸・着漂)完了)

全ての係船索(船舶を係留するために使う綱)を取り、固縛が完了した時点    

⑩「PILOT AWAY」(水先案内人下船)

水先案内人が下船した時点    

⑪「SHORE GANGWAY DOWN」(陸側ギャングウェイ(人道橋)設置)

陸側ギャングウェイ(人道橋)がデッキ上に降り、固定された時点

⑫「CARGO ULLAGING INITIAL」(初期貨物アレッジ(検尺))

荷役前の検尺が終わった時点    

⑬「CARGO CALUCULATIONS INITIAL」(初期貨物量計算)

荷役前の貨物量計算が終わった時点    

⑭「CARGO ARMS CONNECTED」(貨油アーム結着)

貨油アームを本船マニフォールド(タンクの底から伸びたパイプの出口)に接続し、漏洩なく結 着している事が確認された時点    

⑮「SAFETY MEETING/CHECKLIST」(安全ミーティング・チェックリスト)

各種チェックリストによるチェックを完了させ、荷役前会議を完了した時点

 

以上のスケジュールにおいては、輸入港到着の時点は「ALL  FAST」の時点と判断されることになります。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、仮に意図的ではなかったとしても脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格を安易に考えてしまう事は避ける必要があります。

輸入申告価格については誤解も多い部分ですので関税定率法や基本通達の内容を正確に把握した上で、適切に対応することが重要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

ライセンス料の加算の可否

2023-08-08

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された加算要素を適切に把握して正確に算定することが重要です。

本日は、ライセンス料についてご紹介いたします。

 

1 ライセンス料と課税価格について

ライセンス料に関する関税定率法等における重要な規定は次のとおりです。

①関税定率法基本通達4-13(1)において、「特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもので政令で定めるもの」(以下「特許権等」という。)とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権及び著作隣接権並びに特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるものをいうとされています。

②同通達4-13(3)において、「輸入貨物に係る」特許権等の使用に伴う対価とは、輸入貨物に関連のあるものをいい、例えば、次のような場合における特許権等の対価をいうとされています。

イ 特許権(実用新案権についても同じ。)については、輸入貨物が特許発明である物品(特許発明である物品の生産に専ら使用される部品、材料等を含む。)である場合、特許製法による生産物である場合、方法特許を実施するための物品である場合

ロ 意匠権については、輸入貨物が意匠(模様、形状等)を有している場合

ハ 商標権については、輸入貨物が商標を付したものである場合又は加工後に商標が付されるものである場合

ニ 著作権(著作隣接権についても同じ。)については、輸入貨物が著作権の対象を含んでいるものである場合 なお、特許権等のうち、上記に掲げるもの以外のものについては、上記に準じて取り扱うものとする。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です。

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、仮に意図的ではなかったとしても脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格を安易に考えてしまう事は避ける必要があります。

特に加算要素については、関税定率法や基本通達において細かく規定されておりますので、漏れが発生することも多い内容です。

また、ロイヤリティやライセンス料については誤解も多い部分ですので関税定率法や基本通達の内容を正確に把握した上で、適切に対応することが重要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

ライセンス料と課税価格

2023-08-01

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された加算要素を適切に把握して正確に算定することが重要です。

本日は、ライセンス料についてご紹介いたします。

 

1 ライセンス料と課税価格について

ライセンス料に関する関税定率法等における重要な規定は次のとおりです。

①関税定率法第4条第1項第4号において、「当該輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(当該輸入貨物を本邦において複製する権利を除く。)で政令で定めるものの使用に伴う対価で、当該輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするために買手により直接又は間接に支払われるもの」が規定されています。

②関税定率法施行令第1条の5第5項において、上記①に規定する政令で定めるものとは、「実用新案権、著作権及び著作隣接権並びに特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるもの」とされています。

③関税定率法基本通達4-13(1)において、「特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもので政令で定めるもの」(以下「特許権等」という。)とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権及び著作隣接権並びに特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるものをいうとされています。

そして、同通達において「特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるもの」とは、「特許権その他の工業所有権にはいたらないが、生産その他の事業等に関して繰り返して使用される程度に確立された技術上の創作、独自の考案、秘けつその他経済的価値を有するもの(例えば、ノウハウ、登録されていない意匠等)をいう。」とされています。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です。

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

特に加算要素については、関税定率法や基本通達において細かく規定されておりますので、漏れが発生することも多い内容です。

また、ロイヤリティやライセンス料については誤解も多い部分ですので関税定率法や基本通達の内容を正確に把握した上で、適切に対応することが重要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

買付手数料の考え方

2023-07-25

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された加算要素を適切に把握して正確に算定することが重要です。

本日は、例外的に加算要素から除外される買付代理人に対する手数料に関してご紹介いたします。

 

1 買付手数料について

関税定率法基本通達4-9(1)において、仲介料その他の手数料とは、輸入取引に関して業務を行う者に対し買手が支払う手数料をいうと規定されております。

このうち、「買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として買手により支払われる手数料」以外のものは、課税価格に算入するとされています。

そして、同通達(3)において、買付手数料に該当するか否かの判断は、契約書等における名称のみによるものではなく、手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行うものとし、具体的には以下の①から③までの各要素を踏まえるとされています。

①手数料を受領する者が「買付けに関し買手を代理して当該買付けに係る業務を行う者」であることが、買付委託契約書等の文書により明らかであること。この場合において、「買付けに関し買手を代理して当該買付けに係る業務を行う者」とは、買手の管理の下で、買手の計算と危険負担により(イ)から(ニ)までのような業務を行う者をいう。ただし、当該手数料を受領する者が一の輸入取引に関し売手と買手の双方を代理している場合には、当該手数料は買付手数料には該当せず、課税価格に算入する手数料となる。

(イ) 契約の成立までの業務 (ロ) 商品の引渡しに関する業務 (ハ) 決済の代行に関する業務(ニ) その他(例えば、クレーム処理に関する交渉を行う業務)

②手数料を受領する者が買付けに関し買手を代理して当該買付けに係る業務を実際に行っているという実態の存在が文書や記録その他の資料により確認できること

③税関の要請がある場合には、売手と買手との間の売買契約書、輸入貨物の売手(製造者等)が買手にあて作成した仕入書等を提示することが可能であること

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

特に加算要素については、関税定率法や基本通達において細かく規定されておりますので、漏れが発生することも多い内容です。

また、買付代理人に該当するかどうかという論点は誤解も多い部分ですので関税定率法や基本通達の内容を正確に把握した上で、適切に対応することが重要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

買付手数料の加算の可否

2023-07-18

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された加算要素を適切に把握して正確に算定することが重要です。

本日は、買付(仲介)手数料を加算要素と考えるかどうかの前提として重要な輸入取引と逆委託加工貿易という考え方をご紹介いたします。

 

1 輸入取引と逆委託加工貿易の考え方について

まず、輸入取引における「買手」「売手」とは、実質的に自己の計算と危険負担の下に輸入貨物に係る輸入取引をする者であり、具体的には、自らの輸入取引における輸入貨物の品質、数量、価格等について取り決め、瑕疵、数量不足、事故、不良債権等の危険を負担する者とされています。

他方で、法第4条第3項において、本邦にある者から委託を受けた者が当該委託者から直接又は間接に提供された原料又は材料を外国において加工又は組立をし、当該委託者が当該加工等によってできた製品を取得することを内容とする当該委託者と当該受託者との間の取引に基づき当該製品が本邦に到着することとなる場合には、いわゆる『逆委託加工貿易取引』に該当しますので、当該委託者を買手と、当該受託者を売手と、当該加工等の対価として現実に支払われた又は支払われるべき額を輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格とそれぞれみなすこととなります。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です。

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

特に加算要素については、関税定率法や基本通達において細かく規定されておりますので、漏れが発生することも多い内容です。

また、買付代理人に該当するかどうかという論点は誤解も多い部分ですので関税定率法や基本通達の内容を正確に把握した上で、適切に対応することが重要です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

検査費用の加算の可否

2023-07-10

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

そして、関税定率法や基本通達において規定された加算要素を適切に把握して正確に算定することが重要です。

本日は、買手が売手に対して支払う輸入貨物の検査費用の考え方をご紹介いたします。

 

1 検査費用の考え方について

輸入取引における検査費用の加算の可否を検討する上において、必須の規定をご紹介いたします。

①関税定率法基本通達(以下「通達」という。)4-2(1)において、現実支払価格とは「買手が売手に対して又は売手のために、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて当該輸入貨物の輸入取引をするために現実に支払った又は支払うべき総額」と規定されております。そして、通達4-2の2(1)において、「輸入貨物に係る仕入書価格の支払に加えて、当該輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみて当該輸入取引をするために買手により売手に対し又は売手のために行われる何らかの支払い(以下「別払金」という。)がある場合の現実支払価格は、当該仕入書価格に別払金を加えた価格である。」と規定されています。

②通達4-2の3において、輸出国における輸入貨物の検査に要する費用の取扱いについて、「検査」とは、輸入貨物が売買契約に定める品質、規格、純度、数量等に合致しているか否かを確認するための検査又は分析をいうとされています。 また、同通達(1)において、売手(売手の依頼を受けた検査機関等の第三者を含む。)が自己のために行った検査に要した費用で買手が負担する場合は、課税価格に算入するとされ、同通達(2)において、買手(買手の依頼を受けた検査機関等の第三者を含む。)が自己のために行った検査に要した費用で買手が負担する場合は、課税価格に算入しないものとされています。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です。

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

特に加算要素については、関税定率法や基本通達において細かく規定されておりますので、漏れが発生することも多い内容です。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

輸入取引の該当性の考え方

2023-07-03

適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。

特に複数の取引が関係する場合には、輸入取引に該当する取引を正確に把握することは難しく、慎重な検討が必要です。

本日は、輸入取引の考え方をご紹介いたします。

 

1 輸入取引について

輸入取引を検討する上において、必須の規定をご紹介いたします。

①関税定率法(以下「法」という。)第4条第1項において、輸入貨物の課税価格は、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格とすると規定されています。

 ②関税定率法基本通達(以下「通達」という。)4-1(1)において、「輸入取引」とは、本邦に拠点を有する者が買手として貨物を本邦に到着させることを目的として売手との間で行った売買であって、現実に当該貨物が本邦に到着することとなったものをいい、通常、現実に貨物を輸入することとなる売買がこれに該当するとされています。

 ③通達4-1(2)において、貨物が輸入されるまでに当該貨物について複数の取引が行われている場合には、現実に当該貨物が本邦に到着することとなった売買が「輸入取引」となるとされています。

④通達4-1(3)において、輸入取引における「買手」及び「売手」とは、実質的に自己の計算と危険負担の下に輸入取引をする者をいい、具体的には、自ら輸入取引における輸入貨物の品質、数量、価格等について取り決め、瑕疵、数量不足、事故、不良債権等の危険を負担する者とされています。

 

2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です。

間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。

このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。

事前教示制度~業務委託料の考え方~

2023-06-26

輸入・輸出を業として行われている方は、事前教示制度という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

事前教示制度とは税番や関税評価について実際の輸出入を行う前に税関に対して照会を行い、税関側の判断を確認するための制度です。

税関のHPにおいては、事前教示制度における実際の回答内容が公表されておりますので、本日は、参考となる一例ご紹介いたします。

 

1 事案

日本所在のA社はE国所在の製造者であるB社との間で委託加工貿易を締結し日本から無償で提供した材料を加工させ、当該加工によって出来上がった製品である機器をCIF条件にて輸入しています。

そして、A社は輸出、輸入の手続を日本国内のX社に業務委託をしています。

このような取引状況について、照会者の見解は以下のとおりです。

『輸入者と輸出者は、輸入貨物の品質、数量、価格等について取り決め、瑕疵、数量不足等の危険を負担する者であることから、輸入者と輸出者による取引となります。そして、当該取引においてX社は、輸入者と締結した業務委託契約に基づき、輸入者の指示により輸入者の代理として当該取引に関する通関業務を行う手助けをしている者であることから、当該契約のうち輸入業務に関して支払われる対価の額は、関税定率法第4条第1項第2号イの「仲介料その他の手数料」に該当せず、課税価格に算入する必要はないものと考えます。他方で、輸出に関してX社に支払う手数料は、関税定率法第4条第1項第3号イの無償提供材料に係る費用の一部として、課税価格に算入する必要があると考えます。』

 

2 回答内容

輸入者がX社に支払う業務委託手数料のうち、E国への無償支給材料の輸出に係る業務に対する手数料については、輸入者が関税定率法第4条第1項第3号イに規定されている「輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの」を輸出者に提供するために要した運賃等の費用であって買手により負担されるものに該当することから輸入貨物の課税価格に算入されます。

他方で、E国からの輸入貨物の輸入に係る業務に対する手数料については、関税定率法第4条第1項第2号に規定されている「輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される手数料又は費用」には該当しないことから輸入貨物の課税価格に算入されません。

 

3 事前教示制度を利用する際には弁護士への事前相談もご検討ください

事前教示制度においては、正確な情報を税関に対して伝えることが非常に重要であり、間違った情報を踏まえた税関からの回答では何らの意味もありません。

税関に対してどのような情報をどのように伝え理解してもらうかということはなかなか難しいところでもあり、慎重に執り行う必要があります。

 

当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、事前教示制度の利用をご検討いただいている場合には、まずはご相談ください。

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