1 商品代金とは別に売手側に一定額の口銭を支払う場合
輸入を業として行っている方にとっては馴染みのある話だと思いますが、商品を輸入する際に、海外の売手側に一定額の口銭を支払う場合があるものと思います。
例えば、日本に拠点を有するAが、海外のBから商品を購入するものとします。ただ、商品はBが製造している商品ではないため、Bが海外市場から購入した上でAに対して販売するという商流となっているため、AがBに対して商品の価格とは別に一定額の口銭を支払うものとします。
この場合、輸入申告価格として、AがBに対して支払った商品の価格をそのまま申告するケースが非常に多いですが、法的には、AがBに対して支払った口銭についても商品の価格に加算して申告することが必要です。
「現実支払価格」、「加算要素」等の法的な表現となりますので、やや分かりづらいところではありますが、輸入申告価格は、あくまでも当該商品の価値を申告する必要がありますので、単なる商品価格だけでは不適切ということとなりますので十分注意が必要です。
2 輸入や輸出を継続的に(業として)行う場合には、ご注意ください
貨物の輸入や輸出に関する規制は、関税法や関税定率法等に規定されておりますが、なかなか通常の感覚では理解できない部分も多いというのが実情です。
上記1の説明内容についても、通常の感覚では、輸入申告価格は、単に商品価格を申告すればよいのではないか、と考えるところですので、なかなか理解がむずかしいといえます。
この他にも、例えば、貨物の輸入のために現地でパートナーに動いてもらう場合、パートナーに支払う委託料については、例外的に買付代理人に対して手数料と構成できる場合は除き、課税価格に加算しなければならないというのが原則であり、加算せずに輸入申告を行う場合には、過少申告となり、事後的に刑事罰や追徴課税が行われることとなります。
他にも、輸出入特有の規制は多数ありますので、可能であれば、輸出入を継続的に行う最初の段階で事業計画が法的に問題ないかどうかを事前にリーガルチェックすることをお勧めいたします。
また、もし既に輸出入を開始しているという場合には、一度ビジネスの仕組みが問題ないかどうかを確認いただくことをお勧めします。
弊事務所は、税関事後調査を含む税関対応や輸出入トラブル、広告関連法務を中心に企業法務を幅広く扱っておりますので、お困りの点等ございましたら、まずはお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。