インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損への対応が簡単にできる、というような広告を目にすることがあります。
実際に簡単に対応できる場合があるかもしれませんが、現実的には、投稿の削除、投稿者の特定等どのような対応を取るにしても相当程度のハードルがありうまくいかないことも非常に多いといえますので、十分注意をし、慎重に検討・対応を進めることが必須です。
1 なぜ、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損への対応は難しいか
インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損への対応が難しいといえる理由を整理いたしますと、大要、以下の諸点に集約されるように思われます(ほかにも様々な点が考えられるところですが、大きくは以下の諸点にまとめられるのではないでしょうか。)。
①IPアドレスの保存期間等の問題があり、そもそも発信者にたどり着くのが非常に困難であること
②媒体の管理者には責任がないのが原則であること
③発信者の開示請求の要件、賠償の要件はいずれも厳重であること
④賠償額は日本の損害賠償法制上、被害回復に足りる金額にならないことの方が圧倒的に多く、費用倒れになる可能性も非常に高いといわざるを得ないこと
⑤投稿の削除請求も発信者情報開示請求もいずれも裁判上の請求が必要になるケースが多いこと
⑥海外のプロバイダが関係すると、開示請求までの費用や時間が、さらに多くかかること
以上の他にも、様々な点が考えられますが、特に対応を難しくしている点は上記の各点であるものと考えております。
これらの点を踏まえ、慎重に対応方法を考えることなく、機械的に対応を検討しただけではもともと難しい問題をさらに難しくし、ひいてはさらなる悪質な投稿を招くといったリスクすらあるものと考えられます。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損への対応に関しては、専門的な知識や経験が不可欠であり、法的手続、交渉等を行うことが必要となりますので、専門家である弁護士にご相談いただくことを強くお勧めいたします。