前払金と輸入申告価格の考え方について

1 前払金と輸入申告価格について

輸入業を行う場合、売買代金の送金等に時間が掛かることから、一定額を前払金(デポジット等という場合もあります)として送金しておき、実際の売買代金に充当するという対応を取る場合も相当程度ございます。

例えば、前払金として100万円を送金しておいて、実際の商品価格が150万円である場合、取引の際には、前払金100万円を充当し、商品代金として50万円のみを新たに支払った場合、輸入申告価格としては、150万円と50万円のいずれとして取り扱う必要があるでしょうか。

関税定率法等の法令上は、「現実支払価格」といった専門的な用語がでてきますので、なかなか理解が難しい面もありますが、要するに、輸入する商品のために買手側がいくら支出することになったのか、ということをベースに考えることになります。

そうしますと、実際に商品のために買手が支払った金額として前払金100万円と商品代金としての50万円の合計150万円となりますので、適正な輸入申告価格としては150万円をベースに考えることが必要となります。

インボイスに商品代金としていくらと記載されているかどうかということは、輸入申告価格を検討する際には重要な要素の一つとはなりますが、あくまでも要素の一つであり、インボイスにいくらと記載されているから輸入申告価格もインボイス上の価格と同じはずだということには必ずしもなりませんので、十分注意が必要です。

 

2 輸入申告価格の算定にはご注意ください

貨物の輸入や輸出に関するルールは、関税法や関税定率法、これらの通達等に詳細に規定されておりますが、なかなか一般的には理解が難しい点も多く、知らずに輸出入を行うと追徴課税を含む様々なペナルティを課されてしますリスクがございます。

無事に輸出入できているのだから問題ないだろうと考え、これらのルールを軽視することは非常に危険であり、中長期的には大きなしっぺ返しを受けるリスクが非常に高いと言わざるを得ません。

例えば、輸入する貨物のライセンス料を輸出者側等に支払っている場合には、当該ライセンス料については、課税価格に加算しなければならず、加算せずに輸入申告を行う場合には、過少申告となり、事後的に追徴課税が行われることとなります。

他にも、輸出入特有の規制は多数ありますので、可能であれば、輸出入を継続的に行う最初の段階で事業計画が法的に問題ないかどうかをリーガルチェックすることをお勧めいたします。

最初の段階できちんとした体制を整備しておくことで、事業を中長期的に円滑に進めることが可能となります。

弊事務所は、税関事後調査を含む税関対応や輸出入トラブルを中心に企業法務を幅広く扱っておりますので、お困りの点等ございましたら、まずはお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

 

 

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