輸入を事業として取り扱っている方の中には、犯則調査、通告処分等の言葉を聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
犯則調査と刑事事件の区別がつかず、警察が家宅捜索にくる等と誤解される場合もよくありますが、犯則調査は刑事事件の前段階の調査手続であり調査主体は税関であると理解する必要があります。
犯則調査の結果によっては刑事事件となる場合もありますし、調査の結果、通告処分で終わる場合もありますので対応には十分な注意が必須となります。
本日は、関税等脱税事件に係る犯則調査の状況に関してご紹介いたします。
1 犯則調査の状況について
平成29事務年度における犯則調査による処分件数は合計841件、内、告発件数は33件、通告処分の件数は808件でした。
具体的な脱税額に関してですが、告発分に係る関税の合計額は1億309万円、内国消費税の合計額は3億6250万円、通告処分分にかかる関税合計額は870万円、内国消費税合計額は12億5019万円でした。
また、品目としては①金地金720件(脱税額:15億389万円)、②たばこ82件(779万円)、③腕時計14件(1341万円)、④バッグ類7件(280万円)、⑤アクセサリー類9件(312万円)等となっております。
次に平成28事務年度に関してご紹介いたします。
平成28事務年度における犯則調査による処分件数は561件、内、告発件数は12件、通告処分の件数は549件でした。
告発分に係る関税合計額は4388万円、内国消費税の合計額は1億4813万円、通告処分分にかかる関税合計額は1531万円、内国消費税合計額は7億6005万円でした。
また、品目としては①金地金467件(脱税額8億7361万円)、②たばこ54件(603万円)、③腕時計10件(648万円)、④バッグ類23件(959万円)、⑤アクセサリー類3件(44万円)、等となっております。
2 犯則調査への対応には十分注意が必要です
冒頭でご説明した通り、犯則調査は、行政処分で終了する場合もありますが、刑事事件化される可能性もあります。
そのため、犯則調査は大部分は行政処分で終わっているからどうせ通告処分で終わり大した問題には発展しない等と安易に考えてしまうことは非常に危険であると言わざるを得ません。
実際問題として、犯則調査の結果刑事事件化されるケースも相当程度ありますし、刑事事件化されてしまった場合には事業の存続に関わる重大な問題となりますので犯則調査への対応には十分注意が必要です。
当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、犯則調査への対応等に関して少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。