本日は、従業員を懲戒解雇する場合の解雇予告手当の支給に関してご説明いたします。
懲戒解雇をする以上は、解雇予告手当の支給は不要ではないかとお考えのかいらっしゃるものと思われますが、原則として、解雇予告手当の支給は必要ですのでご注意ください。
1 懲戒解雇と解雇予告手当について
解雇予告手当については、労働基準法20条に定めがあり、同条1項は、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においても、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない」と規定しております。
そして、同条3項は、同法19条2項を引用して、20条1項但書の場合は行政官庁(労働基準監督署長)の認定を受けることが必要です。
このように、法律上は、労働基準監督署長の除外認定がない場合、解雇予告手当の支払義務は免れませんので、注意が必要です。
裁判例の中には、この除外認定について、行政庁による事実確認の手続にすぎず、解雇予告手当支給の要否は、客観的な解雇予告除外事由の存否によって決せられるとの立場を取ったものも存在します(東京地判平成16・12・17、大阪地判平成20・8・28等)。
しかしながら、現実的な対応といたしましては、あくまでも、除外認定の取得を試み、除外認定が得られない場合は、解雇予告手当を支払うか、または予告期間を設けて解雇するという保守的な対応を取った方が無難であることの方が多いように考えられます。
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