Archive for the ‘コラム~通関手続、輸出入トラブル~’ Category
ご存知ですか?~過少申告加算税の考え方について~
何らかの形で輸入に関与されている方の中には、貨物を輸入する際に申告価額を実際の納付すべき税額よりも低い金額で申告してしまった結果、過少加算税が課せられてしまった、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本日は、過少加算税の制度の概要をご紹介します。専門的な用語も含まれており、なかなか理解が難しい部分もあるものと思われますが、輸入に関与されている方にとっては非常に重要な考え方となりますので、ご一読いただけますと幸いです。
1 過少申告加算税の税率について
輸入者が、貨物の輸入申告時に行う納税申告の後、税関の調査によって当該納税申告額が過少であったことが発覚する等の結果修正申告を行った場合や、税関長による更正が行われた場合には、原則として、当該修正申告又は更正によって納付すべき税額(すなわち、当初申告税額との差額部分)を基礎として10%の過少申告加算税が課されます。
修正申告又は更正により納付すべき税額(以前に行われた修正申告に係る納付すべき税額がある場合には、その合計額)が、当初の納税申告に係る納付すべき税額と50万円とのいずれか多い額を超えることとなった場合には、この超える部分については通常の過少申告加算税(上記のとおり、割合は10%です)に加えて、さらに5%分が課されることになります。
ただし、修正申告又は更正により納付すべきこととなる税額のうちに、過少申告であったことについて「正当な理由」があると認められる部分がある場合には、この部分に対しては過少申告加算税は課されません。
2 過少申告加算税の税額の決定
過少申告加算税の税額の決定は、税関が賦課決定通知書を送付することによって行われます。この賦課決定通知書の送付を受けた場合には、当該通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日までに過少申告加算税を納付書による納付する必要があります。
3 端数処理について
①過少申告加算税の額を計算する基礎となる当初申告税額との税額の差額が1万円未満の場合は、過少申告加算税は課されないことになります。
②当初申告税額との税額の差額に1万円未満の端数がある場合にはこれを切り捨てて計算します。
③計算した過少申告加算税が5000円未満の場合には過少申告加算税は課されないことになります。
④計算した過少申告加算税に100円未満の端数がある場合にはこれを切り捨てて計算します。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸入通関手続等に関して豊富な知識、経験を有しております。実際に過少申告加算税を支払う必要に迫られている方はもちろん、過少申告加算税の考え方をもう少し詳しく教えて欲しいとお考えの方等、過少申告加算税に関して知りたい点がある方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
金の密輸は犯罪行為です!絶対に行ってはいけません!
近年、一般旅行者が軽い気持ちで金の密輸を行い、空港で税関に摘発される、というケースが急激に増加しております。
実際、金を軽い気持ちで日本に持ち込もうとした結果、税関に摘発され現在問題となっており大変困っている、という相談をいただくことは非常に多い状況にあります。
ここで、金の密輸が増加している背景について、簡単にご紹介いたします。
例えば、海外で金地金1kgを1000万円で購入します。これを日本に輸入する際には、消費税10%分に該当する100万円を支払う必要があります。
しかし、海外で1000万円で購入した1kgの金地金を日本に密輸し、密輸した金地金を日本国内で転売した場合、日本国内では金地金1kgを1000万円+消費税100万円で売却することができるので、消費税分の差額である100万円を利益として得ることができてしまいます。この利益を狙って金の密輸が行われているのです。
このような金地金の密輸は上記のとおり年々増加しており、税関発表の統計によると、金地金密輸の摘発件数は、平成25年は12件でしたが、平成28年には811件となり、平成30年には1088件まで増加しております。このように摘発件数は5年間で91倍にも増加しております。
平成26年4月の消費税率8%への引き上げを境に急増しているとみられ、現在は更に消費税10%に引き上げられておりますので、今後ますます金の密輸が増加することが危惧されております。
税関のHP上でも金の密輸に関して繰り返し緊急対策の実施が表明されております。
例えば、平成29年11月7日付けの「「ストップ金密輸」緊急対策」として、「検査の強化」、「処罰の強化」、「情報収集・分析の充実」の3つが3本柱として説明されております。
また、税関の中長期ビジョンを表明した令和2年6月付けの「スマート税関構想2020」でも、脱税対策として金地金の密輸対策の一層の強化を図ることが表明されております。
刑罰の面でも平成30年に罰金額が大幅に引き上げられ、金の密輸犯の罰金額の上限が、1000万円又は価格の5倍となりました。
金の密輸は犯罪行為であり、絶対に行ってはいけませんが、残念ながら、上記のとおり簡単に利益を得ることができるとして、一般の方が軽い気持ちで行ってしまう場合も多いのが実情です。
軽い気持ちで金を密輸したけれども、このような大事になるとは思っておらず本当に後悔している、とお悩みの方もいらっしゃるものと思います。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、豊富な輸出入トラブルの対応経験を有しておりますので、少しでも不安や悩みがある方は当事務所までご遠慮なくお問い合わせください。
ご存知ですか?~委託加工貿易と仲介貿易について~
海外の会社との間で行う貿易取引の類型としては様々なものがありますが、本日は、典型的な類型の一つである、委託加工貿易と仲介貿易の概要をご紹介いたします。
1 委託加工貿易
委託加工貿易とは、海外の受託者に原材料や部品等を提供し、加工等を行ってもらい、加工等が完成した製品を輸入する形態のことを指します。
委託加工貿易に関して、加工の受託者側の視点から順委託加工貿易と呼ぶ場合もありますし、その反対に、加工を依頼する委託者の視点から、逆委託加工貿易と呼ぶ場合もあります。
人件費等を踏まえて海外で加工等を実施するという仕組みですが、加工後の商品の日本への輸入時の関税等の具体的な諸費用を踏まえても、このような類型の取引を行ったほうがよいかどうかを正確に検討し、判断する必要があります。
2 仲介貿易(いわゆる三国間貿易の一つの形態です)
海外の会社同士の売買取引について、日本の会社が仲介する取引のことを指します。
例えば、輸出者であるA国のA社、輸入者であるB国のB社間の取引を日本の会社が仲介する場合を前提にご説明いたします。
この場合、輸出者であるA社と日本の仲介会社との間、及び日本の仲介会社とB社との間で売買契約が交わされますが、商品である貨物は、輸出者であるA社から輸入者であるB社に対して直接輸出されることになります。そして、売買代金は、A社から日本の会社に支払われ、その後、日本の会社からB社に対して商品代金が支払われることになります。日本の会社は売買代金間の差額を自社の利益とします。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸出入や通関に関して豊富な知識・対応経験を有しております。
当事務所は、ご相談者様が想定している又は現に行っている貿易取引の法的問題点やリスクの洗い出し等のご相談も承っておりますので、少しでも不安や悩み、気になる点がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。
海外の会社との取引方法には色々な種類があります!
海外の会社と取引をするといった場合、海外の会社と直接取引(輸出や輸入)することをイメージし、自社では言語の問題、輸出・輸入や通関手続に関する知識の問題等からビジネスとして構築することが難しい、とお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、海外の会社と取引をするといっても、海外の会社と直接取引(輸出や輸入)をすることに限らず様々な類型の取引があります。
そこで、本日は、海外の会社との直接取引に加え、海外の会社との間接取引の概要をご紹介いたします。
1 海外の会社との直接取引
日本の会社が、直接海外の会社と取引する場合を指します。
例えば、日本のメーカーが海外に販路を求めて海外の会社と取引する場合等です。
この場合、日本の会社は、商品を輸出・輸入することとなりますので、日本の会社は、関税や通関手続を正確に理解しておくことが必要です。
この類型の取引の場合、取引に仲介者等が入らないことから、手数料等の支払いをする必要がなく、商品の値段や取引の条件を直接決定することができるというメリットがあります。
しかしながら、取引のリスクを直接負担しなければならないというデメリットがあります。
そのため、興味があり必要性を感じていてもビジネスに組むこむことが出来ない会社が依然として多いのが実情といえます。
2 海外の会社との間接取引
間接取引とは、多くの場合、商社を介して行う取引のことを指します。
この場合、商社のサービスをどのように利用するかにもよりますが、商品の輸出・輸入の名義は商社の名義で行うことが多いと言えます。
商社は海外との取引を専門的に行っている会社ですので、商社を利用することで、取引条件を有利なものとなるように海外の会社と交渉してもらうことができる、自社に輸出・輸入に関する知識や通関手続に関する知識がなくても商社の蓄積された知識・経験を利用することができる等のメリットがある一方で、商社に対して一定の費用を支払う必要がありますので、商社に対して費用を支払っても利用した方がよいかどうかを慎重に判断する必要があります。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関手続に関して知識・経験を有しております。
海外の会社との間でのビジネスを検討する過程で、輸出や輸入、通関手続に関して疑問な点がある場合や、想定するビジネスにおいて注意すべき輸出や輸入、通関手続に関する制度等を把握したいとお考えの場合等、輸出や輸入・通関手続に関して少しでも不安な部分がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。
貨物が海外から届かない場合の対処法
インターネットで海外の業者から購入した貨物が到着予定日になっても届かずに困っている、というご相談をいただくことがあります。
本日は、このような場合の対応について、ご紹介いたします。
1 貨物の輸入の流れ
国際宅配便や国際郵便等を利用して輸入する等一定の場合を除き、通常、貨物を輸入する際には、輸入者又は輸入者から依頼を受けた通関業者等が輸入申告を税関に対して行い、税関から輸入許可を取得する必要があります。
また、一部の貨物については、輸入申告の際に、各種の法令に基づき税関以外の関係省庁の許可や承認等を取得しておく必要があるものもありますので、注意が必要です。
2 貨物が海外から届かない場合
貨物が海外から届かない場合に関して、考えられる主な理由としては、以下の3つのケースがあります。
①そもそも貨物が日本に届いていないケース
②貨物は日本に到着しているが、上記1のとおり、輸入申告の際に、各種法令に基づき税関以外の関係省庁の許可や承認等を取得しておく必要がある類型の貨物であったため、それらの許可や承認等の取得に通関業者が手間取っているケース
③税関による貨物の検査が実施されているため、税関に留めおかれているケース
①のケースは、海外の業者との間で改めて連絡を取り合う必要がある一方で、②及び③のケースは、通関業者や税関を含む関係省庁に対して状況を詳細に確認する必要があります。
もっとも、通関業者や税関等とのやり取りをする際には、輸入通関に関する専門的な用語が使用されますので、なかなかスムーズにやり取りをすることが難しい場合もあるものと思われます。そもそも、貨物が海外から届かず、不安な状態でこのようなやり取りを行うことは、通常の方であれば非常に難しいと言えます。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、通関業者や税関と豊富な対応経験を有しております。
代表弁護士が依頼者を代理して通関業者や税関に対して問合せを行うことも可能ですので、貨物が海外から届かず困っている方、通関業者や税関とのやり取りがスムーズにできずに困っている方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
関税の種類~関税には色々な種類があります!~
海外から日本に貨物を輸入する場合に、関税を支払う必要があることは皆さまご存知かと思います。
ただ、関税を規定する税率には複数の種類があることまではご存知ない方も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、税率の種類の概要をご紹介いたします。
海外から日本に貨物を輸入されている方や、今後輸入することを考えている方は、ご一読いただけますと関税のイメージが膨らむものと思われます。
1 基本税率
基本税率とは、協定や法令で特別な定めのない限り適用されることになる原則的な税率のことを指します。もっとも、2以下の税率が適用されることが大半ですので、現在基本税率が適用されるのは、東ティモール、北朝鮮、赤道ギニア、レバノン等の数か国のみとなっていると考えてよいでしょう。
なお、一定の政策上の必要性等を踏まえ、基本税率を一定期間に限り修正する暫定税率が設定される場合もあります。
2 WTO協定税率
WTO加盟国(加盟地域を含む)、及び日本との間の条約で最恵国待遇を約束している国からの貨物に対し、それ以上の関税を課さないことを約束している税率を指します。
なお、WTO協定外の国や地域の場合でも、相互主義等を踏まえ、協定税率が適用される場合もあります。
3 一般特恵税率(GSP税率)
開発途上国で、特恵税率の適用を希望する国のうち、日本が、特恵税率の適用が妥当であると認めた国を原産地とする輸入貨物に対して適用される税率を指します。
開発途上国の所得の増大、経済発展の促進等を図るため、開発途上国から輸入される一定の農水産品、鉱工業産品に対し、一般の関税率よりも低い税率が規定されております。
4 特別特恵税率(LDC税率)
上記3の一般特恵税率の適用がある国の内、後発開発途上国(LDC)を原産地とする輸入貨物に対して適用される税率です。税率は全て無税となります。
5 協定特恵税率(EPA税率)
日本と経済連携協定(EPA)を締結している国から輸入する貨物を対象とし、それぞれの協定に基づいて適用される税率です。
それぞれの協定の原産地規則の条件を満たすこと等により適用されます。
以上のとおり、関税といっても、具体的な関税額を算出するための税率には複数の種類があります。
輸入貨物について、どのような税率を利用することができるかを検討し、最も有利な税率となるよう判断する必要があります。このような判断を行うことも輸入をビジネスとする上では必須といえるでしょう。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸出入や通関に関して豊富な知識・対応経験を有しております。輸入する貨物に適用となる税率に関して、確認して欲しい等のご相談も承っておりますので、輸入する貨物の税率について、少しでも不安や悩み、気になる点がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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