Archive for the ‘コラム~人事労務・労使トラブル~’ Category
懲戒処分の告知方法
「問題行動を起こした従業員に対して懲戒処分をする予定です。懲戒処分の告知方法については特に何のルールもなかったと思うので、口頭で告知すればよいでしょうか。それとも、正式な通知書のようなものを作成した方がよいでしょうか」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、会社が社員に対して懲戒処分をする場合、口頭でその旨を通知することの是非についてご紹介いたします。
1 懲戒処分の告知方法について
法律上、懲戒処分の告知方法に関する規定はありませんので、会社が従業員に対して口頭で懲戒処分の告知をした場合も、懲戒処分の法的効力が無効となるわけではありません。
もっとも、口頭で告知する場合、懲戒処分の内容がよくわからなかった、また、そもそも懲戒処分の告知を受けていない等といった、従業員側からの事後的な反論を踏まえる必要があり、口頭で通知をしたことを示す証拠を残す必要があります。
このような証拠を残す手間を考えると、最初から書面で通知を行ったほうがよいものと考えられます。
書面で通知をする場合の注意点としては、書面での通知の場合、書面が相手に到達する必要があります(民法97条1項)。判例によれば、当該到達とは、相手方が意思表示を了知できる状態に置かれたことを意味し、現実に了知することまでは必要ないと判断されております(最判昭和36.4.20)。
なお、裁判例では、従業員が懲戒解雇の通知である内容証明郵便の受領を拒否した事案につき、従前の経緯から懲戒解雇の通知が発信されたことを認識し、「郵便物お預かりのお知らせ」により郵便局に郵便があることを認識し、かつ、郵便局で受取拒否の手続きをしたという事実経過からすれば、当該従業員は容易に意思表示を受領できたとして、解雇の意思表示は有効に到達したと判断したものがあります(東京地判平成14.4.22)。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
懲戒処分前の自宅待機期間の賃金について
「問題行動を起こした従業員に対して懲戒をすることを検討しています。懲戒の要否及び内容を検討するにあたり少し時間が必要なので、当該従業員を自宅待機としました。自宅待機期間は、賃金を支払う必要はないものと考えておりますが、問題ないでしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、企業はこの場合原則として賃金を支給する義務がありますので、ご注意いただく必要があります。
以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 懲戒処分前の自宅待機期間の賃金について
この点について、裁判例においては、まず、このような自宅待機命令は、労働契約上の一般的な指揮命令権に基づく業務命令として行うものであると考えられております(千葉地判平5.9.24等)。
ここで、自宅待機命令を受けた従業員は、労働契約上の義務である労務を提供できないことになりますが、このように従業員が労務を提供できない理由は、企業側が調査をしているからですので、企業側の都合によるものと考えられます。
そのため、企業側は原則として従業員に対して賃金を支払う必要があります(民法536条2項)。
もっとも、裁判例上、従業員に自宅待機命令をする理由として、不正行為の再発や証拠隠滅の恐れなど緊急かつ合理的な理由が存在する場合には、企業側は賃金の支払義務を免れるとしたものがあります(名古屋地判平成3.7.22)。
ただし、例外的なケースであるように思われますので、賃金を支払わないとの判断をする場合には、きわめて慎重な判断が必要となります。
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懲戒解雇と解雇後の事由発覚について
「ある社員を先日懲戒解雇したのですが、解雇後別の懲戒事由が確認できました。当該社員の解雇事由を追加した方がよいものと考えているのですが、追加して問題ないでしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、ある社員を懲戒解雇した後に、別の懲戒事由が発覚した時に、この事由を当初の懲戒解雇の事由として追加することができるかどうかをご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。
1 懲戒解雇と解雇後の事由発覚について
この点について、判例(最判平成8.9.26)は、「使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである」として、「懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情がない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠づけることはできないものというべき」と判示しております。
ここで、当該判例で判示された、懲戒事由の追加が認められる「特段の事情」とは、どのような場合が該当するかというと、懲戒事由とされた行為と実質的に同一性を有する行為を追加する場合が、これに該当する、と判示している裁判例がある点は参考になります(東京高判平成13.9.12、山口地岩国支判平成21.6.8)。
なお、上記の判例では、使用者が、懲戒処分時に認識していなかった事由を追加することに関して判示されていますが、懲戒処分時に使用者が認識しながら懲戒処分の理由として追加することはできないと判示した裁判例があります(東京地判平成24.3.13)。
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懲戒解雇前に自主退職した従業員の退職金の取扱いについて
「懲戒解雇をする予定の従業員に対して、懲戒解雇をする旨伝えたところ、当該従業員が自主退職をした。このような場合、懲戒解雇の場合には退職金の支給はないところ、懲戒解雇を予定していた以上、退職金を支給する必要はないものと考えているが、問題ないか。」というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、ケースバイケースであり、一律結論が定まっているものではありませんので、慎重な対応が必要です。
なお、退職後に、懲戒解雇事由が判明することもありますので、退職金の支給時期について、退職後直ちに支給することを予定している場合には、これを一定期間経過後と変更しておいた方が安心です。
本日は、懲戒解雇前に自主退職した従業員の退職金の取扱いについてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 懲戒解雇前に地涌退職した従業員の退職金について
懲戒解雇は、労働契約の存在を前提とするものです。
そのため、従業員が自主退職をし、労働契約が終了した後は、懲戒解雇することはできません。
そうすると、理論的には、懲戒解雇したことを理由とする退職金の不支給という取扱いをすることができないこととなります。
このような、考え方については、裁判例でも同様の考え方をしたものがあります。
広島地判平成2.7.27では、懲戒解雇した場合に退職金を支給しないという規定しかない場合において、懲戒解雇前に従業員が自主退職をした以上は、原則として、退職金を不支給とすることはできないと判示しました。
これに対して、裁判例の中には、退職金規程上、懲戒解雇による場合は退職金を不支給または減額にすることができる旨の条項があったものの、対象者が自主退職してしまい、懲戒解雇することができなかったという事案において、当該条項により退職金を不支給または減額とすることはできないが、退職金の性格(特に功労報酬的性格)に照らすと、それまでの勤労の功を抹消または減殺する程度にまで著しく信義に反する行為があったと認められるときは、元従業員による退職金請求は権利濫用になるとし、実際に権利濫用に該当すると判断したものがあります(大阪地判平成21.3.30)。
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懲戒解雇と解雇予告手当について
本日は、従業員を懲戒解雇する場合の解雇予告手当の支給に関してご説明いたします。
懲戒解雇をする以上は、解雇予告手当の支給は不要ではないかとお考えのかいらっしゃるものと思われますが、原則として、解雇予告手当の支給は必要ですのでご注意ください。
1 懲戒解雇と解雇予告手当について
解雇予告手当については、労働基準法20条に定めがあり、同条1項は、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においても、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない」と規定しております。
そして、同条3項は、同法19条2項を引用して、20条1項但書の場合は行政官庁(労働基準監督署長)の認定を受けることが必要です。
このように、法律上は、労働基準監督署長の除外認定がない場合、解雇予告手当の支払義務は免れませんので、注意が必要です。
裁判例の中には、この除外認定について、行政庁による事実確認の手続にすぎず、解雇予告手当支給の要否は、客観的な解雇予告除外事由の存否によって決せられるとの立場を取ったものも存在します(東京地判平成16・12・17、大阪地判平成20・8・28等)。
しかしながら、現実的な対応といたしましては、あくまでも、除外認定の取得を試み、除外認定が得られない場合は、解雇予告手当を支払うか、または予告期間を設けて解雇するという保守的な対応を取った方が無難であることの方が多いように考えられます。
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休憩時間に関する規律について
従業員の休憩時間に関しては、会社ごとに色々な特色ある仕組を設けている場合が多いのですが、労働基準法上のルールは遵守する必要があります。
多くの企業は労働基準法上のルールを認識した上で休憩時間の仕組を設けているのですが、稀に休憩時間に関する当該ルールを理解しないまま、業務の都合に合わせて休憩時間に関する仕組を設けてしまっている場合があります。
このような状況は絶対に避けるべきですので、本日は、従業員の休憩時間に関する労働基準法上のルールについてご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 休憩時間の概要
休憩時間の原則的な考え方は以下のとおりです(労働基準法34条1項)。
①1日の労働時間が6時間以下の場合、休憩時間は不要です。
②1日の労働時間が6時間を超え8時間以下の場合、休憩時間は45分以上必要です。
③1日の労働時間が8時間を超える場合、休憩時間は1時間以上必要です。
2 休憩時間一斉付与の原則
労働基準法34条2項本文では、休憩時間は一斉に付与しなければならないと規定されております。
一斉付与すべき労働者の範囲は、当該事業場の全労働者であると解されております。
例えば、一事業場内に事務所と工場がある場合に、事務所は事務所、工場は工場で別々の時間にそれぞれ一斉に付与したり、工場内の各部門ごとに別々の時間に休憩時間を付与することは、この原則に反することになるので、認められておりません。
ただし、この原則の例外として、二つの制度が定められておりますので、実際に休憩時間に関する制度を設ける場合には、これらの例外についても十分に検討する必要があります(労働基準法34条2項但書、施行規則31条、32条)。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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企業の廃業と従業員の解雇について
「経営が思うようにいかず資金繰りも限界なので、廃業しようと考えている。従業員は廃業することを既に伝えていて、納得してもらっている。会社を廃業する以上、改めて従業員を解雇などする必要はないと考えているか、そのような理解でよいか」、以上のようなご相談をいただくことがあります。
そこで、本日は、企業を廃業する場合に、従業員を改めて解雇する必要があるかどうかについて、ご紹介いたします。
1 企業の廃業と従業員の解雇について
まず、企業が廃業により解散する場合、労働契約の当事者の一方である企業は消滅します。
しかしながら、清算手続等もありますので、労働契約関係が当然に終了するわけではなく、別途従業員の解雇等に関する問題が生じると考えられております。
そのため合意退職に応じる従業員との間では、退職合意をしておいた方がよいですし、そうでない従業員に対しては、解雇をすることになります。
解雇手続としては、①解雇予告(又は解雇予告手当の支払い、及び両者の併用)と②除外認定の申請の2種類があります。
このうち、原則的な方法は①ですが、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、労働基準監督署の署長に解雇予告除外認定申請書を提出し、認定を受けることができます。
要するに、②の要件は、やむを得ない事由と事業の継続不可能の2点を満たすことが必要であるということです。
なお、やむを得ない事由とは天災事変に準ずる程度に不可抗力・突発的なものを指し、事業主の危険負担に属すべき事由に起因して資材入手難、金融難に陥った場合や、従来の取引事業場が休業状態となり発注品がなく、金融難に陥った場合等は含まれませんので、注意が必要です。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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時間単位の年次有給休暇の取得について
年次有給休暇は、従業にとって非常に重要な制度であり、年次有給休暇に関する規律は様々なものがあります。
そのため、年次有給休暇の制度を正確に理解しておくことは企業の人事労務に関して必須といえます。
そこで、本日は、時間単位の年次有給休暇の取得に関してご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 時間単位の年次有給休暇の取得について
年次有給休暇の取得というと日ごとということが通常の形態といえます。
もっとも、年次有給休暇は、時間単位での取得をすることが可能です(労働基準法39条4項)。
時間単位の年次有給休暇を取得するためには、企業が労働者の過半数で組織する労働組合又は過半数代表者との間で労使協定を締結することが必要です。
そして、当該協定においては、「対象となる労働者の範囲」、「時間単位年休の日数」、「1日分の年次有給休暇に対応する時間単位年休の時間数」、「1時間以外の時間を単位とする場合における単位時間数」等を規定する必要があります。
このうち、「時間単位年休の日数」については「繰越し分も含めた」5日が限度となりますので注意が必要です(平成21・5・29基発0529001号)。
以上から、時間単位の年次有給休暇を従業員に取得させることは、一定の手続を経ると可能となりますが、労使間の合意等をしたとしても、5日を超える時間単位の年次有給休暇を従業員に取得させる場合には、労働基準法に違反することになりますので、注意が必要です。
この他にも、年次有給休暇に関する規律は様々なものがありますので、併せて理解しておく必要があります。
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従業員の副業における割増賃金の支払について
本日は、従業員が副業をした場合の割増賃金の考え方に関して、ご紹介いたします。
昨今は副業を認める企業も増えておりますので、この考え方を正確に把握することは非常に重要といえますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 従業員が副業をした場合の割増賃金の考え方について
まず、労働基準法では、「事業場を異にする場合も、労働時間は通算」して考えられます(労働基準法(以下法名略)38条)。
そして、割増賃金の支払義務については、厚生労働省が平成30年1月に公表したガイドラインでは、「法定労働時間を超えて労働者を労働させるに至った使用者」になると説明されております。
具体的には、通算により法定労働時間を超えることとなる所定労働時間を規定した労働契約を時間的に後から締結した使用者が、割増賃金を支払う義務を負うことになるものと考えられます。
例えば、A事業場で週40時間(月曜日から金曜日まで、各日8時間)働く労働者が、B事業場で土曜日に5時間働く契約を結んだというケースにおいては、B事業場で働く5時間分については、割増賃金としてB事業主が支払うことになるものと考えられます。
他方で、A事業場で4時間、同日にB事業場で4時間働いている労働者がいる場合には、注意が必要です。というのも、このようなケースでは、A事業場での就労時間帯が時間的に先であっても、A事業場で5時間(1時間の時間外)働かせ、当日の時間外労働の合計が8時間を超えた場合、その責任は時間外を発生させる形で働かせたA事業主が負うことになります。この点はよく間違われるところですのでご注意ください。
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管理監督者への該当性について
本日は、労働基準法41条2号で規定する「管理監督者」についてご紹介いたします。
労働基準法41条では、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」は、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」は適用されない、と規定されており、時間外労働に伴う割増賃金や、休日労働割増賃金の支払いが免除されることになります。
以上のような「管理監督者」は、一般的に使用される管理職の表現よりも、非常に狭い範囲のみが対象となりますので注意が必要です。あくまでも、法的にどのように認められるかが重要であり、会社内でどのような役職に就いているかということとは直接の関係性はありませんので注意が必要です(例えば、会社内で管理職といわれていても、法的には「管理監督者」には該当しないこともあり得ます。)。
1 「管理監督者」の範囲について
繰り返しとなりますが、会社内で管理職に該当する者についても、労働基準法上は、「管理監督者」に該当せず、残業等の支払い義務が生じる可能性も十分ありますので、注意が必要です。
このような「管理監督者」の範囲については、以下の3つの要件があり、すべての要件を充足する必要があります。
①労務管理方針の決定に参画し、又は、労務管理上の指揮権限を有し、経営者と同じ立場で仕事をしていること。
②出社、退社や勤務時間について厳格な制限を設けていないこと。
③その地位にふさわしい待遇がなされていること。
以上の要件を充足するかどうかは、当該従業員の地位や業務内容等に基づき、実質的に判断することとなります。
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