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不動産に関してこんなお悩みありませんか?
不動産は、通常高い価値を有しておりますので、不動産に関連するトラブルが発生した場合に、そのトラブル解決のための処理を間違えてしまうと、大きな損失が発生してしまうリスクがあります。
不動産に関連する代表的なトラブルとしては、例えば、①借地借家をめぐるトラブル、②不動産の売買をめぐるトラブル、③不動産の共有を解消する際のトラブル、④相隣関係のトラブル等、様々なものがありますので、以下では、各トラブルにおける具体的な相談内容をもう少し細かくご紹介いたします。
1 ①借地借家をめぐるトラブル
不動産からの立退に関するご相談、賃料の値上げ対応に関するご相談、更新料に関するご相談等が代表的なご相談内容といえます。
2 ②不動産の売買をめぐるトラブル
不動産の売買契約書の作成・レビューに関するご相談、不動産の欠陥に関するご相談等が代表的なご相談といえます。
3 ③不動産の共有を解消する際のトラブル
共有不動産の分割に関するご相談、共有持分の贈与や譲渡に関するご相談、共有持分の交換に関するご相談等が代表的なご相談といえます。
4 ④相隣関係のトラブル
境界(筆界)をめぐるトラブルに関するご相談、袋地通行権(囲繞地通行権)に関するご相談、日照権・騒音等に関するご相談等が代表的なご相談といえます。
繰り返しとなりますが、不動産に関連するトラブルが発生した場合に、そのトラブル解決のための処理を間違えてしまうと、大きな損失が発生してしまうリスクがありますので、慎重に対応する必要があります。
そして、不動産をめぐる法令は多岐に及びますので、トラブルを適切に解決するためには、それら法令の正確な理解と経験を有する専門家にご相談いただくことが重要といえ、安易に独力での解決を図ることは非常に危険であると言わざるを得ません。
当事務所のコラムでは、今後不動産に関連するトラブルについてのコラムも、不定期ではありますが順次掲載していく予定ですので、今後ともご覧いただき、ご参照いただけますと幸いです。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
ご注意ください!~就業規則を従業員に対して正しく周知できていますか?~
本日は、従業員の労働条件と職場規律を統一的・画一的に規定した成文の規範である【就業規則】の従業員への周知に関して、ご説明いたします。
就業規則は、企業にとって最も重要なルールの一つですので、是非ご理解いただき、仮に従業員への周知に不備がある場合には、至急改善いただく必要がありますので、ご注意ください。
1 就業規則の従業員への周知について
使用者は、就業規則を所轄の労働基準監督署に提出後、確定した就業規則の内容を従業員に対して周知することが必要です。
すなわち、労働基準法106条は、「使用者は、この法律及びこの法律に基づく命令の要旨並びに就業規則」「を、常時各作業場の見やすい場所へ提示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」と規定しております。
2 就業規則の具体的な周知方法について
同法施行規則52条の2では、就業規則の具体的な周知方法について、以下の3つの方法を規定しております。
①常時各作業場の見やすい場所へ提示し、又は備え付けること
②書面を労働者に交付すること
③磁気テープ、磁気ディスク、その他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を乗じ確認できる機器を設置すること
なお、③の方法によって周知を行う場合には、「法令等の内容を磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、当該記録の内容を電子的データとして取り出し乗じ確認できるよう、各作業場にパーソナルコンピューター等の機器を設置し、かつ、労働者に当該機器の操作の権限を与えること」(平成11年1月29日基発45号)が必要であるものと考えられております。
就業規則は、一定の企業には作成義務が課されるなど、企業の人事労務の中心となる規定と言えますが、細かなルールを正確に把握し遵守することができていないケースも見られます。
このような状況は企業にとって好ましいものではありませんので、早急に適切な運用に軌道修正する必要があります。
当事務所は、企業の人事労務を幅広く取り扱っておりますので、就業規則に関してご不明な点や気になる点等がございましたら、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
従業員に対する賃金の支払方法にはルールがありますのでご注意ください!
労働基準法24条1項は、賃金の支払いに関して、賃金の①通貨払い、②直接払い、③全額払い、④毎月一回以上払い、⑤一定期日払い、の5つの原則を規定しております。
賃金は非常に重要な概念であり、企業の経営者、従業員を問わず、正確に理解していただきたい概念となりますので、本日は、上記の原則のうち、③、④及び⑤の原則の概要をご紹介いたします。
1 全額払いの原則
使用者は、従業員に対して賃金を全額支払う必要があります。これは常識として当然と思われるかもしれませんが、税金や社会保険料など法令で定められた一定のものは、逆に使用者に源泉控除義務があり、賃金から控除することは当然に適法となります。
また、法令上の規定がないものについても、従業員の過半数組合や過半数代表者と「賃金控除協定」等を書面で締結してそれに定められた項目に該当するもの、例えば、組合費、給食券代等を控除する場合には、適法と考えられております。
2 毎月払いの原則
賃金は、毎月一回以上支払わなければならず、年俸契約の場合も労働基準法上の労働者であるときは、先払い又は毎月分割払いをしなければなりません。
なお、賞与や臨時の賃金には当該原則の適用はありませんので、ご注意ください。
3 一定期日払いの原則
賃金は、毎月一定の期日に支払わなければなりません。
もっとも、繰り上げ払いや一回払いを二回に繰り上げ分割することは臨時的措置の場合ならば可能な場合もあります。
以上、労働基準法24条1項が規定する賃金に関する諸原則の内、③全額払い、④毎月一回以上払い、⑤一定期日払い、の各原則の概要をご紹介いたしました。
それぞれの原則については、例外的な取扱いがある等実際の運用に関しては上記の内容に加えご注意いただきたい点が多数ございます。
賃金は、使用者側、従業員側のいずれにとっても非常に重要な概念であることを踏まえますと、可能な限り正確にご理解いただき運用いただくことが使用者側にとっては不可欠となりますので、ご不安な点等ありましたら、専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
中小企業の海外進出は年々増加しています!
近年、中小企業の海外進出は増加傾向にあると言われております。
本日は、中小企業庁が公表している「中小企業白書2019年版」に掲載されている統計を踏まえ、中小企業の海外進出の概況をご紹介いたします。
前提として、中小企業の海外進出の概況と言っても、海外と直接取引する場合から、現地に自社の子会社を設立する場合まで様々な段階があります。一般的には、以下の①から③の3段階に分類されることが多いようです。
①間接輸出:日本の中小企業が、主に商社を利用して、自社の商品を海外市場に輸出するケースです。
②直接輸出:日本の中小企業が、自社自身で直接海外の企業と取引を行うケースです。
③直接投資:日本の中小企業が、海外に自社の拠点を設けて海外で取引を行うケースです。拠点の確保の方法としては、自社の子会社を設立する方法や、現地の企業を買収する方法等があります。
以上の3段階について、現在の状況をみると、②直接輸出を行う中業企業の割合は徐々に増加しており、2016年度では、21.4%となっております。
また、③直接投資の内、海外で現地子会社を保有する中小企業の割合も年々増加しているようで、2016年度では、14.2%となっております。
中小企業が現地子会社を保有する国としては、90年代後半から2000年代前半にかけては中国の割合が高く、一時期は50%を大きく超える状況でした。しかしながら、2000年代後半からはASEAN諸国の割合が増加し、2017年度は、ASEANの割合が42.9%、中国の割合が21.4%と、ASEANに現地子会社を保有する中小企業の割合が、中国に現地子会社を保有する中小企業の割合の2倍以上となっております。
今後の展望としては、2018年12月30日に環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)が発行し、2019年2月1日には日EU経済連携協定(日EU・EPA)が発行されましたので、ますます、中小企業の海外進出は増加するものと思われ、その進出先としては以前のように中国中心ということではなく、幅広い国、地域が対象となっていくことが予想されます。
海外進出に限らず、海外の企業との取引をする際には、様々な法規制の問題があります。
どうしてもビジネスの中身の具体化に集中しがちですが、法規制をクリアしないことには、ビジネスを進めることも困難となりますので、海外の企業との取引を検討されている場合には、一度専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
輸入事後調査は事前に通知が届くとは限りません!日々の業務を適切に行うことが重要です!
本日は、輸入事後調査の対応の際の注意点の1つをご紹介いたします。
輸入者の中には、「輸入事後調査の存在は知っているが、調査実施前に通知が来るはずなので、その通知が届いてから対応を検討すれば十分だろう」とお考えの方がいらっしゃいます。
しかしながら、このような考えは以下の観点からリスクがあります。
すなわち、一般的には、輸入者が調査の準備を出来るように期間を設ける趣旨から、調査より前に、調査の対象となる輸入者に対して通知が届く運用がなされているようです。
しかしながら、通知を事前に行うことについて法令上の規定があるわけではありませんので、調査実施前に通知が届かない場合や、調査日からあまり期間がないタイミング(例えば前日等)で通知が届く場合もありますので、注意が必要です。
実際に、税関のHP上では、輸入事後調査の事前通知に関して、「法令の規定に従い、申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、①違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又は、②その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合には、事前通知をしないこともあ」る、との説明が掲載されております。
身に覚えがなく、また、実際には問題がない場合であっても、税関が上記①又は②のおそれがあると判断した場合には、輸入事後調査の事前通知がなく、突然輸入事後調査が実施される可能性があります。
以上のとおり、輸入事後調査について、事前通知が届いてから対応を検討すればよいとの考えにはリスクがあります。事前に輸入に関する業務内容を整理し、日々の業務が適正に遂行できるような体制を構築することが重要です。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、豊富な輸入事後調査の対応経験を有しております。輸入事後調査の対応準備から実際の調査時の立会まで、輸入事後調査に関して幅広くサポートさせていただくことが可能ですので、輸入事後調査に関して少しでも不安な部分がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
ご存知ですか?~従業員に対する賃金の支払い方にはルールがあります!~
労働基準法は、賃金の支払いに関して、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」(同24条1項)、「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」(同条2項)と定めております。
要約すると、賃金の①通貨払い、②直接払い、③全額払い、④毎月一回以上払い、⑤一定期日払い、の五つの原則が規定されていると言えます。
賃金は非常に重要な概念ですので、企業の経営者、従業員を問わず、正確に理解していただきたい概念となりますので、本日は、上記の原則のうち、①及び②の原則の概要をご紹介いたします。
1 通貨払いの原則
賃金は、原則として現金で支払わなければなりません。
そのため、小切手や現物で賃金を支払う場合、事前に労働協約等の規定を設けておかないときには違法となりますので、注意が必要です。
なお、以前は給与袋に現金をいれ、直接従業員に対して給与を支給するといった取扱いが一般的でしたが、現在は、本人の同意など一定の要件の下、賃金を本人名義の銀行口座に振り込むことは通貨払いの原則の例外として適法であるものと取り扱われております。
2 直接払いの原則
賃金は、直接従業員本人に支払う必要があります。
そのため、従業員の代理人に対して支払う場合も違法として無効であると判断され得るので、従業員本人から再度賃金支払の請求がなされた場合は、使用者側は当該従業員に対して改めて賃金を支給する必要が生じるといったリスクがある点には注意が必要です。
なお、従業員本人の支配下にあると認められる妻や子が、従業員本人の印鑑を持参し、従業員本人名義で受領した場合には、従業員本人の代理人ではなく、使者への支払いとして適法と判断される場合もありますが、実際の取扱いには十分注意する必要がある点も併せてご留意ください。
当事務所では、労働問題・トラブルの予防策から、実際に生じた問題・トラブルへの対応まで、幅広く取り扱っておりますので、賃金の考え方や賃金の支払いに関する諸原則等に関してご不明な点やご不安な点がある場合は、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
過少申告加算税が課されない「正当な理由」とは?
貨物の輸入時に行う納税申告が過少申告であった場合には、通常過少申告加算税が課されることとなりますが、過少申告であったことについて「正当な理由」がある場合には、過少申告加算税は課されません。
過少申告加算税が課されない「正当な理由」については、関税法第12条の2第3項、関税法基本通達12の2-1に規定されておりますので、本日は、当該規定の概要について、ご紹介いたします。
1 「正当な理由」の意義
まず、「正当な理由」の意義についてですが、当初の納税申告が過少であったことについて、真にやむを得ない事由があると認められ、加算税を課すことが不当又は酷になる場合のことを指します。
そのため、輸入者による法令の不知や適用の誤り、貨物の内容を誤解していたような場合や単純なミスに起因するものは「正当な理由」には該当しないと考えられます。
2 「正当な理由」に該当する具体的な事情
具体的には、例えば、以下の①から④のような場合が「正当な理由」に該当すると考えられております。ただし、「正当な理由」、すなわち過少申告に関して真にやむを得ない事由があるか否かの判断は、あくまでも個々の事情に応じて判断されることになりますので、ご注意ください。
①納税申告に関して必要な輸入貨物に係る関税率表の適用上の所属、税率及び課税標準等について、輸入者等から十分な資料の提出等があったにもかかわらず税関職員が輸入者等に対して誤った教示等を行い、輸入者等がその教示等に従っていたもので、輸入者等がその教示等を信じたことについて真にやむを得ないと認められる事情がある場合
②新規商品であるため、その分類を確定し適用税率を決めることが多大な困難を伴う場合
③輸入許可後にやむを得ない事情により課税価格に変更があり、速やかに修正申告が行われた場合
④輸入者に課税標準の確定に日時を要する事情があり、関税法第73条第1項に規定する税関長の承認を受けて貨物が引き取られた場合で、輸入の許可前に輸入者からの申し出に基づいて課税標準を確定したことによる場合
なお、過少申告加算税について、「正当な理由」がある場合、修正申告又は更正により納付すべきこととなる税額のうちに、過少申告であったことについて「正当な理由」があると認められる部分に限って、過少申告加算税が課されないことになります。
過少申告加算税全体が課されないことになるわけではありませんので、ご注意ください。
以上、過少申告加算税が課されない「正当な理由」の概要をご紹介いたしました。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸出入や通関に関して豊富な知識・対応経験を有しております。
過少申告加算税が課されない「正当な理由」に関して、もう少し詳しい考え方を知りたいといったご相談や実際に加算税を課されてしまって困っているといったご相談等を幅広く承っておりますので、過少申告加算税を含む各加算税に関して、少しでも不安や悩み、気になる点がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
ご注意ください!~自宅学習時間も労働時間に該当する可能性があります!~
従業員の行為が労働時間に該当する場合には、当該時間に対して、企業としては残業代の支払いをはじめ様々な規制を受けることになります。
そのため、従業員の行為が労働時間に該当するかどうかについては、慎重に判断する必要があります。昨今の社会情勢のもと、従業員に自宅学習時間を設ける企業も増えてきており、そのような自宅学習時間が労働時間に該当するかどうかに関してご相談いただく場合もございます。
そこで、本日は、自宅学習時間が労働時間に該当するかどうかについてご説明いたします。
結論としては、該当する場合もございますので、自宅学習時間の設定には十分注意する必要があります。
1 自宅学習時間の労働時間該当性に関する2つの考え方
そもそも労働時間は、「使用者の指揮命令下に置かれていた」ものと客観的に評価される時間のことを指すところ、自宅学習は、通常、場所的にも時間的にも拘束されているわけではないものと思われます。
そのため、企業の指揮命令下に従業員が置かれている状況とはいえず、自宅学習時間について、労働時間には一切該当しない、という考え方もあります。
他方で、場所的な拘束を受けていないとしても、企業側の指示により自宅学習を行うという点で時間的には拘束されていると考えるべきであるとして、自宅学習時間であってもその拘束の具体的な態様次第では、労働時間として扱う必要がある場合もある、との考え方もあります。
2 自宅学習時間の労働時間該当性をどのように考えるべきか?
参考となる事例として、労災認定に関する事案ですが、業務命令で受験することになった資格取得のための自宅での学習時間について、あくまでも業務命令で受験することになった以上、当該受験のための学習は業務命令に基づくものであるとして、自宅での学習時間も企業側の指揮命令下での業務に該当する、と判示した裁判例があります(大阪地判平成21・4・20労判984・35)。
上記裁判例も踏まえますと、自宅学習時間というだけで形式的に労働時間には該当しないと判断すべきでなく、あくまでも、その学習時間がどのような経緯で企業側が従業員に対して求めたものなのか、また、実際の学習時間において企業側の指揮命令下にあったと言えるか、等といった点を具体的に検討、判断する必要があり、その結果、自宅学習時間が労働時間に該当すると判断される場合も十分考えられるものと思われます。
自宅学習時間が労働時間に該当すると判断される場合、残業規制等の様々な規制が発生することになりますので、企業としては慎重に判断する必要があります。
もっとも、労働時間該当性は客観的に判断する必要があり、当事者では判断が難しい場合も多いのが実情です。
そのような場合には専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
貨物を輸入する場合、加算税の理解は必須です!
輸入に関与されている方の中には、貨物を輸入する際に申告価額を間違えて加算税が課せられてしまった、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本日は、加算税制度の概要をご紹介します。
加算税と一括りに言っても、以下のとおり、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税の3種類あり、それぞれ全く異なる内容となりますので、ご注意ください。
また、以下でご紹介する内容は概要にとどまり、例外的な算定方法を用いる必要がある場合もありますので、より詳細な内容を確認する必要がある場合には、専門家までご相談いただくことをお勧めいたします。
1 過少申告加算税
貨物の輸入時に行う納税申告後、当該納税申告額が誤っていたことが発覚した場合に、原則として課される加算税のことを指します。具体的には、原則、当該修正申告又は更正によって納付すべき税額(すなわち、当初申告税額との差額部分)を基礎として10%の過少申告加算税が課されることになります。
例えば、当初申告税額が200万円であったところ、実際に申告すべき税額が300万円であった場合には、過少申告加算税として10万円が課されることとなります。
ただし、過少申告であったことについて「正当な理由」があると認められる部分に対しては過少申告加算税は課されません(もっとも、実際には「正当な理由」があると認められる場合は非常に限られております。)。
2 無申告加算税
納税申告が必要とされる貨物について、輸入の時までに納税申告が行われずに税関長による決定が行われた等の場合に、本来輸入者が納付すべき税額を基礎として15%の無申告加算税が課されます。
ただし、無申告であったことについて「正当な理由」があると認められる場合には、無申告加算税は課されません(過少申告加算税の場合と同様に、実際には「正当な理由」があると認められる場合は非常に限られております。)。
3 重加算税
過少申告加算税又は無申告加算税が課される場合において、納税義務者がその納付すべき関税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装していた場合に、課される可能性がある加算税です。
過少申告加算税の場合には、原則として35%、無申告加算税の場合には、原則として40%の割合にて算定されます。
当事務所では、代表弁護士が通関士資格を有しており、輸出入や通関に関して豊富な知識・対応経験を有しております。
加算税に関して、もう少し詳しい考え方を知りたいといったご相談や実際に加算税を課されてしまって困っているといったご相談等を幅広く承っておりますので、加算税に関して、少しでも不安や悩み、気になる点がある方は当事務所までお気軽にお問い合わせください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
ご存知ですか?~「賃金」の意義を正確に理解する必要があります!~
従業員にとって賃金は非常に重要なものであり、賃金を得るために仕事を行っていると言っても過言ではありません(もちろん、賃金は副次的なものであり、自分の夢や目標を実現するために仕事をしている方もいらっしゃいますが、賃金が必要不可欠なものという点は異論はないでしょう。)。
また、会社にとっても、賃金は、労働の対価として従業員に対して支払うものであり、人件費は会社の経営上大きな比重を占めるものですので、非常に重要なものと言えます。
もっとも、法律上、賃金が何を指すのかについて、正確に理解できていない場合も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、賃金の考え方をご紹介いたします。
1 賃金の意義
まず、賃金の意義についてですが、労働基準法11条において、「賃金」とは、「賃金、給料、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定義されています。
ここでいう「労働の対償」とは、労働の対価のことを指しますが、直接的に提供した労働時間や出来高に応じて支払われる場合のみを指すわけではありません。労働者の生活の維持等のために使用者が従業員に対して支給するものであって、かつ、支給条件の明白なものであれば、支給する際の名称の如何に関わらず、すべて労働基準法11条でいう「賃金」に該当すると考えられておりますので、注意が必要です。
2 よく問題となる論点
「賃金」への該当性に関してよく問題となる論点として、会社法上のストック・オプション制度(会社法236条以下)から得られる利益が労働基準法11条における「賃金」に該当するか、という問題があります。結論としては、基本的には、当該利益は労働の対償ではなく、労働基準法11条における「賃金」には該当しないと考えられております。
また、弔慰金についても賃金該当性に関して同様の問題がありますが、弔慰金は使用者が遺族に対して支払うものであり、労働者に対して支払うものではないので、労働基準法11条における「賃金」には該当しないものと考えられております。
当事務所では、労働問題・トラブルの予防策から、実際に生じた問題・トラブルへの対応まで、幅広く取り扱っておりますので、賃金の考え方等に関してご不明な点やご不安な点がある場合は、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
