Author Archive

従業員の休憩時間について

2021-04-10

「従業員には、適宜休憩時間を取らせるようにしているが、会社として決まった休憩時間というものは設けていない。仕事の繁閑状況等を踏まえて、取れる時に休憩時間を取るようにしてもらうということが会社の慣習となっている。休憩時間については法律上規定があるということを聞いたが、どのような規定があるのか。」、というご相談をお受けすることがあります。
休憩時間については労働基準法上規定されており、この規定に反することはできませんので、会社としては十分注意する必要があります。

以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 労働基準法上の休憩時間の規定について

休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保証されている時間のことをいいます。
労働基準法34条は、休憩時間について、以下の①から③のとおり規定しております。

①労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上を、労働時間の途中に付与することを義務付けています。
②休憩時間は、原則として一斉に与えなければなりません。
③自由に休憩時間を利用させなければならない。

労働基準法上の労働時間の規定は上記のとおりですが、休憩時間は、労働時間と同様に使用者の拘束下にある時間であり、通達や判例上も、休憩の目的を損なわない限り、使用者の施設管理や企業の規律維持の観点からの一定限度の制約を受け得ると考えられております。

ただし、休憩時間はあくまでも労働者が権利として労働から解放されることを保証されている時間でもあるため、上記③のとおり、労働者が自由に利用できることは大前提であり、強い制約を設けるような場合には、労働時間と認定される可能性もある点には十分注意することが必要です。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は人事労務を幅広く取り扱っております。
休憩時間、労働時間に関する問題をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

保税地域について

2021-04-09

貨物の輸入・輸出をビジネスとして行っている方の中には、貨物の保管場所として保税地域を利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
保税地域とは輸入通関、輸出通関においてはよく出てくる言葉であり、非常に重要な存在といえますので、改めてその概要をご紹介いたします。

 

1 保税地域の概要

保税地域とは、外国貨物を置くことのできる場所として設置されている場所のことを指します。
輸出入の通関手続きや、船舶・航空機への積み込みを即座に行うことが出来ない場合に、保税地域が利用されることが多いといえます。

なお、「外国貨物」には、大要以下の2種類があります。

(i)外国から到着した貨物で、未だ輸入の許可や関税の納付がなされていない貨物
(ii)外国に送り出そうとする貨物で、輸出の許可がなされた船舶や航空機への積込みを控えている貨物

 

2 保税地域の種類と機能

保税地域には、次の5種類があります(関税法29条)。
①の指定保税地域は、輸出入通関のために設けられているものです。他方で、②から⑤は特定の目的のために設けられている保税地域である点に特徴があります。

①指定保税地域(関税法37条から41条の3)
港又は空港にある国、地方公共団体などが所有又は管理する土地、建設物等で財務大臣が保税地域として指定した場所のことを指します。

②保税蔵置場(関税法42条から55条)
保税蔵置場は、①の指定保税地域と同様の行為ができるものとして税関長が許可した場所で、外国貨物を保税の状態で原則として3カ月間、税関長の承認を受けることで2年間まで蔵置することが出来ます。

③保税工場(関税法56条から62条)
保税工場は、外国貨物の加工、それを原料とする製造・混合、改装、仕分けその他の手入れをすることができるものとして税関長が許可した場所のことを指します。

④保税展示場(関税法62条の2から62条の7)
保税展示場は、国際博覧会や見本市などのために、関税や消費税を留保したまま外国貨物の積卸・運搬、蔵置、内容点検、改装、仕分けその他の手入れ、展示又は使用等ができる場所です。

⑤総合保税地域(関税法62条の8から62条の15)
総合保税地域は上記②から④の保税機能の他様々な機能を併せ持った保税地域です。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入トラブルや通関トラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

国際取引で発生するトラブルの解決方法について

2021-04-08

国際取引の中でトラブルが発生した場合の解決方法として代表的なものとしては、以下の制度があります。
以下、概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 和解

取引の当事者同士で話し合いを行い、トラブルを解決する方法です。

 

2 調停

調停とは、第三者を交えた和解とイメージいただければよいものと思われます。
すなわち、調停においては、紛争当事者間による調停付託の合意に基づいて、当事者が選んだ調停人が双方の主張を聞き、提出された関係書類を調べた上で調停案が提示されます。
ただし、調停が合意され、調停案が出されても法的強制力(拘束力)はありませんので、当事者がその調停案に不服であれば調停を受け入れる義務はなく、拒否することが出来ます。
そのため、調停では最終的な解決に至らない場合も多くあります。

日本における調停機関としては、日本商事仲裁協会があります。
この機関は、以下3の仲裁を主として執り行っておりますが、調停についても執り行っております。

 

3 仲裁

仲裁は、紛争当事者の仲裁付託合意に基づいて行われるもので、当事者により選任された仲裁人が仲裁判断を下すことになります。
調停とは異なり、両当事者は仲裁判断を受け入れる法的義務があります。
仲裁付託条項とは、当事者によって合意された仲裁条項又は仲裁契約のことを指します。
これらがある場合には、当事者に法的拘束力を生じるので、別途訴訟に持ち込むことはできないので、注意が必要です。

なお、仲裁判断が示されたが、相手の財産が日本にない場合や相手がその判断に従わない場合は、その仲裁判断に基づき相手国において執行手続を執る必要があります。
仲裁判断の強制執行は、仲裁合意書の原本、仲裁判断の原本、これらの原本の翻訳文に当該外国領事館の証明を受けたものを執行地の裁判所に提出し、強制執行の判決を受ける必要があります。
執行地の弁護士等の専門家に協力を仰ぐ必要がありますので、強制力があるという意味では有益な制度ですが、実際の執行の段階まで踏まえると、現実的には利用することが難しい場合も相当程度あります。

 

4 訴訟

上記の各方法で解決できない場合は、訴訟を提起することを考える必要があります。
もっとも、訴訟の裁判管轄や適用される法律がどこの国の法律となるのか、等の問題が仲裁の場合以上にありますので、訴訟を行う場合には、専門家の協力を得ることは必須です。

以上、国際取引で発生する取引のトラブルの解決方法をご紹介いたしましたが、トラブルが発生した場合には、専門家にご相談いただいた上で、どのような対応を取るべきかを慎重に検討いただくことをお勧めいたします。

退職勧奨で提示する上乗せ退職金について

2021-04-07

退職勧奨を行う際に、上乗せ退職金を支払った上で退職合意を締結し、円満退職を図るといった対応を取ることも多くあります。
そのため、「実際にいくら程度の上乗せ退職金を支払う必要があるのか。何か基準のようなものはあるのか」、といったご相談をお受けすることがあります。
結論としては、明確な基準というものはなく、具体的事情を踏まえたケースバイケースで対応するしかないのですが、検討する上で有用な一定の視点というものがあります。

以下でご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 上乗せ退職金を検討する際の視点

上乗せ退職金を検討するにあたっては、業界水準、会社における前例や会社の業績、従業員の勤続年数等の様々な要素を検討することになります。
また、仮に従業員を解雇をした場合、裁判で勝てる可能性はどのくらいあるか、といった視点や、裁判所では、どれくらいの額で和解が成立しそうか、といった要素まで検討する必要があり、このような経験的な視点が非常に重要です。

例えば、技術分野での専門的能力や管理職としての能力を期待して中途採用した従業員が、期待していたような能力を発揮しないため、入社後1、2年で辞めてもらうことを検討する場合、終身雇用や年功序列を前提に雇用をしたわけではないとも言えますので、解雇が法的に争われた場合、企業側としては争いやすい面があります。

その一方で、新卒で採用し、勤続年数が長く、年功序列的に昇進等が予定されている場合で、成績改善のための指導もほとんど行われておらず、また、年度末評価も他の従業員と横並びの場合であるときは、仮に問題社員であっても、なかなか解雇が有効とは認められず、上乗せ退職金として、高額を用意する必要が生じる可能性が相当程度あります。

以上のとおり、上乗せ退職金の金額は、事案によって大きく異なります。
一般的には、3か月分から18か月程度の賃金の間となることが多いとも言われておりますが、あくまでも参考程度のものにとどまりますので、注意が必要です。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は人事労務を幅広く取り扱っております。
従業員の退職に関する問題をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。

原産地基準について

2021-04-06

特恵関税等の優遇措置を受けるためには、輸入貨物が原産地基準を充足する必要があります。
原産地を認定する基準としては、WTO原産地規則に関する協定第9条第1項(b)において、「特定の物品の原産地であると決定される国は、当該物品が完全に生産された国又は、最後の実質的な変更が行われた国のいずれかとすることを規定すべき」としており、この考え方が日本を含め世界の多くの国で原則的な考え方として採用されているのが実情です。

以下では、日本で採用されている原産地基準をご紹介いたします。

 

1 原産地基準について

(1)完全生産品基準
一つの国において完全に生産されることを要件とするもので、主に農産品や鉱業品などに適用されております。

(2)実質的変更基準
物品の生産に2カ国以上の国が関与している場合、当該物品に最後に実質的変更を加えた国を原産地とする基準で、さらに以下の三つの基準があります。

①関税番号変更基準
関税分類番号(HSコード)の変更を実質的変更とみなす基準のことを指します。
関税分類番号は、上2桁を「類」、上4桁を「項」、上6桁を「号」と区別されます。そして、日本では、上4桁「項」の変更基準を採用しております(関税法施行規則第1条の6、関税法基本通達68-3-5)。

②付加価値基準
物品の調達、生産、加工等の作業に伴って付加された価値を価額換算し、当該付加価値が一定の基準値を超えた場合に、実質的変更があったとみなす基準です。

③加工工程基準
特定の生産・加工工程が実施された場合に実質的変更がなされたとみなす基準です。

具体的な条約内において、上記の内のどの基準が採用されるかが規定されているので、実際にどの基準が採用されているかを判断するためには、条約の内容を詳細に確認する必要があります。
例えば、シンガポールとの間のEPAにおいては、関税番号変更基準が原則とされておりますが、化学製品等特定の品目の貨物については、付加価値基準を用いることもできると規定されております。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入トラブルや通関トラブルでお困りの方やご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

原産地規則について

2021-04-05

原産地規則とは、輸入又は輸出される貨物の原産地(原産地とは、ひとまず、貨物の「国籍」のこととイメージいただければ大丈夫です。)を決定するために用いられるルールのことです。
このような原産地規則は貨物を輸入する際には非常に重要なルールとなりますが、輸入者は、輸入通関手続を通常通関業者に委任することが多いので、このような原産地規則までは理解していないことがほとんどであるものと思います。
もっとも、何かトラブルが発生した場合には輸入者自身が対応する必要が生じる場合もありますので、概要程度であっても原産地規則を理解しておいた方がよいものと考えられます。

以下では、原産地規則の概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

政策目的に応じて、原産地規則は、以下の1及び2のとおり大別されます。

1 特恵原産地規則

特恵原産地規則とは、輸入品に特恵関税を付与するために利用する規則で、以下の(1)及び(2)に分類されます。

(1)一般特恵関税(GSP)を適用するための原産地規則
開発途上国に対する一般特恵関税制度に基づく税率の適用対象となる貨物であるかどうかを決定するための規則のことを指します(関税暫定措置法施行規則第8条、第9条及び別表等)。

(2)自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の税率を適用するための規則
自由貿易協定(FTA)とは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定のことを指します。
他方で、経済連携協定(EPA)とは、貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む幅広い経済関係の強化を目的とする協定のことを指します。

日本が自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結している国や地域は、シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN全体、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル等です。

 

2 非特恵原産地規則

非特恵原産地規則とは、1以外の目的のために利用されるもので、例えば、WTO協定税率の適用や貿易統計計上等のための規則等があります(関税法施行規則第1条の6及び第1条の7等)。
上記の原産地規則においては、それぞれ原産地基準が規定されており、実際に貨物を輸入する際には、原産地基準の内容を確認することが必須です。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
原産地規則に関する問題をはじめ、輸出入トラブルや通関トラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

消費者契約法の無効事由について

2021-04-04

消費者に商品やサービスを販売・提供する小売業、サービス業にとって、消費者との間の契約関係を規律する消費者契約法は非常に重要なものといえます。
消費者契約法上重要な論点は多岐にわたりますが、本日はこのうち、消費者契約法上の無効事由についてご紹介します。

 

1 消費者契約法上の無効事由について

消費者契約法は、消費者契約について、事業者の損害賠償責任を免除する契約条項(消費者契約法8条)、消費者の解除権を放棄させる契約条項(消費者契約法8条の2)、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等(消費者契約法9条)、消費者の利益を一方的に害する条項(消費者契約法10条)が、無効事由として規定されております。

具体的には、以下のような内容の契約条項は無効となりますので注意が必要です(消費者庁の公表内容を参考に整理しております)。

①損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項

②事業者の債務不履行等の場合でも、消費者の解除権を放棄させる条項
例えば、「販売した商品については、いかなる理由があっても、契約後のキャンセル・返品、返金、交換は一切できません」とする条項のことを指します。

③契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき年利14.6%を超える部分についての条項
例えば、「毎月の家賃は当月20日までに支払うものとする。前記期限を過ぎた場合には1か月の料金に対し年30%の遅延損害金を支払うものとする」といった条項等、キャンセル料が高すぎたり、解約時に支払い済みの金銭を返してもらえなかったりした場合には、不当な契約条項に該当するリスクがありますのでご注意ください。

④任意規定の適用による場合に比べ、消費者の権利を制限しまたは義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項

⑤成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項
消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項は無効です。

 

2 弁護士へのご相談をご要望の方へ

消費者契約法は、企業、消費者いずれにとっても非常に重要な内容の規程です。
当事務所は、消費者契約法に関するご相談もお受けしておりますので、消費者契約法に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

パタハラについて

2021-04-03

セクハラやパワハラといった表現についてはニュース等で耳にし馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
ハラスメントには色々な種類がありますが、最近ではパタハラという問題が取り上げられることが多くあります。
まだまだパタハラという表現には馴染みのない方も多いように思われますので、以下では、パタハラの概要をご紹介いたします。

 

1 パタハラの概要

パタハラとは、パタニティ・ハラスメントの略語であり、パタニティとは、英語で父性のことを指します。
一般にパタハラとは、男性労働者による育児休業制度等の利用に関して、会社・上司・同僚からの嫌がらせを指します。
具体的には、男性労働者が育児休業等を取得することを拒んだり、育児休業等を取得したことを理由に降格等の人事上不利益な取扱いを行うことが典型的な内容となります。

 

2 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業法」といいます)

育児・介護休業法10条は、「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と規定しています。
その他にも、同法は、介護休業(16条)、子の看護休暇(16条の4)、介護休暇(16条の7)、時間外労働の制限(18条の2)、深夜業の制限(20条の2)、所定労働時間の短縮措置(23条の2)等についても同様に、これらを理由とする不利益取扱いが禁止されております。

育児・介護休業法の不利益取扱い禁止を定める各条文は、これまで女性労働者を念頭に問題となることが多かったといえますが、当然のことながら男性労働者にも適用があります。
パタハラの問題が発生した場合には、育児・介護休業法の各規定を踏まえて、法律上問題があるかどうかを判断することが重要です。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方

当事務所は人事労務を幅広く取り扱っております。
パタハラに関する問題をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

 

出向について

2021-04-02

会社の経営者の方はもちろん、会社にお勤めの方にとっても、「出向」は非常に身近な人事上の制度であるといえます。
出向は企業の人事労務において重要な制度となりますので、本日はその概要をご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。

 

1 出向の概要

出向の法律関係について、どのように考えるかですが、労働者が自己の雇用先の企業(以下「出向元」といいます)に在籍したまま、他の企業(以下「出向先」といいます)の従業員となって、相当長期間にわたって当該出向先の業務に従事することを指すのが一般的です。
また、出向は、労働者が出向元に在籍している点をとらえ、在籍出向と呼ばれる場合もあります。

 

2 配転、転籍、派遣との関係

出向と類似の制度に、配転、転籍、派遣という制度があります。以下では、それぞれの内容を簡単にご紹介いたします。

まず配転とは、労働者の職種・職務内容または勤務場所を同一企業内で相当長期にわたって変更することをいう。配転は,同一の企業内における異動である点で、出向とは異なります。よく「人事異動」といわれるものがこの配転にあたります。

次に転籍とは、ある企業の従業員が、当該企業との労働契約関係を終了させ新たに他の企業との間に労働契約関係を成立させる形態を指します。元の企業との間の契約関係が終了する点が出向と異なる点です。

また、派遣とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを指します(労働者派遣法2条1号)。
出向と派遣との違いは、労働者と出向先との間に何らかの労働契約関係が発生するか、それとも労働者と派遣先との間に契約関係は存在せず、指揮命令関係のみが存在するか、という点にあるといえます。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方

当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
出向、配転等の人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

代表的な輸入関連書類について

2021-04-01

ビジネスで貨物を輸入する際に必要となる書類は複数あります。
通常は、貨物の輸入は通関業者依頼し、通関業者からの指示に沿って書類を提出すれば、あとは通関業者が適切に輸入申告をしてくれます。
そのため、どのような書類が、輸入申告においてどのような意味合いを持っているのか、ということに関してまで明確には認識することができていないケースも多いのではないでしょうか。

そこで、本日は、概要にとどまりますが、輸入申告を行う上で特に重要な書類についてご紹介いたします。各書類の内容等はまた、別の機会にご紹介できればと思います。

 

1 インボイス(送付状、仕入書、請求書等と呼ばれる場合もあります)

通常は、貨物の購入者(輸入者)に対してメーカー側が発行する納品書兼請求書のことを指しますが、送付状や見積もり段階で発行される場合もあります。
代表的なものとしては、プロフォーマーインボイスとコマーシャルインボイスの2種類があります。

 

2 パッキングリスト(梱包明細書)

貨物がどのように梱包されているのか、梱包の数はいくつなのか、梱包の番号と内容、大きさと重量はどうなっているのか、梱包の外装に書かれたマーク(荷印)はどんなものなのか、といった梱包の状況や梱包された貨物の内容等を把握することを目的として作成される書類です。インボイスだけでは、実際の貨物の状況が分かりませんので、インボイスとあわせて輸入申告の際には提出されることになります。

 

3 運送書類(B/L、AWB)

船便輸送の場合のB/L(船荷証券)は、輸入取引に関する書類で最も重要なものの一つです。なぜなら、この書類と引き換えに、貨物を受領することができるからです。
なお、航空便の場合の航空貨物輸送上はAWBといいます。

 

4 原産地証明書

特恵関税等、税制上の優遇等を受けるために必要な書類です。

 

5 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルを幅広く取り扱っております。
輸出入トラブルや通関トラブルでお困りの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

03-5877-4099電話番号リンク 問い合わせバナー