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債権法改正に伴う労働基準法の改正について
民法のうち債権法部分の改正が行われたこと(2020年4月1日施行)は、ニュースでも頻繁に取り上げられておりましたので、多くの方がご存知であるものと思われます。
このような債権法改正に伴い、労働基準法も一部改正となりました。
そこで、本日は、労働基準法の代表的な改正点をご紹介いたします。
ただし、以下の1から3については、いずれも当分の間、経過措置が設けられている点には注意が必要です。
1 賃金請求権の消滅時効期間について
賃金請求権の消滅時効期間が2年から5年に延長されました。
また、事項の起算点は、請求権を行使することができる時であることが明記されました(労働基準法115条の改正)。
2 付加金の請求期間について
付加金を請求できる期間(除斥期間)が2年から5年に延長されました(労働基準法114条但書の改正)。
なお、付加金とは、労基法上の割増賃金等について未払いがある場合に、労働者の請求によって、裁判所が、使用者に対して、未払金と同一額の支払いを命じることができるものである。
3 労働者名簿等の保存期間
労働者名簿、賃金台帳及び雇い入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存期間が3年から5年に延長されました(労働基準法109条の改正)
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
債権法改正に伴う労働基準法の改正にとどまらず、昨今の働き方改革や社会全体の変化に伴い、様々労働関連法制が成立、修正されております。
労働関連法制の内容を逐一把握し、適切に対応していくことが望ましいところですが、現実的には、なかなか企業が独力で行うことは難しいといわざるを得ません。
当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
キャッチオール規制について
貨物を輸出する場合、輸出貿易管理令に基づき様々な規制がある点は、以前のコラムでもご紹介いたしました。
本日は、この輸出貿易管理令におけるキャッチオール規制に関してご紹介いたします。
輸出貿易管理令別表第1の第16項では補完的輸出規制品目(キャッチオール規制)が規定されておりますが、個々では、輸出貨物の仕向地を以下の4つの地域に分類し、それぞれの地域の懸念の度合いに応じて輸出許可の要否を規定しております。
1 輸出管理徹底国
通常兵器や大量破壊兵器の輸出規制の国際的合意に参加し、輸出管理が適正に行われている国で、ホワイト国とも呼ばれております。
これらの国に16項該当品目を輸出する場合には、輸出の許可は必要ありません。
具体的には、輸出貿易管理令別表3に掲載されている以下の国です。
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ
2 国連武器禁輸国
国連の安全保障理事会の決議により武器の輸出を禁止されている国のことを指します。
これらの国に16項該当品目を輸出する場合には、輸出の許可が必要となります。
具体的には、輸出貿易管理令別表3に掲載されている以下の国です。
アフガニスタン、コンゴ、エリトリア、イラク、レバノン、北朝鮮、ソマリア、スーダン、中央アフリカ
3 懸念国
輸出貿易管理令別表4に掲載されている、イラン、イラク、北朝鮮のことを指します・
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
貨物の輸出・輸入にあたってどのような規制があるかについては、正確に理解しておかないと、スムーズな輸出・輸入の妨げとなり、ビジネスに大きな影響を与えます。
当事務所は、代表弁護士が輸出入・通関に関する唯一の国家資格である通関士の資格を有しており、輸出・輸入、通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入、通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
輸出PL保険について
PL保険の種類は、輸入品を含む日本国内で販売される製品を対象とした国内PL保険と、輸出される製品を対象とした輸出PL保険に分かれることは、以前のコラムでご紹介いたしました。
本日は、このうち、輸出PL保険に焦点をあてて、ご説明いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 輸出PL保険の約款
日本の損害保険は、輸出貨物に対する生産物について、アメリカの保険会社が一般的に採用し、世界各国で通用している英文の賠償責任保険証券の生産物責任保険特別約款により、保険を引き受けています。
2 輸出PL保険のてん補範囲
輸出PL保険では、通常、次の損害が保険金支払いの対象となります。
①法律上の賠償責任を負うことによって被害者に支払うべき損害賠償金
②解決のための諸費用、保険会社が被保険者を守るための裁判又は損害賠償請求の解決のために要した費用。例えば、裁判費用、弁護士報酬、示談解決のための費用等。
国内PL保険では、保険会社の同意を得た訴訟費用及び弁護士費用であれば、勝訴、敗訴に関わらず保険の対象となる一方で、輸出PL保険では、被保険者(輸出者等)に対する訴訟が根拠のないもの、誤ったもの、あるいは不正のものであっても、保険者(保険会社)は被保険者を防御する権利と義務を有しております。
この点は、輸出者にとってはおおきなメリットであり、輸出者が輸出PL保険を必要とする理由の一つとも言われております。
以上のとおり、輸出PL保険は、国内PL保険とは異なる特色を有しており、輸出者がビジネスを行う上で非常に有益なものとなる可能性がありますので、輸出をビジネスとして行っている場合には、保険をご利用いただくかどうかを一度はご検討いただくことをお勧めいたします。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
貨物海上保険の対象となる物的損害について
以前のコラムで、貨物の輸出入のおける保険をご紹介する観点から、貿易保険やPL保険の概要をご説明いたしました。
貨物を輸出入する場合には保険は非常に重要となりますので、本日は、貨物海上保険をご紹介いたします。
1 貨物海上保険の概要
貨物海上保険の対象となる損害には、貨物自体の物的損害と費用損害とがあります。
さらに、貨物自体の物的損害は共同海損と単独海損に分かれ、単独海損は全損と分損とに分かれます。
以下では、特に問題となる物的損害について、ご紹介します。
2 共同海損(General Average)
本船が暴風雨等のために座礁、沈没等の危険に直面した場合等、船舶と積載貨物が共同の危険にさらされたとき、積載している貨物全体の最大限の利益を確保するために、船長の権限で一部の貨物を海中に投棄したりすることがあります。
この場合、船会社及び全荷主が犠牲となった貨物の費用や応急処置費用を事前に定められた割合に応じて負担することになりますが、この場合に発生する費用的損害のことを指して共同海損といいます。
3 単独海損(Particular Average)
海上輸輸送中、個々の貨物に発生した損害で、被害を被った被保険者(荷主)の単独の負担とある損害です。
(1)全損(Total Loss)
運送契約をした貨物の全部が、船の沈没、座礁、衝突火災等の危険によって被る損害です。
全損は、大きく以下の3つに分けられます。
(i)現実全損
(ii)推定全損
(iii)積込、積替え若しくは荷卸し中に生じた荷造り1個ごとの全損
(2)分損(Partial Loss)
貨物の一部が滅失したり損傷を受ける損害のことを指します。
これには、船舶の特定事故に起因する特定分損とそれ以外のそのほかの分損とがあります。
(i)特定分損
貨物を積載している船舶等の特定事故による分損のことを指します。
(ii)その他の分損
分損の内、特定分損以外の分損のことを指します。具体的には、海上での荒天遭遇による浸水、荷崩れ、流失等による損害のことを指します。
以上のとおり、物的損害といってもぐたいてきな事情に応じて様々類型に分かれますので、それらを正確に理解しておくことが重要といえます。
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出・輸入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出・輸入や通関上のトラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
売買契約における品質決定方法には様々なものがあります!
先日のコラムにおいて、売買契約における品質決定の代表的な方法のうち、見本売買と標準品売買をご紹介いたしましたが、品質決定の方法の代表的なものとしては、この他にも、銘柄売買、仕様書売買、規格売買等があります。
これらに関しても併せて理解しておくことは有益ですので、以下ご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。
1 銘柄売買(Sales by Trademark or Brand)
ブランドが世界的に知られている場合、品質の決定に当該ブランドを使用する場合があります。
世界的な有名ブランド商品は高水準の品質を誇っていますので、売場契約上もブランドが高品質保証のパスポート的役割を果たしているといえるので、このような形式が採用される場合もあります。
2 仕様書売買(Sales by Specifications)
ブランドなど機械類や化学品等の工業品については、設計図をもとに構造、性能、成分、材質、耐久性などの詳細なデータを明記した仕様書に、青写真や資料等を添付して、品質を明らかにします。
仕様書売買は、品質決定方法としては、多くの人に馴染みのあるものだと思われますが、実際には仕様書通りの品質となっているかを適宜検収する必要がありますので、仕様書を明確に作成したとしても、それだけで安心できるわけではない点には注意が必要です。
3 規格売買(Sale by Grade or Type)
国際的に規格が決められている商品の場合には、その規格を条件として品質を決めることができます。
例えば、国際規格には国際標準機構(ISO : International Organization for Standardization)の定めたISO規格があります。
また、それぞれの国には公的規定によって標準規格が定められております。日本では日本工業規格(JIS)や日本農林規格(JAS)等があるので、それらの規格を条件に取引することもできます。
4 弁護士へのご相談をご希望の方へ
海外の業者との間で売買を行う場合には、売買契約を締結することが必須です。
海外の業者との間の売買契約に関しては、ウィーン売買条約等の様々な規制を踏まえた上で契約書を作成する必要がありますので、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
貿易取引における商品の品質の規定方法
貿易取引により貨物を輸出するにあたって、貨物の品質を契約書上明確に規定する場合も多いものと思われます。
日本において日本の業者間で取引をする場合には、継続的な関係性を有していることから、特に商品の品質を契約書上明記していなくても、相互の信頼関係に基づき想定範囲内の品質の商品を引渡してくれることも多いのですが、海外の業者との取引においてこのようなことを行ってしまうと、想定もしていないような劣悪な品質の商品を送ってくるということも十分考えられるので注意が必要です。
そこで、本日は売買契約における品質決定の代表的な方法のうち、見本売買と標準品売買をご紹介いたします。
1 見本売買(Sale by Sample)
見本売買とは、売手又は買手が実際に取引したい商品の見本を示して品質を決定することを指します。
この時使用されている見本を品質見本(Quality Sample)といい、また、買手が売手に提出した品質見本に対して、売手にサンプルを作って提示するように求める場合もあります。
なお、この試作品の見本を反対見本といいます。
以上のとおり、見本売買においては、見本と実際の取引商品が品質、性能、形状について一致していることが重要とされます。
そのため、見本と取引商品が相違している場合は、売主はその責任を問われることになります。
2 標準品売買(Sale by Standard Quality)
農産物、水産物、畜産物等の品質は、自然条件等に左右されます。
そのため、上記1のような見本売買とすることは非常に難しいと言わざるを得ません。貿易取引において見本と現物との正確な一致を求めることは不可能とさえいえます。
そこで、標準品を示し、当該標準品と品質のずれを価格で調整する方法を使うことが考えられます。
国際上の標準品売買には、次の2つの品質条件があります。
(i)平均中等品質条件(FAQ : Fair Average Quality Terms)
農産物等、主に穀物類の売買に用いられる品質条件で、当該季節の収穫物の中等品質であることを条件として取引基準を決めます。
(ii)適商品質条件(GMQ : Good Merchantable Quality Terms)
見本取引が困難な場合に用いられる品質条件で、売買するのに足ると認められる品質、すなわち、市場性のある品質を保証する条件を指します。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
海外の業者との間で売買を行う場合には、売買契約を締結することが必須です。
海外の業者との間の売買契約に関しては、ウィーン売買条約等の様々な規制を踏まえた上で契約書を作成する必要がありますので、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
業務上疾病における業務遂行性と業務起因性について
労災として認定される業務上疾病といえるためには、業務と疾病との間に因果関係が認められることが必要です。
そして、この因果関係は、業務遂行性と業務起因性の2段階に分けて考えることが一般的です。
様々な論点があるトピックではありますが、本日は、業務遂行性及び業務起因性の概要をそれぞれご説明いたします。
1 業務遂行性について
業務上疾病の場合において、業務遂行性の判断は、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配管理下にある状態であったかどうかが分水嶺となります。
すなわち、業務上疾病は、労働者が労働の場において、業務に内在する様々な有害因子に暴露して引き起こされるものといえる必要があり、これらの有害因子を受ける危険にさらされている状態が認められる場合には、業務遂行性が認められることになります。
よく勘違いされやすいところなのですが、この業務遂行性は、労働者が事業主の支配管理下にある状態において疾病が発症することを意味しているものではなく、事業主の支配管理下にある状態において有害因子に暴露していることを意味しております。
したがって、例えば、労働者が事業主の支配管理下において心筋梗塞を発症した場合、その発症原因と認められるような業務上の理由が認められない限り、当該心筋梗塞と業務との間には業務遂行性が認められないということになります。
また、この点の裏返しの話ではありますが、事業主の支配管理下を離れた場合における発症であっても、業務上の有害因子への暴露によるものと認められる限り、当該疾病と業務との間には業務遂行性が認められる点にも注意が必要です。
2 業務起因性について
労働者が発症した疾病について、①労働場所における有害因子の存在、②有害因子への暴露条件、③発祥の経過及び病態、の3要件が充足される場合には、原則として業務起因性が認められることになります。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
労災申請は、申請の検討段階において専門的な判断を踏まえて慎重に行う必要がある他、申請の手続き面も相当程度の煩雑さがある等、相当程度のハードルがある作業といえます。
特に疾病と業務との間の因果関係が認められるかどうかは、労災が認定されるかどうかの中核ともいえますので、様々な資料、場合によっては類似事案の裁判例等も踏まえて詳細に検討することが必要です。
労災に関してお悩みの場合は、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
労災認定における業務上疾病の範囲について
本日は、労災認定における業務上疾病の範囲について、ご説明いたします。
1 労災認定における業務上疾病の範囲
労災としての業務上災害のうち、特に業務上疾病については労働基準法75条2項において、「業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める」と規定されているとおり、労基則別表第1の2の規定およびこれに基づく告示が定められ、その範囲が明確化されております。
労基則別表第1の2には、特定の有害因子を含む業務に従事するとその業務に起因して発症すると認められる疾病、および脳、心臓疾患、精神障害等が類型的に列挙されております。
加えて、範囲の柔軟な拡充を可能とするため、第10号において「厚生労働大臣が指定する疾病」との規定を設けるとともに、第11号において「その他業務に起因することの明らかな疾病」との規定を設けております。
列挙されている疾病は以下のとおりです。
①第1号 業務上の負傷に起因する疾病
②第2号 物理的因子による疾病
③第3号 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する疾病
④第4号 化学物質等による疾病
⑤第5号 粉塵を飛散する場所での業務によるじん肺症とじん肺合併症
⑥第6号 細菌、ウイルス等の病原体による疾病
⑦第7号 がん原性物質もしくはがん原性工程での業務による疾病
⑧第8号 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく憎悪させる業務による脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止若しくは解離性大動脈瘤またはこれらの疾病に付随する疾病
⑨第9号 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神および行動の障害またはこれに付随する疾病
⑩第10号 前各号に掲げるもののほか厚生労働大臣の指定する疾病
⑪第11号 その他業務に起因することの明らかな疾病
上記具体的に列挙された疾病は、業務と疾病との間に一般的に因果関係があることが医学的に確立されているものですので、業務以外の原因によって発症したものであること等の立証がされない限り、一定の要件を満たすことで、業務に起因した疾病とみなされることになります。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
労災申請は、申請の検討段階において専門的な判断を踏まえて慎重に行う必要がある他、申請の手続き面も相当程度の煩雑さがある等、相当程度のハードルがある作業といえます。
労災に関してお悩みの場合は、速やかに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
PL保険について
PL保険と保険という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
特に、自社で製造した貨物を輸出する場合等には、PL保険の利用は非常に重要となります。
PL保険は、輸出入とも深く関わりますので、本日はその概要をご紹介いたします。
1 PL保険の概要
PL保険とは、「生産物賠償責任保険」のことで、生産物の欠陥による損害が生じた場合に、その生産物の製造者及び販売者に生じた賠償責任における損害を填補することを目的とするものです。
PL保険のPLとは、「Product Liability」(生産物責任)のことで、製品により、第三者に対して損害を与えた場合に、その製品の製造者及び流通業者等は、被害者に対し、損害賠償責任を負うということを指します。
2 PL保険の種類
(1)輸出PL保険
PL保険の種類としては、まず、輸出PL保険があります。
これは、輸出生産物による賠償義務が生じた場合による損害をて填補する保険です。
なお、輸出保険の填補範囲には、訴訟費用、弁護士費用、身体障害の応急手当は含まれるようですが、アメリカにおけるいわゆる懲罰的損害賠償金(これは、主に不法行為訴訟において、加害行為の悪性が高い場合に、加害者に対する懲罰及び一般的抑止効果を目的として、通常の損害賠償のほかに認められる損害賠償のことを指します。)は含まれていないようです。
アメリカにおいては懲罰的損害賠償への対応が非常に重要ですので、輸出PL保険を利用する場合には注意が必要です。
(2)国内PL保険
また、国内PL保険もあります。
これは、輸入製品を含む国内で販売されるすべての生産物を対象としています。
以上のとおり、PL保険は、輸出入に深く関わるものですので、貨物の輸出入をビジネスとしてしている場合で、まだPL保険に関して一度も検討したことがない場合には、利用の検討を行うことをお勧めいたします。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
貿易保険について
貨物の輸出入取引を行う場合に、貿易保険の利用を実際にされている方、または利用を検討されている方は多くいらっしゃるものと思います。
また、これまで貿易保険の利用を検討されたことがない方にとっても、貿易保険がどのようなものであるかを理解しておくことは非常に重要です。
そこで、本日は貿易保険の概要をご紹介いたします。
1 貿易保険の概要
貿易保険とは、損害保険会社等の保険会社が対象としていない貿易取引上の金銭的なリスクを公的機関等がカバーするという種類の保険のことを指します。
そのため、通常の保険とはイメージが少し異なります。
2 信用危険と非常危険
貿易保険の対象となるリスクは、大要、信用危険と非常危険とに分けて考えられております。
まず、信用危険とは、契約当事者の責任から発生する代金等の回収不能・輸出不能に伴う危険のことを指します。
代表的な例としては、取引先の倒産による代金回収不能の場合や相手方が一方的に契約を破棄する場合等が挙げられます。
次に、非常危険とは、信用危険とは全く別の性質のものであり、政府の政策変更や戦争などによる不可抗力的な事由によって発生する回収不能・輸出不能による危険のことを指します。
代表的な例としては、法令改正・戦争などにより輸出入規制がされた場合等がこれに該当します。
貿易保険とは、以上のような危険により発生する損害をカバーする保険で、経済産業省関連の独立行政法人日本貿易保険により保険引き受けがされております。
貿易保険を付保することができるのは、取引先が日本貿易保険の公表している「海外商社名簿」(信用状態を格付けした名簿)に登録されていて、かつ信用危険の場合は一定の基準を満たしていることが条件となります。
仮に、取引先が記載されていない場合には、「海外商社登録申請書」に信用調査書を添付し、日本貿易保険に登録申請を行うことが必要になります。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
