商標法における普通名称の考え方について

商標法においては、「その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」については、商標登録をすることが出来ないものと規定されております。
本日はこの点について参考となる裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 つゆの素事件(名古屋地判昭40・8・6判時423・45)

本事案では、「イチビキつゆの素」という商標が既に存在するときに、「サンビシつゆの素」という商標を別の業者が使用したところ、「つゆの素」が普通名称であるかどうかが問題となった事案です。

【判示の概要】
普通名称とは、一般に、当該商品の固有の名称、或はこれに準ずる名称、ないしは、その慣用語または俗用語の名称を指すものと解すべきところ同条は、「普通名称或は取引上普通に同種の商品に慣用される表示を普通に使用される方法を以て使用し、またはこれを使用した商品を販売する行為」は同法に所謂不正競争を構成しない旨明定する。
けだし、普通名称によって表示される商品は特別顕著性に乏しく商品の出所につき何らの指標力を有せず、一般市場における営業主体の誤認を招来すべき恐れなく、従って、これによって生ずべき不正競業を規制すること自体、無意味かつ不必要といわねばならないからである。同法条の法意をかくの如く解する限り、それが普通名称であるかどうかの認定は、これを抽象的に文字自体につき判定すべきではなく、当該文字の用法、なかんずくその使用時期における経済的社会的背景、当該文字と商品との関連、当該商品取引の実質的関係、すなわち商品の出所たる企業の分析、商品の生産流通過程における関与者の諸関係等の相関関係においてこれを決定すべきものといわねばならないのであり、当該名称を選択採用した者が、これを普通名称なりとする動機、意思ないしは確信、或は、一般需要者側に存するそのような認識の有無は、さしてこの点につき係わりなきものとなすべきである。

普通名称といえるかどうかの判断は総合的に判断する必要があり、難しい問題といえますので注意が必要です。

 

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