最新の裁判例その5

ECサイトの利用の拡大や副業の推進等により、輸入や輸出に関わる個人、法人は増加傾向にあります。

そこで、本日は、輸入トラブルによって裁判まで発展した事案である、東京地判平成29年12月8日(LLI/DB 判例秘書登載)をご紹介いたします。

 

1 事案の概要

Xが、Yに対し、Yから納入された有名ブランド品のバッグ等の商品についてYが真正な製品であると保証したにもかかわらずその後に偽物であることが判明し、商標法違反によりこれらの商品が廃棄没収された結果、Xが同商品販売代金相当額の損害を被ったことを理由として、不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案である。

 

2 裁判所の判断

裁判所は、以下の諸要素を総合的に踏まえ、XはYから本件商品が偽物であることを認識して購入し、転売していたものと認められると判断した上で、XとYとは、有名ブランドの偽物を継続的に売買していたにすぎず、XとYとの関係において、同売買は不法行為を構成するものではないと判断した。

①Xは、Aに対して有名ブランド品の廉価販売をしているBの販売価格のその65パーセントの値段で有名ブランド品を納入していること、

②Yから正規品の販売価格の2割程度の値段で購入していること、

③それにもかかわらず本件商品をブランド品メーカーの工場から直接に仕入れた物であると称していること、

④本件取引をするに当たって、正規価格と仕入価格の差が半分以下であり、商品によっては7、8割引きのものがあることを知っていたこと、

⑤Yから本件確約書の提供を求める以外には、本件商品が正規品であることを確認することは行っていないこと、

⑥Yから納品された本件商品の中の添付文書がいずれも至る箇所に誤字があり、一見して正規品ではないことが明らかな文書であったこと、

⑦Yに対し、納品時には同添付文書を除去して納品するよう指示したこと、

⑧本件商品を購入した顧客に対して、X独自の「保証書」を作成して、商品に内包して納品していたこと、

⑨同保証書には正規代理店の修理業者ではない業者名が記載されていたこと、

⑩原告の販売する商品を購入した顧客から商品がおかしいという苦情が寄せられたことがあること、

⑪修理等のクレームがついた場合に正規代理店の指定する修理業者ではないFという商号の修理業者に、クレームがついた商品を修理させていたこと

 

 

3 輸出や輸入のトラブルにはご注意ください

輸出や輸入に関しては、通常の売買とは異なる習慣や法規制が存在しますので、通常の売買と同じイメージをもち対応を行うと思わぬ部分で足元をすくわれてしまうリスクがあります。

輸出や輸入という特別な取り扱いを行っていることを踏まえ、どのようにすればトラブルを回避することができるかを事前に把握した上で対応を行うことが非常に重要です。自社の輸出や輸入に関するフローが適切かどうかを再度確認いただくとともに、必要に応じて専門家にセカンドオピニオンを求める等、万全の態勢をトラブル発生前に構築しておくことが重要です。

 

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