年次有給休暇取得への配慮と代替要員確保について

年次有給休暇は従業員にとって非常に重要な制度であり、このような年次有給休暇を従業員は基本的に自由に取得することが出来ます。
一定の場合には、企業が時季変更権を行使することが出来ますが、この場合にも、企業は、可能な限り従業員に対して配慮をする必要があります
以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 年次有給休暇取得への配慮と代替要員確保について

企業が、時季変更権を行使することができる場合として、「事業の正常な運営を妨げる場合」と規定されています。
そして、「正常な運営を妨げる」とは、当該労働者の労働が「事業」の運営にとって不可欠で、かつ代替要員確保が困難なことを言います。
これは、蓋然性で足り、結果的に事業が正常な運営されたとしても時季変更権行使の適法性判断に葉影響しません。

ただし、判例(弘前電報電話局事件・最判昭和62・7・10民集41・5・1229)は、「できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮」を要請しています。
したがって、通常の配慮をすれば代替要員配置が客観的に可能なのにそのような配慮をしない場合、事業の正常な運営を妨げる場合に該当するとの主張は認められません。
他方で、通常の配慮をしても客観的に大体勤務者を確保することが不可能な場合には、配慮をしたと考えうる具体的行為をしなくてもよいものとされています(電電公社関東電気通信局事件・最判平成元・7・4民集43・7・767)。

 

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