「従業員が無断欠勤を続けており、連絡を取ろうと何度も試みたものの連絡が取れない状態が続いている。当該従業員を解雇しても問題はないか。」というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は、無断欠勤を続ける従業員を解雇する場合に会社側が行うべき対応について、ご紹介いたします。
1 無断欠勤を続ける従業員の解雇
通常、従業員は、会社側に対して退職の意思表示をしてから退職します。
しかしながら、残念なことに、従業員の中には、突然無断で欠勤し、そのまま出勤しなくなるといった人もいます。
このような場合、どのように対処すべきか、より具体的にいうと、会社側がどのように当該従業員を解雇するか、という点が問題となります。
例えば、就業規則において、「無断欠勤が14日以上に及んだ場合」に、懲戒解雇する等と規定している会社は多くあります。
懲戒解雇は、会社が従業員に対して行うべき意思表示ですので、効力の発生には、当該従業員に対して意思表示が到達する必要があります(民法97条1項)。
仮に、身元保証人等を設けていた場合であっても、懲戒解雇の意思表示はあくまでも当該従業員本人に対して行う必要があり、身元保証人に対して行っても効力は発生しません。
しかしながら、従業員とは連絡がつかない状況ですので、従業員に対して懲戒解雇の意思表示を行うことは困難と言わざるを得ません。
そこで、このような場合に備えて、民法上は、「意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる」との規定を設けておりますので(民法98条1項)、会社側は、この公示の方法によって、懲戒解雇の意思表示をすることになります。
もっとも、公示による意思表示は、所在不明となった社員の最後の住所を所轄する簡易裁判所に申立てをしなければならず、費用と手間が掛かりますので、一連の手続きを専門家にご依頼いただくことをお勧めいたします。
以上に対して、就業規則において、無断欠勤の社員に対する取り扱いに関する規定を設けていない会社の場合には、懲戒解雇をすることはできず、普通解雇を含めて慎重に対応を検討する必要があります。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
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