令和2年4月1日の改正債権法施行に伴う諸問題のうち、人事労務に関しては、特に身元保証契約に与える影響が問題となっております。
以下、ご説明いたします。
このページの目次
1 債権法改正が身元保証契約に与える影響
従業員の入社時に、身元保証契約の締結を求める企業も多くあります。
改正民法465条の2においては、個人根保証契約の責任等による極度額の設定等の規制が設けられました。
そのため、改正債権法施行後に締結する身元保証契約に関しては、この責任の範囲を限定する極度額の規定を設けない場合には、身元保証契約自体が民法に違反するものとして無効となってしまうものと考えられております。
なお、改正債権法施行前からすでに締結済みの身元保証契約の効力が継続する期間中は上記制限が適用されません。
しかし、身元保証契約における最大5年の定めの期間が満了し(身元保証法2条)、企業が保証人との間で身元保証契約を更新する場合には、改正法の規制が適用されることになります。
2 身元保証契約に設ける極度額について
極度額の規定について、「採用時の年収総額相当額」との規定を設けることも考えられますが、身元保証人の知らない間に極度額が変化する可能性があり無効とされる危険性が相当程度あると考えられます。
では、どのような規定を設けるべきかですが、例えば、労働条件通知書の写しを身元保証契約に添付して、「極度額は、別添通知書記載月額報酬の●か月分を上限とする。」と定めることや、「極度額は毎年の給与の変動に伴い、毎年●月末日までに双方の合意により改定するものとする。合意が成立しない場合には、前年度の極度額のままとする。」等の規定を設けることも考えられます。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
身元保証契約の改訂に関するご相談をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。