適正な輸入申告価格が何かを把握するためには、まずは輸入取引がどの取引に該当するかを検討することが出発点となります。
そして、関税定率法や基本通達において規定された内容を適切に把握して正確に輸入申告価格を算定することが重要です。
本日は、ソフトウェアを記録したキャリアメディアを輸入する場合の考え方をご紹介いたします。
1 キャリアメディアの輸入について
例えば、何らかのソフトウェアを記録したDVDを輸入する場合を想定してみてください。
この場合、輸入申告価格はどのように考えるべきでしょうか。
この点を検討する上において、重要な規定が関税定率法の基本通達で定められています。
具体的には、関税定率法第4条第1項本文において、輸入貨物の課税標準となる価格は、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格とすると規定されています。
また、関税定率法基本通達4-1(1)において、「輸入取引」とは、本邦に拠点を有する者が買手として貨物を本邦に到着させることを目的として売手との間で行った売買であって、現実に当該貨物が本邦に到着することとなったものをいうと規定されています。
そして、同通達4-5(1)イにおいて、データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアについて規定されており、その中で「ソフトウェア」とはデータ処理機器の運用に関係する計算機プログラム、手順、規則またはデータ処理機器に使用されるデータをいい、サウンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まないとされています。
したがって、キャリアメディアに記録されたソフトウェアが、当該通達上のソフトウェアに該当するかどうかを慎重に判断する必要があります。
2 輸入申告価格は慎重に検討することが必要です
間違った輸入申告価格を申告してしまうと、つまるところ脱税と同じ状況となってしまいますので輸入申告価格は慎重に算定することが必要です。
このような検討を経ることなく間違ってしまうと、数十%にのぼる追徴税や、最悪のケースでは刑事事件化されてしまう場合もあります。
また、ソフトウェアを記録したキャリアメディアの輸入に関しては誤解も多いので十分注意する必要があります。
当事務所は、輸出入や貿易関連のトラブル、事前教示制度の利用や税関事後調査をはじめとする税関対応等を幅広く取り扱っておりますので、輸入申告価格を正確に把握することが難しい場合等少しでも不安がある場合には、まずはご相談ください。