ECサイトを利用して、商品を購入したことがある方も多くいらっしゃるものと思います。
また、ECサイトを利用して商品を出品する人も同様に多くいらっしゃるものと思います。
しかし、このようなECサイトの利用には様々な問題があります。特に、ECサイト上に自社の権利を侵害する出品がなされており、出品の取りやめを求めたいというご相談をお受けすることがあり、ECサイト側や出品者としては権利の侵害をしている意識がないにもかかわらずトラブルに巻き込まれてしまうリスクがあります。
以下では、このようなリスクの概要をご紹介します。
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1 チュパチャプス事件(知財高判平24・2・14判時2161・86)
事案の内容としては、「楽天市場」への出店者が「Chupa Chups」の商標を付した商品を販売していたものであり、これに対して商標権者が、出店先である楽天市場を運営する楽天に対し、商標権侵害の主体であるとし差止めや損害賠償等を求めたものです。
この裁判例で判示されたEC事業者が責任主体となる要件を整理すると、以下の①から④となります。①から④の要件を全て充足する場合には、EC事業者が責任主体となります。
①出店者に対し管理・支配を行っていること
②出店者から利益を受けていること
③出店者による商標権侵害があることを知ったこと、または、知るに足りる相当の理由があったこと
④知った時、又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至った時から合理的な期間内にウェブページから侵害内容の削除を行っていないこと
2 対応
上記裁判例を踏まえて、ECサイトの運営者の中には、その運用基準を規定し、商標権侵害等の模倣品や権利侵害品の掲載の削除といった対応をするという運用をしていることもあります。
また、権利の内容として、特許権や意匠権の判断はECサイトの運営者にとっては難しい場合も多いが、文字の商標権については、判断しやすい面もあるようです。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
権利侵害の判断は、なかなか出品者やECサイトの運営者自身で判断することは難しいものと思われます。
そのため、ECサイト上の出品物に権利侵害の疑いがある場合には、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。