Archive for the ‘コラム~人事労務・労使トラブル~’ Category

能力不足の従業員の解雇について

2021-03-30

「業務遂行能力、営業成績等が著しく劣る従業員を解雇したい。仕事も満足にできない以上解雇しても問題ないと考えているが、このような考えで問題ないでしょうか」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、必ず解雇できるというわけではなく、諸般の事情を総合的に考慮した上で解雇の可否を検討する必要があります。

以下では、参考となる裁判例をご紹介いたします。

 

1 前提としての考え方

就業規則上、解雇事由として「勤務成績又は業務能率が著しく不良で、社内での指導を経ても向上の見込みがないとき」等の規定があったとしても、会社が当該従業員を直ちに解雇することができるわけではありません。
従業員の能力不足を理由とした解雇の場合、解雇権濫用に当たるか否かは、その従業員の能力不足の内容や程度、改善の見込みの有無等の様々な状況を踏まえて総合的に判断する必要があります。

 

2 ブルームバーグ・エル・ピー事件(東京地判平24・10・5判時2172・132)

本裁判例では、「勤務能力ないし適格性の低下を理由とする解雇に「客観的に合理的な理由」(労働契約法16条)があるか否かについては、まず、当該労働契約上、当該労働者に求められている職務能力の内容を検討した上で、当該職務能力の低下が、当該労働契約の継続を期待することができない程に重大なものであるか否か、使用者側が当該労働者に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかったか否か、今後の指導による改善可能性の見込みの有無等の事情を総合考慮して決すべきである」、と判示しています。

この判決に従えば、①能力不足が重大であるか否か、②会社からの指導による能力改善の機会があったのか、③今後の改善の見込みがあるのかなど諸般の事情を踏まえて総合的に判断する必要があると考えられます。

以上の裁判例を踏まえますと、能力が他の従業員と比較して著しく低いというだけの事情で解雇することは困難であると考えられます。
そのため、会社としては、当該従業員に対して繰り返し粘り強く指導を行いつつ、必要に応じて会社内での配置換えや他部署への異動を行う等を通して可能な限り雇用継続の努力をする必要があるように思います。

その上で、将来的に解雇するという判断をする場合に備えて、能力不足や業務に支障が生じている点について、現段階からその状況を客観的に記録化しておくことが必須の対応となります。

 

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パワハラと安全配慮義務違反について

2021-03-29

パワハラに該当する事実が認められた場合、企業は、被害者の従業員に対して損害賠償を支払う必要が生じる場合があります。
また、パワハラに該当する事実が認められない場合でも、企業が、被害者の従業員に対して損害賠償を支払う必要が生じる場合がありますので注意が必要です。この点は、よく勘違いされるところですが、パワハラに該当する事実が認められないとしても、パワハラとまではいえないが企業として責任がある場合もありますので、十分注意する必要があります。

以下、ご説明いたしますのでご参照いただけますと幸いです。

 

1 参考となる裁判例

徳島地判平30・7・9(LLI/DB判例秘書(L07350678))が参考となる裁判例ですので、ご紹介いたします。
事案としては、ある従業員が会社の他の従業員からのパワハラで自殺したとして、亡くなった従業員の相続人が、会社側に対して、使用者責任または雇用契約上の義務違反による債務不履行責任に基づく損害賠償請求をした事案です。

判示としては、(i)パワハラを前提とする使用者責任については否定したものの、(ii)会社の安全配慮義務違反を認定して、賠償責任を認める判断を示しました。

裁判所の判断をより具体的に整理いたしますと、以下のとおりです。

①上司である従業員が、亡従業員に対し、日常的に強い口調の叱責を繰り返し、呼び捨てにするなどしたことについては、部下に対する指導として相当性に疑問があるといわざるをえない。

②もっとも、部下の書類作成のミスを指摘しその改善を求めることは、会社の社内ルールであり、主査としての従業員の業務である上、叱責が日常的に継続したことは、亡従業員が頻繁に書類作成上のミスを発生させたことによるものであって、何ら理由なく叱責したとい う事情は認められず、具体的な発言内容は人格的非難に及ぶものとまではいえない。

③①及び②を前提とすると、一連の叱責が、業務上の指導の範囲を逸脱し、社会通念上違法なものであったと認められないので、会社の使用者責任は認められない。

④一方、亡従業員の体調不良や自殺願望の原因が、上司との人間関係に起因するものであることを容易に想定できた課長や係長は、亡従業員の心身に過度の負担が生じないように、同人の異動を含めその対応を検討すべきであったところ、課長や係長は、一時期、担当業務を軽減したのみで、そのほかには何らの対応をしなかった。

⑤④を前提とすると、会社には安全配慮義務違反があったと認められる。

以上のとおり、パワハラに該当する事実が認められないとしても、企業として責任が問われる場合もあり得ますので、十分注意する必要があります。

 

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どのような行為がパワハラに該当するか、について

2021-03-27

「パワハラ」という言葉が使われるようになって久しく、特に近年はパワハラが社会問題として認知されております。
ところが、どのような行為が「パワハラ」に該当し違法となる可能性が高いのかについては、正確に把握できていない場合も多いのではないでしょうか。
そこで、本日は、どのような行為がパワハラに該当するかをご紹介いたします。

 

1 パワハラに該当する行為について

パワハラの定義ですが、「働き方改革」の一環として設置された「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が、平成30年3月に公表した報告書では、

①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
②業務の適正な範囲を超えて行われること
③身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること

以上の3つの要素をすべて満たすものが職場のパワハラと定義されています。

 

2 パワハラの6つの類型について

上記1で言及した報告書では、パワハラを以下の6つの行為類型に整理しております。

(i)身体的な攻撃、(ii)精神的な攻撃、(iii)人間関係からの切り離し、(iv)過大な要求、(v)過少な要求、(ⅵ)個の侵害

報告書では、裁判例を参考に、パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例が具体的に示されています。
簡単にご紹介いたしますと、例えば、(ii)精神的な攻撃、に関しては、「上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする場合は、パワハラに該当しますが、遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動がみられ、再三注意してもそれが改善されない部下に対して上司が強く注意する場合は、パワハラ要素の②、③に該当しないため、パワハラには当たらない」としています。
また、(iii)人間関係からの切り離しの例では、「自身の意に沿わない社員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする場合は、パワハラに該当しますが、新人社員を育成するために短期間集中的に個室で研修等の教育を実施する場合は、パワハラ要素の②に該当しないため、パワハラには当たらない」としています。

以上、報告書の内容をご紹介いたしましたが、もちろん、実際にパワハラに該当するか否かは、個別事情にもよりますので、ご注意ください。

 

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従業員による引抜行為について

2021-03-26

「従業員が独立を企図しており、他の従業員に対して引抜行為を繰り返しているようです。うちの会社は小さな会社なのでこのような引抜行為をされてしまうと会社の業務に甚大な影響が出る可能性があります。引抜行為をしている従業員への対応はどのようにすればよいでしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
そこで、本日は引抜行為をする従業員の法的責任についてご説明いたします。

 

1 引抜行為をする従業員の法的責任について

他の従業員に対する引抜行為が単なる勧誘と評価される程度にとどまるのであれば法的責任を負う可能性は低いものと考えられます。
というのも、単なる勧誘程度であれば、従業員の職業選択の自由の範囲内として憲法上保証されると考えられるからです。

他方で、例えば、独立の計画を会社に隠したまま多数の従業員を引抜くなど著しく背信的な方法で行われ、その結果、会社の業務運営に支障が生じ、損害が発生するような場合には、引抜行為を行った従業員は、雇用契約に付随する誠実義務に違反したとして債務不履行責任(民法415条)や、不法行為責任(民法709条)を負う可能性が相当程度あります(大阪地判平14・9・11労判840・62等)。

もっとも、会社の業務運営に支障が生じた結果、損害がどの程度発生したのかを客観的に把握することは非常に難しい面があります。
そこで、実際の損害賠償請求に関しては相当程度のハードルがある点には十分注意をして、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

なお、引抜行為に関して従業員が負う責任は以上のとおりですが、引抜行為に付随して、会社の営業秘密を持ち出すことも考えられます。
会社の営業秘密に関しては、他のコラムでご紹介しておりますので、ご参照ください。

 

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引抜行為を行う従業員への対応をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

退職後の従業員の競業制限について

2021-03-20

「退職する従業員に競業避止義務を課したいのですが、どのように考えればよいでしょうか。正直なところ、ノウハウ等を持っている従業員であるので、例えば、今後一切競業をしないということまで約束させることができることが望ましいのですが、そのようなことは可能でしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、退職する従業員に対して一定の競業避止義務を課すことは可能ですが、ご相談にあるような退職後永久に競業を禁止するといったことはできません。
以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 原則

職業選択の自由は憲法上人権として保障されているので、原則、従業員が他社で競業をすることを防ぐことはできませんし、退職を認めないといった対応を取ることもできません。
在職中であれば、労働契約上の付随的な義務として競業が禁止されると考えることもできますが、退職後の従業員に対しては、上記職業選択の自由を踏まえ、競業避止義務が当然に認められるということにはなりません。

 

2 退職後の競業が制限できる場合

退職後の競業制限を設けるために企業側が行うべき対応としては、従業員の在職中に、退職後の競業避止義務を定める誓約書等を締結しておく必要があるものといえます。
しかしながら、あくまでも職業選択の自由に抵触する措置となりますので、競業禁止に関して合理的な制限を設けられていることが必要です。
この点に関する裁判例をみますと、競業制限の期間や禁止される競業行為の範囲・地域が必要最小限にとどめられていた、また、適切な代償措置が講じられていた等の点が有効性を判断する上でのポイントになっているものといえます(大阪地判平12・6・19労判791・8等)。

 

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在職中の従業員の競業避止義務、退職後の従業員の競業禁止をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

社内研修と労働時間について

2021-03-19

「社内研修は、従業員としての本来の業務とは異なるものなので、従業員に社内研修に参加させたとしても、労働時間には該当しないのではないでしょうか?」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、労働時間に該当する可能性がありますので、企業としては十分注意する必要があります。
以下、ご説明いたします。

 

1 社内研修の労働時間該当性について

繰り返しとなりますが、従業員が業務として行われる社内研修に参加した時間は、労働時間に該当する可能性があります。
そして、仮に社内研修に参加した時間が労働時間に該当すると判断される場合、例えば、休日に行われた社内研修への出席は、休日出勤として扱う必要がある等の点には注意が必要です。

ここで、法的に労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを指します。
そして、このような労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かによって、客観的に定まると考えられています(最判平12・3・9判時1709・126)。

実際に、業務上必要な研修会に労働者が参加した時間は、法的に労働時間に該当すると判断した裁判例もあり、参考になります(大阪地判昭58・2・14労判405・64)。

 

2 社内研修を行う際の注意点について

上記1を踏まえ、仮に社内研修が業務の一環ではなく任意参加という形式を取っていたとしても、実際には参加しない従業員に対して、人事考課上の悪影響が及ぶ等何らかの不利益な扱いを受けるような場合には、客観的に使用者の指揮命令下に置かれていたものとして、法的には労働時間に該当すると判断される可能性もありますので、企業としては十分注意する必要があります。

 

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社内研修の労働時間該当性に関する問題をはじめとして、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

休憩時間中の自動車事故について

2021-03-17

「従業員が、休憩中に自動車事故を起こしたのですが、休憩中の出来事なので企業には何の責任もないですよね?」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、休憩中の事故であっても企業が責任を負う場合もありますので、十分注意する必要があります。
以下、概要をご紹介いたします。

 

1 事故によって相手方が負傷した場合における企業の損害賠償責任について

使用者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(民法715条)。
ここで、「事業の執行について」というのは、必ずしも被用者がその担当する業務を執行する場合だけを指すのでありません。広く被用者の行為の外形を客観的に捉えた場合に、使用者の事業の態様、規模等からしてそれが被用者の職務行為の範囲内に属するものと認められる場合で足りるものと解されています(最判昭39・2・4民集18巻2号252頁)。

したがいまして、例えば、よく外回り営業のため、自動車で移動する従業員が、企業のロゴが付された企業の自動車を休憩中に乗り、自転車事故を起こした場合には、「事業の執行について」に該当する可能性が相当程度あります。
そのため、従業員が事故を起こした場合には、まずはどのような状況で事故を起こしたのかを客観的に把握することから出発する必要があります。

 

2 被用者が負傷した場合の労災保険の申請について

休憩時間については、労働基準法34条3項により、労働者が自由に行動することができ、その間の個々の行為自体は労働者の私的行為といえます。
したがって、休憩時間中の災害は、それが事業場施設またその管理の状況・欠陥等に起因することが証明されない限り、一般的には、業務上の災害とは認められません。
しかし、休憩時間中に事業場内で継続して業務を行っているとか、上司に促されて休憩のついでに業務 上必要な書類を取引先に届けるといった事情があれば、業務上の災害に該当し得ます。

 

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当事務所は人事労務を幅広く取り扱っておりますので、従業員の休憩中の事故の問題を含め、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

身元保証契約の改訂はおすみですか?

2021-03-16

令和2年4月1日の改正債権法施行に伴う諸問題のうち、人事労務に関しては、特に身元保証契約に与える影響が問題となっております。
以下、ご説明いたします。

 

1 債権法改正が身元保証契約に与える影響

従業員の入社時に、身元保証契約の締結を求める企業も多くあります。
改正民法465条の2においては、個人根保証契約の責任等による極度額の設定等の規制が設けられました。
そのため、改正債権法施行後に締結する身元保証契約に関しては、この責任の範囲を限定する極度額の規定を設けない場合には、身元保証契約自体が民法に違反するものとして無効となってしまうものと考えられております。

なお、改正債権法施行前からすでに締結済みの身元保証契約の効力が継続する期間中は上記制限が適用されません。
しかし、身元保証契約における最大5年の定めの期間が満了し(身元保証法2条)、企業が保証人との間で身元保証契約を更新する場合には、改正法の規制が適用されることになります。

 

2 身元保証契約に設ける極度額について

極度額の規定について、「採用時の年収総額相当額」との規定を設けることも考えられますが、身元保証人の知らない間に極度額が変化する可能性があり無効とされる危険性が相当程度あると考えられます。
では、どのような規定を設けるべきかですが、例えば、労働条件通知書の写しを身元保証契約に添付して、「極度額は、別添通知書記載月額報酬の●か月分を上限とする。」と定めることや、「極度額は毎年の給与の変動に伴い、毎年●月末日までに双方の合意により改定するものとする。合意が成立しない場合には、前年度の極度額のままとする。」等の規定を設けることも考えられます。

 

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身元保証契約の改訂に関するご相談をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

妊娠・出産、育児休業等を契機とする不利益取扱いが認められる例外的な場合について

2021-03-14

厚生労働省は、妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いの禁止を、各都道府県労働局雇用均等室長宛に発出した通達(平27・3・27雇児雇発0327第1号、雇児職発0327第2号)において明記しておりますが、妊娠・出産・育児休業等を契機としていても、法違反ではないとされる例外の1つとして、
「業務上の必要性から不利益取扱いをせざるを得ず、業務上の必要性が、当該不利益取扱いにより受ける影響を上回ると認められる特段の事情が存在するとき」
と規定しております。

そこで、本日は、上記「特段の事情」についてご紹介いたします。

 

1 「特段の事情」の内容について

「特段の事情」が存在する場合として、違法ではないと言い得るのは、以下の①及び②の要件を充足する場合であると考えられます。

①「業務上の必要性」から不利益取扱いをせざるを得ない状況にあること。
②「業務上の必要性」が、不利益取扱いにより受ける影響を上回る場合であること(不利益取扱いや、不利益取扱いの契機となった事由に、有利な影響がある場合(例:本人の意向に沿った業務負担の軽減等)は、それも加味した影響)。

以上の①及び②の要件を充足する場合は、妊娠・出産・育児休業等を「契機とし」た不利益取扱いであっても、法が禁止している妊娠・出産・育児休業等を「理由とする」不利益取扱いではないと考えられております。

 

2 「業務上の必要性」から不利益取扱いをせざるを得ない状況にあること、について

「業務上の必要性」から不利益取扱いをせざるを得ない状況とは、例えば、経営状況(業績悪化等)や本人の能力不足等を理由とする場合には、以下の事項等を勘案して判断することになります。

ア 経営状況(業績悪化等)を理由とする場合
(i)事業主側の状況(職場の組織・業務態勢・人員配置の状況)
(ii)労働者側の状況(知識・経験等)

イ 本人の能力不足・成績不良・態度不良等を理由とする場合(ただし、能力不足等は、妊娠・出産 に起因する症状によって労務提供ができないことや労働能率の低下等ではないこと)
(i)事業主側の状況(職場の組織・業務態勢・人員配置の状況)
(ii)労働者側の状況(知識・経験等)

 

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妊娠・出産,育児休業等を契機とする不利益取扱いは禁止されています!

2021-03-13

厚生労働省は、各都道府県労働局雇用均等室長宛に発出した通達(平27・3・27雇児雇発0327第1号、雇児職発0327第2号)において、を踏まえて妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止を明記しております。
現実には、まだまだ妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いが行われているという話を聞くこともありますので、本日は、改めて当該通達の概要をご紹介いたします。

 

1 妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止

上記通達において、妊娠・出産・育休等の事由を契機として不利益取扱いが行われた場合は、原則として妊娠・出産・育休等を理由として不利益取扱いがなされたと解され、法違反だと明記しております。
また、同通達では、妊娠・出産・育休等を「契機」としているか否かは、基本的に、妊娠・出産・育休等の事由と時間的に近接しているかで判断するとしています。

具体的には、原則として、妊娠・出産・育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合は、それらの事由を「契機」としていると判断することになっております。
ただし、事由の終了から1年を超えている場合であっても、実施時期が事前に決まっている、又はある程度定期的になされる措置(人事異動(不利益な配置変更等)、人事考課(不利益な評価や降格等)、雇止め(契約更新がされていない)等)については、事由の終了後の最初のタイミングまでの間に不利益取扱いがなされた場合は「契機」としていると判断するものと考えられておりますので、注意が必要です。

 

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