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個人的な使用に供される輸入貨物に係る課税価格決定の特例について
輸入貨物の課税価格の算定方法は、原則として現実支払価格をベースとして考えることになりますが、一定の輸入貨物については、原則的な方法によらず、特別な取扱いを行う場合があります。
そこで、本日はこのような場合として、個人的な使用に供される輸入貨物に係る課税価格決定の特例について、ご紹介いたします。
1 個人的な使用に供される輸入貨物に係る課税価格決定の特例について
輸入貨物の課税価格は、輸入貨物の輸入取引がされた場合において、買手から売手に対し又は売手のために、現実に支払われた又は支払われるべき価格に基づいて決定することを原則としています(関税定率法第4条第1項)。
したがって、通常は、実際の輸入取引の売買価格(卸価格で輸入された貨物の場合は卸売価格、小売取引で購入された貨物の場合は小売価格等)を課税価格のベースとして考えることになります。
しかしながら、本邦に入国する者が携帯して輸入する貨物その他その輸入取引が小売段階によるものと認められる貨物で、当該貨物の輸入者の個人的使用に供されると認められるものは、小売価格で購入された貨物であっても、その課税価格は、実際の売買価格によることなく、その輸入貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格により課税価格を決定することになります(関税定率法第4条の6第2項)。
なお、輸入貨物が日本に居住する者に寄贈される貨物で、その寄贈を受ける者の個人的な使用に供されるものも、課税価格はその輸入貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格により決定します。
この場合、「本邦の入国するものにより携帯して輸入される貨物」には、関税定率法施行令第14条の手続きを経て別送して輸入される貨物を含み、また、「その他その輸入取引が小売取引の段階によるものと認められる貨物」とは、一般消費者が通信販売により又は外国に居住する知人に依頼して小売り取引の段階の価格で購入して輸入する貨物等をいいます。
また、「通常の卸取引の段階」とは、本邦の卸売業者が一般的に本邦における再販売等の商業目的のために、輸入貨物と同種の貨物を輸入する場合の取引段階をいいます。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入トラブルや通関トラブルのご相談を幅広く取り扱っております。
輸出入トラブルや通関トラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
退職後の従業員の競業制限について
「退職する従業員に競業避止義務を課したいのですが、どのように考えればよいでしょうか。正直なところ、ノウハウ等を持っている従業員であるので、例えば、今後一切競業をしないということまで約束させることができることが望ましいのですが、そのようなことは可能でしょうか。」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、退職する従業員に対して一定の競業避止義務を課すことは可能ですが、ご相談にあるような退職後永久に競業を禁止するといったことはできません。
以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。
1 原則
職業選択の自由は憲法上人権として保障されているので、原則、従業員が他社で競業をすることを防ぐことはできませんし、退職を認めないといった対応を取ることもできません。
在職中であれば、労働契約上の付随的な義務として競業が禁止されると考えることもできますが、退職後の従業員に対しては、上記職業選択の自由を踏まえ、競業避止義務が当然に認められるということにはなりません。
2 退職後の競業が制限できる場合
退職後の競業制限を設けるために企業側が行うべき対応としては、従業員の在職中に、退職後の競業避止義務を定める誓約書等を締結しておく必要があるものといえます。
しかしながら、あくまでも職業選択の自由に抵触する措置となりますので、競業禁止に関して合理的な制限を設けられていることが必要です。
この点に関する裁判例をみますと、競業制限の期間や禁止される競業行為の範囲・地域が必要最小限にとどめられていた、また、適切な代償措置が講じられていた等の点が有効性を判断する上でのポイントになっているものといえます(大阪地判平12・6・19労判791・8等)。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
在職中の従業員の競業避止義務、退職後の従業員の競業禁止をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
社内研修と労働時間について
「社内研修は、従業員としての本来の業務とは異なるものなので、従業員に社内研修に参加させたとしても、労働時間には該当しないのではないでしょうか?」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、労働時間に該当する可能性がありますので、企業としては十分注意する必要があります。
以下、ご説明いたします。
1 社内研修の労働時間該当性について
繰り返しとなりますが、従業員が業務として行われる社内研修に参加した時間は、労働時間に該当する可能性があります。
そして、仮に社内研修に参加した時間が労働時間に該当すると判断される場合、例えば、休日に行われた社内研修への出席は、休日出勤として扱う必要がある等の点には注意が必要です。
ここで、法的に労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを指します。
そして、このような労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かによって、客観的に定まると考えられています(最判平12・3・9判時1709・126)。
実際に、業務上必要な研修会に労働者が参加した時間は、法的に労働時間に該当すると判断した裁判例もあり、参考になります(大阪地判昭58・2・14労判405・64)。
2 社内研修を行う際の注意点について
上記1を踏まえ、仮に社内研修が業務の一環ではなく任意参加という形式を取っていたとしても、実際には参加しない従業員に対して、人事考課上の悪影響が及ぶ等何らかの不利益な扱いを受けるような場合には、客観的に使用者の指揮命令下に置かれていたものとして、法的には労働時間に該当すると判断される可能性もありますので、企業としては十分注意する必要があります。
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社内研修の労働時間該当性に関する問題をはじめとして、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

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ECサイトの出品物の権利侵害について
ECサイトを利用して、商品を購入したことがある方も多くいらっしゃるものと思います。
また、ECサイトを利用して商品を出品する人も同様に多くいらっしゃるものと思います。
しかし、このようなECサイトの利用には様々な問題があります。特に、ECサイト上に自社の権利を侵害する出品がなされており、出品の取りやめを求めたいというご相談をお受けすることがあり、ECサイト側や出品者としては権利の侵害をしている意識がないにもかかわらずトラブルに巻き込まれてしまうリスクがあります。
以下では、このようなリスクの概要をご紹介します。
1 チュパチャプス事件(知財高判平24・2・14判時2161・86)
事案の内容としては、「楽天市場」への出店者が「Chupa Chups」の商標を付した商品を販売していたものであり、これに対して商標権者が、出店先である楽天市場を運営する楽天に対し、商標権侵害の主体であるとし差止めや損害賠償等を求めたものです。
この裁判例で判示されたEC事業者が責任主体となる要件を整理すると、以下の①から④となります。①から④の要件を全て充足する場合には、EC事業者が責任主体となります。
①出店者に対し管理・支配を行っていること
②出店者から利益を受けていること
③出店者による商標権侵害があることを知ったこと、または、知るに足りる相当の理由があったこと
④知った時、又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至った時から合理的な期間内にウェブページから侵害内容の削除を行っていないこと
2 対応
上記裁判例を踏まえて、ECサイトの運営者の中には、その運用基準を規定し、商標権侵害等の模倣品や権利侵害品の掲載の削除といった対応をするという運用をしていることもあります。
また、権利の内容として、特許権や意匠権の判断はECサイトの運営者にとっては難しい場合も多いが、文字の商標権については、判断しやすい面もあるようです。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
権利侵害の判断は、なかなか出品者やECサイトの運営者自身で判断することは難しいものと思われます。
そのため、ECサイト上の出品物に権利侵害の疑いがある場合には、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
休憩時間中の自動車事故について
「従業員が、休憩中に自動車事故を起こしたのですが、休憩中の出来事なので企業には何の責任もないですよね?」、というご相談をお受けすることがあります。
結論としては、休憩中の事故であっても企業が責任を負う場合もありますので、十分注意する必要があります。
以下、概要をご紹介いたします。
1 事故によって相手方が負傷した場合における企業の損害賠償責任について
使用者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(民法715条)。
ここで、「事業の執行について」というのは、必ずしも被用者がその担当する業務を執行する場合だけを指すのでありません。広く被用者の行為の外形を客観的に捉えた場合に、使用者の事業の態様、規模等からしてそれが被用者の職務行為の範囲内に属するものと認められる場合で足りるものと解されています(最判昭39・2・4民集18巻2号252頁)。
したがいまして、例えば、よく外回り営業のため、自動車で移動する従業員が、企業のロゴが付された企業の自動車を休憩中に乗り、自転車事故を起こした場合には、「事業の執行について」に該当する可能性が相当程度あります。
そのため、従業員が事故を起こした場合には、まずはどのような状況で事故を起こしたのかを客観的に把握することから出発する必要があります。
2 被用者が負傷した場合の労災保険の申請について
休憩時間については、労働基準法34条3項により、労働者が自由に行動することができ、その間の個々の行為自体は労働者の私的行為といえます。
したがって、休憩時間中の災害は、それが事業場施設またその管理の状況・欠陥等に起因することが証明されない限り、一般的には、業務上の災害とは認められません。
しかし、休憩時間中に事業場内で継続して業務を行っているとか、上司に促されて休憩のついでに業務 上必要な書類を取引先に届けるといった事情があれば、業務上の災害に該当し得ます。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は人事労務を幅広く取り扱っておりますので、従業員の休憩中の事故の問題を含め、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

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身元保証契約の改訂はおすみですか?
令和2年4月1日の改正債権法施行に伴う諸問題のうち、人事労務に関しては、特に身元保証契約に与える影響が問題となっております。
以下、ご説明いたします。
1 債権法改正が身元保証契約に与える影響
従業員の入社時に、身元保証契約の締結を求める企業も多くあります。
改正民法465条の2においては、個人根保証契約の責任等による極度額の設定等の規制が設けられました。
そのため、改正債権法施行後に締結する身元保証契約に関しては、この責任の範囲を限定する極度額の規定を設けない場合には、身元保証契約自体が民法に違反するものとして無効となってしまうものと考えられております。
なお、改正債権法施行前からすでに締結済みの身元保証契約の効力が継続する期間中は上記制限が適用されません。
しかし、身元保証契約における最大5年の定めの期間が満了し(身元保証法2条)、企業が保証人との間で身元保証契約を更新する場合には、改正法の規制が適用されることになります。
2 身元保証契約に設ける極度額について
極度額の規定について、「採用時の年収総額相当額」との規定を設けることも考えられますが、身元保証人の知らない間に極度額が変化する可能性があり無効とされる危険性が相当程度あると考えられます。
では、どのような規定を設けるべきかですが、例えば、労働条件通知書の写しを身元保証契約に添付して、「極度額は、別添通知書記載月額報酬の●か月分を上限とする。」と定めることや、「極度額は毎年の給与の変動に伴い、毎年●月末日までに双方の合意により改定するものとする。合意が成立しない場合には、前年度の極度額のままとする。」等の規定を設けることも考えられます。
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
身元保証契約の改訂に関するご相談をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

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変質又は損傷した輸入貨物の課税価格の決定方法について
輸入貨物の課税価格の原則的な考え方は、現実支払価格をベースとする考え方となります。
もっとも、当該原則的な考え方では不合理な場合には、例外的な算定方法が採用される場合があります。
本日は、輸入貨物が変質又は損傷した場合における課税価格の例外的な決定方法について、ご紹介いたします。
1 変質又は損傷した輸入貨物の課税価格の考え方について
輸入貨物の課税価格を関税定率法第4条から第4条の4までの規定により計算する場合において、その輸入取引の条件から見て、輸入申告時までに輸入貨物に変質又は損傷があったと認められるときは、その貨物の課税価格は、変質又は損傷がなかった場合に計算される課税価格からその変質又は損傷があったことによる減価に相当する額を控除して得られる価格となります(関税定率法第4条の5)。
「その輸入取引の条件からみて、輸入申告等の時までに輸入貨物に変質又は損傷があった」とは、輸入契約において取り決められた性質、形状、数量等を基準として、輸入申告等の時までに、その輸入貨物に変質又は損傷が生じたことを指します。
したがって、輸入契約が、貨物が一定の変質又は損傷が生じた場合をも想定して締結されている場合には、関税定率法第4条の5の適用はなく、通常の課税価格の算定方法を用いることになりますので、注意が必要です。
また、「減価に相当する額」の算出にあたっては、公認検定機関等の作成した損害見積書等に記載された損傷部分の評価額、原状回復に要する費用等、合理的でかつ妥当な数値による額を用いることが必要となります。
なお、輸入貨物が輸入の許可目に変質又は損傷した場合には、関税定率法第10条第1項の規定により減税されます。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、代表弁護士が輸出入・通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入・通関のトラブルに関するご相談を幅広く受けております。
輸出入や通関のトラブルに関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
妊娠・出産、育児休業等を契機とする不利益取扱いが認められる例外的な場合について
厚生労働省は、妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いの禁止を、各都道府県労働局雇用均等室長宛に発出した通達(平27・3・27雇児雇発0327第1号、雇児職発0327第2号)において明記しておりますが、妊娠・出産・育児休業等を契機としていても、法違反ではないとされる例外の1つとして、
「業務上の必要性から不利益取扱いをせざるを得ず、業務上の必要性が、当該不利益取扱いにより受ける影響を上回ると認められる特段の事情が存在するとき」
と規定しております。
そこで、本日は、上記「特段の事情」についてご紹介いたします。
1 「特段の事情」の内容について
「特段の事情」が存在する場合として、違法ではないと言い得るのは、以下の①及び②の要件を充足する場合であると考えられます。
①「業務上の必要性」から不利益取扱いをせざるを得ない状況にあること。
②「業務上の必要性」が、不利益取扱いにより受ける影響を上回る場合であること(不利益取扱いや、不利益取扱いの契機となった事由に、有利な影響がある場合(例:本人の意向に沿った業務負担の軽減等)は、それも加味した影響)。
以上の①及び②の要件を充足する場合は、妊娠・出産・育児休業等を「契機とし」た不利益取扱いであっても、法が禁止している妊娠・出産・育児休業等を「理由とする」不利益取扱いではないと考えられております。
2 「業務上の必要性」から不利益取扱いをせざるを得ない状況にあること、について
「業務上の必要性」から不利益取扱いをせざるを得ない状況とは、例えば、経営状況(業績悪化等)や本人の能力不足等を理由とする場合には、以下の事項等を勘案して判断することになります。
ア 経営状況(業績悪化等)を理由とする場合
(i)事業主側の状況(職場の組織・業務態勢・人員配置の状況)
(ii)労働者側の状況(知識・経験等)
イ 本人の能力不足・成績不良・態度不良等を理由とする場合(ただし、能力不足等は、妊娠・出産 に起因する症状によって労務提供ができないことや労働能率の低下等ではないこと)
(i)事業主側の状況(職場の組織・業務態勢・人員配置の状況)
(ii)労働者側の状況(知識・経験等)
3 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
従業員に対する、妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いをはじめとして、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

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妊娠・出産,育児休業等を契機とする不利益取扱いは禁止されています!
厚生労働省は、各都道府県労働局雇用均等室長宛に発出した通達(平27・3・27雇児雇発0327第1号、雇児職発0327第2号)において、を踏まえて妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止を明記しております。
現実には、まだまだ妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いが行われているという話を聞くこともありますので、本日は、改めて当該通達の概要をご紹介いたします。
1 妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止
上記通達において、妊娠・出産・育休等の事由を契機として不利益取扱いが行われた場合は、原則として妊娠・出産・育休等を理由として不利益取扱いがなされたと解され、法違反だと明記しております。
また、同通達では、妊娠・出産・育休等を「契機」としているか否かは、基本的に、妊娠・出産・育休等の事由と時間的に近接しているかで判断するとしています。
具体的には、原則として、妊娠・出産・育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合は、それらの事由を「契機」としていると判断することになっております。
ただし、事由の終了から1年を超えている場合であっても、実施時期が事前に決まっている、又はある程度定期的になされる措置(人事異動(不利益な配置変更等)、人事考課(不利益な評価や降格等)、雇止め(契約更新がされていない)等)については、事由の終了後の最初のタイミングまでの間に不利益取扱いがなされた場合は「契機」としていると判断するものと考えられておりますので、注意が必要です。
2 弁護士へのご相談をご希望の方へ
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っております。
従業員に対して不利益取扱いを行う場合に、妊娠・出産・育児休業等が理由と判断されるかどうかを事前に確認したいというご要望がある場合をはじめ、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。
製造原価に基づく課税価格の決定方法について
輸入貨物の課税価格については、原則として現実支払価格をベースとして算定することは、別のコラムでもご紹介しておりますが、このような原則的な方法を利用できない場合ももちろんあります。
そのような場合に、どのような算定方法を採用する必要があるかは、関税定率法等で規定されているところですが、本日は、例外的な採用方法のうち、製造原価に基づく課税価格の決定方法をご紹介いたします。
1 製造原価に基づく課税価格の決定方法について
関税定率法第4条の3第1項までの方法により課税価格を決定することができない場合には、製造原価に基づく課税価格の決定方法により、輸入貨物の課税価格を算定することを試みることになります。
この場合、国内販売価格に基づく方法が製造原価に基づく方法に優先して適用されることが原則となっていますが、当該輸入貨物を輸入しようとする者が希望する旨を税関長に申し出たときは、この優先順位を逆転することができます。
「製造原価に基づく課税価格の決定方法」とは当該輸入貨物の製造原価を確認できる場合において、当該輸入貨物の製造原価に、当該輸入貨物の生産国で生産された当該輸入貨物と同類の貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費と輸入港までの運賃等を加算して課税価格を決定する方法です。
ここでの「製造原価」には、輸入貨物の容器及び包装費用並びに関税定率法第4条第1項第3号に規定する物品及び役務の費用を含むこととなっており、本邦で開発された技術、設計、意匠又は工芸に要する費用であっても、生産者がこれを負担した場合には、当該負担した額を含むこととなります。なお、「製造原価」は、当該輸入貨物の生産者により又は当該生産者のために提供された当該輸入貨物の生産者の商業帳簿に基づくこととなります。
また、「同類の貨物」は、輸入貨物の場合と同一の国から輸入されたものに限ります。
以上を踏まえて、製造原価に基づく課税価格の決定方法を簡単に整理すると、以下のようになります。
【製造原価に基づく課税価格の計算式】
課税価格=①+②+③
①輸入貨物の製造原価
②生産国を同じくする同類の輸入貨物の本邦への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費
③当該輸入貨物の輸入港までの運賃等
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