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仮眠時間における賃金の考え方について

2021-04-20

大星ビル管理事件(最判平成14.2.28民集56.2.361)の判示において、不活動仮眠時間が労働時間に該当する場合もあることが判示されました。
この点については、先日のコラムでもご紹介いたしましたので、そちらをご参照いただけますと幸いです。

上記のとおり不活動仮眠時間が労働時間に該当するとしても、通常の賃金を支給する必要があるかどうか、が問題となります。
明確な結論が出ている問題ではないのですが、以下では考え方を整理いたしました。

 

1 不活動仮眠時間において支給すべき賃金

この点については、①不活動仮眠時間中の賃金と、②不活動仮眠時間が労働基準法上の時間外労働や深夜労働に該当する部分の割増賃金、という2つの場面に分けて考える必要があります。
まず①については、上記大星ビル管理事件の判示において、

(i)労働基準法上の労働時間であるからといって、当然に労働契約所定の賃金請求権が発生するものではなく、当該労働契約において仮眠時間に対していかなる賃金を支払うものと合意されているかによって定まる。
(ii)労働契約においては、不活動仮眠時間に対しては泊り勤務手当以外には賃金を支給しないものとされていたと解釈するのが相当である。

以上のとおり判示し、どのような賃金を支給するかが労働契約においてどのように規定されていたかによって決まるものとの判断を示しました。

次に、②の割増賃金の基礎単価を、どの時間帯の賃金とするのについては、上記の裁判例を含め、これまでの裁判例の状況を踏まえても、明確な判断基準は示されておりません。
基本的には労働契約の規定内容を踏まえて個別具体的に判断していくことになるものと思われますが、明確な判断基準がないことで、予見可能性が非常に低い状態となってしまっております。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を広くお受けしております。
従業員の労働時間に関する問題も含め、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

仮眠時間の労働時間該当性について

2021-04-19

仮眠時間が労働時間に該当するか、という問題は従前から議論がありました。
普通に考えると、仮眠時間はあくまでも仮眠しており労働に従事しているとはいえないので、労働時間に該当するとは考えられないのではないか、とも考えられるところです。
しかしながら、仮眠時間も労働時間該当すると判断される可能性は十分ありますので、注意が必要です。

本日は、仮眠時間の労働時間該当性に関して参考となる裁判例をご紹介します。

 

1 大星ビル管理事件(最判平成14.2.28民集56.2.361)

この判例では、仮眠時間の労働時間該当性に関して、以下のとおり判示いたしました。

①不活動仮眠時間であっても、労働からの解放が保証されていない場合には労働基準法上の労働時間に該当するというべきである。
そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保証されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているのが相当である。
②本件仮眠時間中、労働契約に基づく義務として、仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けているのであり、仮眠時間は全体として労働からの解放が保証されているとはいえず、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価することができる。

以上の判例を踏まえると、「労働からの解放」が保証されているかどうかが重要であるという点がわかります。
仮眠時間は一切労働に従事する必要がなく、またその可能性もないことが保証されていれば労働時間には該当しないものと考えられますが、仮眠時間とはいえ、何かあれば労働に従事する可能性があるということであれば労働からの解放が保証されているとはいえませんので、労働時間に該当する可能性が高まるものと考えられます。

 

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通関業者の役割

2021-04-18

貨物の輸出入の経験がある方にとっては、通関業者は馴染みのある存在といえるのではないでしょうか。
もっとも、通関業者が実際にどのような業務をになっているかまではご存知ではなく、輸出入申告を代理で行ってくれる存在という程度の認識にとどまっている場合が多いものと思われます。
そこで、本日は、通関業者の業務内容についてご紹介いたします。

通関業務の内容は、以下のとおり、大要、「通関業務」と「関連業務」に大別されます。

 

1 通関業務について

①通関手続きの代理
輸出申告書や輸入申告書の税関への提出から輸出許可、輸入許可を受けるまでの一切の手続のことを指します。

②不服申立の代理
不服申立とは、税関が決定した内容に不満がある場合に再考を求める手続のことを指します。
税関長に再考を求めるのが「異議申立」、税関長の最終判断に不満があるときは上位者である財務大臣に「審査請求」を行うことになります。

③主張、陳述の代行
税関は、輸出入者が提出した輸出申告者や輸入申告者の記載事項の審査と貨物検査を実施します(税関の判断で省略をする場合がある)。
通関業者は必要に応じて審査や貨物検査に立ち会い、提出した申告書の内容が正当であることを主張、陳述し証明します。

④通関書類の作成
上記の代理、代行に要する書類を作成します。

 

2 関連業務について

通関業務に先行する、または後続する全ての業務を指します。
例えば、梱包、国内輸送、保税運送、他所蔵置許可申請、外国貨物の見本の一時持出し許可申請、本船扱い、ふ中扱いの承認申請、事前教示照会等です。

なお、通関業務とは、通関業者のみが行うことができる業務であり、通関業者の独占業務です。
他方で、関連業務とは、通関業者の独占業務から除外され、通関業者以外も行うことができる業務の総称を指します。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

輸出入に必要な手続はすべて通関業者に任せているケースも多いものと思われます。
もっとも、何かトラブルが発生した場合には、通関業者では対応できず自社で対応する必要がありますが、なかなか輸出入や通関手続に関する知識・経験不足から適切な対応を行うことが難しい場合も多いものと思われます。
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

信用状について

2021-04-17

輸入取引において、信用状を利用したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
信用状は貿易において非常に重要な役割を担っておりますが、信用状の種類が複数あることまではあまり知らないという方も多いように思います。
そこで、本日は、信用状の代表的な類型をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

信用状には、以下の各類型があり、輸出者と輸入者の合意により使用する類型を選択することになるのが一般的です。

 

1 取消不能信用状(Irrevocable L/C)

発行後、当事者全員の合意がない限り取消しや内容の変更を認めない信用状のことを指します。
ここで当事者とは、輸出者、輸入者、発行銀行のことをいいます。

 

2 確認信用状(Confirmed L/C)

発行銀行に加え、他の銀行が支払いを保証する信用状のことを指します。
発行銀行の信用力が乏しい場合に使用することが多い類型です。

 

3 買取銀行指定信用状(Restricted L/C)

為替手形の買取りを特定の銀行に限定した信用状のことを指します。
買取銀行を特定しない信用状はOpen L/Cと呼ばれております。

 

4 回転信用状(Revolving L/C)

連続して貿易取引を行う輸出者と輸入者が使用する信用状のことを指します。
前回の貿易取引の決済が終了した時点、あるいは、前回の貿易取引から一定期間の経過後に信用状の保証する金額が自動的に復活することになります。

 

5 譲渡可能信用状(Transferable L/C)

信用状に記載された貿易取引の全て、あるいは、一部を輸出者以外に譲渡することを認めた信用状のことを指します。

 

6 弁護士へのご相談をご希望の方へ

輸出入は、慣れていない方はもちろん慣れている方にとっても予想外のトラブルが起きやすいものといえます。
当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関手続に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関に関するトラブルや、税関対応に関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関上のトラブルでお困りの方や、税関対応に自信がない方等、輸出入や通関上のトラブルでお悩みの方、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

貨物の輸出規制について

2021-04-16

日本から貨物を輸出する場合、輸出先の国の法令でその国への輸入規制があるかどうかを確認することにとどめ、そもそも日本からの輸出が認められるかどうか、という視点を忘れてしまっているケースがあります。
そもそも、日本からの輸出に関して規制がある貨物には様々な種類がありますので、貨物の輸出を検討されている場合には、まず、日本からの輸出が認められているかどうかを最初に確認することが重要といえます。

以下では、貨物を日本から輸出する場合の規制に関してご紹介いたします。

 

1 外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」といいます。)の輸出貿易管理令と外国為替令による管理

外為法の輸出貿易管理令では、輸出に際し許可あるいは承認を必要とする品目を規定しており、別表1と別表2としてリストアップしております。
別表1は大量破壊兵器や通常塀の輸出を規制する内容で、輸出に際しては経済サンゴ右大臣の許可を取得する必要があります。
他方で、別表2では、ワシントン条約やバーゼル条約など国際的に管理されている品目や日本の産業保護を目的とした品目などが規定されており、輸出に際しては経済産業大臣の承認を取得する必要があります。

 

2 その他の輸出入関連法による管理

外為法以外を除くその他の輸出入関連法の代表的な法令及び該当する品目としては、代表的なものとしては、以下の法令及び対象物があります。

①文化財保護法
重要文化財又は重要美術品

②鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
鳥、獣及びそれらの加工品

③麻薬及び向精神薬取締役法
麻薬、向精神薬

④狂犬病予防法
犬、猫、あらいぐま、きつね

⑤家畜伝染病予防法
馬、鶏、あひるなど及びこれらの動物の肉、ソーセージ、ハム等

⑥植物防疫法
一定の植物

⑦道路運送車両法
中古自動車

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関に関するご相談を幅広くお受けしております。
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ウィーン売買条約について

2021-04-15

海外から商品を仕入れる場合、海外業者との間で売買契約を締結することになりますが、その際に非常に重要となるのが、ウィーン売買条約の規定の理解です。
ウィーン売買条約の規定を理解した上で必要に応じて海外業者との間で個別の合意を的確に締結しておかないと、想定していない事態に陥る可能性がありますので注意が必要です。
以下では、ウィーン売買条約の概要をご紹介いたします。

 

1 ウィーン売買条約について

(1)概要

ウィーン売買条約(「CISG」と略されることがあります。)は、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が制定した国際物品売買契約に関する条約で、1988年に発行されました。
日本は2008年8月に加盟し、2009年8月1日から、本条約が発効しております。
本条約は、前文と本文101条からなる4部構成となっており、貿易取引における売場契約成立の有無と売主・買主の権利義務について定めております。

それ以外の事項、例えば所有権の移転時期などについては売買契約の準拠法に規律されます。

 

(2)ウィーン売買条約の適用の排除

ウィーン売買条約は、企業間の物品の売買契約に適用されますので、貿易取引の相手国が本条約の加盟国である場合には、条約が適用されます。
一方で、この条約は強行法規ではなく任意法規に該当しますので、契約当事者が合意することによって、本条約の適用を排斥又は変更することが出来ます。すなわち、契約当事者がインコタームズの適用を契約書で合意すれば、インコタームズ規定が本条約に優先して適用されるということです。

ただし、本条約が規定している範囲はインコタームズよりも広いので、契約成立の要件や契約違反に関わる事項等インコタームズの規定外の事項は本条約が適用される点には注が必要です。

 

(3)日本の国内法との関係性

ウィーン売買条約と日本の国内法との関係性についていえば、本条約の規定には日本の民法や商法と異なる点があります。
たとえば、契約成立の時期は、日本の民法では承諾の意思表示が発信された時ですが、その他、本条約では承諾の意思表示が申込者に到達した時と規定されております。
その他、瑕疵担保(契約不適合責任)や契約解除等の規定にも違いがあります。

これらの相違点は当事者間の契約で明確に排除しない限り、本条約の規定が適用されることになる点には十分注意する必要があります。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

ウィーン売買条約の規定は、日本の国内法との関係性とともに理解する必要がありますので、海外業者との間で売買契約を締結する場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

ネット上の誹謗中傷投稿への対応検討の前に確認すべき点

2021-04-14

「誹謗中傷・名誉毀損等に該当する記載がウェブ掲示板に投稿されているので、何とかして欲しい」、というご相談をお受けすることが、最近では増えてきております。
このようなご相談がある場合に、対応を検討する前に確認すべき点がいくつかありますので、本日は、ご紹介いたします。

 

1 対応を検討する前に確認すべき点

対応を検討する前に確認すべき点はいくつかありますが、以下では特に重要な2つの点をご説明いたします。

(1)投稿されているウェブページのURLの特定
まず確認すべき点は、本当に投稿されているのがウェブ掲示板なのか、それとも別の媒体に投稿されているものを勘違いしているのかを特定することです。
要するに、誹謗中傷や名誉毀損等に該当する記載がどの媒体になされているのかを、URLを確認・特定して把握することが必要になります。
なぜなら、投稿されている媒体によって検討すべき対応や手順が異なる可能性があるからです。
例えば、実は、投稿されている媒体が公開のウェブ掲示板ではなかったという場合には、プロバイダ責任制限法を利用することはできず、その他の民事手続や刑事手続の利用を検討することになります。

 

(2)投稿日時の特定

次に、投稿日時を明確に特定する必要があります。
というのも、仮に投稿者の特定までを行う場合には、各プロバイダにIPアドレス等の情報開示を求めていくことになるのですが、日本法人の場合、2、3か月で当該情報を削除してしまう場合も多く(海外法人の場合はさらに短期間となる)、投稿日時からの期間によっては既に投稿者を特定することが不可能な状態になっている場合も多いからです。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損への対応は、なかなか個々人が行うことは難しく、安易に自分で行おうとすると、逆にさらなる投稿を招いてしまう等逆効果となるリスクも考えられます。
そのため、まずは、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損への対応経験がある弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

輸入貨物の国内販売を規制する法令について

2021-04-13

当然のことながら、貨物を輸入する主たる目的は、日本国内において、輸入した貨物を販売することや使用することにあります。
もっとも、貨物の内容によっては、日本国内での販売や使用をすることが出来ない場合や一定の規制がある場合もありますので、事前にこのような日本国内の法令も十分に理解することが必須となります。

そこで、本日は、輸入される頻度が多い貨物について、カバーしておいた方が良いと思われる日本の法令と該当する可能性がある代表的な貨物を簡単にご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。

 

1 関係法令について

①家庭用品品質表示法
繊維製品、合成樹脂加工品、雑貨工業品、電気機械器具、家庭用電気器具

②電気用品安全法
家庭用電熱器具、事務用機器、電気楽器、電灯器具、電子時計、電気機器付家具、電線・配線器具、小型変圧器、電流制限器

③消費生活用製品安全法
圧力なべ、乗車用ヘルメット、乳幼児用ベッド、レーザーポインター、浴槽用温水循環器、登山用ローブ、家庭用の圧力なべなど

④ガス事業法
ガス瞬間湯沸かし器、ガスストーブ、ガスバーナー付ふろ釜、ガスふろバーナー

⑤液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律
液化石油ガス用瞬間湯沸かし器、液化石油ガスこんろ、ガス漏れ警報器

⑥計量法
計量器

⑦道路運送車両法
自動車

⑧農薬取締法
農薬(消毒剤、断菌剤、殺虫剤、殺鼠剤、除草剤、成長促進剤)

⑨製造物責任法
製造物一般

⑩不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
商品一般

⑪工業標準化法(JIS法)
工業製品

⑫農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
JAS規格、食品

⑬有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律
水銀加工物など有害物質を含む家庭用品

⑭船舶安全法
ヨット、モーターボート等

⑮電波法
携帯電話などの無線設備など

⑯電気通信事業法
電話機、ファックスなどの通信機器

⑰消防法
カーテンなど防災対象物品、消防設備、危険物

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が、輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出入や通関に関するご相談を幅広くお受けしております。
輸出入や通関に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

税関による貨物の検査について

2021-04-12

貨物を輸入しようとしたところ税関検査のためなかなか輸入許可が下りず困った、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本日は、税関による貨物の検査についてご紹介いたします。

 

1 輸出入貨物の税関検査

輸入申告のあった貨物について、税関は必要に応じて検査をすることが可能です(関税法67条)。
当該検査は、取引相手との約束や輸入国側の要請に基づき、検査機関に委託して行うものとは異なり、日本の法令の下、税関行政の一環として実施されるものですので、関係者は甘受せざるを得ません。

税関検査は、原則として、税関長の指定する場所で行う必要があり、「指定地検査」と呼ばれております。
ただし、巨大な貨物、危険物等でやむを得ない場合には、あらかじめ税関長の許可を受けることで指定された場所以外の場所で検査を受けることも可能です。このことを「指定地外検査」といいます。

税関検査の検査方法には、①見本検査、②一部指定検査、③全部検査、の3種類があります。検査の目的に応じて、いずれかの方法で実施されることになります。

 

2 搬入前・事前検査

(1)輸出時の搬入前検査
次の場合には、輸出貨物が保税地域等に搬入される前に税関の検査を受けることが出来ます。

①再包装が困難な貨物等でインボイス等によって貨物の内容が明らかで搬入前検査をすることに支障がない場合
②コンテナー貨物に付いて輸出者から申し出があった場合で、搬入前検査を実施することに支障がなく、インボイスなどにより貨物の内容が明らかで、搬入前検査終了後速やかに保税地域などに搬入されることが確実である場合

(2)輸入時の事前検査
一定の場合には、輸入申告の前に検査を行うことができます。
この事前検査の場合、税関は、インボイス等の通関関係書類の提出を求めてきますので、適切に対応することが必要となります。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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輸出入や通関に関してお悩みの方や、ご不明な点やご不安な点等ございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

関税法上の犯罪に関する規定について

2021-04-11

本日は、関税法で規定されている犯罪に関する規定の内、輸出入をしてはならない貨物を輸出入する等の罪についてご紹介いたします。
輸出入をビジネスとして行っている方にとっては、行ってはいけない行為を正確に把握してかなければ、意図せず犯罪行為を行ってしまっているということにもなりかねませんので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 輸出してはならない貨物を輸出する罪

①関税法69条の2第1項第1号に掲げる輸出してはならない貨物(麻薬等)を輸出し又は積戻しをした者は、10年以下の懲役又は3000万円以下の罰金に処せられます(これらの刑が併科されます。このことは、108条の4から112条までの罪についても同様です。)。(関税法108条の4第1項)

②関税法69条の2第1項第2号から第4号までに掲げる輸出をしてはならない貨物(児童ポルノ及び知的財産侵害物品)を輸出し又は積戻しをした者は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処せられます(関税法108条の4第2項)。

 

2 輸入してはならない貨物を輸入する罪

①関税法69条の11第1項第1号から第6号までに掲げる輸入してはならない貨物(麻薬等)を輸入した者は、10年以下の懲役又は3000万円以下の罰金に処せられます(関税保法109条1項)。

②関税法69条の11第1項第7号から第10号までに掲げる輸入してはならない貨物(公安又は風俗を害すべき物品、児童ポルノ及び知的財産侵害物品)を輸入した者は、10年以下の懲役又は1000万円いかの罰金に処せられます(関税法109条2項)。

 

3 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

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