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解雇における客観的に合理的な理由について

2021-07-12

従業員を解雇する場合には、解雇権濫用法理の適用があり、一定の制限が課されるということについては、(何となくではあっても)ご存知の方が多いのではないでしょうか。
もっとも、当該規律については、より具体的に認識しておいていただいた方が望ましいといえますので、本日は、解雇の要件である客観的に合理的な理由についてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 解雇における客観的に合理的な理由について

まず、上記のとおり、労働契約法16条の解雇権濫用に関する規定の適用にあたっては、まず、解雇について、客観的に合理的な理由が認められるかどうかを判断する必要があります。
ここで、客観的に合理的理由を欠く場合とは、解雇に相当する事由に該当する事実を書く場合を指します。
その判断においては、解雇事由とされた事実が実際に就業規則上の規定に該当することを前提に、当該解雇事由が、客観的に判断できる証拠に基づく客観的な事実であることが必要です。

以上を踏まえて、実際に該当しうる事由としては以下のものが考えられます。

①労務提供の不能、困難、不安定

②労働能力、技術、知識等の著しい欠如

③労務の著しい不適格(業務上の著しい不適格、協調性の欠如、不安全行動の常習、職場不適応)

④労務信頼性の著しい欠如、喪失(職務怠慢、業務阻害、重大損害招来等を含む)

⑤重大な規律、秩序、勤務義務違反

⑥重大又は反復の業務命令・職務遂行・守秘義務違反等

⑦企業又は従業員への著しい名誉、信用失墜行為

⑧社会的不当、不法行為(刑事事犯、重大な違法、セクハラ、パワハラ)

⑨経営用上の必要(人員整理、合理化による職種・業務の消滅・減少等)

⑩その他雇用を継続しがたいやむを得ない事由

 

実際の解雇の有効性の判断においては諸般の事情を総合考慮することになりますが、上記の各事由が判断において重要な要素となることは間違いないものといえます。

 

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保税工場における保税作業について

2021-07-11

保税作業とは、保税工場において、主に、外国貨物を原材料として、加工等することを指します。
このような保税作業は様々な用途で利用されておりますが、輸出入をビジネスとして行っている方にとってもあまり馴染みのない仕組であるものと思います。

そこで、本日は、このような保税作業の概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保税作業における内国貨物と外国貨物の使用について

保税作業に当たっては、外国貨物を使用することは当然のことながら内国貨物を使用することもできます。
そして、保税工場における保税作業に外国貨物と内国貨物とを使用したときは、これによってできた製品は、外国から本邦に到着した外国貨物とみなされます(関税法59条1項)。

 

2 外国貨物と内国貨物との混合使用について

保税工場における保税作業に外国貨物にこれと同種の内国貨物を混じて使用し、その外交貨物のみを使用して製造した場合の製品と等質の製品を製造する場合であって、作業の性質、工程等を勘案しその内国貨物を混じて使用することについてやむを得ない事由があり、かつ、原料の数量に対する製品の数量の割合が安倉かであると認められるときは、税関長の承認を受けることにより、これによってできた製品の内当該外国貨物の数量に対応するものは外国から本邦に到着した外国貨物とみなされます(関税法59条2項、関税法施行令47条1項)。

なお、関税法59条は、保税展示場及び総合保税地域についても準用されますので、併せてご参照ください(関税法62条の7、62条の15)。

 

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法律上解雇が制限される場合について

2021-07-10

企業にとっては、従業員をどのような場合に解雇することができるか、ということは、非常に重要です。
なぜなら、企業はあくまでも従業員の労働によってそのビジネスを行う必要があるところ、企業が従業員を解雇できない場合には、企業がビジネスにとって不要又はビジネスの阻害となると判断した従業員の雇用を継続し続けなければならないこととなり、企業のビジネス遂行に大きな悪影響をもたらすリスクがあるとさえいえるからです。
そのため、経営者の方にとっては、従業員の解雇がどのような場合に認められないのか、ということを正確に理解していただくことが必要となりまっす。

そこで、本日は、法律上解雇が制限される場合について、ご紹介いたします。

 

1 法律上解雇が制限される場合について

法律上解雇が制限される代表的な規定は以下のとおりです。

①不当労働行為となる解雇の禁止(労働組合法7条)

②業務上の負傷疾病による休業、産前産後休業中およびその後の30日の解雇禁止(労働基準法19条)

③国籍、信条等を理由とする解雇の禁止(労働基準法3条)

④監督機関等行政機関に対する申告・申出を理由とする解雇の禁止(労働基準法104条、安全衛生法97条、個別紛争解決法4条3項、5条2項、派遣法49条の3第2項)

⑤性別を理由とする解雇の禁止(男女雇用機会均等法6条4号)

⑥女性の婚姻、妊娠、出産を退職理由と予定した定めの禁止(男女雇用機会均等法9条1項)

⑦婚姻、妊娠、出産、産休、育児、介護休業および育児、介護関連措置の利用等を理由とする解雇の禁止(男女雇用機会均等法2条3項、育休・介護法10条、16条等)

⑧妊娠中及び出産後一年以内の女性の解雇禁止(男女雇用機会均等法9条4項)

⑨労基法等の手続き補償についての不同意や過半数代表者への不利益取扱いの解雇禁止(労働基準法38条の4第1項6号、同施行規則6条の2第3項)

⑩公益通報をしたことを理由とする解雇の禁止(公益通報者保護法3条)

 

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退職願を出した従業員に対する懲戒解雇の可否

2021-07-09

問題行動を起こした従業員に対して懲戒処分(特に懲戒解雇)を行うかどうかを検討している最中に、当該従業員から自主的な退職願が提出された場合に、企業としては、退職願を受理せずに、懲戒解雇を行うことが可能かどうかが問題となることがあります。
この点についての考え方を以下ではご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 退職願を出した従業員に対する懲戒解雇の可否

退職願を出した従業員に対して懲戒解雇を行う場合には、以下の以下の2点に注意する必要があります。

(1)退職願が提出された場合、企業側がその承認を拒否したとしても、労使間での特約がない限り、原則として2週間を経過した時に雇用契約は終了し、自動的に退職の法的効果が発生します(民法627条1項)。
そこで、この期間を経過して懲戒処分をしたとしても、当該従業員に対する懲戒処分として無効となってしまいます。
そのため、企業としては当該2週間という期間内に従業員に対して懲戒処分を行う必要があります。

もちろん当該従業員の同意があれば、退職日を延期させることは可能ですが、応じるかどうかは不明確であり、通常、このような場合に退職日の延期に応じる従業員は少ないものと思われます。

(2)退職願の提出があったということは、自ら会社を去ることの意思表示をしたということですので、この点は懲戒処分を検討する場合に、一種の情状酌量事由として重要となります。

裁判例(昭和41・8・24東京地決 東洋化研事件)では、懲戒に該当する非行をした従業員がすでに退職の意思表示をしているにもかかわらず、あえてこれを懲戒解雇するについては、その非行が当該従業員の多年の勤続の功を抹殺してしまう程度に重大なものであって、そうすることが被告会社の規律の維持上やむを得ない場合であることを要する、と判示しました。

当該裁判例の判示は、他の事案に応じても十分参考となるものと考えられます。

 

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懲戒処分決定までの自宅待機の二重処分該当性について

2021-07-08

懲戒処分(特に懲戒解雇)に相当するような問題行為をなした従業員に対して、懲戒処分決定までの間、自宅に待機させ、出勤を停止する処分を行うことがあります。
そして、このような自宅待機をさせること自体が懲戒処分に当たり、これに加えて、懲戒処分をする場合、1つの事案について二重処分をすることになるので、認められないのではないか、という問題点があります。
結論としては、一定の限定の下では二重処分には該当せず有効であるものと判断されますが、無条件に有効と判断されるわけではありません。

そこで、本日は、懲戒処分決定までの自宅待機が、当該社員に対する二重処分に該当するかどうかについて、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 懲戒処分決定までの自宅待機の二重処分該当性について

この点については、当該自宅待機が、懲戒処分としての出勤停止処分ではなく、処分決定までの間の証拠隠滅や同種行為の再発防止のため、就業制限を命じるものであり、その期間中の当該従業員に対する賃金を支払う前提のもとになされたものであり、かつ、自宅待機の処置及び本件解雇処分が極めて密接した期間内になされたものである場合には、懲戒処分には該当せず、その準備的な行為として有効であるものと判断した裁判例があります(昭和45・4・17大阪地判、淀川製鋼所事件)。

なお、この自宅待機期間の賃金は100%ではなく平均賃金の60%(労働基準法26条)でよく、休職発令がなされる場合であっても右の合理的妥当性が客観的に認められる場合ならば、60%の賃金で差し支えない点には注意が必要です。

 

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外国貨物の廃棄、滅却について

2021-07-07

輸入許可後に内国貨物となった後当該貨物を廃棄、滅却する場合には、基本的には自由に行うことが出来ます。
他方で、保税地域にある外国貨物を廃棄、滅却する場合には、一定の手続等が必要となりますので注意が必要です。
以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 貨物の廃棄について

保税地域にある外国貨物を廃棄しようとする者は、あらかじめその旨を税関に届け出なければならない。外国貨物を廃棄しようとする者に対し届け出義務を課すことによって、関税の徴収を確保しようとするものです(関税法34条)。
ここでいう廃棄とは、腐敗、変質等し、本来の用途に供されなくなった外国貨物をくずとして処分することであるが廃棄しようとする貨物がくずと認められないものであるときは、その現況により輸入手続を要することになります。
廃棄しようとする外国貨物について正規の輸入手続きをとることを希望しない場合には、くずとして処分しようとする貨物について、焼却、異物混入その他の人為的処理をすることになります(関税法45条1項、2項)。
なお、滅却の承認申請手続きを執る場合には、「廃棄届」の提出は要しないものとされています(関税法34条ただし書き)。

 

2 貨物の滅却について

保税地域にある外国貨物を滅却しようとする者は、あらかじめ税関長の承認を受けなければなりません。所定の手続をとることにより「滅却の承認」を受けた者の関税納付義務を免除するものです(関税法45条1項ただし書き)。
税関長は、保税地域にある外国貨物が腐敗し、若しくは変質し、又は他の貨物を害するおそれがある等の事情によりこれを滅却することがやむを得ないと認めるときは、滅却の承認をしなければならない点には注意が必要です(関税法45条2項)。

 

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人事異動命令の拒否が認められるその他の場合について

2021-07-06

本コラムでは、これまで、2回にわたり、人事異動の拒否が認められる場合をご紹介してまいりました。
本日は、これまでご紹介した以外で人事異動の拒否が認められる場合について、ご紹介いたしますので、これまでご紹介した内容とあわせてご参照いただけますと幸いです。
人事異動は企業が業務を円滑に進める上では非常に重要な仕組ですので、当該人事異動に制限がある場合については、企業としては十分に注意する必要があります。

 

1 技術・技能等の著しい低下となるもの

特に技術系統の社員については、技術や技能等は人格財産を形成することにつながるので、その能力の維持又は発展を著しく阻害するような職種の変更等は配転権の濫用となる可能性があります(昭和47・10・23名古屋地判、三井東圧化学事件)。
もっとも、昨今では、セールスエンジニア等については、本人の技術や技能の発展にむしろプラスであるという理由から、正当な配転と認められることもあります(昭和46・7・27前橋地判、新潟鉄工所事件等)。

 

2 私生活に著しい不利益を生ずるもの

一般の社員が通常予想されるような損害や苦痛を超えて、きわめて著しい場合には、認められることがあります。このような場合には、企業の人事異動を自由に認めると従業員にとって極めて酷な事態となってしまうため、裁判所は、人事異動命令の合理性を慎重に判断する傾向にあります。
例えば、重病の家族がいるにもかかわらず、家族の看護に影響を与える形での人事異動の場合には、人事異動命令に合理性がないと判断される場合があります(昭和43・8・31東京地判、日本電気事件)。

 

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人事異動の拒否が認められる場合にはご注意ください!

2021-07-05

先日のコラムにおいて、従業員が、会社側からの人事異動命令を拒否することができる代表的な場合について、ご紹介いたしました。
本日は、先日ご紹介した事項以外で、人事異動の拒否が認められる場合についてご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです

なお、前提として、会社には、人事異動を命じる権限が包括的に認められておりが、無制限に認められるわけではなく、命令権の行使が合理性がなく、配転・転勤命令権限の濫用に該当する場合には、無効となります。

 

1 不当労働行為に該当するもの

労働組合の組合員や組合活動家、役員であることを理由とする不利益取扱い、組合活動に打撃を与え、弱体化を意図するものなど組合の運営への支配・介入に該当するものは無効(労働組合法7条1号、3号)と判断されます。
裁判例でも、同様の理由から人事異動命令を無効としたものがあります(平成3・9・26大阪高判 朝日火災海上保険事件)。

 

2 思想・信条その他の差別的待遇に該当するもの

会社が、社員の国籍、信条又は社会的身分を理由とする差別的取り扱いをすることは禁止されているので、これに該当する人事異動命令は無効となります(労働基準法3条)。

裁判例(昭和40・4・22大阪地判 近江絹糸事件)でも以下のように判示されています。

【判示内容】

相当重大な勤務条件の不利益な変更であるにかかわらず、適正な配慮のもとになされなかったものであり、右転勤命令はいずれも、申請人らの主張するとおり申請人らが共産党の指示する思想を信奉することを理由としてなされた差別的取扱であることが一応推測できる。そうすると本件転勤命令は、いずれも労働基準法3条に違反して無効であるから、申請人両名がこれに従わなかったのは正当な理由がある。

 

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外国貨物の一時持出しについて

2021-07-04

輸入許可前に保税地域にある状態で外国貨物を一時国内に持ち込みたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、売買の対象物の見本を早急に見たいと取引先から言われた場合や、貨物の品質の分析を早急に行いたい場合等が考えられます。
関税法は、このような要望にこたえる形で、一定の場合には外国貨物を保税地域から見本として持ち出すことを認めております。

そこで、本日は、保税地域にある外国貨物を、見本として一時持ち出す場合についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 保税地域にある外国貨物の一時持出しについて

保税地域にある外国貨物については、一般の閲覧に供するために見本の展示をすることが出来ますが、商取引の利便性を図る観点から、税関長の許可を受けて、見本の一時持出しが認められています(関税法32条)。
一時持出しが認められる見本は、取締り上、及び課税上問題がなく、かつ少量のものに限られております。

具体的な手続きとしては、見本の一時持出しの許可を受けようとする者は、「見本持出許可申請書」を税関長に提出して、その許可を受けなければなりません(関税法32条、関税法施行令27条)。
一時持出された外国貨物がその成分の分析等のために使用、消費されて、元の保税地域に持ち帰ることができない場合でも、持ち帰ったものとみなして、残りの貨物と一括して輸入の許可を受けることになります。

なお、見本の持出しとは異なりますが、外国貨物を保税地域において廃棄する場合には、税関に届け出る必要があります(関税法34条)。

 

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人事異動の拒否が認められる場合について

2021-07-03

企業は人材の効率的な利用の観点から、人事異動を自由に行うことができるとお考えの方が多くいらっしゃいます。
しかしながら、一定の場合には従業員による人事異動の拒否が認められる場合もありますので注意が必要です。
そこで、本日は、人事異動の拒否が認められる場合をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです

 

1 人事異動の拒否が認められる場合について

まず、前提として、企業には、人事異動を命じる権限が包括的に認められております。
もっとも、無制限に認められるわけではなく、命令権の行使に合理性がなく、配転・転勤命令権限の濫用に該当する場合には、無効となります。
代表的な例をご紹介いたします。

①業務上の必要性がない命令である場合
業務上の必要性がない人事異動の命令は、労働契約上の法的根拠を欠くこととなるので、無効なる可能性が高いといえます。
裁判例においても、配転命令の業務上の必要性が不明確で、経営に批判的な立場にある労働者を遠ざけ、配転拒否により退職を期待する等不当な動機や目的を有する場合については権利濫用であり無効との判断がなされています(東京地決平成7・3・31 マリンクロメットメディカル事件)。

②労働条件が著しく低下する場合
従業員の日常生活に影響を及ぼす賃金の相当な減収となるものなどは、配転命令権の濫用(昭和34・3・1和歌山地決、和歌山バイル織物事件)と判断される可能性があります。

③職務・勤務の場所について社員の合理的な予想範囲を著しくこえるもの
労働契約締結の際の事情、従来の慣行、当該は移転における新旧職務間の差等を総合的に判断して、合理的であると考えられる範囲を超える著しい職務内容の変更等は無効となる可能性があります(昭和48.12.18大阪地判 名村造船所事件)。

 

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