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解雇が無効である場合の賃金の請求について

2021-10-15

解雇が無効と判断された場合、従業員は復職することになりますが、解雇時から復職時までの賃金をどのように考えるべきかについては、経営者は正確に理解しておくことが必要です。
というのも、解雇の有効性が裁判で争われた場合、数年にわたり裁判が行われる可能性があるところ、従業員の賃金額によっては、解雇が無効であると判断された場合に、当該従業員に対して支払うべき賃金の額が多額となる可能性があるため、経営者としては正確に当該賃金の額を把握した上で対応を検討する必要があるからです。
以下で、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 解雇が無効である場合の賃金の請求

解雇が無効である場合、解雇時から復職時までの間に他所で賃金等を受けていない場合には、民法536条2項に基づき、解雇時から復職時までの未払賃金(いわゆるバックペイ)を請求することができます。
解雇期間中に他所で収入を得た場合には、その収入については、損益相殺を行うことになります(同条項ただし書き)。
この場合の償還方法については、賃金全額払いの原則(労働基準法24条)の例外として、保証賃金から中間収入額を控除した残額を支払うといった対応を取ることが認められております。
また、中間収入を控除する場合には、労働基準法26条の規定に沿った取扱いをする必要がありますので、注意が必要です。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要について

2021-10-13

本日は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律について、ご紹介いたします。
現代社会では、非常に重要な法律といえますので、経営者の方には是非ご理解いただきたい法律です。
ニュース等で取り上げられることも多い法律ですので、法律の名前は聞いたことがあるが、内容まではよくわからないという方も多いものと思います。以下ご参照いただけますと幸いです。

 

1 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要について

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律は、自らの意思に基づいて働き、又は働こうとする女性の活躍を迅速かつ重点的に推進し、男女の人権が尊重され、豊かで活力のある社会の実現を図ることを目的とするものです(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律1条)。
平成28年4月1日から、事業主に、この目的を実現する行動計画の策定を義務付けており、令和8年3月31日限りで失効する時限立法です。

なお、常用する労働者が300人を超える事業主が公表すべき項目の数を増加させる規定及び特例認定制度(プラチナえるぼし)を創設する規定についての施行日は、令和2年6月1日とされております。
また、一般事業主行動計画の策定義務を負う事業主の範囲を、常用する労働者が100人を超える事業主まで拡大する規定については、令和4年4月1日が施行日とされます。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
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次世代育成支援対策推進法について

2021-10-11

次世代育成支援対策推進法とは、社会の少子高齢化を踏まえ、次世代の育成支援対策を迅速、重点的に推進し、時代の社会を担う子供が健やかに生まれ、育成される社会の形成を目指すもので、令和7年3月31日までの時限立法です(平成27年3月31日までの時限立法でしたが、有効期限が延長されました。)。
あまり馴染みのない法律だと思いますが、以下、概要をご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 次世代育成支援対策推進法の概要について

企業は、雇用する従業員が、子供の保護者として、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解を深め、かつ、子育ての喜びが実感されるように配慮しなければならないと規定されております(次世代育成支援対策推進法3条)。
また、常時雇用する従業員が100人を超える事業主に対して、従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出、これを公表し、従業員に周知することが義務付けられております(同法12条等)。
この計画には、事業主が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしない従業員も含めた多様な労働条件の整備等に取り組むにあたって、計画期間、目標、目標を達成するための対策の内容と実施時期を具体的に盛り込むものとされています(同法12条2項)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
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最低賃金の対象となる賃金について

2021-10-09

最低賃金の概要については、先日のコラムにおいてご紹介いたしました。
もっとも、最低賃金の対象となる具体的な賃金について、特殊な算定方法が用いられており、実際に使用者が労働者に対して支給する金銭の全額をベースに考えればよいというものではありませんので注意が必要です。
この考え方を正確に把握しておかないと、使用者としては最低賃金額を超える金額を支給していると思っているにもかかわらず、実際には最低賃金額を下回る金額の支給にとどまっているとなってしまうことになりかねません。
そこで、本日は、最低賃金の対象となる具体的な賃金についてご紹介いたしますので、あわせてご参照いただけますと幸いです。

 

1 最低賃金の対象となる具体的な賃金について

最低賃金の対象となるのは、1か月を超えない期間ごとに支払われる、通常の労働時間または労働日の労働に対して支払われる賃金のことを指します。
すなわち、毎月支払われる基本的な賃金のみが対象となり、実際に支払われる賃金から以下の賃金は除外する必要があります。

①臨時に支払われる賃金
②1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
④所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金
⑤深夜の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
⑥皆勤手当、通勤手当、家族手当

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

関税率表の解釈に関する通則4、5、6について

2021-10-08

本日は、関税率表の解釈に関する通則4から6をご紹介いたします。
関税率表の解釈に関する通則とは、関税率表の適用について統一的な運用を確保するための分類解釈の原則を示したものとなります。
貨物の輸入をビジネスとしていらっしゃる方には是非ともご理解いただきたい内容となりますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 通則4について

通則4は、通則1から3の原則によりその所属を決定することができない物品について、当該物品に最も類似している物品が属する項に属することを規定しております。

 

2 通則5(a)について

写真機用ケース、楽器用ケース、銃用ケース、製図機用ケース、首飾り用ケースその他これらに類する容器で特定の物品又は物品のセットを収納するために特に製作し又は適合させたものであって、長期間の使用に適し、当該容器に収納される物品とともに適示され、かつ、通常当該物品と共に販売されるものは、当該物品に含まれます。
ただし、この(a)の原則は、重要な特性を与えている容器については、適用しないので注意が必要です。

 

3 通則5(b)について

(a)の規定に従うことを条件として、物品と共に提示し、かつ、当該物品の包装に通常使用する包装材料及び包装容器は、当該物品に含まれます。
ただし、この(b)の規定は、反復使用に適することが明らかな包装材料及び包装容器については、適用しません。

 

4 通則6について

この表の適用に当たっては、項のうちのいずれの号に物品が属するかは、号の規定及びこれに関係する号の注の規定に従い、かつ、前記の原則を準用して決定するものとし、この場合において、同一の水準にある号のみを比較することができます。
この6の原則の適用上、文脈により別に解釈される場合を除くほか、関係する部又は類の注も適用します。

 

5 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

一斉休憩の適用除外について

2021-10-06

使用者は、事業場の労働者に対し、原則として休憩時間を一斉に与える義務があります(労働基準法34条2項)。ただし、一定の事業については、このような一斉休憩の原則は適用されません。
以下では、一斉休憩の原則の適用がない場合についてご紹介いたします。
休憩時間の付与は、労使双方にとって非常に重要であるところ、法令に沿った運用を行わない場合には、企業の評判にもかかわりますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 一斉休憩の適用除外について

以下に掲げる事業については、一斉休憩の原則は適用されません(労基則31条、同別表第1)。

①道路、鉄道、軌道、索道、船舶または航空機による旅客または貨物の運送の事業
②物品の販売、配給、保管もしくは賃貸または理容の事業
③金融、保険、媒介、周旋、集金、案内または広告の事業
④映画の製作または映写、演劇その他興業の事業
⑤郵便、信書便またか電気通信の事業
⑥病者または虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
⑦旅館、料理店、飲食店、接客業または娯楽場の事業
⑧官公署の事業

なお、上記以外の事業であっても、労使協定において、一斉に休憩を与えない労働者の範囲及び当該労働者に対する休憩の与え方を規定した場合には、事業場の労働者に対して休憩を一斉に与えずに、順次付与するという運用をとることができます(労働基準法34条2項ただし書き)。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
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関税率表の解釈に関する通則3(a)から(c)について

2021-10-04

本日は、関税率表の解釈に関する通則のうち、通則3(a)から(c)をご紹介いたします。
関税率表の解釈に関する通則とは、関税率表の適用について統一的な運用を確保するための分類解釈の原則を示したものとなります。
貨物の輸入をビジネスとしていらっしゃる方には是非ともご理解いただきたい内容となりますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 通則3について

通則3では、2(b)の規定により又は他の理由により物品が二以上の項に属するとみられる場合に通則3に従って判断されることになります。
通則3では(a)、(b)、(c)がそれぞれ規定されておりますが、優先順位は(a)>(b)>(c)です。

 

2 通則3(a)について

通則3(a)では、最も特殊な限定をして記載をしている項が、これよりも一般的な記載をしている項に優先する。
ただし、二以上の項のそれぞれが、混合し若しくは結合した物品に含まれる材料若しくは物質の一部のみ又は小売り用のセットの構成要素の一部のみについて記載をしている場合には、これらの項のうち一の項が当該物品について一層完全な又は詳細な記載をしているとしても、これらの項は、当該物品について等しく特殊な限定をしているものとみなされます。

 

3 通則3(b)について

通則3(b)は、混合物、異なる材料から成る物品、異なる構成要素で作られた物品および小売り用のセットにした物品であって、(a)の規定により所属を決定することができないものは、この(b)の規定を適用することができる限り、当該物品に重要な特性を与えている材料又は構成要素から成るものとしてその所属を決定します。

 

4 通則3(c)について

(a)及び(b)の規定により所属を決定することができない物品は、等しく考慮に値する項のうち数字上の配列において最後となる項に属します。

 

5 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、代表弁護士が輸出入や通関に関する唯一の国家資格である通関士資格を有しており、輸出・輸入や通関上のトラブルに関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
輸出・輸入や通関に関するトラブル、税関事後調査を含む税関対応等でお悩みの場合には、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。

外国人労働者の雇入れ・離職時の注意点について

2021-10-02

昨今の社会情勢を踏まえ、外国人労働者の雇入れを積極的に行っている経営者の方もいらっしゃるものと思います。
外国人労働者についても、一部の法律を除いて日本の労働関連の法律の適用がありますので、特別な待遇等が必要となることは基本的にはありません。
もっとも、外国人労働者の雇入れ・離職時には特別な手続が必要となりますのでご注意ください。

以下、ご説明いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 外国人労働者の雇入れ・離職時の注意点

外国人労働者の雇入れ・離職時には、「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書」により氏名、在留資格等を、ハローワークに届け出ることが事業主には義務付けられております(労働施策総合推進法参照)。
当該届出書における届出事項としては、①氏名、②在留資格、③在留期間、④生年月日、⑤性別、⑥国籍、⑦資格外活動許可の有無、とされております。
いずれも在留カードに基づいて記載することになっていることから、雇入れの際には、カード原本の提示を受けて、直接確認するといった対応を取ることが肝要です。

なお、在留資格のない外国人を、資格がないことを知りながら雇用した場合には、出入国管理及び難民認定法73条の2第1項第1号に基づき、事業主には不法就労助長罪が適用され、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(または併科)が科されることになりますので注意が必要です。

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

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弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
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パートタイム労働者の通常の労働者への転換措置義務について

2021-10-01

短時間・有期雇用労働者法(従前のパートタイム労働法)において、パートタイム労働者とは、同一の事業主に雇用される通常の労働者に比して所定労働時間又は所定労働日数が少ない労働者であると規定されております。
そして、使用者には、通常の労働者への転換の措置義務がありますので、注意が必要です。
特に昨今は、インターネットの発達により、使用者が適切に義務の履行をしていない場合には、インターネット上で悪い評判が広まるリスクがあり、企業にとっては適切に対応することが求められており、対応を誤ると最悪の場合、企業の存亡にすら関わりかねない非常に重要な問題と認識しておく必要があります。
そこで、本日は、このような通常の労働者への転換の措置義務についてご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 通常の労働者への転換の措置義務について

使用者は、転換の措置義務として、以下のいずれかの措置を講じなければならないとされております。

①通常の労働者を募集する場合、その募集内容について、既に雇用しているパートタイム・有期雇用労働者へ周知すること
②通常の労働者のポストを社内公募する場合、すでに雇用しているパートタイム・有期雇用労働者にも応募する機会を与えること
③一定の資格を有するパートタイム・有期雇用労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設けること
④その他通常の労働者への転換を推進するための措置を講じること

 

2 弁護士へのご相談をご希望の方へ

当事務所は、人事労務に関するご相談を幅広くお受けしております。
弁護士に相談をした方がよいかお悩みの方もいらっしゃるものと思いますが、お悩みをご相談いただくことで、お悩み解消の一助となることもできます。
日々の業務の中で発生する人事労務に関するご相談や、新しい労働関連法規の成立、修正により自社にどのような影響が生じているかを確認したいといった場合まで、人事労務に関してご不明な点やご不安な点等ございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

有期雇用契約の雇止めに関する規制について

2021-09-29

有期雇用労働者は、現在の日本社会において労働力の中心を担う存在である一方で、法的には必ずしも強くない立場に立たされてまいりました。
そこで、判例では、そのような有期雇用労働者を保護するために、雇止めを規制するための様々な法理を提示してきました。
このような判例法理を踏まえて、2012年の労働契約法改正により労働契約法19条において、雇止めに関する規制が設けられました。

以下、ご紹介いたしますので、ご参照いただけますと幸いです。

 

1 有期雇用契約の雇止めに関する規制について

労働契約法19条においては、雇止めに関して、以下のとおり規制が設けられております。
以下の3つの要件が充足される場合には、雇止めは認められないものとなります。

①過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に契約の更新をしないことにより当該契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより労働契約を終了させること(通常の労働者の解雇)と社会通念上同視できると認められるか、当該労働者において契約期間満了時に当該契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる場合

②契約期間満了日までに労働者が当該契約の更新の申込みをした場合または当該契約間の満了後遅滞なく当該有期労働契約の締結の申込みをした場合

③使用者が当該申込を拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとき

 

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