企業側がその従業員に対して負う安全配慮義務というものをご存知でしょうか。
なんとなく聞いたことはある方もいらっしゃるものと思われますが、企業にとっては重要な義務となっておりますので、本日は、安全配慮義務の概要をご紹介いたします。ご参照いただけますと幸いです。
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1 安全配慮義務の概要
企業側は、従業員が生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務を負っています(労働契約法5条)。
当該義務を安全配慮義務といいますが、最高裁判所も、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が 過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」を負うと判示しています(最判平成12・3・24民集54・3・1155)。
2 安全配慮義務が問題となった事案の例
より具体的には、安全配慮義務に関して、以下のような裁判例があります。
①神戸地判(姫路支部)平成7・7・31判タ958・200
従業員が健康を害した場合において、当該従業員が当該業務にそのまま従事すると健康を保持する上で問題がある、又は健康を悪化させるおそれがあると認められるときは、企業側は、従業員からの申出の有無に関係なく、当該業務から離脱させて休養させるか、他の業務に配転させるなどの措置を取る契約上の義務を負うと判示しました。
②東京地判平成10・3・19判時1641・54
従業員が高血圧に罹患している事案において、企業側は、持続的な精神的緊張を伴う過重な業務に就かせないようにすることや、業務を軽減するなどの配慮をするべき義務があると判示しました。
以上、本日は、安全配慮義務の概要をご紹介いたしました。
安全配慮義務の具体的な内容は、あくまでも、企業と労働者の個別具体的な事情を踏まえて判断されるべきものですが、企業にとっては、常に企業側がどのような安全配慮義務を負うかを認識しておくことが非常に重要です。
当事務所は、人事労務を幅広く取り扱っておりますので、安全配慮義務に関して、ご不安な点やご不明な点等ございましたら、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所の代表弁護士、有森文昭です。東京大学法学部および法科大学院を卒業後、都内の法律事務所での経験を経て、当事務所を開設いたしました。通関士や行政書士の資格も有し、税関対応や輸出入トラブル、労働問題など、依頼者の皆様の多様なニーズにお応えしています。初回相談から解決まで一貫して対応し、依頼者の最良のパートナーとして、共に最適な解決策を追求してまいります。