公務員に対して国が負う安全配慮義務について

本日は、公務員に対して国が安全配慮義務を負うかどうかについて、参考となる裁判例をご紹介いたします。
ご参照いただけますと幸いです。

 

1 自衛隊車両整備工場事件(最判昭和50・2・25労判222・13)

車両整備工場において車両整備に従事していた自衛隊員が、大型自動車に頭部をひかれて死亡した事案です。

【判示の概要】
国と国家公務員との間における主要な義務として、法は、公務員が職務に専念すべき義務(国家公務員法一〇一条一項前段、自衛隊法六〇条一項等)並びに法令及び上司の命令に従うべき義務(国家公務員法九八条一項、自衛隊法五六条、五七条等)を負い、国がこれに対応して公務員に対し給与支払義務(国家公務員法六二条、防衛庁職員給与法四条以下等)を負うことを定めているが、国の義務は右の給付義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負つているものと解すべきである。

もとより、右の安全配慮義務の具体的内容は、公務員の職種、地位及び安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によつて異なるべきものであり、自衛隊員の場合にあつては、更に当該勤務が通常の作業時、訓練時、防衛出動時(自衛隊法七六条)、治安出動時(同法七八条以下)又は災害派遣時(同法八三条)のいずれにおけるものであるか等によつても異なりうべきものであるが、国が、不法行為規範のもとにおいて私人に対しその生命、健康等を保護すべき義務を負つているほかは、いかなる場合においても公務員に対し安全配慮義務を負うものではないと解することはできない。

以上のとおり、判例では、安全配慮義務に関して、公務員と一般私人との間で別異に取り扱う理由はないと考えております。

 

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