オンライン会議を利用した技術提供

昨今の国際情勢を踏まえ、『経済安保』の重要性が言及されていることは多くの方に知られているところです。

特に日本は大量破壊などに転用可能な先端技術を多数保有している技術大国でもありますので、日本からの技術の流出は、日本の安全保障だけではなく、国際的な平和にとっても大きな影響がある問題です。

このような中で、外為法上のリスト規制やキャッチオール規制といった各種の規制については、輸出を行う法人や個人事業主にとっては馴染みのあるものだと思いますが、残念ながら規制違反となる事例はなくなることはありません。

本日は、よくある間違いの事例をご紹介いたしますので、ご参考となれば幸いです。

 

1 事例

A株式会社の営業部長Bは、オンラインでの海外向けの商談を頻繁に行っており、自社が将来販売する予定の商品の最新技術を積極的に宣伝している。

Bとしては、自分が日本にいるため、外為法上の問題はないと考えており、A株式会社がとっている輸出管理手続を取ることは一切行っていない。

このようなBの判断は正しいかどうか。

 

2 正しい対応

Bの判断は間違っています。

オンラインでの海外向けの商談であったとしても、非居住者に対する技術提供や外国における技術提供に該当しますので、外為法上の輸出管理の対象となることは間違いありません。Bの行為は無許可での技術提供に該当しますので、即刻オンラインでのやり取りを中止するとともに、A株式会社における輸出管理手続をとる必要があります。

 

3 外為法の規制には十分ご注意ください

貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)には、外為法上の厳格な規制が存在します。

日本国内で購入したものであるから、海外に輸出しても問題ないと安易に考えることは非常に危険であり、日本国内で一般に販売されている物品であっても、海外に輸出する際には規制対象となる品目は多数存在します。

また、貨物の輸出の場合に比して、技術の提供に関してはあまり深く考えずに安易に行われてしまっているケースも多くあります。

知らなかったでは済まされず、重大な犯罪行為(ひいては国際的な平和を損なう行為にもなりかねないことはくれぐれも気を付けるべきです。)となってしまい、違反した場合には重い刑事罰等も存在しますので、貨物を輸出する場合(及び技術を国際間で移転、提供する場合)において、外為法の規制内容に少しでも不安がある場合には、事前にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

 

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